拝啓
父上母上。
お元気でしょうか。
俺こと隠(なばり)はもう帰りたいです。
高専に行くとかいきなり言い出したのにそれはないって?
でもよ、、母上。そっちだって「逝ってこい。(サムズアップ)」って言ってきたやないかい。
普通さ、息子がいきなり宗教系の学校いきたいとか。しかも寮だから帰ってこないとか怪しい白髪グラサンの男が教師とかあったら止めるべきじゃね?
邪道に染まりかけているよ?あんたの息子。
そして父上よ。なぜいい笑顔でそんな息子に「青春してこいよ」って言えるんですか?
確かに良い息子とは言い難いけど!!ちょっとはさぁ、こう、、止めてくれてもいいんじゃないんすか。ねぇ!!!
あと!この光景を見てからもう一度おんなじこと言えますかぁ!?
「ん~?君の術式面白いね?」
そう。俺は絶賛高専生活二日目にて術式を聞くために五条サンに会っているのだった。
そして、なぜだかしらないが鼻と鼻がくっついちゃうレベルで今五条さんに俺は見られている。
近い、顔が近い、滅ぶぞ?全俺が。
だが、そんなことを1ミリも顔に出さないように表情筋をフル活動しながら目の前の顔面国宝野郎を視界に入れる。
「何か、分かったんですか。」
「うん。」
いや、うん。じゃねーーよっっっっ!!教えろよ!!勿体ぶんなくていいから!
おっと、危ない。心の声が。
「あの〜、五条さん。次の任務が、、、ヒェッ」
「あー。もうそんな時間?じゃ、またねー!あ、あとこれ任務。
術式は、多分僕が言うよりもなばりが直接やった方が早いと思うしね。」
、、、え?ふと我に返るとそこには誰もいなくなっていた。
俺氏、術式を聴き逃すという盛大なミスをやらかす。
、、、、、、、スゥ。
術式聞いてないんだけどぉ!!
てか、術式わからん人間に任務させるなぁ!
なに!?直接やったほうが早いって何が!?
もう無理。やっぱ無理。帰りたい。
そんな俺の心に反してあれよあれよという間に補助監督に連れられて俺は廃病院まで来てしまった。補助監督が言うにはここにいるのは三級だから多分大丈夫とのことだ。
いや、まって?もしかしたら、もしかしてなくてもこれは覚醒からの強くてニューゲームエンドじゃね?とか車の中で思っていた過去の自分をぶん殴りたい。
廃病院は、いかにもって感じでところどころにスプレーで落書きがしてあった。
肝試しなら、きっと雰囲気あるんだろうな〜とか思いながら帳によって暗くなった廊下を歩く。五条サンに術式を聞けなかった今、自分で頑張るしかない。思い出せ!なんか術式になりそうな事!!
ちょっと目を凝らせば呪霊がうっすら見える、、、?
いや、、ね?いや、いやいやいや。それだったら俺は窓になっているはずだ。
じゃあ、他に、、他になんか。
そんなことを考えていたらいつの間にか廊下の突き当りまで来てしまった。
目の前には机と今にも倒れそうな花瓶。
それを支えようと体を動かしたときだった。
どしゃっとコンクリートの削れる重い音が耳の直ぐ側で鳴った。
横を見るとそこには長い触手のようなものが突き刺さっている。
「きゃーエロ同人誌じゃん」
これが、俺じゃなくてゲームとかだったらふざけられたがこれは紛れもなく自分で。
エロ同人誌にするには尖すぎる触手が触ればアハン♡な展開よりもスプラッタな展開になることを用意に想像させた。
冷や汗を流しながら後ろを振り向くとそこにはTHE・呪いみたいな見た目のヘドロがいた。
「アアァあゝアァア」
「ムリダッテ」
喉から小さい声が漏れ出た。
そこからはもう必死だった。
今まできた廊下を適当に走りながら階段を駆け上がる。
走って走って走って。
呪霊が角で見えなくなったのを見て急いでロッカーの中に入る。
怖い怖い怖い怖い怖い。息がヒュッと音を立てて吸えなくなる。喉が変につっかかる。
右の方からゆっくりとドロドロのヘドロがズルズルとやってくる音が聞こえた。
ぎゅっと目を瞑り頼むこっち気づくなと願う。
そんなことをしてから数分たった頃だった。
ふと、ロッカーの間から外を見るとそこにはヘドロ野郎が遠くの方でキョロキョロとあたりを見渡している光景が広がっていた。
おかしい。隠れている自分が言うのもなんだけど、呪力を探せばすぐ見つかるはずだ。
まぁ、どちらにせよ。死ぬ確率は低くなったと言える。
そう思い自分の体を抱きしめようとしたときだった。
手がなかった。
いや、本来なら自分の足が見える場所に石があった。
さながら、自分は幽霊で上からその石を見下ろしているかのような感覚に戸惑う。
え?ナニコレ怖い。何この石。さっきまでなかったはず。
そう思うと、ふわりと空気に溶け出すように自分の体が出てきた。
手を3回ほどぐーぱーぐーぱーしてみる。
紛れもなくこれは自分だ。
隙間を除くと、こっちに向かってきているヘドロ野郎。
急いで、さっきの石を頭に思い浮かべてみる。
もし、推測があっているなら、この石が自分の術式かもしれない。できれば、当たってほしくない。そんな自分の思いとは裏腹に自分の体は透けて石になった。
、、、、、、、おい。なぁ。嘘だと言ってくれ。
もしかして、俺の術式、石になること?呪力が分かんなくなる付属つきの。
A.もしかしてなくても術式”石”
嘘だァァァァァァァ!
え?術式ガチャ死ぬほど失敗してない?神様ー?あれ、神様ー?おかしいな。
いやね、まさか、ね?なんで?
この呪術廻戦とかいうキャラの死亡ランキングTOP5に入りそうな漫画に転生して、術式石になるよ!とか、、、、、。いや、ムリダッテ。
さっきとは違う意味でか細い声が出た。
さっきのほうがまだ良かった。
呪霊に初エンカウントとかいう人生で経験したくないこと1位みたいな経験をしてたけど、まだ、まだ強くてニューゲームの妄想ができた。
でも、もはや今はその希望すらも途絶えたのだった。
石になったり、人間になったりを繰り返していけばやがて頭のなさそうなヘドロ野郎も気づいたのかこっちへかなりのスピードで向かってきた。
もはや、後ろはロッカー。横は廊下だが、さっきと違い早いので走ってもすぐ追いつかれてしまうだろう。
つまり、生き残るにはこいつを倒すしかないってことだ。
かっこよく言ってみたけど今にも逃げたくてたまらない。
だってさ、術式石なんだけど。動ける石。
とりあえず、当たって砕けてみようと思う。
父、母。死んだらメンゴ。せめて、弔ってくれ。
あと、五条さん。できたらそのキューティクルの秘密を教えて下さい。
そして、俺は決死の覚悟で呪霊に向かって吹っ飛んでいったのだった、、、、、。