今回は、ついに主人公の拡張術式を出せました。
「避難区域10kmまで広げてください。」
「伏黒くんと、雅楽川くんは?」
「ここで虎杖が来るのを待ちます。」
「俺はなんかあったときの保険に残ります。」
どうもみなさんこんにちは。
隠(なばり)です。
結局俺は残ることにしました。
まぁ、未来を知っているとはいえ流石に俺も伏黒一人で宿儺と戦いに行くのを見過ごせませんでした。
伊地知さんの車が行ってから暫くたって、ぐらりと空気が揺れる。
(生得領域が閉じた!?特級が死んだんだ。)
「これは、なんの縛りもなく俺を利用したつけだな。俺と変わるのに少々手こずっているようだ。」
奥の方から宿儺が笑いながらやってくる。
そしてそのまま勢いよく胸に手を突っ込み心臓を取り出した。
「小僧を人質にする。」
知っていた。
虎杖がそうなることは知っていたが、目にするとやはり恐怖が勝った。
こみ上げる吐き気を抑えながら俺は唯ひたすらに伏黒からの合図を待った。
「人質、、?」
「そして、さらにダメ押しだ。もう怯えていいぞ?殺す!特に理由はない。」
「虎杖が戻る前に心臓を治させる!できるかじゃねぇ。やるんだよ!」
伏黒の手が印を結び影から鵺が飛び出してきた。
「せっかく外に出たんだ。広く使おう。」
宿儺は鵺と伏黒の攻撃を軽くいなしていった。
「もっとだ。もっと呪いを込めて、打ってみろ。」
そして、伏黒の式神である大蛇を破壊した。
「なぁ、言ったろ?広く使おう!!」
伏黒が吹き飛ばされる。
瓦礫の中に埋もれた伏黒を鵺が飛びながら運ぶ。
「、、、わ。、、、かわ。」
「雅楽川ぁ!!」
そして大声で俺を上空から呼んだ。
それは伏黒からの合図だ。
虎杖を待っている間俺たちはこんな話をしていた。
「伏黒。」
「なんだ?」
「あのさ、もし虎杖が宿儺に変わってたらさ俺たちやばいじゃん?
だからさもしそうなってもいいように俺は最初術式で石ころになってるからやばかったら呼んでくれ」
「もし帰ってきたのが宿儺だったときの不意打ち用にってことか。」
「ああ。俺の術式なら不意打ちにはもってこいってな。だけど、多分一撃ぐらいしかできないからあんま期待しないでくれよ。」
「わかった。やばそうだったらそこまで誘導して合図する。」
それが、今だ。
一気に变化を解く。
宿儺の背後で手に持ったナイフを思いっきり振りかぶる。
呪力を廻せ。
廻せ。
廻せ。
そして、巡らせる。
心臓が大きく波打ち、体中が一気に熱くなる。
呪力による体の最大強化。
その間、わずか0.5秒。
そして、準2級が持ちうる最大の呪力を体に流した場合、そのスピードは音速と同じレベルの速さとなる。
もちろん、術式でもなく普通に呪力強化しただけの人体がそこまでの速さを出した場合、無傷とはならない。
体中からブチブチと健の切れる音が聞こえた。
まさに体を代償とした攻撃。
「”載”」
が、それは呪いの王の前では致命的な打撃となることはなかった。
「ケヒッ」
ギチギチと握ったナイフが震えた。
もちうる最大を使った攻撃。
多分今の攻撃でさっきから呪力強化で無理をさせた体は悲鳴を上げていた。
もう、片腕は使い物にならないだろう。
それは俺にもわかっていた。
だから、最後の攻撃として当たるか当たらないかが半々の賭けだった。
結果として当たった。
呪力強化のおかげで虎杖のように腕が斬られることもなく。
そのスピードで防御される暇も与えなかった。
だが、
それでも
決定打には程遠かった。
ナイフは宿儺の腕に刺さったが切り落とすまでには至らなかったのだ。
「ほぅ。この俺に存在を気づかせないとは。小僧、中々興味深いな。」
自分よりも格上で、攻撃が効かなかった場合すべきことは一つ。
回避だ。
だが、呪力強化で無理に無理を重ねた体は反応が遅れた。
「だが、それだけだ。有機物にはなれないという縛りの元に呪力までを似させる術式。
タネがわかれば特になんともないな。」
ゴッという音が自分の腹から聞こえた気がした。
瞬間感じたのは自分の腹を貫かれた感触と
術式が発動した感覚だ。
「”漆桶ノ承”」
どろりと、体が崩れる。
傷ついた部分が端から無機物へと変わっていった。
飛び散った血も、貫かれた細胞も。
すべてが、水素と酸素の化合から成る”水”にかわっていく。
そして、戻る。
潰れた細胞も、元に戻る。
まるで逆再生のように俺は俺に戻っていく。
俺の能力は有機物には成ることはできない。
そもそも”朧の起”は有機物になれない。
”倣ノ守”は無機物にしてしまった体は元に戻せない。
だけど、その上限をなくすのが”漆桶ノ破”だ。
要は解釈の違いだ。
これを拡張術式という。
無機物と有機物の違いとは何か。
人間の体は60%が水でできていて、炭素原子が50%、酸素原子が20%、水素原子が10%、窒素原子が8.5%、カルシウム元素が4%、リン原子が2.5%、カリウム元素が1%出できている。
人間にも個人差があるためただの応急措置にしかならないがそれでも致命傷を重症ぐらいに変えられるぐらいの力はある。
自分の体に含まれる物質、その構造をしっかり頭に叩き込まなければいけないのだが逆にいえばそれだけ頭に叩き込んで、それに見合った緻密な呪力操作をすれば反転術式と似たようなことができるということだ。
だがもちろん反動があり、原子レベルまでの緻密な呪力操作は脳みそが焼き切れる。
「伏黒。あとはよろしく。」
そういって、激しい頭痛と共に俺の意識は暗闇に沈んだのだった。
読んでいただきありがとうございました。