戦い続きで疲れていたルーグは気晴らしに訓練場を借りて槍を振っていた。
最初は戦いの事など忘れてゆっくり昼寝をしようと試みていた。しかしいざ横になると全く眠れない…
次に読書をしようと街の本屋へと出向いた。しかし、気になる本は見つからず、結果的に店に対する冷やかしになってしまった。
次にどうしようかと迷っていた彼は気がつくと軍の訓練場にたどり着いた。
ここまで来たらもうやることは一つだ。そう槍を手にし、今に至るわけだ。
息が切れるまで振り続けた。ふと、突然脱力感に襲われてその場に座り込んだ。
「少しやり過ぎたか…」
「そうだ、無茶し過ぎだ」
ルーグは突然声をかけられて身体を震わせた。
「…!なんだ、ロンか」彼の後ろにいたのはロンだった。彼は水の入った瓶を彼に差し出した。
「お前、案外無茶をするタチの人間か」彼はそういつもの冷静な表情で聞いた。
「意外か?」ルーグは聞いた。
「いや、戦いを側で見ていてなんとなく気がついていた」ロンは隣に座った。
「そうか…ロンって案外人を見ているよな?」ルーグはふと呟いた。
「戦況を把握する為に軍の連中を気にするのは当然の事だ。悪いか?」ロンの問いにルーグは答えた。
「いや、普段は他人を寄せ付けない様な気配を出しているのになと思って…」
そう言ってルーグは黙った。ロンも突然黙ったことに驚き、その後の言葉がしばらく出なかった。
「お前は聞かないのか?何故俺がこんななのかって」
ルーグはしばらく唸ったのち、言葉を発した。
「気にならない訳じゃ無いが、別に知る必要はないだろ?共に戦う仲間としては」
「そうか…」ロンはそう呟いた。
「俺は案外、お前の事を気に入っているかもしれない」
「え?なんだって?」ロンは独り言を呟いた。それにルーグは反応した。しかし、なんと言っていたかは聞き取れなかった様だが。
「…お前は、死ぬとしたら戦場かもしれないな、と言っただけだ」
「それはおあいこだよ。アンタも、寿命で死ぬ様なやつじゃ無いだろ?」ルーグは半分冗談のつもりで言った。
「そうだな…だが、俺は勝って死にたいな…まあ更々死ぬつもりなんて無いがな」
「俺もだよ…」
ロンは訓練場から出ようとしたが、立ち止まって俺の方を振り返った。
「訓練も程々にしておけ…お前が死ぬ姿など見たくないからな…」
ロンはそう言うと訓練場を後にした。
「ロンのやつ…素直じゃないな…」
ルーグもゆっくり人と話したからか少し気分が良くなった気がした。そして疲れた身体を立ち上がらせ部屋へと戻っていった。