Re;Start   作:ぶらまに

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クトゥルフ
種族:龍王
Lv:97
能力値:力27/知21/魔15/体12/速40/運5
耐性 :魔法喰い(物理に弱い、魔法をすべて吸収)
スキル :暴れまくり/猛反撃/吸魔/電撃/山津波/テトラカーン→九頭竜技巧 神釣詐欺(途中イベントで変化)※
※操作不能モードでは相手のチャージに反応してチャージを使った次のターンにチャージを使用した相手1体に対して必ず使用する。

概要
九頭竜戦記(仮)においてロリ可愛さと初期Lvの低さと使い勝手最悪の固有九頭竜技巧(スキル)本家取り(キョウジスペシャル)』から
色んな意味で上級者専用である天衣が主人公かつ、各種条件を満たすことで加入するイベント悪魔。
操作不可、合体不可ながらもアホほど強いため、データ引継ぎ条件である「過去(みらい)に種子を」EDを見るだけならほぼコイツだけで行ける。

が、難易度と殺意が恐ろしいほどに上がるEXシナリオや周回で使うには色々と足りていない。
Lv97で合体が解禁され、能力強化やスキル入れ替えが出来るようになると一気に夢が広がる。

う そ で す(迫真)

というわけで今回はターン進行はクッソ適当になってます。ほのぼの日常万歳。


事例6.聖華学園小等部 特別保護学級

日本の伊豆諸島という場所には日本で唯一の砂漠があるらしい。

 

 

……

 

………?

 

むしろそこしかないの!?

 

初めて授業で聞いたときは思わずそうツッコミを入れた。反省室の担任の先生は困ったような顔をしながらその通りだと教えてくれた。

 

私の覚えてる『世界』とは、見渡す限りの大砂漠だった。

人間はそこかしこに点在しているシェルターやオアシスや廃墟に作られた街で細々と暮らしているだけで、一歩街から出れば悪魔と謎生物と暴走機械が闊歩する地獄だった。

なんでそんなことになってたのかは知らない。多分、誰も。

 

そんな世界で暮らしていたどこにでもいる普通のソルジャーだった私は、ある日大量出現した謎の悪魔から必死に逃げて逃げて逃げて逃げて気づいたらこの世界にいた。

今はこの世界で暮らすごく普通の小学生(20歳)である。

 

……元の世界じゃあ10歳や20歳サバを読むくらい普通のことだった。というか年齢なんて誰も気にしなかった。

 

強いか、弱いか、生き残れるか、悪魔を倒せるか、それでマッカを稼げるか……そして『戦車』か『COMP』を持ってるか。

 

それがすべての世界に生きてたのだ。保護されてお嬢ちゃん、歳は分かるかな?って聞かれたとき、思わず10さいです!と言った自分万歳。

そう言った方が殺してもどうせ金持ってないから弾丸代が無駄って判断されるし、後ろから襲うときに油断してくれて助かることが多かった。

特にえっち目的で襲うバカはクソみたいに油断するので何度も財布付きの死体になっていただいた。

 

小さい体躯、薄い胸、あどけない顔、愛用するP-90のピーちゃん。そして……愛用するピンクの迷彩服(砂漠の夕暮れだと非常に目立たない)

それが私が持っていたもの。ハンターオフィスで仕事受けるために最低限の文字は覚えたけど、それだけ。

敵の殺し方は覚えたものの、戦車もCOMPも持ってない私は、細々と安い仕事をして生きていくしかなかったのだ。

 

一度マドの町で、堅実に生きてても一生くいっぱぐれないであろう修理工場の倅があの伝説のレッドウルフから戦車貰ってハンターになったとか聞いたときは死ぬほど嫉妬したものだ。

 

閑話休題。

 

そして今、私はこの聖華学園でごく普通の小学生になり……問題を起こしたので反省室送りになった。

そんな大したことはしていない。ちょっと食堂に忍び込んで段ボール3つ分くらい食料を自分の部屋に隠しただけだ。

間違っても学内で実銃持ち出して撃ちあったバカ姉妹とか、人様に向けて破魔ぶっぱした宗教キチとか、

学園の支配者である理事長様の私兵集団である生徒会に喧嘩売ったやべえのと一緒にされる謂れはない……はずだ。

 

私の名前は、レン。前の世界じゃあどこにでも、いくらでもいて、悪魔もなしに生身で突っ込むので真っ先に死ぬただの普通のソルジャーだ。

そんな私は今、こうして聖華学園で産まれて初めての小学生をやっている。

 

「もっと強くなりたいです!」

その日、教官(自称)のココナが突然叫んだのが、すべての始まりだった。

「はあ。じゃあもっと頑張って旧校舎異界探索してください」

その言葉に、ココナの姉(ココナ談)であるココナより2つ年下のシュンがにべもなく返す。

この、姉なんだか妹なんだか分からない扱いは、いつも混乱する。

「シュン姉さん!なんですかその言い方!せっかく私が年上として色々頑張ってあげてるのに!」

「だから私はあなたなんて知らないって何度言えば分かるんです?」

それはシュンも同じらしい。明らかにイラっとしている。

まあ、この世界で出会った同じ人は、基本的に全くの別人だって、頭はいいはずのココナが理解できてないのが悪いと思う。

「まあまあ。で、強くなりたいなら、今日も旧校舎異界に行く?」

これ以上やるとまた姉妹揃って反省室送りになった時に見たいに銃弾が飛び交うマジ喧嘩になりかねない。

とりあえずフォローする。

しかしココナは私の提案が気に入らなかったらしい。顔をしかめて、言う。

 

「旧校舎異界はダメです。渋いです。銃弾反射してくる凶鳥とか物理そのものが反射される象とかガンナーに意地悪なのばっかりで効率が悪いです!」

 

まあ、それはそう。私は同意する。

旧校舎異界は聖華学園の持っている訓練用異界である。

そのためそこでひたすら頑張ることで自然と罠染みた特性やスキルを持ってる悪魔への対処法も身につくという触れ込みだ。

それはまあ嘘じゃないのだが、ひたすらLv上げたいって時には効率が悪いのも事実ではある。

学園の方針として『知識や技術の伴わない鍛錬はMAG太りと変わらない』という方針があるためという理屈は分かる。

でも生き残るためにはとにかくLvだけでも上げて知識は後から身につけるというのも間違いではないと思う。

 

「でも、そうなると学外の異界でしょ?そんなところある?」

私とて、生き残るためにキリギリス掲示板の漂流者向けの板はよく見ている。

そこには新しい異界の情報も出てくるのだが、奥多摩アビスとか、偽魔王城とか、どれもこれも殺意しか感じないクソヤバ異界ばっかりである。

多分効率よく鍛えられる美味しい場所は組織が抑えているんだろう。どこもそんなもんだ。

 

だが、そんな私の質問にココナはどや顔で返してくる。

「実はもう見つけてあるんですよ!」

そう言いながらココナは支給品のスマホを見せてくる。

そこには座標マップが表示されていた。

「なんですこれ?」

「超穴場の異界です!美味しすぎて色んな人が存在を隠してる『銃器使いの天国』!その名も『ガンナーズヘヴン』!」

ニコニコしながら、ココナは聞き覚えのない異界の名前を挙げた。

キリギリス掲示板の漂流者修行スレとかでも聞いたことのない奴だ。

「「ガンナーズヘヴン?」」

私たちが首をかしげていると、ココナがとんでもないことを言いだした。

「そうなんです。出てくる悪魔はLv50くらいで強いんですけど、なんと全部が『銃撃に弱い』んです!」

「「ええ!?」」

私とシュンの声がハモる。

なにそれ凄い。撃ちまくるだけで経験値(マグネタイト)稼ぎまくれて強くなれる神異界じゃん。

 

「ふふん、このココナ教官が頑張ってようやく見つけた、秘密のポイントですよ!教官として、クラスのレベル上げへの貢献に感謝してください!シュン姉さん!」

「だからアンタなんて知らないって言ってるでしょ!?この前だって『シュン姉さんはこれが大好物だったんです』とか言って滅茶苦茶まずいアイス食べさせてくるし!」

「だからそれがおかしいんです!シュン姉さんはラムレーズン味のアイスが一番好きでした!なんでそれが嫌いなんて嘘つくんですか!?」

「ふざけないでください!私が好きなのはヨーグルトとかいちごとか甘酸っぱい奴です!あんな苦くて辛いの美味しいなんて言うはずがありません!」

「むむむ」「むむむ」

なにやらアイスのことで喧嘩しだしてお互いにらみ合うロリ二人にいきなり声がかけられる。

 

「はいはいはーい!それならわたしも回復役で行きたいんだよ!」

元気に宣言してくるのは金色の縁付きの白い服を着て、これ見よがしにメシア狂……もといメシア教の聖印を隠そうともせずに揺らしているクソガキ。

「インデックスかあ……」

「インデックスかあ……」

「インデックスかあ……」

3人全員の声が重なる。心底嫌そうな顔をする。3人の心が、1つになった。すごくうれしくない。

 

インデックス。転移装置の事故でこの時代にきたという、前はセンターとかいう場所に居たらしい漂流者である。

まあセンターとやらがどんな場所かは知らないが、メシア教の恰好していて考え方もメシア狂のそれだから、大体想像はつく。

どの時代であっても大体メシア狂はやらかすものだったらしい。

 

『人はみんな平等なんだよ!等しく神様と天使様の僕なんだよ!だから、みんな仲良くしてほしいんだよ!』

 

学校内にいた悪魔混じりの普通の学生に盛大にマハンマオン連発して殺しかけ、見事に反省室送りになった初日の自己紹介からして、これである。

多分子供じゃなかったら殺されてるレベルである。

まあ、センターとやらではエリートだったらしく回復と破魔と衝撃が得意で優秀なのと。

 

「な、なんなのその反応!?ココナもシュンも悪魔混じりのくせに生意気なんだよ!」

「……ぶち殺しますよ?」

「山海経に喧嘩売ってるんです?下等国民の分際で」

「ひ、ひぃ!? ご、ごめんなんだよ……悪魔混じりでもひ、等しく友達になれるんだよ……」

ビビり屋ですぐへし折れるのでギリギリ共同生活できる、本当にギリギリ。

……12歳までに矯正できなかったら人生強制終了かもしれないの分かってるのかなコイツ、とは思ってる。

「で、ココナ、シュン、インデックス、そして私の4人。これでガンナーズヘヴンに行く。それでいい?」

まあ、ヤバそうならすぐ撤退すればいい、そう思ってまとめたところで。

 

「……それ、私も連れて行ってもらっていいかしら?」

 

そう、声を掛けられて、私はようやくそこに目を向けられた。

そこには『将棋世界』とかいう滅茶苦茶渋い雑誌を閉じてこちらに目を向けた夜叉神天衣(やしゃじんあい)がいた。

「私もLvは出来るだけ上げておきたいの」

言ってることは分かるのだが、いつもの漆黒の制服で、当然のように澄まして言う天衣はとてもそう思っているようには思えない。

 

夜叉神天衣。具体的に何をやらかしたか誰も知らない反省室の中では一番謎が多い奴だ。

反省室にいるってことは漂流者なのは間違いないのだが、本人が自分の周回の過去をほとんど語らない。

Lvは51。一応悪魔召喚師らしく、黒い銃みたいなCOMPである『デビライザー』を持ってるものの、コイツが悪魔を召喚しているところを見たことある奴は誰もいない。

学園の旧校舎異界に行った時も、デビライザーでアナライズしたり、ラクカジャ使ったり、アイテム使ったりするほかはルールーさんに命令していっつも後ろで見てるだけ。

そんなんだから、メイン武器はルールーさんなんていう奴もいるほどだ。ルールーさん敵に回す可能性が怖くて本人に直接言うやつはいないけど。

一度勇気を持って反省室の一人が『なんで反省室に?』と聞いたら『ちょっと学園の生徒会と揉めてね』というある意味非常に恐ろしい答えを返してきたのは反省室の伝説である。

 

誰が呼んだか、反省室の裏番長。それが夜叉神天衣という少女だった。

 

「損はさせないわ。ココナに、シュン、それからレンに、インデックス……明らかに後衛ばっかりじゃない。いくら弱点つけるからって言っても、不意打ち喰らったら死ぬわよ?」

「「「うっ……そ、そういえば」」」

天衣の指摘に、子供たち3人は初めて気づいたというように動揺する。

実を言うとバリバリのソルジャーだった私は前衛もそこそこ行けるんだけど、まあ私一人だと事故ると終わる。

その点、天衣を加えるとすごい安全なのは確かだ。なにしろ。

「私を入れるなら、当然ルールーがついてくる。私のLv上げへの貢献の代わりに、Lv67の前衛一人雇う気は、ないかしら?」

そうなのだ。コイツには、無茶苦茶強い前衛の護衛がいる。

 

ルールー・アムール。別名聖華学園中等部のサイボーグ。

 

最近やって来た漂流者生徒で、普段は大人しく、人当たりもいいが戦闘になった時のヤバさは本物で、素手で敵の首をポンポン跳ねるし、ビームみたいな勢いでジオダインを撃つこともできる。

更には装備なしでも破魔はもちろんとしても、精神と神経と電撃と呪殺が効かないらしい。その鉄壁な耐性のせいで人間じゃないって噂すらある。

それで純粋な攻撃役なのかと思えば他に覚えているのが招来の舞踏にメディアラハンとアムリタシャワー、ラスタキャンディ、トドメにランダマイザとかいう後衛としてもバグレベルの実力者。

おまけに判断力も抜群に優れていて、いるだけで安定感が半端ない。

 

昔やってたなんとかってアニメのまんまルールー・アムールってヒロインに滅茶苦茶似てるという奇麗な容姿も相まって、色んな意味で狙ってる学生がいくらでもいる。

色んな部活や、噂では生徒会も獲得に動いているらしいが、全部断ってるらしい。

 

そして特記事項。ルールーは……ルールーさんは『夜叉神天衣の命令には絶対に従う』

例えば天衣様に死ねと命じられたら、もちろん死にますが?と言い切るほどらしい。

「……わ、分かりました!ルールーさんのおまけとして、連れて行ってあげます!ココナ教官に、感謝してくださいね!」

「ちゃんと守ってくださいね!守るだけですよ!攻撃して倒すのは私がやるんですから!」

「うう、ルールーがいると回復役としてのわたしの存在感が……でもルールーがいるときの安心感は……分かった。いいよ」

三人は少し悩みながらも了承する。

「もちろん大歓迎よ。いると安定感が半端ないし」

私ももちろんOK。アレ一人で戦車にも匹敵しそうなくらい強い助っ人ならいくらでもいてほしい。

 

こうして私たちが了承すると、天衣は一つ頷いて言う。

「じゃあ、待ってて。ルールーを呼んでくるわ」

 

「……罠というのははまった上で相手の想定を上回る踏みつぶし方をした時に、一番相手にダメージを与えられる。そうだったわよね?もも子ねえさん」

去り際、天衣がそんな言葉をぽつりとつぶやいているのが聞こえた。

アイツにも家族がいたんだ……まあそりゃあそうか。そう思った。

 

天衣を見送った後、わたしたちはわたしの提案でトイレに行った。

 

最初は別にトイレ行きたくないとか言ってたけど、異界探索始まったら基本的にトイレ行ってる暇はないし、最悪漏らしながら戦ってもらうけどいい?と聞いたら一発だった。

 

そして一番近い女子トイレに連れだって入ったところで、じゃー、とトイレの水を流す音ととも扉が開いて、中から天衣が出てくる。

呼びに行く前にトイレに寄ったんだなあ……考えることは一緒だな。

 

そう思ってたら、何故か後ろから更に出てきた。

「天衣様。護衛である私を呼び出すのは良いのですが、もう少しタイミングを考えていただけますと」

「なに?放課後だけどなんかやってたの?」

「青春イベントです」

「青春イベント?」

「はい。年上の金髪でヤンキーな先輩に『お前忍者先輩のなんなんだよぉ!?』と絡まれるという青春イベントです」

「……で、なんて答えたの?」

「答えようとしたところで呼び出されましたが?多分逃げたと思われたかと」

「そう……色々、悪かったわね」

そう、天衣がルールーと一緒に出てきたのだ。

 

「……なんでルールーと、あいが同じトイレの個室から出てきたの?」

 

インデックスの当然の質問に、二人は顔を見合わせ。

「…」「…」「……」「……」

「……こんなこともあろうかと?」

「事前にこの女子トイレの個室に待機させていただいていました」

……とても苦しい言い訳だが、それ以上は誰も突っ込めなかった。

 

 

それから、みんなで移動して、歩いて15分で、ついた。

「本当に穴場なんだよ」

「こんなところに小さな異界があるなんて」

商店街の片隅の、随分前に潰れたモデルガン屋。

そこが目的の異界だった。

「こっちです!裏口から入ると異界に入れるみたいです!鍵が壊れてて簡単に入れるって!」

果たして、鍵はかかっておらず、簡単に入れる。

「中は結構広いわね……さっそくね」

「鳥型の悪魔ですね……なんだか変なのが混じってますが」

異界に入ったとたんに早速とばかりに悪魔が襲って来る。

 

ーーーカアアアアアアアアア!

 

結構強そうなカラスみたいな悪魔とか、鳩みたいなのとか、仮面付けたフクロウみたいなの。Lvは全部多分50くらい。

「死ねええええ!!!!」

ココナが持っていたアサルトライフルで銃弾をバラまき。

「てぇい!」

シュンが持っている体格にあってないスナイパーライフルで撃つ。いつものように反動でよろけるが、すごい威力だ。

「ちょっと!せめてちゃんとアナライズしてから!」

私はちょっと遅らせて、天衣がアナライズを終えるのを待つつもりだった。

が、その前に春原姉妹の攻撃で全滅して終わった。

「え?ちゃんと言ったじゃないですか?ここの異界の悪魔は全部銃撃が弱点だって」

ココナがきょとんとして言う。

「実際に、ココナちゃんの『レディーの気品』の威力ない銃撃でも一発でしたよ?耐性無さ過ぎです」

「むー!シュン姉さんの『愛のムチ』の威力が高すぎるんです!」

「ほらほら。異界で喧嘩しない。どう、天衣?」

戦闘を終えて、流れ込んでくるマグネタイトの充実感に満足しながら。天衣にアナライズ結果を聞く。

「……まあ、確かに銃撃弱点ね。種族が妖鳥、堕天使に……月?確かペルソナ系のシャドウだったかしら?」

アナライズ結果を見ながら、天衣が考え込んでいる。

「……なんで同じ異界の悪魔に系統違いのシャドウが混じってる?」

じっと、何かを気にしている。悪魔の専門家ではないのでよくわからないけど。何か気になるらしい。

 

「なにやってるんですか!?さっさと行きますよ!」

「経験値稼ぎに来たんですから、経験値稼ぎに集中してください!」

「どんどんいくんだよ!ほら、次のきたんだよ!」

そんな天衣を他の3人がせかし、そして考える暇など与えないとばかりに次の悪魔の群れが来る。

 

「……もっと踏み込まないと、ダメみたいね。恐らく、今は私の意見は聞いてもらえないでしょうし」

 

それだけ言って、天衣もまた歩き出す。

 

「ルールー、最大限に警戒して、仕掛けてくるとしたら、奥に行ってから。それまで傷一つ残さないようにして」

「かしこまりました。天衣様」

その言葉は多分、私にだけ聞こえた。

 

それからは、破竹の快進撃って奴だった。

 

「あはははは!悪魔がゴミみたいですよ!」

「本当に、楽勝ですねぇ」

「これならどんどん行けちゃうんだよ!」

「……弾丸切れだけは注意してね」

私の愛用のピーちゃんで悪魔を殺しまくりながら、残弾がどの程度あったかなと考える。

銃は弾が切れたらただのこん棒にしかならない。それが怖いけど、まだまだいける。

まあ、弾切れしても大丈夫だろう。

 

一番前には、ルールーがいる。

「忍手、暗刃!」

素手で悪魔の首をすっぱすぱ切り落とし。

「ちょっと遠いですね……ジオダイン!」

手からものすごい勢いの電撃ビームを撃ち。

「おや、遠距離魔法で怪我をされましたか。どうぞ、メディアラハンです」

最上位の回復魔法を平気で使って来る。

「……もうルールーだけでいいんじゃないかなあ?」

「実は私もちょっとそう思う」

暇そうなインデックスに相槌をうつしかなかった。

 

ちなみに天衣は無言だ。さっきからデビライザーばかり見ている。

「……妖鳥、凶鳥、月、堕天使、天使、月、太陽、霊鳥、悪魔、女教皇、塔……奥に行くほど、シャドウ率が上がっている?」

じっと考え込みながら、心ここにあらずといった様子だ。

 

「……天衣様、廊下の突き当りに巨大な扉を発見しました」

 

ルールーの声に画面から目を離して、呟く。

「ここでもう終わり?随分と小さい異界なのね」

それは確かにそう思う。ここまで、戦闘込みでも2時間ってところだ。

多分、真っすぐ走ったら10分くらいで出られる。小さな異界。マラソンに最適だ。

(いいところ見つけたなあ……)

それだけでLvがみんな上がったのを感じる。本当にここは銃器使いの天国だ。

「天衣様、ボス部屋かと思われますが、踏み込みますか?」

「嫌な予感がする。一旦引き返し……!」

天衣が警告するが、遅かった。

 

「この勢いで一気にボスまで撃破ですよ!」

「殺すと異界消えちゃってもったいないかも!」

「まあ、そうなったらしょうがありませんよ」

そう言いながら子供たち3人が扉を開けて、絶句する。

 

最奥の、広くなっている部屋。

 

そこにはボス悪魔の姿は無く、代わりに……

 

「「「「「「「「ほわぁ?」」」」」」」」」

 

真っ黒な身体に、白い仮面をつけた……『四つん這い』の見たことのない悪魔の群れが居た。

 

「え?なにあれ?なんの悪魔?」

「き、気持ち悪い……」

「ゆ、床にたくさんの銃と装備が転がってるんだよ!?なんなの!?何なのコイツら!?」

「嫌な予感がする!逃げよう!」

 

だが、一歩遅く、悪魔の群れがガサガサと気持ち悪い動きで近づいてくる。

 

それに反応して、生理的な嫌悪感で全員が一斉に動く!

 

「銃が効かない!?」

「こ、こっちもダメです!?」

「じゃ、邪悪よされ!ま、マハンマオン!……全然倒しきれないんだよ!」

「天衣様、とりあえずかばいますので、死んだらあとはお願いします」

「九頭竜技巧(スキル)

 

「……手がない。数が、数が多すぎる」

混乱する一同をどこか他人ごとに見ながら、私は気づいた。ああ、ここが終わりか、と。

そして。

 

「「「「「「「「ばーさる(マハムドオン)」」」」」」」」

 

力が抜けて目の前がまっくらになり、私は死んだ。

(呪殺無効の装備はしてたはずなのに……)

それが最後の思考だった。

 

 

ハッと気が付くと、私は生きていた。

(え?なんで?)

何が起きたのか分からない。

他の3人も、どうやら死んだらしく意味が分からないといった顔をしている。

「起きたわね」

「ご無事で何よりです」

そんな中、天衣とルールーさんだけが極めて冷静だった。

「……な、なんで一人だけ、生きてたの?」

インデックスの質問に、天衣が懐からボロボロと真っ黒になって崩れた人形を見せてくる。

「これは……?」

私の疑問に天衣ちゃんは淡々と答える。

「ムド対策に呪殺無効は常識だけど、たまに【呪怨】とか【闇】のムドで裏かいてくる奴がいるから、保険としてホムンクルスは持っておいて損はないわよ。

バッステコンボは2手いるけど、ムドは1手で詰むから即死対策がどうしても優先になるのよね。あとはまあ、もも子ねえさん直伝の……根性?」

「それと多数の敵に囲まれたときはとりあえず初手はもっとも効く可能性が高い全体万能の山津波……は普通使えないので一般的なメギドラオンがよろしいかと」

天衣とルールーさんが簡単に説明する……ただのソルジャーにはメギドラオンなんて使えないよ。と言い出す元気はなかった。

「それにしても死んだなら、何故生きてる?……なにこれ?お香?」

疑問に思いながら足元を見ると、何か足元にお香のようなものが無造作に転がっていた。

「「こ、これは!? 反魂香!?」」

つられて下を見た春原姉妹が目の色を変える。

なにか、すごいアイテムなんだろうか?

「反魂香って……5つもつかったの!?センターでも宝箱で1個1個厳重に管理してるものだよ!?」

ちょっと遅れて、インデックスも驚いた声を上げる。やっぱり貴重品らしい。

「そうよ。手持ちはこれで品切れ……自分で蘇生させるの久しぶりすぎて『招来の舞踏で人間は蘇らない』の忘れてたから、ルールーの保険用に持ち歩いてた分しかなくてね」

「「そ、そうじゃなくて、反魂香ってすごく貴重な!?」」

こういう時はハモるんだなあと思っていると、天衣が手をあげて制し、言う。

「それより、あれ、見えるわよね?」

天衣が指さした先には……

「あ、あれは扉?」

よくわからない紋章が刻まれた扉があった。さっきまでなかったはずの、扉。それがすこしずつ、開いている。

「紋章からするとソロモン72柱のマルバスじゃないかしら?種族は堕天使か魔王か……邪神?」

その説明に全員が顔をみあわせる。真っ青だ。堕天使はともかく、魔王も邪神も、そうそう倒せるような悪魔じゃ、ない。

「インデックス、あなた、テトラジャ使えたわよね?1,2の……3で一斉に出口を目指しましょ。流石に相手してらんないわ……ルールー、分かるわね?」

全員の気持ちが一つになった。死にたくない、死にたくない!

「つ、使える!テトラジャ!ほら!」

「はい、お任せください。殿は勤めさせていただきます」

流石の天衣も同じ意見らしく、ルールーさんを囮にして、逃げる算段を立てる。

「OK。一番早いレンが最短ルート走って、みんながそれに続く。全員逃げるのに邪魔だからこの場に銃捨てて。あとはインデックスがひたすらテトラジャ使いながら出口目指す、いいわね?」

 

「1,2の……3!」

 

この期におよんで、ルールーさんの命の心配をしている余裕は無かった。

 

「「「「わああああああああああ!!!!」」」」

 

私たちは持ってた銃を捨て、一斉に出口を目指して走りだす。途中何度か、あの化物が見えるたび、それが例のばーさるを呟くのを聞くたびに止まりそうになる足を必死に動かす。

1回だけなら即死は無いと分かっていても、足がすくみそうになる。

「テトラジャテトラジャテトラジャテトラジャ……」

インデックスがお経のようにテトラジャを連続で唱えつつ、走る。転んだら、助からない。みんな走ることだけを考えていた。

(あ、先にトイレ行っといてよかった……)

私がひたすら前を走ってる最中、ふとそんな考えが頭をよぎる。行ってなかったらきっと漏らしてただろうな、と。

 

そうして。

「おい!こっちだ!……時よ止まれ(獣の眼光)!こいつはおまけの煙玉だ!くれてやる!」

あと一歩で指が届きそうになっていた四つん這いが何故か真後ろに吹っ飛んでいったのと同時に煙幕が張られ。

「千束!引きましょう!さっきの悪魔、銃が効きませんでした!」

「うん、わっかんないけど絶対ヤバい奴だった!……君らも、ついて、おおう!?」

「やれやれだぜ。まったくアイツは今はただの同僚だってえのに相変わらずだな」

4人とも学ランを来た巨漢に担ぎ上げられた。

そのままガンショップの異界の外に運び出され、落とされる。

 

「「「うっ、ううう、ううううううううううううううううううう」」」

 

死んでからのことがよほどショックだったんだろう。3人は、いつの間にか、泣いていた。

私はもう大人だから大丈夫……あ、やばい、少し涙が。

「うっとおしいぞ!クソガキ!静かにしろ!」

巨漢に怒鳴られ、ビクッと身体を震わせて、黙りこくる。

「ちょっと!子供相手になんなんですかあなた!?そもそもなんでこんなところにいるんですか!?」

「ちょっ、たきな!ストップ、すとーっぷ!今、クルミから連絡あった!この人ら、聖華学園の生徒会さんだよ!?」

青いのが食って掛かり、赤いのがそれを抑えている……うん?生徒会?

「はぁ!?不良みたいな恰好なのに!?それにそこのとか明らかに変態じゃないですか!?」

 

「変態とはなんだ?この国の法律には違反してないはずだぞ。肌の露出も少なく局部の露出もない、それにおしゃれなマスクをつけて何が悪い?」

指さされたやつは、全身を覆う前が大胆に開いた全身タイツに、蝶みたいなド派手なマスクを着けていた……うん。ちょっと変態かも。

 

「秋山君とか、れっきとした第13生徒会のメンバーだけど、仕事のときはもっとへそ出し覆面学ランとかヤバい格好してるでしょ!?」 

「ぐっ!?」

その言葉で青い方が黙った。

「それで……何者なんですか、あなたたち」

「わ、私たちは、聖華学園第13生徒会、の、はず、です!」

ビシッと直立不動になりながら、その場にいた、青と白のロボットみたいなやつが宣言する。

「はず!?」

「あ、あの、ま、まだ色々調整中ってことで、正式に仕事回ってきてないので……」

どもりつつ、言う……あのロボット、結構弱気な奴だな。しかし第13生徒会……第13生徒会!?

 

「そういうわけだ。黙って見てな。こっから先は俺たちの……『聖華学園第13生徒会』のこっちでの初仕事だ」

聞いたことがある!第13生徒会!理事長様直属で、聖華学園最強の、裏の生徒会!

その名前を聞いて、私たちはどっとへたり込む。きっと彼らなら天衣を助けてくれると。

 

「……機材の準備は完了した。やれ、スレッタ」

「はい!……行って、カヴン!」

延々色々機械を弄っていた蝶々マスクの変態の言葉に従ってロボットが命令した瞬間、10を超える数の偵察機が一斉に召喚されて異界に突入する。

「アナライズ情報と戦闘データログの分析、と、マップデータ編集、任せました!」

「当然だ……1機、死んだな。呪殺ではなくその辺で買えるような装備で対策出来ない呪怨の即死魔法とは、また面倒な……スレッタ、カヴンを再突入させろ。

それと探索効率を上げるためにできるだけカヴン同士を離して運用しろ、範囲攻撃で一網打尽は洒落にならん」

「はい!カヴン、サマリカーム……再召喚、行って!」

傍らに一機だけ残った偵察機がチカチカと光を放つと再び呼び出された偵察機がまた異界に突っ込んでいく。

それが繰り返される、一体何機いるのかと戦慄するほどだ。

「……見つけた!か……ルールーさんが戦闘中!イロハ先輩は!?」

「人払いの結界の準備が終わってねえ……やれやれだぜ。たかが戦車一つ出すのに人払いがいるとはな」

……ん?戦車?

 

「「せ、戦車ぁ!?」」

なんか赤と青のが同じ言葉を叫んだので、戦車で聞き間違いがないようだ。

まあ、街中とはいえあそこまでヤバい相手なら戦車の一つや二つ使ってもおかしくないし、

なによりここに来るまでの間、『戦車止め』が全然設置されてなかったってことは、戦車で入っていい場所なんだろう。

……てかさっき天衣の言ってた『マルバス』とかいうの明らかに戦車持ちかCOMP持ち向けの指名手配悪魔だと思う。

それこそ伝説の『レッドウルフ』でもないと無理なレベルの。

 

「イロハ、人払いの結界構築急げ……いや、中止だ。見られる心配よりも敵の撃破を優先する!すぐ戻ってこい」

そんな私の疑問に答えてくれる人はおらず、蝶々マスクの変態がどこかと通信する。

 

「ちょっと、あなたたち戦車なんて一体どう」

「たきな!……ここはこう、信じよう。人命救助優先みたいだから……戦車って何に使う気かさっぱりだけど」

赤と青もとりあえず黙った。

 

「あ、あの……天衣さんは大丈夫ですか?」

「見つけたならすぐに助けにいってあげて!急いで!下等国民!」

「あいはわたしたちを助けるために一人だけ残ったんだよ!すぐにたすけてあげて!」

 

へたり込んだままの口々に勝手なことを言う子供たちを慰めるように、ロボットが膝をついて、あやすように、言う。

「大丈夫ですよ。か……天衣さんには『おかあさん』がついてますから」

「いやこんなところで死んだ母親が幽霊になって守ってくれるとかいう御伽噺されても……」

そんなものは無いと知っている大人の私には冷める話だった。

 

「いやそういう意味では……って!?」

はっと何かに気づいたらしいロボットが、デカい戦士に向かって言う。

「大変ですよ!空条さん!今、会長おかあさん使えないです!この前正式に封印したって!今すぐ助けに!」

「落ち着けこのバカ!……ちんたら歩いて行っても、間に合わねえ。こっから救援できるのはイロハだけだ」

深刻そうな顔をする二人に、私は不安になる、何かトラブルがあったらしい。

「……いや、違う。そうか。援護なら行ける。スレッタ。生き残ってるカヴンを全部全速力でボスに突っ込ませろ。『今』ならそれができる」

変態の言葉に、二人はハッとして動き出す。

「あ、そ、そっか!今はおかあさんはいないから!」

「やれやれだぜ。いきなり「おかあさんを封印する」って言いだしたときはどういうつもりかと思ったが」

こちらには意味が分からないながら、顔が明るくなったことは良いことだと思う。

 

「……なるほど、『清滝一門は居飛車の本格派。振り飛車は味がよくない』とはこういう意味だったんですね」

そして、後ろから、一人の女の声が響いた。

 

「戻って来たか。イロハ」

「ええ。一応、30分くらいなら問題ないはずです。みなさん、離れてください」

軍帽を被った、赤い髪の女だ。それが懐から一本の筒を取り出す。

 

「さあ、行きますよ。召喚……超無敵鉄甲:虎丸」

その言葉と共に現れたのは……

 

「「せ、戦車!?本当に本物の戦車!?」」

「せ、戦車……?戦車なんて山海経でもそうそう見れませんでしたよ?」

「戦車って?え?どうやって!?」

「あんな大きなマシンをあんな小さなものにどうやって入れたの!?おかしいんだよ」

 

それぞれに驚いている赤いのと青いのと子供たちに対して、私は思わず泣きそうになった。

「……生きていたんですね。レッドウルフ」

 

生きた伝説を、見た。

 

赤いというのは車体ではなく髪の色だったと考えればわかる。

数多の討伐不能と言われていた指名手配悪魔を屠って来た伝説の赤い戦車乗り!

ハンターやソルジャーやっててレッドウルフが分からない奴が居たらそいつは村から出立ての素人か、人間の皮被った悪魔かなにかだ。

「いやなんですそれ?まったく覚えが……」

とぼけようとしても無駄だ。私には分かる。彼女に憧れた、一人のソルジャーとして。

「3年前に突然ふらっと消えてずっと行方知れずだったのは、ここに漂流していたんですね。お帰りなさい。レッドウルフ」

「……面倒くさいのでもうそれでいいです」

認めたことに安堵する。レッドウルフが来たなら勝てるだろう。

 

「……強化より速攻ですね。カヴンがいるならそうそう事故ることもないでしょうし。砲撃、開始」

そんな言葉と共に、戦車が大きくその車体を震わせる!

「ちょっと、街中でいきなりぶっぱな……?」

青いのが困惑して黙る。

 

「……震えただけ、ですか!?」

「た、弾でてませんよ!?なんの意味が!?」

「ちょっと!?あいをころすつもり!?助けるって言ったのは嘘だったの!?」

 

「うっとおしいぞこの「黙れ!」

思わず私は一喝した。何も知らない素人を黙らせるために。

「……他の雑魚ハンターの持ち物ならいざしらず、あのレッドウルフの戦車だもん。SEのひとつやふたつ、ついてるに決まってる。

恐らくは音波系か、振動系、もしかしたら噂に聞いた衛星レーザーかも……とにかく、ルールーさんの援護はちゃんと出来てる。グダグダ騒がないで。ですよね!?レッドウルフ!」

「はあ、まあ……うん。じゃあそれで。打撃相性は9割くらい削られますが耐性どまりみたいですね。こうなると事前に分かっていれば【物理貫通】追加の改修を急いだのですが。 

まあ、ありものでなんとかするのがうちのやり方ですし、とりあえずスレッタ、カヴンにありったけタルカジャ使わせてください。それと死んだカヴンを復活させて再召喚、そいつらにもタルカジャを。

確かこの前林水先輩の紹介でエルネスティ先生に相談していただいて、スキル組み換えでタルカジャを8回かかる奴にしたとか言ってましたよね?2分で最大火力まで持ってきます」

私の確認に、レッドウルフは一つ頷いて、SEを連射しながらロボットに指示をだす。

「了解です!」

そこからは、何が起きてるのか分からないけど、逐一放たれるロボットからの状況報告からするととにかく勝ってるらしいことだけ、分かった。

 

「本当に何が起きてるのか、私にはわかりません」

「大丈夫だたきな。私にもさっぱり分からん!」

青いのと赤いのにも分からないらしい。

 

「敵悪魔!反応、消えました!」

「……ふう。終わりましたね」

そう、レッドウルフが宣言するのと、実際に、異界化が解けたのはそれからすぐのことだった。

 

「ただいま。あの悪魔はその、瀕死まで追い込んだあと、その、逃げたわ。もうこの世界で何かやらかすことは『命じられでもしない限り』絶対に出来ないはずよ。イロハ、ご苦労様」

「……まあ、第13生徒会『フルメンバー』ならばこの程度当然ですよ。はい」

2人残って足止めをしてくれてた天衣とルールーさんも無事に戻って来た。

それを確認したときには、思わず全員少し泣いてしまった。

 

「あ、あのう。そちらのお嬢様がたは……?」

余りにも堂々としている二人におずおずと赤い方が尋ねる。

「私?私は聖華学園小等部の夜叉神天衣よ。この異界の探索に友達と来ていたの」

「天衣様の従者、ルールー・アムールと申します。聖華学園中等部に籍を置かせていただいております」

二人が堂々と名乗る。

「で、そっちは?警察か、確かヤタガラスとかいう治安維持部隊の人か何か?」

「えーと、まあ。その、大体そんな感じ……?」

赤いのが困惑しながらも答える。

「そう。ならちょうどよかったわ。私たち、漂流者なんだけど、ちょっと戦利品の扱いとかよくわからなくて、教えてくださる?」

「「戦利品?」」

天衣の言葉に、赤いのと青いのの二人が揃って首を傾げた。

 

首をかしげながら、異界化が解除されたガンショップに入る。

 

そこには無数の銃器と装備が無造作にばら撒かれていた。

 

「え?なんなんですこれ!?」

「ええ、なんでこんなん落ちてるの……?」

二人が不思議そうに首をかしげる。

「ここはね、適正Lvが50くらいで銃相性が刺さるように偽装されてた異界の戦利品。ここで鍛えてたならLv50前後で銃を主に扱う連中の遺品ってことになるから、多分銃器の質はいいはず」

そう言いながら、天衣は一つの拳銃を拾い上げて、赤いのに投げる。

「ほら、これとか多分滅茶苦茶高いと思うんだけど」

「うわっと、うん?なんか可愛いデザインの拳銃だけど……うわなんだこれ!?滅茶苦茶手に馴染む!?え!?なにこれ!?ヤバい奴!?」

投げ渡されて思わず受け取った赤い方がなにこれ?なにこれ!?ほらほらたきなも持ってみ?とか言いながらはしゃいでいる。

「……それはダイアナポケットだな。Lv52の女神ダイアナの忠誠度を限界まで上げ魔晶変化させることで作れる魔晶武器だ。

ダイアナの魔力のせいか女にしか扱えんが、銃器としてこれ以上は億単位の金を積むか、自力で異界荒らすか、軍にでも入らんと手に入らんはずだ」

「……やっべえ。思った以上にやべえ奴だった……」

そして蝶々マスクの変態の言葉を聞いて戦慄する……億って、いったいどれくらい?確か購買で一番高いお菓子が500円とかだから……えっと、一体何個分だ?

「流石にそこまでのレアリティの品は多分あと1個あるかないかだと思うけど、ここにある銃器全部処分したら、関係者一同で山分けでも相当な額になると思うの」

天衣の言葉にごくりとつばを飲む……それってものすごい額じゃあ?

まあ多分、すごい額なんだろう。計算とか速い春原姉妹が両方へたり込んでるし。

「確か日本の法律だと銃器は全部没収だったはずだけど、死ぬような想いしてLv80の悪魔倒して異界攻略して獲得した戦利品全部没収は流石にどうかと思うのよ。

……できれば全部適正価格で買い取るなり、それが無理ならせめて1個か2個、各自が気に入ったの持ち帰るとかさせてあげられないかしら?

この中に彼女らの愛用の銃も交じってるわけだし」

「え~、えっと、その、一度上に連絡して検討いたしますです、はい」

冷や汗を流しながら、赤い方が答える。

 

ーーーその後、詳しい分別の結果、ダイアナポケットがもう1個、ネコパンチバズが3個、その他貴重な剣や防具などが多数見つかったらしい。

後日、戦利品から各自が気に入ったものを持ち帰り、残りは適正価格で聖華学園が買い取ってくれるとのことだ。

ちなみに第13生徒会の方は仕事で来ただけだから、と取り分を辞退していた。

 

……それを五人で山分けってそれこそ中古の安物なモスキート辺りでいいなら戦車でも買えちゃうような値段なんじゃないか?

 

そう思ったのは内緒だ。

 

 

その日の夜、自室で私はあの時遭遇した奴の情報がないか、シロエwikiで検索してみることにした。

(あんなに高位の悪魔となるとデータがあるか……あ、あった!?)

あの時天衣が言ってた情報を元に、検索していった結果、該当する悪魔が出てきた。

つい先ほど『情報が提供されて』掲載されたらしい。

 

ーーー秘神マルバス Lv80

 

息が止まりそうになった。

あんな近場で、そんなヤバい奴出るとか、この世界本当にヤバすぎる。

 

時間的に考えて、逃げた後にどこかのサマナーが命乞いさせて仲魔に加えたんだと思う。

びっくりするくらい詳細なデータが出てきた。見れば見るほど、勝てる気がしない奴だ。

 

い、生きててよかったあ~

 

ばふん、と布団に倒れ込み、あのときあの場にとどまってくれた天衣とルールーさんに心から感謝する。

これはもう、超貴重品のアイテムの一つも渡さないといけない案件かもしれない。そもそも反魂香の値段調べたらびっくりするくらい高かったし。

受けた恩はちゃんと帰そう。信頼っていうのはそうしないと育めないし、そのくせ壊れるのは一瞬。

生きるか死ぬかの土壇場で、裏切られるより先に裏切るには、少しでも恩を稼いでおく必要があるのだから。

 

……後日、そう思って断腸の思いで用意した報酬のソーマ(私も一つしかもってない)を、私は差し出した。

他の子も同じ考えだったらしく、自分なりに用意できた貴重品を天衣に渡していた。

 

「同じ反省室仲間なんだから、気にしなくていいのに……ま、貰っておくわ。それとこれ、プレゼント。生き残ったお祝いにね」

 

しかし天衣はそれを一度全部受け取った後に、そのまま私たちにプレゼントしてくれた。

本当になんでこの子、反省室になんているんだろう?

そう思うくらいいい子だ。

 

その後、天衣以外の反省室一同で話し合った結果、珍しく意見が一致して、自腹で天衣とルールー助けてくれてありがとうパーティーをやることになった。

それくらいは、させてもらわないと嘘だと思った。

 




勘違いだらけのスラップスティックコメディ回なんです。通して下しあ

……前がほぼおかあさん無双だったからDIOシステムガチ勢のヤバさを書きたかったんだ。まるで将棋だな……以下設定

聖華学園小等部 特別保護学級

聖華学園で保護されている12歳以下の漂流者の子供たちのうち、Lvが40以上あって学内で派手な問題行動起こした危険な子供が集められてこの時代の常識を教えられたり、
子供同士の交流を深めたりしている教室。別名反省室。大体子供なので前の周回の倫理に染まってて喧嘩が絶えないし、問題行動をよく起こす。

メンバー

春原ココナ

11歳。大進行をかけてきた中国に支配された日本にあった租界『山海経』のデビルシフター系ドリフター。自分のことを教官だと言い張る自称おねえさん。
Lvは50で子供ながらアサルトライフル『レディーの気品』を軽々と扱うほか、回復魔法も得意。手榴弾は日常品というやべえ感覚の子供。人参が食べられない。
目の前で死んだ大好きだったお姉ちゃんの春原シュンが幼女になったうえに妙に自分に冷たいことを納得していない。
罪状は春原シュンとの銃弾爆弾何でもありのマジ喧嘩。
頭に血が上るとシュン以外の他のメンバーを『下等国民』と罵る。

春原シュン

9歳。大進行をかけてきた中国に支配された日本にあった租界『山海経』のデビルシフター系ドリフター。春原ココナより後の別周回らしい。
Lvは50。筋力はともかく体格にあっていないため、一発撃つたびに転びそうになる大型のスナイパーライフル『愛のムチ』を使う純アタッカー。
春原ココナという見覚えのない子供が姉なんだか妹なんだかよく分からない絡み方してくるのをうざいと思っている。
そのことが余計にココナを苛立たせているのだが、なんで知らん子供の機嫌なんぞ取らなきゃならないのかと、放置プレイするガチ9歳。
罪状は春原ココナとの銃弾爆弾何でもありのマジ喧嘩。
頭に血が上るとココナ以外の他のメンバーを『下等国民』と罵る。

インデックス

10歳。バリバリのメシアン時空で育ったバリバリのメシアンドリフター。回復と破魔と衝撃を得意とするメイガス。
武器こそ持たないものの耐性、防御力ともに優秀な防具『歩く教会』を常に着ているため、すごい浮いている。ティーカップって言うと怒る。
Lv53で一行で一番レベルが高いので、リーダー気どりしたがるのを他のメンバーにウザがられている。
罪状は悪魔混じりの人間にマハンマオン連射して殺しかけたこと。
人は皆、生まれ育ちなど関係なく等しく神様と天使様の僕であるという博愛主義者。

夜叉神天衣

10歳。デビライザーを使う悪魔召喚士。一同の中で一番落ち着いている。
普段はあまり他のメンバーと絡まずに将棋の雑誌を読んだり戦国武将についての本を読んでいるが、あまりに問題が大きくなるようだと黙らせる。
Lv51(自称)。学外に出るときはどこからともなく呼び寄せたLv67もある『ママ』から貰ったという護衛、ルールーを連れている。
戦闘も基本ルールー任せで指揮やアイテム係をしている。反省部屋メンバーの中ではLvが低い方なのにルールーがいるのはズルいと思われている。
武器は真っ黒なデビライザーだがもっぱらアナライズ用で彼女が悪魔を召喚しているのを見たことがあるメンバーはいない。なので実質メイン武器はルールー。
そのほか血塗れのデビライザー『おかあさんの形見』を持っている。
罪状は、不明。なんで反省部屋にいるのか知っている子は誰もいない。本人に聞いても『ちょっと生徒会と揉めたのよ』くらいしか言わない。

レン

砂漠と化した崩壊後の世界で生まれ育ったモヒカン思考のドリフター……なのだが他がもっとぶっ飛んでいるので大体突っ込み役。
本当は20歳なのだが成長が途中で止まって10歳に見えるので、どうせ分かる奴はいねえだろうとそのまま10歳と言って子供としてタダメシを貰っている。
Lvは52。過酷な世界で生き残って来た、いつかは戦車手に入れてハンターになりたかったソルジャー。
愛用武器は10歳の頃からの10年来の相棒であるP-90の『ピーちゃん』の他、ナイフや手榴弾の扱いにも長ける。
罪状は、生存戦略と称して寮内の台所に侵入して勝手に食材を盗んで保存食として備蓄していたこと。

四つん這い

異界で死んで放置されたカジュアルやマンハントが変異した末路。そこそこ高位で銃撃無効の悪霊とシャドウの中間的存在。
【呪怨】相性で【ムド成功率アップ】付き【マハムドオン】を連打してくる。
ちなみに犠牲者が一番奥の部屋にたどり着くまでは一切出てこない。

秘神マルバス

ティンダロスの偵察兵だったらしい。密かに釣り込んだカジュアルやマンハントなどを四つん這いに変えて増やしていた。
が、よりにもよってティンダロススレイヤーに出会ってしまったために、ひどい目にあった。
途中まで勝てると思っていたのに、次々と参戦してくるテトラカーン/デカジャ/デクンダ/タルカジャ/ディアラマ/パトラ/メギドを脳死連打するカヴンの群れと、
どこからともなく一方的に飛んでくる90%軽減耐性相性でもクッソ痛い打撃と天衣が当然のように持ってた四属性の貫通持ち仲魔により、
一つ一つ試されて耐性を抜かれた結果、弱点の火炎魔法連射され、心が折れて土下座した。

九頭竜技巧(スキル) 死なない

九頭竜一族最強の脳筋と恐れられた九頭竜もも子考案の九頭竜技巧。
死ぬようなダメージを受けても死なないと思いながら歯をくいしばると1回くらいはギリギリ死なないという超根性論。
考案当初はネタ扱いだったが、頑張った結果複数の人間が習得出来たため、立派な九頭竜技巧になった。
なお天衣はこの周回でシロエwiki見たら『食いしばり』とかいう立派なスキル扱いでびっくりした。天衣も習得している。

九頭竜技巧(スキル) 死んでも死なない

死なないの成功に味をしめた九頭竜一族最強の脳筋と恐れられた九頭竜もも子考案の九頭竜技巧パート2。
たとえ死んでも自分はまだ死んでないと思えば1回くらいは生き返るというもう根性論すら越えた何か。
考案当初はネタ扱いだったが、頑張った結果複数の人間が習得できたため、立派な九頭竜技巧になった。
なお天衣はこの周回でシロエwiki見たら『不屈の闘志』とかいう立派なスキル扱いでびっくりした。天衣も習得している。
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