Re;Start   作:ぶらまに

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個人のミスは組織が被る。それが基本だと思う。彼らは、組織なのだ。


事例9.九頭竜技巧 戦術検討会

それは、とある木曜日の、放課後のことだった。

「月雪。土曜日の午後、一つ参加して欲しい企画がある。都合があうならばRABBIT小隊全員が希望、だそうだ」

「はい!相良教官からのご依頼でしたら喜んで!」

サガラ教官の提案に一も二もなく頷く。そしてあっ、と大事なことに気づいた。

「……と、それで一体どのような企画です?」

「うむ。俺も詳細は聞かされていないのだが……」

サガラ教官も少し困惑しながら、その企画を告げる。

 

「クズリュースキル 戦術検討会、だそうだ」

 

土曜日になり、私たちは運動場の一角に集まっていた。

そこには、今回の戦術検討会に呼ばれたらしい雑多な生徒が何人もいた。

構成はよくわからない、生徒会員や普通の生徒に混じって、小学生らしき少女までいる。

「やあどうもどうも」

一体何が始まるのかと思っていたところで、一人の英雄が気軽に姿を見せた。

「「「「な、棗戦車長!?」」」」

かつての、写真や入学式の薫陶の時に見たSRTの英雄が、変わらずそこにいたのだ。

「はい?申し訳ありません。貴方は確かRABBIT小隊隊長の月雪ミヤコ嬢だったと思いますが、何故私の名を?」

ああ、名前を憶えていただけてたのか。そう感動すら覚える。

「何言ってるんですか!?SRTの棗イロハ戦車長と言えば、戦車戦のエキスパート!肉弾の黛に戦車の棗と勇名を轟かせていたではありませんか!?」

棗イロハ閣下と言えば、デカグラマトンとの戦いでは何度も華々しい戦果を挙げた英雄だった。

旧世代の、電子機器を一切積んでいない骨董品の戦車で構成された戦車隊を率いて何度も逆転不能とされた戦場で勝利を収めてきたのだ。

「……あー、なるほど把握しました。先日の『レッドウルフ』の同類ですねはい……もしかして私の前世って、戦車乗り多いんでしょうか?」

棗閣下は少し悩んだ素振りを見せた後、こちらに向き直ってきっぱりと言う。

「まず、誤解を解かせて抱きましょうか。私は確かに貴方方と同じ、漂流者です。そして、貴方がたの言う『棗戦車長』とやらからはきっぱり別人です。そう思ってください」

その言葉で、私はようやく理解した。そうか、SRTの棗イロハ戦車長は、恐らくあの時戦死なされたのだ、と。

「こほん。では改めて自己紹介をさせていただきますね。私は、棗イロハ、と申します。この聖華学園の生徒の一人であり……」

つまり棗閣下はいまは私たちと同じ一介の漂流者学生……

 

「第13生徒会の一人でもあります」

ではなかった。普通に超人の一種だった。

 

ざわざわ……ざわざわざわ……

 

「あ、あのう……漂流者、なんですよね?」

おずおずと、ミユが尋ねる。

「はい。そうですよ」

棗閣下が頷く。

「それで第13生徒会に入れるっておかしいだろ!?なんで!?」

続いてサキが爆発したところで。

 

「棗閣下ご自身の純粋な実力によるものである。妙なコネなどでは無いとこの俺が断言する。それでは不満か?」

じろりとサガラ教官に睨まれた。

 

「「「「い、いえ!申し訳ありません!サガラ教官!」」」」

私たちは一斉に謝った。これ以上の口答えは許されないことを理解した。

 

「分かればいい……申し訳ありません。棗閣下。お手数をおかけしました」

「いえ、こちらこそ助けていただき、ありがとうございます……さて、そろそろ概要の説明を始めさせていただきましょうか」

サガラ教官に丁寧に礼を告げた後、棗閣下は解説を始める。

「まず今回の九頭竜技巧(スキル) 戦術検討会は私の故郷に古くから伝わる伝統行事なのですが、宝山先生に企画書を提出し、実施の許可を得られたので、開催することとなりました。

まあ、少しゲーム的な要素もありますが、基本は真面目な検討会だと思ってください。今回は初回ということもあり、人数を絞らせてもらっています。

そして次に趣旨の説明を。この戦術検討会では、代表者一人が自らの考えた九頭竜技巧(スキル)……では通じませんね。戦術を発表します。

その戦術について、質問を受けたり、改善点や対抗策を皆様にご提案いただく企画となっています」

なるほど、だから戦術検討会。そんな納得が参加全員に及ぶまで、棗閣下はじっと待ってから、言う。

 

「今回は手っ取り早く私の基本戦術となる『龍王砲』にて実施いたします」

「……では、始めましょうか。スレッタ、カヴンを全機出してください」

龍王砲?いったいどのような戦法なのだろうと思わず引き込まれたところで。

「は、はい!行って!カヴン!」

「「「「多!?」」」」

突如無数に表れたガンダムのようなデモニカ戦士が出した無数のファンネルのようなものに思わず目を奪われた。

思わずこれは一体何なのかと慌てて問いかけようとしたタイミングを見計らったかのように、棗閣下が仰った。

 

「はい、多いですね。スレッタのカヴンは最大で『12体』同時展開できます。Lvは52。造魔ですので神経・精神・破魔・呪殺を無効化しますが、他は通常耐性となっています」

「じゅ、じゅうにたい……?」

だれかが呆然と呟いた……そんな数、悪魔召喚プログラムで扱えるのかと。

「それとおおよそ10km程度の遠距離まで飛ばせます。専用機材を使えばカメラやアナライズ機能も追加できます。まあ丈夫な偵察機と思ってください。

造魔ですのでスキルはある程度厳選していますがね。スレッタ、1機遠隔配置してください」

Lv52でスキルを搭載している主要なバッドステータスを無効化する『偵察機』とは、それだけでもう脅威以外の何者でもないと思うのは、私だけなのか?

詳細は分からないが1体だけでも私たちではそこそこ苦戦する気がするのが、12体である。これがこの世界の基本なのだろうか。

……いや、違う。参加者みんな顔を見合わせている、気のせいかサガラ教官まで顔色が悪い。

「了解です!行って!」

速い!カヴンは明らかに人間離れした高速で一気に飛んでいく。それに特化した造魔なのだろう。

「……大分遠い。500mくらい離れてる」

ミユが距離を一瞬で見極めて告げる。銃撃なら届くだろうか。

 

「では、次に……来なさい。超無敵鉄甲:虎丸!」

そう言いながら棗閣下は懐から取り出した筒のようなものをかざして命じる。

 

「「「「戦車ぁ!?」」」」

すると何故か戦車が現れた。棗閣下、戦車乗りではないというのはなんだったのか。

 

「ちょ、ちょっと待って!?それ、管ですよね!?なんで管から戦車が!?」

黒髪の、ウェーブのかかった生徒会役員が思わず食って掛かっていた。察するに、管使いなのだろう。

「そりゃまあ私は管使いですから。入れてる悪魔がたまたま戦車に改造された特殊な悪魔なだけです。私の故郷の特産品みたいなものと思ってください」

そんな言葉に、棗閣下はついに『龍王砲』を見せた。

「で、この悪魔戦車の特徴ですが……砲撃、開始」

その言葉と共に、500m離れたカヴンがよろける……ダメージを受けた!?この距離で!?

しかも砲撃と言いつつ、虎丸は震えただけだった。弾が出ていない。

「この虎丸の砲撃はおおよそ2km程度まで届きます。ダメージタイプは打撃。気候条件はもちろん、壁や扉を無視して攻撃できます。私の故郷の『龍王』の特徴なのですが、その機能だけ移植したわけですね」

「銃撃じゃないんだ……え?気候も射線も無視できて2kmって、え?」

2kmの距離ならギリギリ狙撃できるスナイパーのミユが混乱しながらぽつりとつぶやく。銃撃ではない。プレートバンダナが役に立たない。

打撃を無効化できるのは、スカジャランダ。貴重な上に魔法全般に弱くなる危険な装備。テトラカーン?いつどこから飛んでくるか分からないのに?

様々な情報が頭をよぎった。

「ですが、私の故郷の龍王には欠点もありまして、遠隔攻撃できる代わりに近接されると攻撃が出来なくなります。このように」

ついっと、カヴンが一機、戦車に近づいた。

「ですので、もう一つの対抗策。来なさい。イブキ」

「はいはいはーい!」

そんな言葉と共に、棗閣下はもう一本管を取り出し、召喚する……待って。確か。

「に、2体同時召喚!? 管使いなんですよね!?」

先ほど食って掛かっていた管使いが、私と同じことに気づいたようだ。

管使い。悪魔召喚士の中でも最大難易度を誇る形式で、2体同時召喚は、ほぼ奥義だと。

「はい。そうです。参考としてですが、管で2体同時召喚はそこそこの訓練を必要とします。まあ出来るようになるまでかなりの適正と年単位の修行が必要なので、その道のプロでないと無理と思っててください」

知らない人にもそれを伝える棗閣下に管使いがグッと息をのんだ。

「いやまあそうだけど……え?なにこの人、かなりすごくない?」

「……まあ、そう言っていただけると頑張った甲斐があったというものですね。続けます」

管使いの呆然としたような言葉に、棗閣下は、少しだけ微笑んで、すぐに表情を戻す。

「それで近接されたときの対策としては、イブキ」

「はーい!びゅーん!」

新たに呼ばれた悪魔、可愛らしい少女のようだがあまり強そうには見えない。

それが手をかざすと。

 

「い、一瞬で移動した?」

既にはるか彼方に居た。一体これは?

そう思ったのを分かってるかのように、再び同じ場所に戻って来た棗閣下が仰った。

「神風といいます。風の流れにのって、離れたところに移動する技術です。こちらは管を扱えれば大体誰でも使えるお手軽な移動手段ですかね」

なるほど、そんな技が……管使いは数がすくないせいか、情報も少ない。神風は聞いたことがあるような気がするレベルだ。

「つまり遠距離から一方的に攻撃しつつ近接されたらこの神風を使い、逃げて砲撃することで敵の撃破を目指すのが龍王砲の基本戦術です」

最後にそれで締めくくった後、棗閣下は傍らのガンダムを見て、言う。

「……あとは折角ですので簡単な応用も一つ見せましょうか。スレッタ、もう1機遠隔配置。それとタルカジャを使い最大強化を」

「了解です!行って、カヴン!」

その命令とともに1機のカヴンが最初のカヴンのすぐ隣に並ぶ……まるで比較させるように。

 

「「「「「「「「タルカジャ」」」」」」」」

そして残った8機が一斉にタルカジャを唱えた。

カヴンにはどうやらタルカジャが搭載されているようだ。wikiでは非実用的とされていた8回タルカジャフル掛けが、一瞬で達成されていた。

 

「そして、砲撃」

「うっわー、えっぐ。木っ端みじんじゃん」

その結果、一瞬で消滅したカヴンにモエが呆然と呟く。

 

「タルカジャは8回かかるタイプを採用していますが、他のタイプでも最大火力まで上げると、同レベル帯で物理耐性がなければほぼ一撃で即死しますね。ちなみに『通常攻撃』ですので、使用コストはありません」

「……8回型を使われていたら即死だったな」

サガラ教官が冷や汗を流しながら言った……まさか戦った?虎丸と?本当に?

もし私たちが虎丸と戦っていたらと想像しようとして……グロ画像になる未来しか見えなかったので目を反らした。

多分同じ想像をしたのだろう。数人、手で口元を抑えていた。

「とまあここまでが龍王砲の基本戦術となります。では次に、ちょっとしたお楽しみ要素を」

そう言うと、学ランを着た巨漢が、二つの寸胴鍋を肩に担いで持ってくる。すごい筋力だ。

「こちらのふたつの寸胴なべ。中身は右が魔石、左が宝玉となっています」

寸胴鍋にはいっぱいに魔石と宝玉が詰まっている。全部だと何個あるのかもわからないほどだ。救い上げるための大きなお玉が、一緒についていた。

「これからあなた方に、この龍王砲について質問をしていただいたり、改善点や問題点を指摘していただきます。何か質問や提案されたら魔石を1個、よい質問や指摘であれば宝玉を1個進呈いたします。

判定は手前みそながら私が行います。同じ指摘は『無効』とさせていただきますので、早い者勝ちになりますね」

ルールを説明された瞬間、全員に緊張が走る。魔石も宝玉も貴重とは言えないがいくらあっても足りない品だ。ここからは奪い合いになるだろう。

私は急いで脳内で出すべき質問を考える。

「それと参加賞を用意しました。この検討会終了後、宝山先生ご推薦の高級焼肉店に移動し、好きなだけ私の驕りで食べていただく予定です。食べ放題などではない本物の和牛ですよ」

「ええ!?それってものすごいお金かかるんじゃ?」

赤い髪の、角が生えた生徒会員が驚きの声を上げると、棗閣下は頷きながら、寸胴なべに手を突っ込んで宝玉を投げ渡しながら、言う。

「良い質問です。宝玉をどうぞ。そして、もちろん承知していますよ」

慌てて宝玉をキャッチした赤い髪の生徒会員には目を向けず、棗閣下は懐に手をやる。

 

「ここに、本日の焼肉代として『100万円』用意いたしました。足りなかったらすぐそばのコンビニでお金をおろします。ですので一切の躊躇も遠慮もなく文字通りたらふく食べてください」

そこには、帯がついた日本円の札束がきらめいていた。ごくりと、全員がつばを飲んだ。

 

「では、始めましょうか。なにかご質問・ご指摘のある方は?」

全員が一斉に手をあげた。

 

 

「ふむ、そろそろ今日は終わりにしましょうか……天衣、覚えておきなさい。戦術検討とはこうやるのです。まあ今回はやり方を教えていなかった我々の落ち度でもありますので、次回から気を付けるように」

白熱する議論、飛び交う質問と回答、様々な質問や指摘と投げ渡される魔石と宝玉が繰り広げられた戦術検討会はそんな言葉と共に終了した……満足感を覚えると共にお腹が鳴りそうなほど、減っていた。

「次回は来週土曜日の同じ時間。こちらのスレッタの『カヴンの娘』でやりたいと思っています。先ほどの12機のカヴンを使った戦術ですね。次回は学内で広く参加希望者を募る予定です。

学生と、それと相良教官の伝手で外部の信頼できる本職をお招きする予定です。では今回の戦術検討会を終了します。すぐに着替えを。高級和牛が貴方がたに焼かれて食われるのを待っていますよ!以上、解散!」

その言葉と共に、私たちは急いで部屋に戻る。もちろん、次回の参加希望のメールを送りながら。RABBIT小隊全員が、同じ行動をしていた。

 

そして戦術検討会が終了し、私たちは目を回すほど焼肉を食べた。

 

 

なんとか及第点レベルの戦術検討会の運営が出来たことに満足しながら、私は日曜日を優雅な休暇に宛てました。

もちろん、準備に抜かりはありません。今回の反応から余裕を見て次回開催のために『200人規模』の会場を抑えました。

ですが私は日曜日はよほどの緊急時以外は仕事をしない主義です。休むときは休むのも必要だと、八一先生もおっしゃっていましたし。

……思えばそれが悲劇の始まりだったのかもしれません。

「ちょ、ちょっと待ってください!なんですかこの参加希望者の数は!?桁が、桁がおかしいでしょう!?」

月曜日の朝、私に与えられたパソコンのメールサーバーは、パンクしていました。参加希望のメールで埋め尽くされて、しかも今もなお、着信数が増えて続けています。

……なんだこれは?一体、何がどうなっている?

「は、実は方々に噂が流れたらしく、参加希望者が殺到しているのです。特に黎明の祈り手が相当数きます。カヴンと閣下の虎丸をどうしても見たいそうです。確定はしていませんが概算では3,000人ほどになるかと。もっと増えるかもしれませんが」

「この世界異能者多すぎでしょう!?襲撃前の学園、非覚醒者含めて全部入れても3,000人なんて行きませんでしたよ!?そんなの、私一人でどう事務処理手続きを終えろというのです!?予定していた会場では絶対にたりませんよ!?」

相良先生を思わせる相良さんの無情な言葉に私は思わず声を荒げてしまいました!こんなの、マコト先輩の部下やってた頃が遊びに見える規模ではありませんか!?

「ご安心ください。閣下。既に手は打ってあります」

「……一体、どういうことです?」

相良さんの不安しか感じさせないお言葉に、ごくり、とつばを飲みながら尋ねます。

私の警戒心が全力で告げていました……ヤバい、と。

「自分の伝手で、ミスリルという民間警備会社に協力を仰ぎました。CEO以下、ミスリル社員全員およそ600人に自由な参加を認めることを条件に、会場の手配と当日の警備と景品の用意と懇親会の準備を行ってくれるそうです。

それと、この『クズリュースキル 戦術検討会』について、今後の運営方針について話し合いたいと、テッサCEOとデグレチャフ部長から連名で申し入れがありました」

「……あのー、もしかして、なのですが」

いやまず相良さんの伝手で600人規模の民間警備会社って、今後の運営方針ってなんだよと思いつつも、確認します……確認しないと、死にかねませんので。

「はい。なんでしょうか、閣下」

「これもう、私一人の手で負えない規模になっていませんか?」

そうでなければいいなと思いつつ聞きます。

「……そうなるかと」

ですが現実は非情でした。

 

「……どうやらこの世界を侮っていたのは、私も同じだったようです。これでは天衣に格好がつきませんね……」

私はだらりと椅子に倒れ込み空を仰ぎました……




九頭竜技巧 龍王砲
考案者:九頭竜八一

始まりにして最強と称される、九頭竜技巧始まりの一手と言われる戦法です。

概要はただひたすらにシンプルで『相手に遠距離から一方的に限界までタルカジャで強化した打撃を叩き込む』をどこまでも突き詰めた一手であることから九頭竜技巧の純文学と称されます。
崩壊後の聖華学園最初の危機である『九頭竜討滅戦』において、【山津波】射程外から弱点である打撃をひたすらに鶴瓶うちすることで、九頭竜を瀕死にまで追い込みました。
また、その戦法のために、サマナー系の学生全員が龍王を育てた結果、龍王砲をひたすらに愛好する岸波白野を初めとした多数の『龍王砲厨』を生み出しています。
この龍王砲を成立させるために足止めをした教師一同や生徒会メンバーを殉職に追い込んでいるため最も血塗られた九頭竜技巧とも言われています。
その愛好者の多さから最も研究され、最も対策された『現代の龍王砲』使いが岸波白野の娘である棗イロハとなっています。

九頭竜技巧 九頭竜殺し(ウルトラロマンティック)
考案者:九頭竜あい

瀕死まで追い込まれた九頭竜にトドメをさしたことで伝説となっている
『聖華学園でただ一度だけ使われた』と称される九頭竜技巧です。

『九頭竜あいが龍王砲のために育てた龍王が瀕死になったので、
 デビライザーに戻して狂死スペシャルで放ったらとんでもない威力の打撃ダメージが出た』

文字にするとシンプルに酷い概要ですが、

『本来は本能のままに暴れるはずの龍王があいを庇った』『その時の龍王は間違いなく死亡ダメージのはずなのに死ななかった』『龍王自身がオレサマ ヲ ハナテと告げた』
『重傷で動けないあいを八一がおぶって九頭竜のところまで運んだ』『このままでは八一が死ぬことを悟ったあいが泣きながら使った』

など多くの伝説があることから『九頭竜技巧で最もロマンティックな一撃』とも言われ、
その日の夜のうちに初夜を終えたという、後の『聖華学園の恋愛モンスター』を生み出したきっかけとも言われています。
またその伝説を証明するように後の狂死スペシャル使いが同じ龍王を銃弾にしても全然ダメージが出ないということも伝説を加速させた原因です。

……のちにこの周回で棗イロハは『忠誠度が高ければ高いほど威力が出る技』だったのではないかという仮説を立てていますが、あえて検証はしていません。
伝説は伝説だからこそ美しいのです。
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