Re;Start   作:ぶらまに

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原作をメガテンナイズしたら酷いことになった件
というわけで今回の主役

クインタ
Lv:???(測定不能)→普段は測定すると60と表示される
クラス:『世界』のペルソナ?
スキル:
英知の書(グルトリスハイト)

『九頭竜まいんが認知している』各悪魔の固有スキルを除いたあらゆるスキルを使用可能というスキルというか権能。
プレロマ等のスキルは無いので特化型ほどの火力は出ない。
まいんはもっぱら精霊召喚など合体魔法用のレアスキル替わりに使っていた。
ちなみに剣技や槍技などを使うと右手の(シュタープ)が剣や槍に変わる。
銃技を使うときだけなんかショボい水鉄砲に変わるのはご愛敬。

神の大盾(シュツェーリアのたて)

次のターンまで味方全体に被ダメージを大幅に軽減する効果を付与する。
発動するにはなんかこう謎のゲージをチャージする必要がある。
どっかで見た?聖華学園(将棋)で使えたのはコイツだけだよ。

元ネタ:本好きの下剋上

概要

九頭竜まいんが産まれた時から持っていた謎多き専用ペルソナ。
右手に小さな杖、左手に本を持ち、顔を仮面で隠したローブ姿の魔術師のような姿をしている。
ド〇えもん並になんでもできる器用万能型の極北みたいなペルソナ。つまり大体原作のアイツである。
異界神話一つ分だけ色々知ってはいたが、ほとんど明かすことは無かった。
そういう風に『作られた』存在なので。


事例16.クインタ君とぼく

どうも娘のまいんには『ペルソナ』というなんかこう、幽霊的なものがついている、らしい。

そう言われたのは、あいが2回目にして初めての双子の出産を終えた直後であった。

産まれた瞬間に、気がついたらまいんともも子の傍にペルソナが立っていたのだという。まるで『産まれるのを待っていた』とでもいうように。

 

クインタ、Lv60でアルカナは『世界』

 

アナライズの結果はそう出たという。なんか世界のアルカナを持ってるのは滅茶苦茶珍しいペルソナらしいけど、どの道普通のペルソナですら珍しいし、そもそも見えない僕にとっては、ふーんって感じだ。

 

聖華学園にはペルソナを操れる、いわゆるペルソナ使いというのが少しだけど、いる。なんかこう、悪魔の力が使えて、ペルソナ使いの命令に従う、らしい。

……理事長に聞いたらどうも系統がたくさんあってややこしい上に、原則として一人一個しか使えない、世界に一つだけの花みたいな感じのものらしい。

 

フィレモン式だか、ワイルドだか言うのだけはたくさん使えたらしいけど、それが出来たペルソナ使いは学園には九頭竜討滅戦の時に戦死した時崎さんだけだったようだ。

 

東京で次々に色んな人を改心させて話題になってた謎の集団『心の怪盗団』もワイルドに率いられたペルソナ使いの集団だったと、理事長は言っていた。

 

と、言うわけで僕の中ではペルソナ使いは変な幽霊がついてる人ってだけで戦術にはほとんど組み込んでいない。各自出来ることを頑張れって感じだ。

まさかまいんがそれになるとは夢にも思ってなかったけど結局のところ、まいんは僕の娘。それ以上でもそれ以下でもない。そう思ってる。

 

……そして今回は、僕とまいんのペルソナだという『クインタ君』の話だ。

 

 

僕がクインタ君のことを知ったというか、ああ、本当にいるんだなと認識したのは、まいんがまだ産まれたばかりの赤ちゃんだった頃だった。

 

ふぇぇぇぇぇ……

 

いつものように、夫婦の寝室で寝ていたら、まいんが泣いているのが聞こえた。

(あいは寝てるし……うん、僕が行こう)

ちらりと、夜のプロレス(隠語)を済ませて全裸で寝ているあいを見て、僕は服を着て様子を見に行くことにする。せめてシャワー浴びてからじゃないと、ちょっと外に出すのは、ね?

 

……四人目は男の子が良いと思うんですよね、はちょっとこう、気が早い、早くない?

ついこの前まで君、二人分宿して自分の身体よりデカいくらいにお腹膨らませてたよね?

 

ちなみにカズキが産まれた後から、ゴムは一切用意してくれなくなった。まあ、あのゴムクソの役にも立たなかったし、もういいやって感じだ。

(この泣き方だと、おしめかなー)

そんなことを思いながら、まいんともも子が寝ている部屋に向かう。

まあ最初のカズキの時は色々勝手も分からなくて苦労したが、まいんともも子は二回目ということもあり、だいぶ慣れてきた。

同世代の新人パパママ多いからノウハウの蓄積も出来たし、お互い頼ることもできる環境ってすごい。

そんでまいんたちが寝ている部屋に行ったら。

 

まいんがなんか浮いてた。

 

「なんで?」

こう泣きながら上下にふわふわ浮いてんなー。

もも子、双子の姉がそんなことになってるのに全然動じず寝てんなー。

え?この子超能力者だっけ?みたいな色々が浮かんで……気づいた。

 

(あ、コイツ赤ちゃんの扱いに慣れてないパパの動きしてる)

まあ、出産ブームであちこちで赤ちゃん生まれたおかげでサンプル腐るほどあったので分かって、それでようやく正体に気づいた。

 

まいんが産まれた時からついてきたということで多分赤ちゃんの知識はロクにないんだろうなっていうなんかペルソナとかいう幽霊的存在、クインタ君が泣いてるまいんをあやそうとしていたんだろう。

おっかなびっくり感が、大分新人パパのそれだった。

 

(いやいやいやその持ち方はヤバいぞクビも座ってないのに)

クインタ君はこう、赤ちゃんはあやすと泣き止むものみたいな知識はあるんだろうけど、赤ちゃんの世話をしたことは無いんだろうなと思った。そりゃそうだ。

 

「はいはいはい、ちょっと失礼しますねー」

 

これでも赤ちゃんの世話歴は2年ある僕はそっとまいんを取り上げて、おしめを変える。やっぱりがっつり漏らしてた。大の方じゃないだけマシだろう。

手早くまいんのおしめを変えて、ついでにもも子のおしめ(同じく漏らしてたが全然動じてなかった)も変える。

 

……なんかこう、ちょっと空気が冷えた気がする。見えないんだけど、気配というか威圧感は感じるみたいな。

 

だが、この程度、うっかり理事長って結構おっぱいでかいなーと思って目で追ったときの尻の肉が取れそうなくらいつねってくるあいに比べればへでもねえぜ!

 

……ちゃうねん。最近ちょっと一時期の三段リーグのときの姉弟子みたいな顔してたときよりも顔色よくなってそれとなくエロい恰好してくる理事長が悪いんや!

膝丈のタイトスカートにストッキングは反則やろ。なんかブラウスも微妙に胸元開いててあい(絶壁)には確認できない谷間ちらっと見えてるし!

ははーん誘ってやがるな?とか一瞬思ったけど絶対口に出さない。悪魔ぶち殺すためなら死んでもいいとは思ってるけど別に死にたいわけじゃないからね!

 

おっと、いけないいけない。集中集中。

 

おしめを変えて、また寝かしつけ、二人がすうすうと気持ちよさげな寝息を立てはじめる。

(すっかり僕もパパってやつだなあ)

二人がまた寝たのを確認し、僕はほっと息をつく。

「えっと、クインタ君だっけ?君もありがとうね」

それからまいんをあやしてくれたクインタ君がいるだろう方向にお礼。

 

幽霊っていうと俺の中ではある程度鍛えた異能者なら破魔でワンパン出来る、下級の悪魔的なヤバいモンスターなイメージがあるけど、少なくとも赤ちゃんあやすようなのは大丈夫だろう。

 

「お礼に良いものを教えてあげよう」

 

そう言いながら僕は懐からそれを取り出した。

「将棋という、宇宙一奥深いゲームだ」

今や貴重品となったマグネット式の携帯用将棋盤。

将棋を普及できるチャンスを逃さないためにいつも持ち歩いている。

「君、多分駒は触れるし動かせるよね?駒の動かし方から教えるから、ちょっとやってみない?」

まいんを持ち上げられるなら将棋駒くらい動かせるだろう。

つまり、将棋を指せる。

 

……そして、駒の動かし方を教えると、果たしてクインタ君は将棋の駒を動かして見せた。

 

「うん。じゃあまずはちょっとやってみようか」

頭の中を指導対局モードにして、挑む。

マジモンのプロが初心者をフルボッコなんてしたら、将棋の普及なんてできない。

ちょっと勝ったり負けたりするくらいがちょうどいいんだ。遊びなんだしね。

 

こうして駒の動かし方から僕の指導対局は始まった。

クインタ君は、中々に筋がいい。定石の一つでも学べばグッと強くなれそうだ。

そう思いながら、僕はニコニコと、営業モードで勝ったり負けたりした。

 

……そんな関係が崩れたのは、それから2年経った頃だった。

 

その頃にはもう一端に歩けるようになったまいんをよく戦術研究室で面倒を見るようになった。職権乱用?ここはもう日本じゃないんだよ。

それに、一応理事長から満足いただけるレベルの宇宙怪獣討伐計画『最終課題シリーズ』も完成させた。

終わったらなんかまた別のやべーのの情報渡されたけど。

 

それに生徒からの戦術の相談に乗ったり、戦術検討会の運営やったり、お互い蘇生魔法で回復できる死亡まではセーフとかいう狂ったレギュで戦う真剣勝負(ディッター)(まいん命名)の審判や解説やったりしてる。

 

ちゃんと働いてる……はず。

少なくとも理事長からは一度も戦術研究室長の解任や交代の話が出たことは無い。

 

ちなみにもも子の方はもっぱらあいとカズキが遊んであげている。

……ちゃうねん。僕だってもも子のことはまいんと同じくらい好きなんだよ?

でもね、ちょっと地球人にサイヤ人の面倒見るのは大分ハードル高いなって悟った。

 

「おとうさんもたかいたかいしてあげますね!」

 

の一言で100mほど上空からのノーロープバンジーしたときは割とマジで死ぬかと思った。

 

そんなわけで、僕はもっぱら本さえ読んでれば満足で静かにしてるまいんの方の世話を見ている。

その日は、いつも通りに戦術研究室でまいんは本を読み、その間、クインタ君と僕は将棋を指していた。

クインタ君も大分実力ついてきたし、そろそろ駒落ちで本気出すのも良いかなと思ってたところだった。

 

読んでいた『将棋世界』から目を上げたまいんが、こうのたまったのだ。

 

「……フェルディナンドさま。たぶん、ほんきだしてもだいじょぶだとおもいますよ?おとうさん、すごくしょーぎつよかったらしいですから」

 

多分、僕が龍王になったばかりの頃に鵠さんから受けたインタビュー記事を読んだのだろう。鵠さんが上手く聞き出すから、結構強めなこと言った記憶がある。

記事にももしかしたら1年後の防衛戦で勝てるか否かが、真の龍王になれるかの分かれ目になるであろう見たいに書かれてた。

 

 

……

 

………そっかあ。

 

僕はどうやら勘違いしていたらしい。指導のつもりで手加減してたのは向こうも同じだったと。

なるほど確かに今までのどこか手抜きが感じられたものとは一線を画す、鋭い一手が飛んできた。

お前を殺す。盤上で。そんな意思が詰まった一手だ。

 

ふーん。ふーーーん。ふーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん……

 

そっかあ。まいんにまでそんな風に思われてたのかあ。

宇宙一将棋が強いがただのいたい自称だと。

僕は本気を出すことにした。この戦国時代の天才かな?

ってレベルの古臭い矢倉を組んできた舐めプ野郎相手に。

 

将 棋 舐 め ん な フ ァ ン タ ジ ー

 

ごめんね。ほら僕、ただの龍王だから?

ペルソナとか見えないし言葉とか聞こえないから?

ペルソナ語で投了とか分からないから?

 

一手詰めまできっちり追い込んだ。もう何しても頓死ってところまでガッツリと。

いやはや笑ったわ。

これまで一切見せてこなかった新手見せるたびに手が止まるし、どんどん長考増えるし。

 

持ち駒台から『歩』が浮いた瞬間そういえば説明してなかったなと『二歩』のルール教えた瞬間に歩の駒がさ迷って持ち駒台に戻った時は思わず噴き出した。

そうだね。それで王手だったもんね。まあ打った瞬間に反則負けになるんだけどね?

 

「……えっと、その、こ、こーさんだそうです」

まいんが困った顔で言う。見たかまいん。

これがお父さんの宇宙一強い将棋という奴だ。だが、ここからが本番だぞ?

 

「そうか。じゃあやろうか。 感 想 戦 」

 

それから僕はすごい勢いでダメだしをした。

向こうの言葉は聞こえないから一方的にだ。

 

まずここでこう打ったのがダメだったね。こうしてたらもっとよかったんじゃないかなあ?

あと、矢倉は自力で編み出したのかな?すごいね。車輪の再開発って奴だ!

多分、クインタ君すごく頭いいんだよね?ごめんね?でもほら僕らずっと将棋の研究してたからさ、その分の蓄積があるんだよね……

 

言うたびにどんどん部屋の温度下がって、まいんの顔色も悪くなっていく。悲しい、悲しいことだけどこれって将棋なんだよね……

 

「そ、そのへんで……」

愛しい娘のまいんに言われ、僕は終わりにすることにした。

 

「そうだね。これ以上は可哀そうだもんね。まあ、クインタ君も頑張ったし強いと思うよ? ア マ チ ュ ア に し て は」

 

僕が言われたら死ぬほど悔しいであろう言葉を最後にして。

よっし、すっきりした!なんかこう言った瞬間に戦術研究室がぐらっと震度2くらいで揺れたけど!

 

……翌日。まいんが学校の図書室から借り出してきたらしい数十冊の埃被った将棋の本(理事長的に将棋は世界を救うのに不要だったらしい)がすごい勢いでめくれてて、

まいんのノートにすごい勢いで謎言語(あとで詳しい先生に見せたら古代ヘブライ語らしい。いやどこの言葉よそれ?)が書かれていくのを見て(まいんがちょっと怯えてた)、

この負けず嫌いっぷりならクインタ君、現代日本に産まれてたらプロ棋士くらいにはなれたんじゃないかな?と思った。

 

……まあ、タイトル取るとかは無理だろうけど。特に龍王。

 

あれから、まいんが戦術研究室に来るたびに、クインタ君は僕と将棋を打ちたがった。将棋部の連中から貰った手作りの将棋盤が浮き上がって僕の前に置かれ、きっちりと駒が並べられた。

まいんはいつも通り本を読むほうが好きみたいで、僕らの方には一切目を向けなくなった。

反らしてるともいう。クインタ君が投了を告げる時だけ、僕に目を向けてきた。

クインタ君の戦法はどんどん進化している。

今は戦国から江戸中期くらいには強くなった……

まあ将棋の戦法の発展はここからが本番なわけだけど。

 

このペースだと僕が死ぬまでには追いつけるんじゃないかなあとは思う。

僕の棋力も精進怠ったせいか全盛期と比べると大分さび付いてたし。

 

ついにこの前は僕が詰ませる最中にうっかり悪手打って初めて負けた。

僕が悪手打った瞬間に震度1くらいで部屋が揺れて、その後すごい勢いでこっちが詰む手順打たれたから、大分うれしかったんだろうなって……畜生め。

 

……これからは、ちょっと暇を見つけて将棋の研究を『趣味レベル』ではしようと誓った。

せっかく見つけた、将棋沼にはまった相手に負けるのは死ぬほど悔しいので。




息抜き編パート2。原作を知ってるとより楽しめるぞ(ダイマ)
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