というわけで今回の主役。
名前:アレクサンドロ・カリオストロ
Lv:72
クラス:英雄
元ネタ:グランブルーファンタジー
概要
文明崩壊後、ガイア再生機構の手で中世ファンタジーまで文明が退行した時代に生まれ育った天才美少女錬金術師兼悪魔合体師。
古の合体魔法コンバックを復活させて病弱な男子だった肉体を悪魔合体を繰り返すことで美少女に作り替えたマジモンのマッドでもある。
マジモンの天才でありその知性の高さからガイア再生機構の研究者にならないかスカウトされたが断った結果、封印された。
その後、封印されたまま周回リセットがかかり肉体が崩壊して精神のみになった。
戦闘面も全体万能相性魔法『
研究の専門分野は人間と悪魔を融合させた『悪魔人間』の精製と研究。無論、被験者の許可を取ってからやる程度の理性はある。
名前:パピヨン(蝶野 攻爵)
Lv:72
クラス:悪魔人間、悪魔合体師、メカニック
元ネタ:武装錬金
概要
九頭竜カズキと親友だった聖華学園第13生徒会の元会計。これでもファッションセンス以外は割と常識人である。
元々優れた技術者ではあったが、ティンダロスとの戦いの最中、病弱な肉体を克服するために最も相性が良かった妖精オベロンと合体して悪魔人間になった。
戦闘スタイルは広域殲滅特化型でギガ系と奥義として
金は使うべき時は使うが基本はあんまり金を出してくれない。特に金の使い方がアホな中学生そのものである会計補佐の予算申請は月々のこづかい以外は大体却下している。
どうやらオレ様は英雄らしい。
ガイア再生機構への協力を拒否した結果、奴らに封印されて1,000年。
真っ暗闇に閉ざされた封印の中で魂の劣化を防ぐために自我を封印していたオレ様は気が付くと、研究施設みてえな場所にいた。
「……成功した。やはり必要な因子は『シュバルツバース式ウロボロス』で正解だったか」
その合体結果に満足したかのように高位の妖精と合体した悪魔人間らしい蝶のマスクをつけた男が頷いている。
「英雄カリオストロ……? え? いやいやいやちょっと待って? なんで龍王ウロボロスと造魔で英雄が出来るの!?
そもそも伝承のカリオストロに英雄要素ないし、ていうかあいつ男じゃん!?」
「ふむ。昨今の漂流者騒動。それに伴って合体解禁された新たな組み合わせじゃないか?」
目の前には何やら頭を抱えて転げまわっている悪魔合体師らしき男と、完全造魔。
今回の悪魔合体で合体事故でもないのに予想外の結果が出たのが不本意らしい。
(こいつは……造魔か)
そいつらを無視してオレ様は自らの身体を分析する。
オレ様の身体はオレ様自ら天才美少女錬金術師として悪魔合体と改造の限りを尽くして完成させたパーフェクトボディではなく、造魔の身体になっていた。
体内の魔力は元と同等。身体能力そのものは少し高まっている。
(なるほどな。自我のない造魔とウロボロスとの合体でオレ様専用の魂の器を作った上で降霊したってってところか。特殊合体の一種だな)
何らかの要因でオレ様のボディは完全に滅んだんだろう。そして魂だけが冥界で復活を待っていた。
そして偶然……否、意図的に産み出された極めて相性がいい器にオレ様の魂が宿って現在に至る。推測完了。
となればオレ様は召喚者と主従契約で結ばれた悪魔ということになる。
ならば主導権を握るためにこの世界一可愛いオレ様の挨拶を見せてやらざるをえまい!
「はーい♪ 天才美少女錬金術師のカリオストロでっす☆ 今後ともぉ、よろしくね?」
「そうか。俺の名はぁ……パピ♡ヨン! 愛を込めて、パピ♡ヨンと呼べ!」
このオレ様の男ならメロメロ間違いなしな挨拶に華麗な挨拶で返してきたパピ♡ヨン。
……まずは合格としておいてやろう。このオレ様を使役するにふさわしいサマナーだと。
「ふっ、やるじゃねえか。良いだろう。このオレ様を使役するんだ。情けねえところは見せんじゃねえぞマスター」
「パピ♡ヨンだ。マスターでは味気がないし、おしゃれでもない。そこは拘りだ。外せんぞカリオストロ」
なるほど。こだわりか。それなら仕方がない。一流の技術者なら、美学とこだわりがねえとな。
話が合いそうだ。オレはパピ♡ヨンと固く握手を交わす。
「そうか。すまなかったなパピ♡ヨン。今後とも、よろしくな」
「ああ、早速だが、仕事に移るぞ。カリオストロ。やってもらいたい仕事はいくらでもあるからな」
話が早い。オレ様は久方ぶりに頭を仕事用に切り替える。
使役するために呼ばれた
「……なんだろうこの、ついていけない感じ」
「なぁにこの業界、変人が多いんだからこういうのもあるさ」
かくてオレ様は、再びこの世界の住人となった。
*
巨大な船だった合体施設を出た後、オレ様はパピ♡ヨンと共に街中を移動していた。
「……ふん。どうやら中世ファンタジーからは脱したようだな」
パピ♡ヨンの運転するハイエース……見た目はともかく実用性の高さでは折り紙付きの『車』の助手席に乗りながら、オレ様は外の世界を観察する。
崩れてないビルが立ち並び、車やバイクが行きかい、歩道には武装もしてない汚れ一つ浮いてない服をまとった無数の愚者が歩いている。
それは、一度崩壊した後にガイア再生機構によって管理された、エターナル連中が『中世ファンタジー』とか言いやがる、うす汚ねえ街とは一線を画す、オレ様でも御伽噺でしか知らねえ平和な日本そのものだった。
(まあ、あのレベルの悪魔合体施設が普通に稼働できる電力があるなら当然か)
オレ様の暮らしていた
発電された電力はシェルターの重要機関や上層部連中の居住区を動かすために大半が使われてて、選ばれたエターナル連中やガイア再生機構の研究者様以外には縁がねえ代物だった。
折角の悪魔合体施設も電力がなければただの廃墟にしかならねえ。まともに稼働できないせいで悪魔合体師は魔道の技術を熟練させて合体儀式をやってた。
天才たるオレ様ですらすでに忘れ去られていた悪魔合体の魔法【コンバック】を習得して合体させてたくらいだ。
(今にして思えば、そうすることで目の前の現代かそれ以上の文明を維持したままに生きてるエデンに反抗する意思を持たせないようにするって意図だったんだろうな)
そんなことを考えながら、オレ様は新たにオレ様のマスターになったパピ♡ヨンの横顔を見る。
「お前、なんでオレ様のことを知っていた?」
あの時の、悪魔合体施設での会話。パピ♡ヨンは間違いなくピンポイントでオレ様を作り出そうとしていた。
ウロボロスは再生と無限、そして錬金術の象徴であり、オレ様が封印される最後のときまで付き合わせた最初の仲魔だ。造魔を『英雄カリオストロ』を宿す材料にするのには最適解だろう。
「……オレの先生は、エルネスティ・エチェバルリアだ。そういえば分かるか?」
「なるほどな……アイツに弟子がいるって話は聞いたことがなかったが、まあそれならオレ様のことを知っていて当然か」
懐かしい名前を聞き、納得する。エルネスティ・エチェバルリアは、オレ様のライバルと言ってもいいくらいの天才だった。
崩壊前の世界のゴーレム……ロボットに対して強烈な思い入れがあるらしく、シェルターの外に出て拾ってきたガラクタでマシンをくみ上げたり、電力を生み出したりしていた。
それで崩壊前の悪魔合体施設も運用してたから、ガイア再生機構の息がかかってねえ悪魔合体施設として有名だった。
まだ、造魔研究についてもプロであり、奴の『研究所』は無数のマシンと造魔に守られた要塞じみた場所だったと聞いている。
(最後はガイア再生機構への参加を断って研究所ごと自爆して果てたと聞いたが……コイツを逃がすための目くらましだったか)
顔を合わせたことこそなかったが、エルネスティの方もオレ様の噂くらいは知っていたんだろう。
ジャンルこそ違うが同じ悪魔合体師ならば意識せざるを得なかったはずだ……オレ様と同じくらいには。
キメラとホムンクルスの専門家であり、『人間と悪魔の融合』の第一人者。そして何より自分の身体を『最強の悪魔人間』に作り替えた天才美少女錬金術師。
それがこのオレ様、アレクサンドロ・カリオストロだ。知識こそ、ガイア再生機構の研究者様と比べれば貧弱だったんだろうが、発想と頭の良さでは決して引けを取らなかったはず。
じゃなきゃ奴らがわざわざスカウトに来ることもなかっただろうしな……うさんくせえと断ったら考えを改めるまで反省させるとか言って封印しやがるような下衆どもだったが。
コンバックはいつからあったのかすらも曖昧なくらいに古い魔法だ。世界が壊れる前……恐らくはそれこそ神話の時代から存在した魔法だろう。
神話の時代、それは『人と悪魔の区別が今よりずっと曖昧だった時代』でもある。
その頃から使われていた
悪魔合体施設での合体と違い、暴走して完全な悪魔になったり、マグネタイト不足でスライムになる可能性がかなり抑え込める。逆にいやあスライム化させるのも容易だがな。
オレ様クラスの使い手ならば満月と新月を避けたり体調を万全に整えたりと事故の要因を潰して事前に準備すりゃあ100%の成功だって朝飯前だった。
(……そういえばパピ♡ヨン。合体にオレ様の技術が使われてやがんな……?)
そうして隣で車を運転するオレ様の新たな主人を見る。見た目はほぼ人間。言動も同様。
例のおしゃれなマスクとスーツを普通のものに変えれば、業界人でもない限りは普通の人間と見分けがつかないだろう。
普通は悪魔人間への合体ってのは、どっかしら悪魔の要素が強くなるもんだが、俺様のコンバックならばここまで人間と見分けがつかねえ合体も可能だ。
(オレ様に記憶にはねえ顔だ……エルネスティ・エチェバルリアがいくら天才っつってもあったこともねえオレ様のコンバックをパクれるとも思えねえが)
考えれば考えるほど謎が増える。いずれ解き明かすつもりではあるが、今は目の前のことを片付けていくとしよう。
「ついたぞ」
やがて車が止まり、パピ♡ヨンが目的地についたことを告げる。
さっきから立ち並んでいるバカでけえ建物の数々の一つだ。入口はガラスの扉に塞がれていたが、パピ♡ヨンが札状のものをかざすと、扉が開いた。
「カリオストロ。お前の最初の仕事は『学習』だ」
パピ♡ヨンに案内されながら、無数に立ち並ぶ部屋の一つに入る。
清潔感はあるが、生活感は乏しい部屋。あるのは簡素なベッドに机と本棚。と、机の上に置かれているのは……
「おい。ありゃあ電子演算機じゃないか!?」
大型の画面に、でけえ箱。ガイア再生機構に所属しないと使うことは難しい、極めて高度な電子演算機が普通に鎮座していた。
正直、ガイア再生機構に所属しないで済むなら喉から手が出るほど欲しかったものだ。
「そうだ。マシンスペックは、民生品の最高クラスでくみ上げた品だ。悪魔合体プログラムも一通り主要なタイプは動かせるだろう。
あれを使いこなせるように学習をしてもらう。『英雄』ならば人としての記憶はほとんどないかもしれんが、その知性は生きていた頃と変わらんはずだ」
そんなことを言いながら、本棚からいくつかの本を取り出して、言う。
「パソコンについてのハウツー本も初心者向けから専門家向けまで一通り用意しておいた。これを読み解けば、基本は理解できるはずだ。日本語は、読めるな?」
「当然だ。オレ様を誰だと思ってやがる」
そう言いながら『0から始めるパソコンの基礎』という本を手に取る。
「よかろう。これから1週間は、この部屋でひたすら勉強を続けろ。食料は、台所にそのまま食べられるカロリーバーと高カロリーのエナジードリンクを用意しておいた。
必要かは知らんが、腹が減ったら食え。部屋からは出るなよ。昨今は治安も相応に悪いからな」
「了解だ」
そう言いながら、本を開く。電子演算機に触るのはオレ様も初めてだ。慎重に学ぶ必要があるだろう。
「では、オレはもう行く。何かあったらメールで連絡しろ」
そんな言葉を残してパピ♡ヨンは、姿を消し、あとはひたすらに電子演算機……パソコンとインターネットを使いこの世界について学ぶオレ様だけが残された。
*
それからの1週間で、オレ様は一通りパソコンを扱えるようになり、貪るようにインターネットを活用した。
造魔がベースになった英雄の身体は食事も睡眠もほとんど必要としないため、フル稼働状態だ。
シロエwikiを見てオレ様の研究成果が乗っているかを確認し、確認したところから次の研究テーマを定め、悪魔召喚プログラムのエミュレータで簡単な検証を実施し、
キリギリス掲示板で同好の士と議論を戦わせ、パピ♡ヨンや黎明の祈り手とメールでやりとりする。
(なるほどな。これさえありゃあ研究の効率がダンチだ)
これまで、結論を導くのに1年はかかってたような内容が、ほんの一日で終わることすらある。その魔性とでもいうべき効率の良さ。
学究の徒にとっては、これ以上の代物はあるまい。
漂流者の学者や研究者や魔導士が黎明の祈り手や研究施設が整った企業、政府機関にこぞって参加していくのも納得がいく。
この研究をしたいならどこどこが良いとか、ここは待遇がどうとかいう話題は、漂流者の研究者板ではいつだってホットな話題だった。
(ガイア再生機構……アイツらもいやがるのか……)
そして、研究者たちの間でちらほらと語られる名前に、オレ様は眉をしかめた。
オレ様がこの周回に訪れるきっかけとなったあいつらは全部で3つあるらしい世界の敵たる漂流者組織の一つだった。
漂流者掲示板をよくよく見てみれば、明らかにあいつらの存在を示唆する書き込みが複数あった。
オレ様にとっては肉体を滅ぼされた恨みもある、危険な敵。どうやらこの崩壊していない世界でも社会の影に隠れながら色々と暗躍しているようだ。
どうやら他にも似たようなヤバい連中が2ついるようだが、それについてはキリギリスの方で隠してるのか一般の漂流者で見られる範囲の情報では断片的にしか分からない。
従属を迫ってくる強力な神の集団と、片っ端から人を食いつくす人食い悪魔の群れらしいが、詳しい情報はなかった。
(パピ♡ヨンならばどっちかを知っているかもしれんな)
そこで、オレ様をこの時代に誘った、パピ♡ヨンのことを思いだす。
アイツとの会話を思い出すに、この周回に存在しなかったオレ様の存在を確信すらしていたアイツは、恐らくは漂流者だ。
でなければピンポイントで英雄の条件を整えられないし、あの時『シュバルツバース式ウロボロス』なんて指定をしていたことからしてどう考えても偶然の産物ではなかった。
(そう考えると、オレ様は運がよかったな)
この1週間で、オレ様はこの世界の仕組みも大体把握することが出来た。繰り返しやり直される世界と、そのたびに産まれてくる同じ魂の持ち主。
周回と呼ばれる概念。その過去の周回でオレ様はパピ♡ヨンの師匠であったエルネスティと知己の間柄だったらしい。
その周回ではオレ様も現代を生きる悪魔合体師として同じく悪魔人間の合体についての研究をしていたと見た。
実証例がパピ♡ヨンだ。ちらりと見ただけだが、それでも得た情報を踏まえて見てみればオレ様のコンバックの特徴が色濃く残っていた。
恐らくだが、知己であったエルネスティに提供したコンバックの技術が、パピ♡ヨンを悪魔人間に改造するために使われたってところだろう。
エルネスティは間違いなく天才だが、こちらでも研究テーマはゴーレムタイプの造魔……ロボットだから、専門外だったはずだ。
「さてと……世界一の美少女としては下手な格好で男の前には出れねえよなあ?」
今日が約束の1週間……学習は終わりだ。
オレ様は風呂を沸かし、丹念に身体を磨き上げることにした。
主の前に小汚ねえ格好で出るなんて、天才美少女錬金術師の沽券にかかわるからな。
*
夕刻。
オレ様は再びパピ♡ヨンの運転する車に乗り、悪魔合体施設……業魔殿に向かっていた。
ロマニ師……あの時の悪魔合体師がオレ様について話したいことがあるという。
予約がいっぱいで多くの時間は取れないらしいが、出来るだけ早くに伝えた方が良いことらしい。
「いや、ごめんね。急に呼び出したりして」
要件を伝えるとすぐにロマニ師が出てきた。前よりやつれている。人間だったらそろそろ死ぬんじゃないかという顔をしていた。
パピ♡ヨンも若干引いている。コイツはコイツで、聖華学園とやらの悪魔合体施設の合体師の助手をやっているらしいが、ここまで酷使されることはないらしい。
「いえ……こちらにも関わりあることですから。それで、一体お話とは?」
「実は先日、悪魔合体で作られた英雄に明らかに他の『人生』を知っている特殊個体がいることが分かってね。カリオストロさんもその一人なんじゃないかなって」
パピ♡ヨンに促され、ロマニ師は早速とばかりに本題に入る。隣では助手の完全造魔が時計を確認している……この後も予約でいっぱいらしい。
「特殊個体?……そもそも英雄が特殊個体だと思うのですが、そうそう比較できるほどいるんですか?」
「まあそれを言われたらそうなんだけど……実は、一人だけ、数百、数千人規模で作られた英雄がいるんだ……」
パピ♡ヨンの当然と言えば当然の質問に、ロマニ師は少しだけ言い淀んで、それから『量産された英雄』の話を始める。
どうやら、この世界には、量産と言ってもいいくらい大量に作られた英雄がいるらしい……シロエwikiから該当しそうな英雄を考える。
「「……ジャンヌ・ダルク?」」
「うん。正解」
オレ様とパピ♡ヨンが同時に答えに行き着き答えると、ロマニ師は大きく頷いた。
「おい、そのジャンヌ・ダルクっていうのはいったいどういう英雄なんだ?シロエwikiに載ってたデータからすりゃあ確かにお手頃な戦力だとは思うが」
耐久力、戦闘能力はそこそこだが回復とバフに長け、造魔らしくバッドステータスもかなり無効化できる。
英雄にしては扱いやすい低いLvと、材料となるブラックマリアさえ手に入れば新月を待たずに作れるお手軽さ。性格も友愛で扱いやすい。
まあデータを見る限りの効率の観点で言えばそれだろうなという答えは出せたが、具体的にどういう英雄なのかまでは調べていない。
パピ♡ヨンが使う英雄は恐らくはオレ様だけだろうからな。パピ♡ヨンのLv帯から見てもLv54でカスタマイズ不可となると少々見劣りするし。
「およそ600年前にフランスという国に実在した聖女の英雄だよ。十字教の熱心な信徒だったらしくてね、回復や支援に長けてる」
「安定して強いのと、Lvも平均的には54とお手頃。見た目が良いのでサマナーの間では愛好者も多い。特にメシアン系のサマナーなら真っ先に仲魔候補に挙げる英雄の一人だ」
オレ様の疑問に、打てば響くように答えが返ってくる。やはり知的な存在というのはいいものだ。
「なるほどな。で、そのジャンヌ・ダルクとやらの特殊個体が出来上がったって?」
「うん。彼女は、ジャンヌ・ダルクとしての生を全うした後、日本人に転生したらしい。
ジャンヌ・ダルクとしての記憶はむしろ普通のジャンヌ・ダルクと比べてもかなり曖昧なんだけど、転生後の記憶はかなりはっきりと残ってたんだ。
本人曰く、転生した後は天使の導きで悪魔の宿ったオタカラを盗んで封印する『怪盗』をやっていた、と。スキルとかも明らかに普通のジャンヌ・ダルクと違うんだよね……」
「怪盗だぁ?」
なんだそれは、どういう存在なんだ?そもそも普通のジャンヌ・ダルクってなんだよ。
このオレ様がそんな疑問を抱かざるを得ない存在。なるほどそれは特殊個体だな。
そうして納得するオレ様に、ロマニ師は仮説を述べる。
「それでこれは仮説なんだけど……カリオストロさんも含めた英雄の特殊個体、これは『魂の漂流者』とでも言うべき存在ではないかなって」
「魂の漂流者……つまり『転生』に近い存在だと?」
「確かにオレ様は、物心ついてからガイア再生機構に封印されるまでの記憶は大体残ってるが……それが特殊個体の証ってことなのか?」
パピ♡ヨンとオレ様の疑問に、ロマニ師は大きく頷いて答える。
「そうそう。普通の英雄は自らの有名な逸話をいくつか記憶しているだけで、細かい人間としての記憶は殆どない。ちょうど『伝記小説1冊分』くらいの記憶しかないのが普通。
だからまあ、文字通り『一生分』の記憶を持っている英雄なんて普通はいないんだ」
……そういうものなのか。オレ様の周回では英雄なんてもの、知識としては知っていたがお目にかかったことがなかったから知らなかった。
知らないがゆえに、英雄は英雄としての一生の記憶を持つものなのだと思い込んでいた……インターネットだけでは分からないこともあるってこったな。
「それに、根拠はもう一つある。黎明の祈り手からの情報提供だ」
「うん。あの後何度か同じレシピで試してみたけど『英雄カリオストロ』は君以外には作れなかった」
続いて、完全造魔とロマニ師が当たり前のことを言った。それがオレ様が特殊個体である証らしい。
「当たり前だろ。世界のオンリーワンたる天才美少女錬金術師なオレ様が二人も三人も作れてたまるかよ」
フン、と鼻を鳴らす。この世界に伝わる『カリオストロ』についても調べたが……確かに英雄なんて間違っても言われないような残念な経歴の持ち主だった。
このオレ様とたまたま名前が似ているだけの詐欺師かへっぽこ魔術師のどっちかだろう。それと比べられるなど、オレ様の沽券にかかわる。
「まあそういうわけだから、あんまり合体とかはさせない方がいいと思うよ?」
「分かっている……元々戦闘用ではないからな。戦場には出さんしこれ以上の強化はいらないだろう」
「当然だな」
パピ♡ヨンの言葉にオレ様も頷く。戦えないわけじゃあないし、ガイア再生機構の連中に吠え面かかせたい気持ちもないわけじゃあないが、そんなことより研究がしてえと思っている。
せっかくの新しい人生と肉体と世界なんだ、楽しまねえと、損だろう?
コンバックの仕様とかは大分設定捏造しています。