そのうえでお読みください。
栗村アイリ
クラス:白魔女
Lv:61
元ネタ:ブルーアーカイブ
概要
とある周回の東京の代々木公園の森を支配していた秘神を崇める白魔女集団
『チョコミン党』のグランマの孫娘。
チョコミン党は恐るべき氷結魔法の使い手であり、
辺り一帯では勝てる者のいない恐るべき魔女の集団として恐れられていた。
あるとき、占星術を使い、新たなる神話が攻めてくるのを察知して、
祭神様と孫娘を儀式魔法を使って逃がした。
その後、新たなる神話によりチョコミン党は滅亡した。
なお、祭神様はかつてのチョコミン党創始者の仲魔であったことから、
直系の血族とLvに関係なく契約を結んでいる。
そのLvは……70を越えるという。
最近のわたしは絶好調です。なんかLvも上がって2になったそうです。
カズサちゃん、すごく有能でした。
朝起きるとご飯とおかずに糠漬けとお味噌汁が出てきます!わたしより早起きして作ってくれてます!(カズサちゃん、見た目に反して滅茶苦茶和食が得意です)
毎日掃除どころかお洗濯まで完璧にしてくれます!アイロンがけまでしてくれます!
クッキーの袋詰めも力仕事も張り切ってやってくれます!むしろわたしが手伝おうとすると本気で止めてくる勢いです!
スーパーにお買い物に行くときは絶対について来て荷物持ってくれます!ライフルまで普通に担いでいくの凄く気になりますが!
なんかいつの間にか公式サイトが開設してました!毎朝、今日の気まぐれケーキの写真アップロードしてます!
これでなんと時給1,150円です!お国に怒られない最低ライン*1です!
最初は衣食住全部保証がついてる時点でタダでも充分貰いすぎとか言ってたので何とか説得しました!
というか最初は多ければ多いほどええやろの精神で時給3,000円くらいにしようとしたらむしろ早坂ちゃんと二人がかりで無茶苦茶怒られました!
ボーナスってお幾ら万円払えばいいんですかね?とか絶対聞けない雰囲気です!
もうわたしの仕事と言えばケーキとクッキー作るだけです!なんなら計量までは勝手にやっといてくれますし使い終わった調理器具も奇麗に洗ってくれます!
なので!そう!今の仕事は!
「ぜんっぜん、お仕事が楽になってないの絶対おかしくないですか?」
……なんですよねー。いや本当どうなってるんでしょうか?
いやね、理由は分かるんですよ。毎日の作る量が半端なくなってるって。
定番3種全部作りますし、そのうえで気まぐれケーキも1種類必ず作りますし。むしろ毎日2回焼きますし。
クッキーはもう、わたしに袋詰めしろって言われたら黙って逃げ出すくらい焼きますし。
……それで廃棄ほとんど出ないって本当にどうなってるんでしょう?なんかこう、行列のできる人気パティシエみたいになってるんですが。
カズサちゃんが接客するようになったからか、お昼でもお店の席割と満席になるの珍しくないですし。
「ごめんね店長。流石にお菓子は、ほとんど手伝えなくて……」
「いやいやいや。カズサちゃん、どんどん腕上げてますからね?」
いや本当に。毎週水曜日の午前中しか教えてないのに料理の基礎は出来てるからか多分3年くらいでお客様に出せるレベルに達するくらいの勢いです。
今はまだ、流石にこれでお金取るのは……って出来ですが、お菓子作りって割と経験値がモノを言うので、それは仕方ないです。
というか小中高とずっとお菓子作りばっかりしてて、それでザ・灰色の青春だったうえに勉強おろそかになって大学受験失敗したのに、あっという間に抜かれたらそれはそれで悲しいじゃないですか。
などと思いつつ、ちょっとしょんぼりしてるカズサちゃん(敬語とかこっぱずかしいので普通に話してもらってます)を慰めます。
とはいえ、忙しいのも事実。どうしましょうか……あ、そうだ。
「じゃあもう、もう一人雇いましょうか。最近、あの値段でも黒字でるようになりましたし」
カズサちゃんがすごくびっくりした顔をしてこっちを見てきました……え?なんか、まずいですかね?
流石にカズサちゃんレベルがもう一人来るとは思ってませんが、普通の子でももう一人増えれば絶対楽になると思うんですよ。
「……分かった。店長がそういうなら……面接には早坂先輩にも絶対に来てもらうようにするから……」
え?なんかちょっと悲壮感出てるのなんなんですかね?ちょっと一人増やすだけですよ?
人間関係はちょっと心配ですが、そこは人材ガチャでSSR2連発で引いたわたしの豪運を信じましょう。
「募集するの『白魔女』でいいよね?私が出来ないジャンルで必要だって考えると」
え?白魔女って雇えるんですか?なんかおばあさん以外の白魔女とかどこにいるの?レベルで知らないんですが。
「は?いやまあ、白魔女でいいんじゃないでしょうか?」
「了解。漂流者の白魔女だったら、多分行けるから……漂流者向けの就活サイトで、募集するね。店長」
ああ、ひょーりゅーしゃ。なんかこう、異世界的なところから来た方々で、今のレルムに住んでるっていう。
そういえばカズサちゃんもひょーりゅーしゃなんでしたっけ?
まあ、普通の女の子に見えるんですが。
そう思いながら、カズサちゃんが手早く募集の告知作っていくのを見ます。
クスノキ洋菓子店にて『白魔女の』お菓子職人見習い募集!
募集人員『先着』1名!(合否は店長と店員一同の面接の上、その場でお知らせします)
お菓子作り未経験者歓迎!(経験者でも可!むしろ優遇!)
お仕事は簡単!(『白魔女なら』誰でもできる簡単なお仕事です)
週休1日!(定休日の水曜日のみ、あと年末年始とお盆、祝日はお休みです)
当社寮完備(洋菓子店2階の客室です。当店店員と相部屋となります)
光熱費無料!(店のお風呂とか台所とか好きに使っていいです。代わりに毎日当店店員交代で掃除と洗濯してください)
一日3食の賄いつき!(料理は当店店員と交代で作ることとなります)
今なら1日1個ケーキのおやつまでついてくる!
給料は応相談!
アットホームな職場です!
就職希望の方は漂流者向け就職支援サイトの、以下のURLを今すぐクリック!
……なんか前より微妙に条件悪くなってません?え?白魔女ってこんなので雇えるんですか?
「いやいやいや。カズサちゃんこの条件で来るわけが」
「締め切ったよ、店長」
「うそぉ!?」
登録した瞬間とほぼ同時でした。え?マジですか?
「……あまりにも早すぎるので嫌な予感したけど。ごめん、店長、ミスったかも」
あ、登録ミスとかそういうのですかね?納得しました。まあ、よくあることです。
「ヤバいのがひっかかった」
と思ったらなんか違うみたいです。え?どういうことでしょう?
などと思いながら、応募してきた子のプロフィールを見ます。
栗村アイリちゃん、15歳、職業白魔女、Lv61……
「え?なんかすごくいい子っぽくないですか?普通の子っぽいですよ?」
写真見る限り、なんていうか、魔女って感じじゃなくちょっとこうヤンキーっぽいカズサちゃんより、普通の子に見えます。髪の毛も普通に黒髪です。
まあ、15歳で住み込みってことは普通に中卒になってしまうわけですが、それはまあこの業界だとよくあることですし、学歴って割とどうでもいいですし。
「……あのね店長。覚えておいて」
といった感じで???と言った顔をしているわたしにカズサちゃんがため息ついていいます。
「Lv61の白魔女ってね、今の業界基準でもものすごい猛者だよ。正直あたしでも勝てないくらい」
ほえー、あのどこの映画3部作ですか?な壮絶な人生送ってるカズサちゃんでも勝てないレベルですか……え?なにそれこわい。
*
というわけで定休日の水曜日。いよいよ面接の日が来ました。
なんていうか、カズサちゃんも早坂ちゃんもめっちゃピリピリしてます。早坂ちゃん、普通に学校サボって面接に来た上に、完全にメイドモードですし。
……なんていうか、もしかして、ミスりましたかね?
なんて思っていますと、早坂ちゃんが一人の女の子を連れて入室してきました。
カズサちゃん曰く、カズサちゃんより強いらしい子を。
「失礼いたします。面接希望者をお連れしました」
「よ、よろしくお願いいたします!」
ちょっとびくついてる、女の子……アイリちゃんがおっかなびっくりという感じで入ってきました。
早坂ちゃんはそのまま入口に陣取っています。そういえば店員一同ですから、早坂ちゃんも参加するんですねこの面接。
(あんまり白魔女って感じじゃないですね……というか、普通?)
着てる服も普通ですし、魔女って感じの帽子もローブもないですし、杖も箒もないですし、装飾品じゃらじゃらって感じでもないです。
いやまあおばあさんも魔女って言われないと分からないというか、大体こんな感じでしたが。
「初めまして。当店店員の杏山カズサと申します。本日は、面接官を担当させていただきますので、よろしくお願いいたします」
わお。めっちゃ敬語です。すごい面接官っぽいです。椅子のすぐそばにいつものライフル置いてるのはどうかと思いますが!
「は、はい。よろしくお願いいたします!この東京はヨヨギ公園を根城にしていた白魔女『チョコミン党』のグランマの孫娘、栗村アイリと申します!」
あ、名乗りは普通に魔女になるんですね。
どこか初々しい感じの挨拶をしてくれました。うん……チョコミン党?
「えっと、その……もしかして、チョコミントとか、お好きだったりします?」
「はい!もちろんです!」
おお、正解でしたか。そういえば髪飾りとか服とか微妙にチョコミントっぽい色合いのもの選んでますね。
ちょっと和みました。
「……ではまず、どうやって当店のことをお知りになりましたか?」
カズサちゃんがめちゃくちゃ不思議なことを聞きました。
どうやってもなにも、サイトを見てじゃないんです?
「……その、占術にて事前に情報を掴んでいました。
アルカナの導きで、あの日あの時間にサイトを見ることが運命を切り開く、と」
わお、言ってることがめっちゃ魔女。見た目普通なのにめっちゃ魔女です。
「あなたの運命とは?」
「お、恐らくですが、わたしの祭神様が関わっている。そう見ています」
はあ。祭神様。なんかこう、不思議な言葉ですね。
「……祭神様とは、どのようなお方ですか?」
「……お呼びしてもよろしいでしょうか?ご自身からご説明したいとのお告げがありました。チョコミン党の後継者、栗村アイリの名をかけて無体な真似はしないと誓います」
その瞬間、カズサちゃんと早坂ちゃんが滅茶苦茶緊張しだしました。
え?なに?なんですこの空気?
「……いいでしょう。お呼びください。
先ほどの誓い、忘れたとは絶対に言わせませんよ?」
なんかこう、ヤクザ映画っぽい雰囲気で、カズサちゃんが言いました。
手元にライフルを寄せたまま。
「もちろんです。本日はあくまで、このお店で働くために来たので……
祭神様。栗村アイリの名のもとに、契約に応じおいでくださいませ……サバトマ」
おごそかにそう告げると同時に、アイリちゃんの隣に魔法陣が現れました!
え?もしかして本当に……?
そう思うと同時に、魔法陣からにゅっと何かが姿を見せました。
「ヒーホー!オイラは【秘神 チョコミントフロスト】だホー!よろしくだホー!」
……え?なんかこう、神様ってわりに思ったより、ショボいというか……
これ、あれですよね?時々サマナーの人が連れてた雪だるま君ですよね?
なんかこう、ゾンビカラーというか、黒いぶつぶつが浮いてる緑色なのがちょっと不気味なような可愛いような……うん?
「もしかして、チョコミントの神様でしょうか?」
「そうだホー!チョコミン党に崇められ幾星霜、信仰パワーで神に至った凄い奴!それがおいらだホー!」
おお、正解でしたか。まあ、チョコミント好きの子が呼ぶ神様ならそりゃあチョコミントの神様ですよね。
名前にまんまチョコミント入ってましたし。
ていうか神様、普通に可愛いですね。神様って感じじゃないですけど。
「うわ……くっ、よ、ようこそおいでくださいました。祭神様」
「……これが、今の東京の普通……なるほど、恐ろしい」
カズサちゃんと早坂ちゃんはなんかこう、すごい怖がってる感じです。
身体震えてますよ?大丈夫ですか?
結構かわいいと思うんですけど……もしやこれが、ジェネレーションギャップ!?
「さ、祭神様。本日は何故、当店を訪れたのでしょう?」
カズサちゃんが滅茶苦茶緊張しながら、質問しました。
「決まってるホー!ここに伝説の『チョコミントスペシャル』があると聞いたからだホー!」
……チョコミントスペシャル?え?なんですそれ?知りませんよそんなの。
「あ、あの、わたしから詳しく説明させていただきます!」
わたしの困惑に気づいたのか、アイリちゃんが大きな声を上げて、立ち上がりました。
「……どうぞ」
「まず、祭神様は、氷結魔術の名手です。『氷結の呪が本来効かぬものですら凍らせる』恐るべき力を持つ、氷の神様です」
ふむふむ。つまりめっちゃ凍らせるの得意と。
よくわかりませんが、二人が滅茶苦茶びっくりしてるので、そういうものなのでしょう。
「そして、祭神様は、供物を捧げることで、秘奥義とでもいうべき、恐るべき氷の魔術を使うことが出来ます」
「そうだホー!アレがないと力が出せないんだホー!」
アレ?アレってなんでしょう?供物というと、こう、お酒とかお米とかそんな感じでしょうか?どう見ても生贄とかほしがるタイプに見えませんし。
「……アレ、とは?」
カズサちゃんが緊張したまま聞きます。供物、一体何が……
「はい……秘奥義の名は『チョコミントブリザード』、緑と黒の吹雪で敵を凍りつかせ、動きを鈍らせ、歩みを遅める。恐るべき魔術です。
そして必要な供物は……チョコミントアイスです」
……え?ええ?なんか必殺技の割に名前ダサくないですか!?
それに神様への供物って、割と普通にそんなもんで良いんですか!?
「チョコミントアイス……なるほど、Lv61のからくりは、それでしたか」
「はい。先日のレイドで一気に霊格を鍛えさせていただきました……この世界だと使い放題な上に、ハー〇ンダッツを捧げれば《ダイン級》に至ります」
は、ハーゲン〇ッツ!?普通のアイスよりお高いアレ!?
……いやまあ確かに普通のより高いですけど、普通にコンビニで買える奴じゃないですか。
だいん級というのは、あれでしょうか?おいしさの単位とかでしょうか?
おいしさだいん級!みたいな。
「あれがいくらでも手に入るとか、この世界マジヤバだホー!
前の世界では普通のチョコミントアイスですら数年に1個とかそういうレベルだったホー!」
「……ダイン級。かぐや様ですら未だ容易くは扱えぬ領域ですのに。
供物を捧げれば連発できる……と?」
早坂ちゃんがめっちゃシリアスな顔でポツリと呟きました。
なんでしょう。この置いてけぼり感。
「……ちょっと待ってください。つまり、チョコミントスペシャルとは……
あの日の、店長の気まぐれのことですか?」
何かに気づいたらしいカズサちゃんがぽつりと呟き、それで思い出しました。
「ああ、あの日のチョコミントクリームサンドしたチョコミントパンケーキフルーツ乗せ!」
あの日はうっかり寝坊して、もう定番分しかケーキ焼く時間ないのできまぐれはパンケーキで誤魔化そう。そう思ったのが始まりでした。
事前に焼かなくていい代わりにパンケーキは注文受けてから焼かなければなりません。つまり提供までめっちゃ時間がかかります。正直、出したくない。
なので、一計を案じたのです。好みがわかれまくる味の筆頭、そしてどっちかというと苦手な人が多いチョコミント塗れのパンケーキにしようと。
チョコミント入りの青い生地!青いチョコミントクリーム!上からかけられる果物のシロップ漬け!とどめもういっちょ青いチョコミントクリーム!
食べてみたら結構さっぱりあっさりちょっぴり辛いで悪くなかったんですが、見た目がすごいしミント臭もすごい。
計画通りに頼む人は殆どいなかったのです……お昼は。
(なんでか夕方から滅茶苦茶人増えたんですよね……)
もう次から次へとチョコミントマニアが集まりました。この東京のどこにいたんだ?って感じで。
パンケーキだったので、売り切れというのは中々難しいです。
生地作って焼いて飾り付けるだけなので。
なので閉店まで延々と焼き続けました……
二度とやらないと誓いました。寝坊もしないと。
「あの日、私は遠征に出ていて、食べられませんでした……ですので、ぜひとも一度食べてみたい。そしてできればその作り方を習いたいと思い……」
なるほど、つまり、ファンだったわけですね。
「店長!?」
がたりと立ち上がったわたしに、カズサちゃんが驚いた声をかけてきます。
「早坂ちゃん、どいてください」
「……店長?どちらへ?面接中ですが」
早坂ちゃんが険しい顔をしてますが、ほら、これでもお菓子職人なわけですし?
「ちょっくらチョコミントスペシャル作ってきます。祭神様も喜んでくれそうですし。みんなの分も作ってきますので」
「ヒホ!?」
「いいんですか!?」
お二人が驚いた笑顔になったところで、わたしは頷き返します。
「もちろんですよ。これでもお菓子屋さん、ですので」
お菓子屋さんなので、お客様が食べたいというなら、作ってあげるべきでしょう。
それにほら、パンケーキならすぐできますし。
手早く、素早く生地を作り、焼きながらクリームを混ぜます。
ミントの色つけたら、チョコチップ混ぜて、甘さ強めのイチゴジャムを掛けて、甘酸っぱさと辛甘さが混ざるようにします。
そして酸っぱさを出すために、さっとレモンを振って、出来上がり。
一度作ったレシピなのではやいはやい。
「はい。できましたよ~」
その間、15分。5枚の人数分、祭神様は量2倍のおまけつきでお出しします。ぱくりと食べて。
(うん。やっぱちょっと辛いですね。あと鼻がすーすーします)
やっぱり食べられないわけではないけど、積極的に注文しようとは思わないくらいの味ですね。
そんなことを思いながら、他の子たちを見ます。
早坂ちゃんと、カズサちゃんはちょっと緊張しつつも普通に美味しそうに食べてます、チョコミントは普通っぽいですね。
アイリちゃんは、満面の笑顔です。やっぱりチョコミントが好きなんだな、と。
で、肝心の祭神様は……は?
「こ、こここれはぁ!?このうまさ!間違いない!
《バリオン級》だホオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
め、目からビームが出ている!どういうことですか!?
美味しいものを食べるとそうなるんですか!?なんかのアニメですか!?
「アイリ!祭神様として命令だホー!これを作れるようになるため、何が何でもそこの魔女に弟子入りするんだホー!」
で、弟子入り!?いやいやいや、確かアイリちゃんってLv60以上ある凄い魔女なんですよね?
「はい!もちろんです!」
もちろんなの!?
「ば、バリオン級……?」
「バカな……まさか、扱えると……?」
やっぱりお二人はすごいシリアスな顔で言っています。ついていけない。
なんかこう、わたし、場違い?
「なんでもいたします!どのような命令でも従います!
必要なら契約すら厭いません!お願いします!
わたしを、弟子にしてください!」
ど、土下座!?土下座ですと!?
ごく普通のお嬢さんであるアイリちゃんの土下座に、え?むしろこれ、雇って大丈夫なのって気持ちになります。
ちなみに早坂ちゃんとカズサちゃんは黙りこくってすごくこっちを見てます。
無言です。決定権、わたしみたいです。
(カズサちゃんの時は早坂ちゃんがパパッと決めてくれたんですが)
まあ、仕方ありません。いま、決断のとき!
「えー、あー、うん。わたしなんかでよければ、頼りないかと思いますが、よろしくお願いいたします」
パッと、アイリちゃんが顔を上げました。めっちゃ笑顔でした。
……ていうかこの流れで断れるほど、わたしのキモは太くないのです。
というわけで、わたしのお店に、二人目の店員で、はじめての弟子が出来ました。
いやあ、ニート寸前から一気にまともな人っぽくなった気がします。
「よし!じゃあ今夜はお祝いと、あと、明日はアイリちゃん初出勤の記念で、やっちゃいますか!チョコミントスペシャルデー!」
と、上がったテンションのままに宣言します。イエー。
……あの、みなさん?なんでみんなこっち滅茶苦茶見るんです?もしかしてまたなんか、やっちゃいました?
「ホホー!?本当に、マジでやってくれるのかホー!?魔女の名に誓うかホー!?」
ゾンビカラー雪だるま君こと祭神様がわたしに問うてきます。いや、そこまで重い話じゃないかなって思うんですが。
「ええ。もちろんですよ。なんならいつものクッキーだってチョコミント味にしてやる勢いです」
「そ、そんなことまでできるのかホー!?」
「できますよ。そりゃあまあ」
あのクッキー、ナッツとハーブさえ入れれば結構味は変えてもいいものですし。
おばあさんが生きてた頃は結構チョコチップだったりチーズ入りだったりしました。わたしはめんどいのでプレーン一択でしたが。
この際ですのでもうミントとペパーミントオイルの在庫一掃するつもりで行きましょう。ミント祭りです。
いいのです。基準はいつだってわたしのノリと適当なのがクスノキ洋菓子店ですから。
「わ、わたし!仕込み手伝います!あのクッキー、ナッツとハーブにウィッカの下処理が必要なんですよね!?」
「おお!多分そうです!アイリちゃん、やっぱ凄い魔女なんですね!」
そっか、おばあさんから教わった通りの手順でやってたアレ、アイリちゃんでもできるんですね。
なるほど、だから白魔女だったと。カズサちゃん、やっぱり頭いいんですね。
「それと、お店の周りお掃除してきます!結界とか、ちょっと綻んでましたし!」
そんなことまでしてくれるんですか。アイリちゃん、もしかしてSSR枠でしょうか。
「……早坂先輩。明日、学校休めます?」
「……恐らくですが、許可は出るかと。覚悟は決めておいてください」
……うん?早坂ちゃんとカズサちゃんがすごいシリアスな顔で話してます……覚悟?
「店長様。ご提案があります」
覚悟ってなんだよ?と思ってきたらずずいっと早坂ちゃんが迫ってきます。
「な、なんでしょう?」
「明日なのですが、定番枠は作らず、ミントスペシャルの提供に全力を注ぎましょう。パンケーキですので」
……え?ああ、そういえば出すの大変でしたもんね。
うん、いいんじゃないでしょうか?
「そうですね。明日は飲み物とクッキーとミントスペシャルのみのミント祭り。
これで行きましょう」
「分かった。店長が言うなら、頑張るよ。サイトに、告知上げておくね」
……確かに、味の好みがわかれるミント祭りともなれば、うっかり来てミント祭りだとがっかりしちゃうお客さん出ますね!
すごいなあ。わたしにはとても思いつかない。カズサちゃん、すごく頭いいです。
そんな感じで、色々準備して、寝ました。明日はクッキーだけなので、いつもより長く寝ました。
で、翌日。
「……な、なんですと!?」
わたしは、驚愕しました。クスノキ洋菓子店で初めて行列が出来ているのを見て。
「店長、チョコミントってね、好き嫌いはすごく分かれるけど……
その分好きな人はすごく好きなの」
「チョコミントファンなら、絶対着たがりますよ!
クスノキ洋菓子店スレでもものすごく盛り上がってましたもん!」
……カズサちゃんとアイリちゃんが口々に言います。
つまり、気づいてなかったの、わたしだけ?
「やっほ~☆今日は多分死ぬほど大変だと思うけど、頑張ろうね☆」
早坂ちゃんがいつものJKスタイルで朝から登場しました。えー、あー、うん。
ここからが、本当の地獄だ……ですねはい。
ちなみにチョコミントクッキーの方は祭神様からアイスじゃないので《ダイン級》との評価を無事いただきました。まる。
そして店長以外は全員悪魔業界に詳しいのです。