正直なところ、没になるか否かが微妙なラインでした。
作者は、クトゥルフ神話TRPGが結構好きです。そのうえで頭悪いなりに考えました。
『最強の神であるティンダロスと正面から殴りあえた聖華学園とは一体何だったのか』
これが、私なりの『回答』になります。
多分『発生確率1/65535は伊達じゃない』くらいにはなれたと自負しています。
もしもこの世界に本当に将棋の神様が居たのなら、断言できる。奴の種族は『狂神』だ。
だってそうだろう?あいつときたら、この世界から将棋を根絶したんだぞ。
もし僕が将棋の神様だったなら、すべての研究を奪う。そうすればもっと将棋に強くなれるんだから、やらない理由がない。
いや、そこまでする必要すらない。優秀な
黙っていても将棋が強くなれる。素晴らしい一手だ。
でもそれをしなかった。だから、あいつは狂った狂神だし、敵じゃない。将棋が産まれた時代の古い定石しか知らない奴なんて、最近ぐっと棋力上げたクインタ君より楽に勝てる。
神話とか民話ってやつは、戦術室長になってから色々読んだけど、いまいち理解は出来なかった。
だから、僕に理解できたことは一つ。
神 様 は 騙 せ る
神様とか悪魔は、人間より強い。むしろ勝負にすらならない。
だけど、騙せる。人間の悪知恵と口先によって騙して、勝つことが出来る。そういう話は結構あった。
まあ、失敗して逆に酷い目見せられる話もたくさんあったから、騙せるけど、騙しきれるとは限らない。
うん、まあ、将棋と一緒だね!
やはり将棋こそ人生で世界だな。知りたいことは大体将棋が教えてくれる。
なんてまあ、僕はもうここで死ぬんだろうなと思って、こうしてノートに色々適当に書いている。思いつくままに、だ。
末期がんでもってあと数日の命らしいから、もう延命治療すらしてない。
多分明日には腕も動かなくなる気がするから、こうして思ったことをノートに書いている。
まあ、やれることは昨日終えたから、もう思い残すことは無い。
周回という概念を、理事長は隠していた。それが世界の秘密だと。もっと早く言ってほしかったけど、まあ教えてもらえなかったから、しゃあない。
最後の最後にお義理でお見舞いに来たら、一昨日に目覚めた僕の『異能』で見抜かれるなんて、理事長は思ってもみなかったんだろう。未知に弱いんだろうなと思った。
だからお返しに一つだけ、毒吐いてやった。
『理事長の頭の中身全部電子データかなにかにして、未来の周回の自分に渡したら、色々やりやすくなりません?』と。
なんか考え込んでたから、多分通じたと思う。ダメでもまあ、僕はもう死ぬから知ったこっちゃない。
僕の愛する
まあ、それも知ったこっちゃない。多分、まいんとクインタ君が頑張ってくれるさ。昨日、初めてクインタ君の姿見たけど、すげえ苦労人っぽい美青年だったし。
それに僕は知ってる。僕の子供たちはみんな、とびっきりにおかしい奴らだ。方向性は違うけど、みんな揃ってればどんな困難だって乗り越えるはず。
カズキがまとめ役で、それぞれが得意分野で頑張るならば、きっとどんな相手にだって負けないって信じてる。
というわけでやることはやった!心残りなんてないぞ!……いや、うそだな。
心残りがあった、天衣とあいについて。どっちもとんでもない将棋の才能が宿った二人について。
将棋指しの子供は将棋指しに向かないなんて言われてるけど、僕にはわかった。天衣にはすごい才能がある。戦いの才能が足りない分だけ将棋が宿ってる。
だから、将棋の才能で言えば世界最強の女子だった姉弟子の名前を、銀子を付けようとした。バレてあいに怒られたけど。
男の子だったので桂香をもじるというかそのまんまにして桂馬にしたときはバレなかったのに。直球すぎたらしい。
とはいえカズキが必死になって考えてくれた名前も悪くは無かったので、良しとする。
天衣無縫、良い言葉だ。戦いなんて捨てて将棋やってくれそうだ。天衣が大人になるころには人間がまた将棋できるようになるくらい平和になってほしい。
それとあいについて。才能はあったが、将棋を教える時間が足りなさ過ぎた。
僕が一から将棋を教えていたら、女性プロどころかこの僕に勝って、竜王にすらなれたかもしれない。
でももう、何回転生しようとも二度と会えないだろう。それが心残りだ。
昨日、少しだけあいについても見えた。あいは滅多に誕生しない。たいていはふゆことかいう女に生まれる。
あいに生まれ変わったら将棋をやりたがって僕と出会う……うんまあ、普通にあり得ない奇跡だな。
多分生まれ変わったら、今の人生を全部忘れたなら、僕はまた将棋を指すだろう。今の、将棋を捨てた僕は二度と発生しないと思う。
だってほら、何も知らない僕が将棋やらないとかありえないし?
将棋を捨てたはずなのに結局死ぬ間際になって将棋に戻ってきてしまったんだ。僕の魂にはもう、将棋が染み込んでいる。
そして、将棋に関わらないであろうあいとは多分二度と出会わない。今の九頭竜あいが悪魔に転生して無限に生き続けるとかそういう話でもない限り。
だから、お別れ。29歳でがんで死ぬ。良い死に方じゃないか。村山聖*1そのまんまで、実に将棋な終わり方で。
*
「……と、こんなところかな」
誰もいない深夜の保健室で、思いのたけを、遺書をつづり終えて僕はようやくやり遂げた満足感に包まれる。
誰もいない最後の夜に遺書を書こうと思い立って、一気に書いた。すっきりした。
これで終わるのは、もういいやってなった。あとは頑張ってくれ。
……あ、やらなきゃいけないことがもう一つあった。
僕は書き上げた遺書をびりびりに破って丸め、水でお腹の中に流し込んだ。むせたけど、うん。これでいい。
あんな遺書見られたらドン引きされちゃう。
というわけで今度こそ終わり。僕はあと数日の命を生きるためだけに目を瞑って、寝た。
……満足したせいか、死ぬまで二度と目を覚まさなかった。
これが、チートスキル『学園受胎(人力)』だ!
……巫女様陥落させるのに異能が必要だったのは、ちょっと残念だったね!
というわけで、細かい設定はこちら。
カグツチなんて頼らなくても、村一つ分くらいなら変えられるさ。人間だもの。
九頭竜八一
Lv:1
クラス:狂人(瀕死)
スキル:メタ・アナライズ、正気度ロール無効(正気度0のため、これ以上狂いようがない)
元ネタ:りゅうおうのおしごと!、クトゥルフ神話TRPG(正気度0の狂人)、鴻上聖(真・女神転生オタクくんサマナー 〜世界滅亡パパ活計画を阻止せよ!〜)
ガンによる死の間際のほんの数日だけ覚醒した、新たなる異能者にして狂人。覚醒したことは誰にも知られず、一歩もベッドから出ることなく病死した。
片鱗は見せていた。彼はどんな悪魔でも恐れなかった。
異能者や覚醒者を前にしても、狂人を見ても『普通の人間』として扱い、あいを背負い、九頭竜を目前にした死の間際にあってなお、勝利への渇望で動き続けることが出来た。
そして逆に娘についた強大な神を前にしても全くひるまず将棋を指せた。
彼にとって、世界は、家族は、清滝一門は、そして将棋はもう『壊れた』のだ。そうして彼は逃げ込んだ。
この世界は『滅びかけてるけど滅んでないかつての世界だという妄想』に。
狂人だが、普通の人間の振りなら出来た。
かつての『彼の世界』だった『将棋の世界』にはそういう奴がいくらでもいたから。
楽しく生きることは出来る。だけど悪魔は許せない。この世界を滅茶苦茶にしたんだから、敵だ。何がなんでも駆逐してやる。僕 以 外 が 。
そう思いながら死ぬまでの間、ひたすらに人々に植え付け続けたのだ。
将棋……すなわち『
魔丞でもなんでもないので異能なんてものに頼らずに、人間なら誰しもが持っている、頭と口先と手足を駆使して。
まず戦術は、九頭竜技巧は誰でも使いやすい形にしなくてはならない。替えの効かない駒は、強いけど脆い『芸術品』だ。
九頭竜との戦いで『かつての世界の大人の異能者』が大体死んだのは悲しいことだがやりやすくなったと喜ぼう。若い子供の方が
天才がたくさんいるのは気づいていたが、それを凡人だと思い込ませた方がきっと使いやすいだろう。手駒に、天才のプライドなんていらない。
だけど僕を愛するあいと僕の子供たちは、みんな非凡な天才だ。僕を愛する彼らが『この世界を支配』すれば、僕の考えた九頭竜技巧をやりやすくなるだろう。
理事長の秘密だって『見抜いた』ぞ。せっかくなので最後に毒のブレスの一つもはいてやろう。竜王Lv0らしくね。
それでいいだろう?ネットの奴ら言ってたもの。僕は竜王の癖に勝てないクズな『クズ竜王』だって。
あえて言おう。あの世界は歪んでいた。一人の
……無論、この世界は決して『将棋』ではない。故に多分に運が絡み、それをすべて乗り切ったからこそ、あの世界は生まれた。
聖華学園(将棋)
『勝つために手段を選ばない』をモットーに、3,000人ほどがひたすらに戦術研究を進める『将棋のコトワリ』に支配された世界。
ここの住人は一見すると普通の親切な現代人に見えて根本的なところがちょっとおかしい。社会を敵に回すのをとても嫌がるためである。
当然だろう。社会を敵に回せば、それだけ勝率を下げることになるのだから。
世界観としては作者がプレイしていたソウルハッカーズ1と魔神転生2、ライドウシリーズについてはほぼ仕様を網羅してるレベルで20年かけてものすごく深いところまで研究を進めた。
多分超上位悪魔の固有スキルとか以外は大体知ってるレベルである。
また、造魔の天才技術者エルネスティ・エチェバルリアを学園で雇用していた関係上、造魔については一部特殊技術の開発に成功するくらいの技術レベルに達している。
その反動で、悪魔の『性格』については、やや軽んじている部分がある。世界で主流だった悪魔召喚プログラムがアナライズに『性格』の項目がないDIOシステムだったためである。
そのためか『イロハのイブキ』などの例外はあれど悪魔は道具であると考える傾向が強い。悪魔をこれ以上なく道具とみる『狂死スペシャル』がそれなりにとはいえ普及したのもこのためである。
他のメガテン作品については巫女様から軽く聞いた程度であるため、相性無視テトラカーンや、ドロンパなどのマイナー魔法については知らない。そこが隙になっている。
また、ティンダロスと交戦した経験上、世の中にはまだまだ自分たちが知らない未知があることを痛感したため、未知を暴くことと、未知を学習すること、そして自分たちの戦術を教えることを好む。
戦術をバラまけば、その分、誰かが勝手に研究を進めてくれるはずと考えているのだ。無論、各個人だとそれぞれ『奥の手』を隠してはいる。
なお、本来得意とする戦術は『集団戦による数の暴力』であり、圧倒的な個であるティンダロスに対抗する弱者の戦い方を好む。
だが、勝利のために『自分』を殺すことを基本的に厭わない。故に最後に第13生徒会という形で生き残らせるのは、単独や少数精鋭でも戦えるとびっきりの『芸術品』を選んだ。
なお、狭い村社会に近い世界で育ったため、社会戦には非常に弱い。
億単位の人口がいる複雑な社会を理解しきれないのである。
この弱点は社会戦において最強格であろう巫女様が手綱を取ることでバランスが取れると、当時の理事長は考えていた。
……全滅しても計画のキモであるMicopediaを託せたならもういいや、と割り切ってた部分も多分にあるが。