中野
Lv:55
クラス:デビルサマナー
元ネタ:世話焼き狐の仙狐さん
現在の東京では珍しくない、ごく普通なこの周回産まれの脱サラデビルサマナー。
子供の頃に祖父母の村で【秘神センコ】と出会い覚醒した後は、学生やサラリーマンをやりながらデビルサマナーをやっていた。
社会生活と二足の草鞋を履いてたせいか『普通のサラリーマン兼務できる』という『極めて貴重な特技』もちなのに気づいてないのは本人だけ。
ちなみに原作通りのブラック企業だったが、覚醒してLvも高かったので、割と余裕だった。
いつか、大人になったら仲魔にすると約束していた秘神センコがいたが、そうなる前に、センコが狂い堕ちて祖父母の村を滅ぼし、討伐され消滅した。
そのことがトラウマになり、狐系の悪魔と上手く接することが出来なくなった。
……そして、センコにそっくりな悪魔人間の漂流者を拾い、色香を感じながら、どうすればいいかを思案中。
オレが覚醒したきっかけは、ガキの頃の夏休みの小さな出会いだった。
忘れられた小さな神社に冒険で訪れて、随分と力が衰えた忘れられかけてる悪魔……秘神と出会う。
ーーーわらわの名は、センコ。このお社に住まう神使の狐じゃ。おぬし、名はなんという?
生まれついて覚醒しているような名家じゃない、ごく普通の家に生れ落ちた突然変異が、子供の頃に覚醒する方法。
大抵が命にかかわることになることが多い数ある覚醒のパターンの中では、最も穏やかで優しい覚醒の仕方の一つだと言われている。
なにしろ何十年、何百年も討伐されずにひっそり暮らしてたような悪魔だ。どんなに強くとも、子供にも優しいような穏やかな気質の奴しか残っていない。
それから、本当に小さな、妖怪って言いたくなるような悪魔が見えるようになり、そいつらと穏やかに遊んで、オレの小学校の頃の夏休みは充実していた。
毎年、小学校が夏休みになると遊びに行った。一年のうちで、遊びに行くのは夏休みだけだったから、1か月ちょい遊んだ後は、また1年お別れだった。
そのことが酷く寂しくて、一度だけ聞いたことがある。寂しくないのか、と。そうしたら、にやりと笑って言った。その時だけは、悪魔に見えた。
ーーーわらわはもう800年の時を生きておる。1年なんぞすぐじゃ。
人間と悪魔は、時間の感覚が全然違う。何百年も生きてるような秘神ならばなおさら。
……だったら。
「あ、あの!オレ、鍛えますんで……Lvが上がって、力量が追い付いたそのときには、オレの『仲魔』になってくれませんか!?」
分かっていた。センコさんのLvは30。当時はまだ10歳でLvだって覚醒したころと同じ『1』だったオレがその領域に達するのにはきっと、何年もかかる。
覚醒したときに裏の、悪魔業界については聞かされたし、しかるべき進路に進むなら、デビルサマナーになる『準備』もしてあげられると言われた。
だがオレは、悪魔と戦うのは怖かったから、ずっとお守りで身を守って生きてきた。これまでもこれからもそうだろうと思っていた。
そんなオレの、一世一代の決心だった。
「……よかろう。いつか、わらわを使役する力量を身につけ、また来るがよい。その時こそ『今後ともよろしく』してやろうぞ」
そう約束した後の夏休み明け。オレは、両親を説得し、聖華学園に転校して、学生デビルサマナーになった。
大した才能は無かったから、必死に努力した。同じように学生サマナーをやってた友達からは、必死すぎて怖いって言われるくらいに。
そうして、じっくりと鍛えて8年かけ、高校卒業間際にようやくLv30に達したころ……センコさんは、狂ってしまった。アイツのせいで。
あの頃。まだ『ファントムソサエティ』が滅んでなくて、その名前を出すことすら危険だと言われていた頃。
『秘神使い』と呼ばれていたダークサマナーがいた。
そいつは、各地に封印されたり、共存してたりする秘神を探し当てては『仲魔』に加えるやばい奴だった……ありとあらゆる手段を使って。
まず力で屈服させ、瀕死に追い込み、その後あらゆるバッドステータスやアイテムという手練手管を駆使して仲魔になることに同意させる。
どんなに高潔で、優しい悪魔でも、薬やバッドステータスで頭を狂わされてしまっては、仲魔にならないというのは難しい。
そうして仲魔に加えた後は、特技や酒や贈答品、悪魔合体、調教などで徹底的に『忠誠度』を上げ『加工していく』のだ。
自分好みの、壊れた『邪悪な悪魔』になるまで、自分の使う『愛用品』になるまで。ひたすらに。
センコさんは、オレの祖父母を含めた村のみんなを殺した。
あの優しい秘神とは似ても似つかぬ、血に酔って笑いながら赤子でも殺す狂った神になっていた、らしい。
そして討伐に来たヤタガラスを始末した後、行方をくらました。
全部、聞いた話だ。オレは見ていない。
見たらきっと狂ってしまうし、現実問題として、Lv30の学生サマナーの手に負えるような相手じゃなかったし、そもそも村を滅ぼした後はどこにいるのかもわからなかった。
そうして惰性でそのまま大学生になり、普通に大学生活を送りながら2年が過ぎた頃、センコさんが死んだという噂を聞いた。
なんでも、磨き上げた『愛用品』を揃えたパーティーで『ファントムを潰した最強のフリーサマナー』に挑んで全滅したらしい。
センコさんも、その中の『一人』として倒され、消滅したという……全部、オレの知らないところで始まり、オレの知らないところで終わった。
それからオレは、ただ生きていた。平日は普通に大学生を、サラリーマンをやり、貴重な休日だけ学生時代の『貯金』を使って、簡単な討伐や調査依頼をこなす。
サマナーをやめようかと、何度も思った。でも、辞めたらセンコさんとの約束まで嘘になる気がして辞められなかったし、腕が錆びついてもLv30だけは絶対に維持し続けた。
……いつか、身体が衰えてLv30を維持できなくなった時、引退しようと思いながら。
*
ーーーその、はずだったんだがなあ。
「お帰りなのじゃ!旦那様!夕餉にするかの?お風呂にするかの?それとも……わ・ら・わ?」
「その、ただいまです。センコさん」
普通に悪魔討伐の仕事をこなして帰ってきたのをセンコさんが出迎えてくれる。朗らかな冗談と共に。
……冗談だよな?ちょっとその、服が緩んでて、胸元が見えそうになってるのは、たまたまだよな?
……分かってる。オレはラノベの主人公になれない。本気で言ってるくらいわかってる。そのうえで問題がいくつもある。
センコさんはまず、オレの知ってる800歳の秘神じゃない……悪魔人間だ。
この前、普通に討伐に参加したとき、瀕死の状態で転がっているのを見つけた時は、必死だった。貴重なアイテムをつぎ込んで、助けた。
まだちょっと珍しかった頃に、オレが初めて見た漂流者だった。
つまり、この子は『絶対に秘神だったセンコさんじゃない』というのが一つ。
「……やっぱり、Lv55ともなると、身持ちも堅いものじゃのう……クソ、わらわにもあ奴のような乳さえあれば……」
……あからさまにLv目当てらしいのが、もう一つ。Lv45って漂流者だとかなり強い部類のはずなんだけどなあ。
「その、確かにちんちくりんでつまらぬ身体じゃが、ピッチピチの【14歳】じゃぞ?ほれ、男なら、据え膳喰わぬは恥というであろう」
年齢で『アウト』だというのが最大の理由だ。なかったら普通に押し倒してる。
(畜生!オレも年齢とか気にせず普通に抱ける『ダークサマナー』だったら!)
つい最近まで普通にサラリーマンやってたせいで、銃刀法違反以外の法律を犯すのを躊躇してしまう自分が恨めしい。
漂流者というのは、違う世界から着たせいか、常識が違う。どうもセンコさんのいた時代では14歳を犯すのは【セーフ】だったらしい。
けどこう『だったらいいじゃんってなる』のは、なんか違うと思う。あと4年待つだけなんだから、とも。
それにほら、ただでさえ家事やってもらってるのに、逆らえないの分かってて体まで強要するとか、明らかに邪悪すぎるし……
そんなわけで、耳や尻尾をもふもふさせてもらうだけで、必死に我慢している……セーフだよねこれ?
ほら、センコさんも嬉しそうにしてるし、顔赤いし隙あらば色々見せようとして来るけど!
「……のう。さきっちょだけでもいいので、試してみんか?ほれ、生が嫌ならゴムもバッチリ買ってきておるから」
「センコさん!」
頬を赤らめて目をトロンとさせたセンコさんの誘惑を断ち切るために、思わず大きな声をあげてしまう。
「ひうっ!?……す、すまぬのう。少し調子に乗りすぎた。ゆ、許してたもれ……」
「あ、いえ……こっちこそ、すみません」
お互いペコペコと謝る。気まずい。
「さ、さてすぐに夕餉としよう。旦那様、今夜は御馳走じゃぞ」
「あ、ありがとうございます……本当に、毎日ありがとうございます」
普通にお礼を言う。まだ14歳の子なのだ。毎日家事なんて大変だろう。
「……やっぱり、あの『秘密』を明かすしかないのかのう……追い出される覚悟がいるがのう……」
……そんな呟きは、聞かなかったことにした。
*
翌日は、休むことにして、オレはセンコさんの買い物につきあっていた。
普段は夕方くらいにさっさと済ませるのだが、今日は一緒に来て欲しいと頼まれた。
「すまぬのう旦那様。本当はこの程度、わらわだけで済ませたいのじゃが……ほら、今日って『水曜日』じゃろ?」
水曜日……それでピンときた。
センコさんにはどうしても『怖いもの』がいるらしい。普段は出会わぬようにしているが、水曜日だけは出会ってしまうことがあると。
「その、旦那様に守ってほしいのじゃ。あやつは、わけがわからなさ過ぎて怖くてたまらぬ」
「分かりました。絶対に守りますから……」
センコさんは、パソコンが使えない。センコさんのいた世界ではすごく珍しいもので普通はなかったらしい。
最初は家電ですら知ってるものと違いすぎ、使い方に首をかしげてたレベルだ。そのせいか、今の世界は色々と怖いらしい。
「……ほんに、ありがたいのう。わらわにこんなに優しい男、他にはおらぬ」
「いやいや、これくらいこっちでは普通ですよ」
別にオレだって聖人君子ってわけじゃない。普通に男だ……下手すると、ロリコンの。
そう思いながら、一緒に漂流者も来るレルムのスーパーへ行った。
「よ、よし、あやつはおらぬな?い、今のうちじゃ!」
センコさんは大急ぎで買うものを詰め込んでいく。いつもはじっくりと、少しでも良いものを買うためにじっくり吟味するのに。
「い、行くぞ!わらわについてまいれ!」
センコさんに言われ、苦笑しながらついていく。そのまま普通にレジに並ぶ。
「ふう……これで一安しっ!?」
センコさんがびくりと身体を震わせて、固まる。顔が如実に語っていた……「出会ってしまった」と。
ギギギとセンコさんが後ろを見て、悲鳴を上げそうになる。センコさんにとって「わけがわからなすぎて怖いもの」
……正直、オレにはどの辺が怖いのかよくわからない。
「……なに?」
ごく普通の女の子だった。どこかの高校の制服みたいな防具を着ていて、肩に大きめのライフルを担いでいる。
スーパーの籠いっぱいに、色々な食材が入っている。センコさんの籠と同じく。
ピンクの混じったおかっぱにしてる黒髪にネコミミが生えてるから、悪魔人間だろう。
こんな時間にレルムのスーパーにいるなら、漂流者だと思う……でもセンコさんそこまでビビるほど実力に差があるようには見えない。
「すいません。どうも連れが、その、あなたのこと苦手なようでして」
さりげなくセンコさんを庇いながら、センコさんの失礼を謝る。
「……気にしないでください。前はよく言われたので、慣れてます。こちらこそ、申し訳ありませんでした」
歳の割に、大人びた子だ。こっちの無礼を気にせず、すごく丁寧に回答してくれて、むしろ謝ってくれた。
(これ、完全にこっちが悪者だよなあ……本当に、なんでこの子怖がるんだろう?)
首をかしげながら、オレの後ろに隠れてしまったセンコさんを促しながら、普通に会計してスーパーを出た。
「……センコさん、いくらなんでも失礼ですよ」
「す、すまぬ……じゃがわらわはあやつだけはどうしても怖くてたまらぬのじゃ……理解できぬのじゃ」
スーパーを出て帰る道すがら、流石にあの態度はどうかと思って注意する。
それに対し、センコさんは口をとがらせながら言い訳をする。もう何回か聞いた奴だ。
「あやつ、なんで悪魔の血に目覚めた『高貴なる産まれ』のはずなのに『彼岸花』みたいな死臭を漂わせておるのじゃ?」
……うーん、やっぱりいまいち理解できない理屈だ。
センコさん曰く、センコさんのいた周回では悪魔の血を引いて産まれるのは、高貴で尊いことだったらしい。
なんでも大正時代に当時の帝都で大量の悪魔人間が産まれたのがきっかけだったという。
人間より強い悪魔人間は色々優遇されていたらしい。ごく普通の家に生まれた悪魔人間が、いわゆる名家の養子になるのも普通だったそうだ。
まあ、悪魔退治や戦争で、人間よりはるかに強くて活躍できるからって言われれば確かにってなる。
それで、元々が名家の産まれな上に悪魔の血を引いた高貴な生まれだったセンコさんは、そりゃあもうお姫様みたいに大事に育てられたそうな。
だから、同じく名家の姫のはずの子なのに、下賤な彼岸花みたいな『殺しすぎた』人間しか纏えないような血の臭いを漂わせてるのが、怖すぎる、と。
「じゃ、じゃが、こっちには旦那様がおる!その……守ってくれるかの?わらわが、その、もっと年を取ったとしても」
「もちろんですよ。たとえしわしわのおばあちゃんになっても、ずっと守ります」
けなげにこっちを見上げてくるセンコさんに、愛おしさがこみあげて来て、普通に返す。
「……その言葉、まことか?嘘はないか?」
「もちろんですよ!信じてください!」
もう、家で引き取って家事を任せてる時点で覚悟は決めている。18歳まで待つだけだ……もちろん、センコさんが良いならば、だけど。
だけど、センコさんはその言葉を聞いてじっと考え込んだあと、ついに言った。
「……旦那様に、どうしても言いたい『秘密』がある。聞いてくれるかの?」
「もちろんです!ドンと着てください!」
これは、結婚前定番イベント!隠してた秘密を明かされるイベント!正直オレに来るとは思わなかった。
……どんな秘密でも、絶対に受け入れる。そう決意した。
*
部屋の中、お互い正座で見つめあう。流れる緊張する時間。
そして、ついにセンコさんから『秘密』が明かされる。
「まっことすまぬ!実はわらわは【14歳】ではない!見た目だけが童の【40歳】なのじゃ!」
…
……
………え?
流れるような土下座と共に放たれた秘密に、呆然とする……え?確かに中学生にしては小柄だなとは思ってたけど。
「あの」
「わかっておる!40歳のババアになど需要はない!この世界では違うかなと思って一縷の望みにかけたがTVとか雑誌とか見ても普通にダメじゃった!
40歳で結婚とかぬかすのはこっちでも勘違い甚だしい嫁き遅れじゃ!でも、仕方なかったんじゃ!
『婿にするならわらわより強い男が良い』とか言って片っ端から縁談断ってたら、相手が全く見つからなかったんじゃ!
実家も『もうお前も26歳なんだし、結婚は諦めてその生涯を帝都を守ることに捧げなさい。それが我が家のためです』とか言って見放しおった!完全に手遅れじゃったんじゃあ!」
それから、号泣する……そしてちらりとこちらを見る。
それで理解した。やるべきことを。
「よ、よくも騙してくれたな……分からせてやる!ベッドに来い!は、裸で、だ!」
……きっとこう言わないと、分かってもらえない。それに決意も決まった。40歳なら、いくら抱いても『セーフ』だ!
もはや、我慢ならない!
「はいなのじゃ!旦那様!」
センコさんがすぐに寝室に走っていった。きっと奇麗に脱いでいるんだろう。
(……久しぶりに、後輩の藤丸とでも飲むか)
これからのことに鼻の下を伸ばし、服を脱ぎながらそんなことを思った。誰かに話したい気分だった。
Re;Startは健全なお話なので、エッチシーンは飛ばされます。仕様です。
というわけで今回のキャラその2
中野センコ
Lv:45
クラス:陰陽師
解説
コドクノマレビト事件を解決こそしたものの、残党を多く取り逃がしてしまい、
そのせいで悪魔人間が大量発生した周回から来た、悪魔人間。
日本全国で悪魔人間が増えたのと、後の戦争で悪魔人間が大きく活躍したため、悪魔人間こそ高貴な身分とされていった。
その一方で規格統一が難しい悪魔人間が主力になったせいで技術の開発が遅れ、2020年ごろでも全体的に『昭和』くらいの技術力と価値観で止まっていた。
周回の若手ではトップクラスの実力者だったが、そのせいで壮絶に嫁き遅れ、典型的な見た目だけロリのお局様と化していた。
その後、普通に滅亡し、漂流者となり、ついに出会えた『理想の旦那様』に最後の望みをかけた死ぬ気の『婚活』を仕掛けたのである。