Re;Start   作:ぶらまに

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外伝サマナーもひと段落というわけで伏線回収。今回の人はコレ。


名前:五反田泰志
クラス:監督
Lv:3(デモニカLv20)
元ネタ:推しの子、フロントミッション

概要
映像畑で食ってきたプロの監督。
大学時代にたまたま旅行で訪れた旭川でダークサマナーに襲われ、覚醒しつつも死にかけてたところをダードに助けられ、保護も兼ねて旭日(ラインジングサン)の従軍記者兼記録係として一緒に行動した。
この記録映像を元に旭川市の宣伝を兼ねて作られた、北海道限定で放送されていたローカルドラマシリーズ『ヒルトリアン』が大うけして一躍売れっ子監督となった。



事例38.クランク・アップ

ーーー俺たちの戦いは、これからだ!

 

「っしゃあ!編集完了!」

 

すごく聞き覚えがあるコッテコテの打ち切り台詞を主役が叫んだところでエンドロールを入れる。

 

まるで90年代のバカなB級映画みたいな出来の代物。

 

それがようやく終わった。そのことに満足しながら、どかっと椅子に座り込む。

(予想以上にいい出来になった……)

久しぶりにいい仕事が出来た。そう実感する。

 

ーーーやあ同志五反田。君に一つまた旭川のプロパガンダとしてTVシリーズの製作を頼みたいんだ。今回の主役は……

 

元ヒルトリア人の伝説的傭兵にして帰化日本人として裏の悪魔社会のエージェントとなり、今や『帝王』なんて異名を持ってる年上の友人から頼まれた、新作の作成。

断る理由はなかった。映像屋ってのは撮りたいものが撮れるなら、嘘の一つや二つ、つけなくてはならない。

それになにより、オレの出世作の『新作』を作れるとなれば、是非もない。

 

ーーーヒルトリアン

 

大学に入るまで異能者なんてものも知らなかった、ただの映画監督志望の大学生だったオレがいまや芸能界でデカい面出来てるのも、これのお陰だった。

最初は大学出た後にご祝儀みたいに振られた、北海道ローカルのTV番組だった。

『実写』が残ってなかった分の特撮は酷いものだったが、それでも大うけして随分と金と名声を稼がせてもらった。

……その後、特撮のプロを集めた『リメイク』が出来たのも大きいだろう。あっちのが評判がいいのは大分傷つくが。

 

それから忙しく働いて、十五年が過ぎて突如降ってわいた新作。

なんとあのダードとカーナの息子の『ニコぼっちゃま』が東京の高校に留学したので、東京で色々と世話をしてやって欲しいという奴からの依頼から始まった話。

退魔稼業の家の子供が集められてるとか言う学校で起こる様々な事件を、知恵と知識、情報とコネ、金と謀略、そして何より愛と勇気と最後は銃弾でねじ伏せていく青春オカルト物語。

 

ーーーヒルトリアン2 退魔図書委員会

 

結局最後は誰とも結ばれなかったくせにちゃっかり女の子だけは故郷の旭川に攫って行く姿は、芸能界にはごまんといる職業イケメンの類を思わせた。

その後、5年かけてきっちり追い詰められて仕留められたわけだが。

……結婚式に呼ばれてホイホイ行ってみたら知らん悪魔人間の子が1人増えてたのにはマジで驚いた。

 

そして今回作ったのが……

 

ーーーヒルトリアン3 合法サマナー

 

そう、ダードの親友だったという、ファントムソサエティのダークサマナーの息子と娘、二人の子供の物語であった。

あの荒唐無稽で出来の悪いコメディにしか聞こえなかった関係者からの『インタビュー』を映像化できたのは、デカい。

クソみたいな幸運の塊に見えてヒルトリアンとヒルトリアン2の『主人公ども』の証言まで合わせて組み立ててみればまあ結局はいつも通りだったらしい。

 

……丹念に張り巡らされた『救済措置』に一度も頼らずに走り抜けたというのは、やっぱりあの一族に選ばれる奴らはどっかおかしいということだろう。

 

(あいつら何が『子供には夢と希望を魅せるべきだ。大人になって現実を知り絶望するまでは』だよクソが!)

 

そうは言いつつもダードはカーナに合法竜ロリ悪魔人間を娶ることは私の目が黒いうちは死んでも許さんとぶっとい釘を刺されてるし、

あのこしゃまっくれたクソガキだったニコぼっちゃんが女の執念から逃げられず、人生の墓場に五体バラバラで埋葬されたのは事実である。

相も変わらず、基本的には容赦のない奴らに見えて、どこか間が抜けている。

だからこそ、多くの人がついて来てるのも事実なんだろう。

(なんつーか、ほっとけないんだよな……コイツ見てるみたいで)

そう思いながら、オレは今回のヒルトリアン3完成のMVPを見る。

 

「ようやく終わった……てかなんだこれ?絶対おかしいだろコイツ」

 

出来上がった最終話を見ながらつぶやく男は『星野アクア』……漂流者であり、芸能人であり……オレの元『共犯者』らしい。

なんでもオレを含め人間の大半が自殺した世界で、どうせなら最後まで芸能人として生き抜いてやろう、とヤケクソになり、

双子の妹が所属するアイドルグループと、本人の元恋人の5人でラジオ局乗っ取ってトークだの歌だの流し続けてたら、いつの間にかこの世界にいたらしい。

元の世界じゃアンタとは深い付き合いあった売れっ子役者だったし、映像に関する技術は一通りアンタに仕込まれた。

編集も出来るから雇ってくれ。そう言ってオレの所に来たときは何事かと思った。

 

それで相も変わらず旭川市全面協力の代わりに予算が少なかったこともあり、試しにコイツと、コイツの仲間だって言う連中を使ってみて……予想以上の出来栄えになった。

 

あの、猫みたいに気まぐれで何を考えてるのかよくわからない『ポルノ・シュリンク』を完璧に演じた有馬かな。

『キラキラ』の、天真爛漫に見えて縛られてる未来にうっすらと絶望していたところから一気に恋をして弾け母親の若いころそっくりな勇敢なバカに変わるさまを演じきった黒川茜。

まだまだ演技では未熟な様子が見えたが地味で内気な性格の素と派手なコメディアン、そして覚悟ガンギマリの忍者という三つの要素を持つ『ビカラ』を演じきったMEMちょ。

一話限りのゲストヒロイン予定だったのに、予想以上に人気が出たので最終話で出番が増え、一部に強烈なファンを得た母と姉を失い狂ったククバット『才羽ミドリ』を演じた星野ルビー。

 

そして、あの面倒くさい性格したスケコマシ野郎『クマ・シュリンク』を演じきった星野アクア。

 

あの難儀なキャラを演じきれる逸材がこれだけ揃ったのが、今回の合法サマナーの成功を約束した。

(売れっ子役者だった……これは間違いないな。それも全員が現代日本で、トップクラスだった奴らだ)

役者ならよくある自慢話だと思い、話半分に聞き流した内容がガチだった。

そうとしか思えない演技であり、SNSを使いこなした宣伝戦略だった。

 

そしてなにより、撮影の現場の空気を完全に掌握していく様は、全員が芸能の世界で食ってたとしか思えない動きで、既に何人もの『ファン』を獲得している。

 

新番組の専念も兼ねて出た旭川氷祭りでは、明らかにプロの出来栄えのアイドルグループ『B小町』はあの入有遁の音楽無頼(ロケロラ)にも匹敵する熱狂を生み出した。

……例のリーゼお嬢様から次の夏祭りまでには『仕上げる』ので絶対に出て欲しいと打診もあったらしい。

 

この子らならいくらでも使い道はある。あの才能探しには滅茶苦茶熱心な芸能界の妖怪どもが皆が口をそろえるほどだ。

 

既に放映済の話も旭川公式チャンネルでの再生数がうなぎ上りだし、本格デビューのスカウトの話も何件か着ている。

……厄介なファンやヤクザ連中まで探しているらしいとも聞くが、それすらもうまく避ける術を知っているあたりが、かなりガチだ。

特に、アクア。コイツは年齢を考えると明らかにおかしい……まるで、旭川にいる、秘密を抱えた友人のように。

 

「なあ、アクア。お前さ……確かペルソナ使いっつってたっけ?」

 

そんなことを考えていたせいか、思わず探るようなことを口にする。

ついこの前まで素人だった奴がデモニカどころか、最近ニコぼっちゃんが熱心に研究しているというアプリすら使わずに悪魔と戦えるらしい、謎多き異能者。

アクアとその仲間たちが『wiki情報見る限りじゃ全員タイプが違う』とか言ってるそれを自称する彼らについて。

 

「それもありますが、実はオレ、実は転生者なんですよ」

そんな、オレの探りにアクアはじっとオレを見つめて、とんでもないカウンターで返してきやがった。

 

「は?……うっそだろ!?」

動揺する。転生者。この世界には何人かいるらしい、前世の記憶を持ち、その知識を持って振舞える奴ら。

そう言う奴らがいる。その前提で見れば確かに、年齢離れした異様な活躍を見せる人間が何人かいるのは、分かる。

だが、直に出会うのは、滅多にない。オレですら、一人しかいない。

「事実です。そもそもアンタもう、転生者を……ダーヴィド・エルンネストを知ってるだろ?」

「そ、それはただのフィクションだ!」

その一人の名前を探り当てられたことに動揺する。

事実だが、数十年前、ダードに最後の最後に秘密の話として明かされた代物だ。

作中では一度も名言したことはないし、例の『失言』についてはお蔵入りにした。

それがバレるなんて一体……

「お、お前が何でそんなことを知っている!お前に、オレの何が分かるってんだ!?」

動揺したまま吐き出した言葉に、アクアは、悪魔のような笑みを浮かべて答える。

「ああ、フィクションだ。だが、全部嘘であれだけのリアリティは出ないし、そもそも嘘と真実を混ぜるのが映画ってもんだろ?

 オレは4歳の頃からアンタと付き合いがある。そんときはそう……ホラーの演出に必要だった、妙に大人びたガキの役振って来たんだったか」

……10年以上芸能の世界に浸りきった、芸能界に特化した転生者だと!?

導かれた結論に、驚愕し、それから納得する。なるほど、それならばあの異様な立ち回りの上手さも説明できる。

「……まったく、平行世界のオレはとんでもないものと知り合っていたんだな」

「まあ、転生云々については知らなかったがな。覚醒はしてなかったし」

肩をすくめ、そんなことを言うアクア。それは、確かに気安く、オレがいかにも気に入りそうな男だった。

「で、お前、なんでオレに近づいた……否、芸能界に関わった?」

そして、オレの問いかけに、少しだけ考えて、目的を告げる。

 

「映画を、完成させたい」

 

……映画?

 

どういう意味か問う前に、先回りしてアクアが言う。

「もう一人のアンタが撮ってた映画だ。伝説のアイドルだった『星野アイ』……オレとルビーの母親の人生の物語だ。

 あの世界では脚本が出来上がった段階で世界が滅んだせいで作ることが出来なかったそれを完成させるために、オレはアンタに近づいた。

 そもそも星野アイなんてアイドルがいないこの世界でなら純然たる架空の物語(フィクション)として作れるからな。元の世界よりはハードルが低い」

母親の生きた記録を映画として残したい。そんな理由だったのか。そのことにどこか安堵しながら軽口をたたく。

コイツの世界では、生き残ったのがコイツらだけだった……つまり、その星野アイとやらも死んだんだろう。

「……とんだマザコンだな」

「かもな。まあ、オレがガキの頃に、オレの目の前でストーカーに殺されたのを何もできずに見ていることしかできなかった。それくらいの慕情はあるさ」

クソが!?いきなり想定以上に重い話をぶつけてくるな!?

一体どんな脚本なんだよそいつは!?

「……見せて見ろ。その脚本、持ってきてるんだろう?」

「もちろん。アンタなら、絶対興味を持つだろう。そう思っていた」

そう言いながら、ボロボロに読みこまれた脚本を取り出す。

 

ーーー15年の嘘。

 

そう、記されたタイトルだけが、目に入った。




というわけで、もう一人の登場人物。

名前:星野アクア
クラス:シャドウ使い(P4式)
Lv:31
元ネタ:推しの子

ごく普通の産婦人科医から推しのアイドルの息子にダイレクト転生した転生者系高校生。
2.5次元編で目の前でアイが死ぬのを何もできずに見守るしかなかった幼いころの自分を受け入れて覚醒に至った。
芸能界でそれぞれ違うタイプのペルソナ使いに覚醒したことで自殺の衝動に抗いきった星野ルビー、有馬かな、MEMちょ、黒川茜と共に、集団自殺で滅んだ自分の世界からこの世界に転移してきた。

そして、有名な監督として大成功をしていた監督に売り込みをかけてヒルトリアン3の主役を勝ち取った。

主な目的は3つ。

かつての世界にいた死人の魂を産まれる前の赤子に植え付けることで転生者を生み出せる神ツクヨミを探し出すこと。

かつてストーカーに襲われて命を落とした伝説のアイドルであった母、星野アイの転生体がこの世界にいないかを探ること。

そして元の世界では完成することのなかったアイの物語である『15年の嘘』を完成させること。
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