Re;Start   作:ぶらまに

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屍姫と契約僧は多分描写見るに管使いに近いと思うんだ。契約僧のMAGで動く管に入らない屍鬼。
戦闘経験積んで対屍用の戦い方と自分の性に基づいた呪い覚えるとめっちゃ強くなるがMAGは契約僧持ちのままという。

てなわけで原作でも貴重だったこの人。

名前:山神異月
Lv:61
クラス:屍姫
元ネタ:屍姫

夢いっぱいの女子高生だった頃に交通事故で死に、青春を送りたかった未練から屍姫になった屍姫の一人。
屍姫になった後は色々あって嵩柾と契約したり、そのまま紆余曲折を経て恋人関係になったりもした。
何気に原作通りラスボスとの最終決戦後まで生き延びた数少ない屍姫の一人であることもあり、実戦経験は豊富。
ラスボス撃破後は自衛隊員を加えて屍を狩る専門機関『夜行巴』に加わって戦っていた。
そして、オーリが死に、屍人が増えつつも危うい均衡を保っていた世界だったのだが、デヴァローカの襲撃で滅んだ。
銃身のライフリングがマニ車製造機となっていて弾丸をマニ車と化すことで
相性が【破魔】と【銃撃】の複合属性(有利な方採用)となる特殊な拳銃『マニ銃』をメインウェポンに使っている。
再生力に長けていて継戦能力が高いのに加え、嵩柾との感覚共有による空間把握能力で後ろに目があるような動きが出来る。




事例45.崩壊案件経験者

朝が来た。

「あふぁ……」

あくびをしつつ、パジャマを着た状態で迎える朝。

そんな遠い昔の、私がまだ普通の人間だった頃の当たり前が戻ってきた。

(今までは、朝は屍との闘いの果てにフル武装で迎えてたもんね……)

屍は夜に活性化して人々を襲うことが多かったこともあり、私の仕事時間は主に夜だった。

だったから私たちは夜型の暮らしをしていたのだが、デビルバスター見習い扱いされてる今は健全な生活を送っている。

(マキナちゃんは……やっぱもう起きてるか)

同室になったマキナちゃんのお布団はたたまれてもう姿はない。

 

いつも通りなら、日が昇る前に起きて、高速の呪(スクカジャ)をお互いに多段でかけた状態での鍛錬を景世さんと一緒にやっているはずだ。

 

こちらの世界で初めて知ったあれは、人間でも屍や悪魔、そしてわたしたち屍姫と対等に渡り合える。すごい魔法だ。

恐ろしく早くなり、攻撃も回避も超高速で行われるようになる。だから、ちゃんと慣れてないと転んだりぶつかったりで危ないのだ。

この速さに訓練で習熟した契約僧が悪魔(この世界では屍だろうと天使だろうと神仏だろうと一緒くたに悪魔と呼ぶらしい!)を使役して法術や剣術、弓矢や銃器で悪魔と戦ってきたのが『屍姫のいない光言宗』だという。

実際、私が知っていたころと比べれば大分弱くなっているとはいえ、間違いなく一線級の屍姫であるマキナちゃんを景世さんが白兵戦で圧倒できるのは何事かと思った。

(景世さん、こっちでは生きてるんだもんなあ……本当に強いし)

景世さんはこっちでは光言宗の契約僧として悪魔と戦う傍ら、世界からオタク文化を守るサークル『キリギリス』にも参加しているらしい。

座壇も使わずにマキナちゃんを圧倒できるくらいに強くなったのも、そこで色んな活動をした結果で、ここ最近だという。

 

景世さんはわたしとは殆ど面識がない。

……少しだけ面識があったらしい嵩柾によれば景世さんは嵩柾が守護になる前から契約僧だった人で、マキナちゃんの初恋の人だと、昔聞いた。

多分、違う世界で生きてきて、そちらでも景世さんを失ったらしいマキナちゃんにとっての恋は続いている。

景世さんも、元々がちょっとえっちな人だったのと屍姫のいない世界で屍姫の因果をあまり知らないからか、割といい感じの付き合いが出来てるみたい。

(オーリ君には悪いけど、乙女としては、本人の意思が一番だしね……)

この前、マキナちゃんに相談された。曰く、私と嵩柾みたいになりたい、と。

……前々から、恋人としてパートナーとして時々、その、愛し合うことはあった。

居候させてもらってる家では論外ってことで、旅館やラブホテルに行ったりしてだけど。

(お年頃、なのよね……初々しいなあ)

思わず、この前を思い出してお腹の下辺りをさすりながら、そんなことを思う。

 

山神異月、年齢は身体は16歳!……実年齢?聞くな。

 

あの戦いが終わってからも続いて、ある日突然どこからともなく表れた謎の怪物の群れに滅ぼされるまでの夜行巴での暮らしはなんだかんだ年単位だったし、その間に大人っぽく見せるメイクとか、子供っぽくない着こなしとかそういうのも覚えた。

でないと20代も終わりに差し掛かった嵩柾がおじさんとかその……ロリコンとか呼ばれちゃうし?

この世界では高校生どころか中学生くらいの子でも倍近く年の離れたおじさんと恋人や夫婦になるのが普通*1とも聞くけど、それはそれ。

 

今度、マキナちゃんとは一緒に買い物をしに行くことになっている。その……ちょっとアダルトな感じのものを買いに。

そろそろ私も嵩柾との夜の生活を充実させるあれこれが欲しいと思ってたところだし、うん。

 

……そう。今度だ。具体的に、世界滅亡の危機を乗り越えたら、だ。

 

この世界に転移して一か月。訓練したり悪魔退治の見習いをして暮らしてきた私たちは今、浅草にある光言宗のお寺にいる。

もうすぐ現れると掲示板で噂になってる『セプテントリオン』との闘いの際に、光言宗の関係者の避難所兼、契約僧やキリギリスの民間デビルバスターの療養所になるらしい。

過去に2回、同じような危機を乗り越えてきたから、今回も大丈夫とは景世さんは言っていたので、それを信じよう。

諦めなければ意外と絶望的な状況もなんとかなる。そう信じている*2

 

だから今回も、きっと乗り越えて見せる。

 

 

セプテントリオンが出現したというスマホからの警報が出て、景世さんと嵩柾の脚に併せて歩いて一時間。

浅草にある光言宗のお寺には、もうすでに人がちらほらと集まっていた。

幸いまだセプテントリオンは姿を見せてないが、油断は禁物だ。そう思いながら、境内に向かう。

 

境内では契約僧の代表が避難民に簡単な説明会を行っていた。

「境内と本堂の結界は、かなりのところまで耐えられると思いますので、怪我人と非戦闘員はそちらに移動ください。戦う力なき子供や妊娠してる女性が優先です」

そんな言葉を、私は驚愕のあまり目を見開いて呆然と見ていた……嵩柾に腕をつつかれて気づくまでずっと。

そう、療養所に結界を張り巡らせて維持している担当と言うことで壇上に立つの契約僧の人が……ものすごく、見覚えがある顔だったのだ。

「私は、この寺を任されている鹿堂赤紗(ししどうあかしゃ)と申します。ここは先ほど説明した通り、光言宗の私設シェルターでもあります。

 寺の敷地内にいる間は、我々の指示に従っていただきたい。それが出来ないというのであれば、他のシェルターに移動するというのであればお止めはしません」

赤紗は反論を許さない強い態度で、命からがら逃げてきた避難民……特に基督教っぽい格好している人に言い聞かせている。

……あっちでもカトリックと光言宗、割と対立してたからなあ。

 

その眼にはわたしたちが知る、『最悪の背信僧』鹿堂赤紗にあった後悔の濁りはなく、まっすぐだ。

(イツキ、あの人は拙たちの知ってる鹿堂赤紗じゃないから)

嵩柾の小声の指摘に黙ってうなずく。ここは異世界。

わたしの世界にいた、光言宗を裏切った背信僧ながらわたしたちの命の恩人でもあるあの赤紗と全くの別人なはずだ。

「アイツもすっかり住職が板についてきたな。静さんも身ごもったらしいし、セプテントリオンご苦労様会でも開いてやらないと」

……なんか感慨深そうに言ってる景世さんによれば赤紗はこっちだと屍姫が居なかったせいか目の前で最愛の屍姫を失うことも、光言宗を裏切ることもなく、幼馴染と結婚して幸せになっているらしい。

そして、世界の救済と維持は光言宗全体の意思だ。赤紗もその理想に従い、戦い続けているという。

……わたしたちの世界で屍と組んで景世さん殺したの、赤紗だったことは黙っておこう。誰も幸せになれない。

 

そのまま、結界の強化と維持のために本堂に戻っていく赤紗を見送ったところで、景世さんが言う。

「よし、結界の方はアイツに任せておけば問題ないだろうし、俺たちも見回りに行くか」

そう、わたしたちは今、デビルバスター……悪魔と戦うものだ。ならばやることはひとつ。

「嵩柾、後ろはお願いね。戦えなくなったら、戻ってくるから」

「うん、任せて。必ず生きて戻ってきてくれ、イツキ」

人前にも関わらず抱きしめあう。人間としての血が通っている嵩柾の身体が、屍姫として冷え切ったわたしの身体を温める。

絶対に失いたくないぬくもり。そのためなら、命だって捨てられるような未練(だいじなもの)

それを感じたくてぎゅっと強く抱き合う。他の人の目が無かったらキスの一つもしているくらいに密着する。

マキナちゃんが顔を真っ赤にして目をそらしている。お嬢ちゃんには、ちょっと早かったかな?

そんなことを思いながらすいっと離れ、名残惜しそうな嵩柾にいう。

「了解……まあ私はもう死んでるけどね!」

鉄板不謹慎ジョークをかわしつつ、隣にいる笑顔の景世さんとマキナちゃんに頷きあい、寺の外に出て、警戒する。

嵩柾はふう、と息を一つはいた後は境内に設けられた見張り櫓を登っている。お寺で最も高い建物なのもあり、周囲の状況も確認できる。

そこに陣取ったのは嵩柾の座壇『六道調伏』が弓矢を用いた弓術であることともう一つ、私の『眼』をよくするため。

特殊な屍姫の儀式で嵩柾と私の縁が同化した影響で、嵩柾の見たものは私も見れるし、私が見たものは嵩柾も見れる。

感覚の共有化、これにより、私たちはゲームでいうと『FPSの視点』と『TPSの視点』を状況に応じて切り替えることが出来るのだ。

 

それを利用して嵩柾の眼を借りつつ周囲を確認すると、異常を発見した。

(今のところセプテントリオンが出現した様子はない……うん。あの子たち?)

そこでおかしなものを見つける。まだ小学生くらいの、武装した女の子が五人歩いている。焦った様子はないけれど、周囲を警戒しながら。

「みんな、この先、小学生くらいの女の子がいる。こんな状況で徒歩だから多分覚醒者だと思う。確認も兼ねて見に行きたいんだけど、いいかな?」

私の言葉に、景世さんとマキナちゃんはすぐに事態を飲み込み、黙ってついてくる。

そして少しだけ歩いて、ついに自分の眼でも女の子を捉える。

 

(隊列を組んでるわね。一番前が茶色いポニーテール。その後ろを金髪の子、赤っぽい髪の子はあんまり戦い慣れてなさそう、黒髪の子はかなりヤバい気が……うへぁ!?」

前から順に顔を確認し、驚愕の声を上げた。

「イツキ!?異常事態なの!?」

「イツキちゃん、なんかあったか?」

その声に反応し、他のところを見回ってたマキナちゃんと景世さんが駆けつける。

「あー、いえ大丈夫です。ただちょっと知り合いとおなじ顔が見えたので……」

私の世界では間違いなく死んだので、多分違う世界からの漂流者だろう。

……屍姫の死の気配もないわけじゃないけど、大分薄いし。

「……あんたら光言宗の人たち?特にそこのグラサン」

景世さんの袈裟を見てその発想に至ったのであろう一番後ろ……殿を務めていた見覚えのある顔をした子がわたしたちの前に立つ。

右手には、子供の細い腕で振るうには大きすぎる、大きな斧。腰にも何本か投げ用の斧が下げられており、左手には現代っ子らしいスマホが握られている。

おでこが見えるくらい短い前髪と対照的なロングヘアーに白い肌。それがさらさらと風に揺れている。

その姿が、あまりにも記憶通りだったせいで、正直、動揺した。

「……おーけーおーけー、いかにもその通り。光言宗の契約僧『田神景世』だ。護衛仕事、ありがとうな。後でゲームの一本もおごってやろう」

軽い口調で近づきながら景世さんが気にしているのは……左手のスマホの方だ。あからさまな凶器である斧は特段警戒した様子はない。

「……景世。あまり近づくと危険よ。その携帯、悪魔の気配がする」

別の世界で悪魔とも戦ったことがあるらしいマキナちゃんの言葉で、思い出す。そうだ。

この世界の人間は携帯やスマホに入れたアプリで悪魔を召喚したり、悪魔の力で【呪い】や【座壇】にも匹敵する異常を起こせるものがいると。

つまりこの少女は……

「サキちゃん、悪魔使いになったの!?」

そう、見間違いようがない。共に御霊封神に参加し、教主の一人と相打ちになったと聞いていた屍姫『天瀬早希(あませさき)』だったのだから。

「はぁ?なんでアンタが私の名前知ってんのよ!?」

だが、サキちゃんの方は私に見覚えが無いらしい……もしかして、別の世界から来た漂流者なんだろうか?

似たような顔と名前に反応してかつての知り合いだと思って接して別人と判明するのは、漂流者だとよくあることだというけど。

「え?なになに?早希の前世女って奴?梨華ちゃんいるのにねえ……」

「サキの好みにしてはおっぱいが小さすぎるわね*3。まあ、リカも普通につるぺただけど」

「だから梨華と私はそういう関係じゃないっての!?ただこう、前の世界で組んでたデビルバスターと似てるだけ!歳が違うだけだから!」

茶髪の子と黒髪の子によるサキちゃんをからかうような言葉に、サキちゃんが真っ赤な顔になって反論する。

(……うん?リカちゃんってもしかして……)

その言葉に、残った赤っぽい髪の少女を見る。他の子と比べると戦い慣れてはいなさそうだが、そこはかとなく面影がある。

年の離れた姉妹だって言われたら信じるくらいの。

 

「とりあえず、光言宗の人たちで間違いないですか?これから光言宗のお寺に避難する予定だったんですが、渋滞で車が動かなくなったので、徒歩で来ました」

早希ちゃんをからかうように振る舞う他の子たちにちょっとあきれた顔をしながら、少し年上の女の子が踏み出してくる。

金髪の髪に拳銃と、やっぱりスマホを手にした少女だ。しっかりしてる。

「ああ、間違いない。オレが小僧正の田神景世だ……久しぶりだな。梨華。また大きくなったんじゃないか?」

景世さんは安心させるように膝をついて目線を合わせる。梨華?……もしかして。

「はい。お久しぶりです!景世さん!本日は、私と友達の避難を受け入れてくれてありがとうございます」

やっぱり梨華さんだった。しかし……顔を赤らめている異世界の梨華さん、サイズが大分小さいというか……幼い感じがする。

サキちゃんと同い年くらいに見える。小学生だ。そのためか立派な身体もまだまだ発展途上お子様サイズである。

……そういえば梨華さんってサキちゃんと同じ小学校通ってた幼馴染だったとかちょっとだけ本人から聞いたことがある。

「ぐぬぬ……流石に小学生相手に怒るのは大人気が……」

隣にいるマキナちゃんの不機嫌そうな顔を見ながら。

セプテントリオン出現中の緊急の場の空気が、少しだけ緩んだ。

 

「あー、まあ積もる話もあるが……全員、気をつけろ!」

 

その直後、景世さんの警戒の声で、全員が戦闘態勢を取る。

多分、年齢的に闘う訓練は受けてないのであろう梨華さんもじっと身を固め、邪魔にならないようにしている。

 

―――そして、そいつがぞるぞると姿を現した。

 

丸い顔のように三つの穴が空いた球体と、球体が連なったような触手を持つ怪物。

それが道の端からのっそりと姿を見せた。

 

(これが、セプテントリオン!?)

 

「マキナちゃんと景世さんは、梨華さんをお願いします!ここは、私が!」

自衛隊の人たちと共に戦ってきた経験で、驚愕より先に、口と体が動く。先制で取り出したマニ銃で耐性ノックを行う。

反射されると少し痛いけど、屍姫の耐久力と再生力ならば一撃ならばどうってことはない。

(よし!反射はなし!ダメージは多分銃撃は耐性持ち、くらい!)

サイズの違いもあってダメージは殆どなかったように見えるが、銃撃は反射も吸収もされず突き刺さった。

ほんの小さな、虫刺されくらいのサイズとは言え穴も開いたので、無効化もされていない。

 

「……かった!?こいつ多分、物理に耐性あるよ!?」

続いて動いたのは茶色い髪の……狼少女。普通の女の子から一瞬で毛むくじゃらの人狼の姿になって爪で何回か斬りつけていた。

この世界の、悪魔に変身できる異能者、確かデビルシフターと言う奴だろうか?その戦い方は対屍用の屍姫の体術に近い動きだ。

だが、人間すら両断しそうな爪でも表面をわずかに削る程度のダメージしか与えられていない。

 

そのまま、三つの穴が目のように狼少女を捉え、お返しとばかりに触手が襲い掛かり……何故か攻撃が弾かれて体勢が崩れる。

「残念!物理無効だよ!……リッキィ!メイゼル!属性ノックお願い!」

狼少女がニヤリと笑った。

 

「まかせて!火炎を試すね!」

「とりあえず、確認用よ。受け取りなさいな……ジオ」

 

間髪入れず飛んでくるのは金髪の子が手にした拳銃から飛び出した炎の銃弾と黒髪の子が放った雷撃魔法。

弾丸が当たった穴から炎が噴き出してセプテントリオンを苦悶させ、続いて襲い掛かった雷撃が黒い表面で弾ける。

「火炎ダメージ有効!この感じだと多分弱点で、少なくとも耐性なし!」

「……雷は無効化されてるわね。貫通させないとダメージにはならない」

(この子たち、戦い慣れてる!?)

冷静に自分の放った攻撃の効果を見極めている。

この世界の戦い方に慣れた動きだ。そして。

 

「物理通るなら、貫通でぇ、ぶん殴る!」

スマホを少しいじってポケットに突っ込んだサキちゃんが両手で斧を振りかぶって思い切りたたきつける!

物理耐性をものともせず、球体がまっぷたつに割れて、動きを止める。

どうやら、仕留めたらしい。

 

「よし!勝った!なんだ。セプテントリオンって思ってたよりよわ……はあ!?」

 

そのまま勝利のおたけびを上げようとした早希ちゃんたちが固まった。

ついさっき倒したのと同じ奴がぞるぞると何体も姿を見せだしたのだ……

 

「みんな、寺まで一度撤退だ!コイツ……武曲星(ミザール)が東京各地に出現しているらしい!このまま孤立して囲まれたら、死体も残らないぞ!」

電話で連絡を受けたらしい景世さんの言葉を、咄嗟に嵩柾の眼で確認する。

「……さっきの黒いのが、どんどん押し寄せてきてる。このままだとここにもすぐに到達するわ」

嵩柾の視界に移っているのは、黒い津波のごときミザールの群れ。それはかつて日本が滅びかけた時に顕現したという屍で出来た『地獄』のようで……

 

あ、これちょっと死ぬかも。

 

そんな考えが頭をよぎった瞬間。

 

―――路地裏から修羅が現れた。

 

「セプテントリオン出現確認!戦闘開始する!」

「うおおおおおおおお!死ねえええ!」

「掲示板情報!物理有効!火炎弱点!炎使える奴は火炎属性で攻撃!火炎真剣でも可!」

「ファンタジーな世界の冒険者だか錬金術師だかが作った攻撃火属性に変える油*4もあるでよ」

「今宵のふうじんけんらいじんけん二刀流は血に飢えてるデース……体力が尽きそうなものにとどめをさすのは任せるデース」

「コイツから離れて!味方でも弱ってきたら容赦なく介錯*5するからコイツ!」

「ミザール今のところは攻撃はほぼ物理!対策装備持ちとカウンター使い、前衛頼む!」

「おい!ドゥベのクソも降ってきやがったぞ!貫通だ!貫通持ちで撃ち落とせ!」

「お!?景世じゃん!そういやお前らあそこの寺シェルターの防衛担当だったか!」

「ちょうどいい!お前も戦え!最近の前線で前衛やるなら魔人と正面からどつきあえて一人前だぞ!」

 

話には聞いていた。この世界のデビルバスターは、異様に強く、歴戦だと。

だが、思った以上に強い。強いうえに、軍人並に連携が取れている。夜行巴で共に行動してた自衛官のおじさん並だ。

 

「……イツキ!遅くなって済まない!」

駆け寄り、隣に立つのは、私の文句なしに一番の人、嵩柾。その体温を認識した時、私は恐怖が消えて闘志に満たされる。

 

「マキナ。悪いが……」

「もちろん付き合うわよ。あのタコどもを殲滅するまで、ね」

向うもお互いに背中を合わせて、戦う気満々だ。

 

「……リカ。悪いけどアイテム係お願いするわ。確かこの前、ヒフミ先輩のアイテム活用術の講義、出てたわよね」

「……サキちゃんは、戦うんだね」

「当然よ!そのためにみんなで転校までしたんだからね!……来なさい!ゾウチョウテン!ヤクシャ!」

「リカ。無理だと思ったら銀花に言って。あの子なら多分割と安全に撤退させられるから。来て。クルスーニク、トロール」

「おっけ。かくらんだね。うーんじゃあ、こいつかな……ルフちゃん、ミルちん、今日は飛び回ってもらうよ!」

「空から落ちてくるドゥベはアタシが撃ち落とすわ。ピュートーン、アバドン。仕留めるわよ」

サキちゃんたちは、それぞれが二体の悪魔を呼び出して、リカちゃんを守るように陣取る。

(確か二体呼び出せるのは悪魔召喚プログラムの……アプリ式だったっけ?)

リカちゃんも4人の荷物を預かり、すばやく路面にアイテムを広げて確認していく。

例えミザール相手にはLvが低すぎて戦力になれなくても、アイテム係という形でも、戦う気であるのは間違いなさそうだ。

 

……ああ、この世界は強い人たちで満ちている。

そんな物騒さが、時々怖くなるけれど、今、こうしてるときにはとても心強い。

 

そんなわけで、ふぅと息を吐き。

 

「いくよっ!」

 

―――長い長い宇宙怪獣退治が始まった。

 

 

*1
悪魔業界特有の偏った意見です

*2
原作で自身の死亡フラグと人類滅亡の瀬戸際を越えた子である

*3
割と普通サイズ。太もものが太いって言われてた主人公よりはデカい

*4
ファイアオイル。3ターンの間通常攻撃を火属性に変える世界樹シリーズの消耗品アイテム

*5
世界樹3のパッシブスキル。残りHP25%以下のキャラクタを確率で即死させる。味方でも即死させる




と言うわけで、ごく普通のイロモノが集まったシェルターでの防衛。
光言宗はカオスだからね。他のカオスやロウが集まってもあんまり気にしないんだ。屍姫尖った感じの子多かったし。
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