現実は時に性別さえも覆すようだ   作:忘れ者

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真尋にとって一番の友達っていう自負が強すぎる新川和史
    VS
お兄ちゃんが好きすぎてTS薬まで開発するブラコン緒山みはり
    VS
まひろの一番の友達になりた過ぎる穂月もみじ

ファイ!!
多分やらないだろうけど、ちょっとやってみたくもある話


真尋とゲームと関係性

ああ、やっとこの日がやって来た!!

 

ロスト・クエストⅨ、通称ロスクエ!

あの国民的RPGのシリーズ最新作が今日発売された。

 

俺も某密林の通販サイトで前々から予約して甲斐もあってか、販売日に家に帰るとロスクエが届いていたのはなんとも嬉しいことだった。

 

となれば、あとは俺がやることはただ一つ!

ネタバレを踏む前にゲームを全クリすることだ!

2徹までなら余裕余裕。

 

 

「……早く寝なさい! 明日も学校でしょ!」

 

「そうだった~~~ッ!」

 

 

そうやって俺がまさにロスクエを楽しんでいると、みはりが相も変わらずノックもせずに部屋に入ってきて俺に注意をしてきた。

そうだった、明日も学校があるから徹夜でゲームは出来ないんだった……。

 

くそ~、恨むぞ中学校!

 

 

それはそうとカズもたぶん、ロスクエ買ってプレイしているよな。

く~~~、あいつからネタバレ踏まないように気をつけないと!

 

 

 

 

――――翌日になって、俺は中学校でもゲームのことばかり考えていた。

どれくらいかと言えば、ノートに攻略メモを堂々と書くくらい。

主人公にはどの武器を持たせてどう育成するか、仲間の一人のゲレゲレにはどんな魔法を覚えさせようか。

そんなことばかりを授業もそっちのけで書き続けた。

 

一気に遊べないもどかしさがあるけれど、こうやっていろいろと妄想しながらゲームを進めるのもなかなか乙なものだ。

 

とはいえ……、やっぱり早く帰ってゲームしたい!!

 

そんなことを思ってそわそわとしていると、もみじが先生に対してトイレに行くと宣言した後にこっちを向いてサムズアップした。

 

う、う~ん?

まぁ、理由は分からないし、ゲームの妄想に戻るとするか~。

 

そうしてゲームのことを考えて数十分、チャイムの音が鳴って授業も終了、お昼の時間になった。

お昼の時間と言えば仲の良い友達同士で席をくっつけて食べる機会が多くなる。

俺もご多分に漏れずもみじやあさひ、みよちゃんたちと席をくっつけてお昼を食べ始めた。

 

そんな時にもみじが声をあげる。

 

 

「……も~~~っ! 紛らわしいよまひろちゃん!」

 

「ほぇ?」

 

 

俺はそのもみじの言葉に戸惑った。

紛らわしい? いったい何のことだ?

 

 

「てっきりトイレが言い出せなくて困っているのかと……。」

 

「あ~~~、さっきのってそういう……。」

 

 

なるほど、さっきのそわそわしている様子を見られていて勘違いをさせちゃったのか。

それは悪いことをしちゃったな。

 

 

「いやぁごめんごめん。早く帰ってゲームの続きがしたくてさぁ……。ほらぁ! 昨日発売のロスクエⅨ! 待ちに待った新作だし~~~!」

 

 

俺の説明にも当然熱がこもる。

それくらいこのゲームのファンの熱のこもり様は半端じゃないわけだ!

 

だけど俺のそんな姿を眺めるもみじとみよちゃんの目はとても優しかった。

反応を見る限りゲームに興味ないって感じか?

あさひはお兄さんがやっているみたいだけど……。

 

う~~~ん……、ゲームの話じゃ退屈だよな。

なにかもっと盛り上がる話題があればいいんだけども、女の子って普段何を話すのかわからないや……。

 

気付けばそんな言葉が自然と零れていたらしい。

その言葉に対してもみじは困惑したような感じを見せたけれど、俺が病弱ってことで学校に転校してきたという経緯(設定)を知っているからか、誤魔化しの言葉に理解を示してくれた。

危ない危ない。

 

 

「う……う~ん、あらためて聞かれると……。あさひとはよくスポーツの話をするけど……、女の子っぽくないよね。」

 

 

もみじがそう答えると次いであさひが発言した。

 

 

「気にせず好きなことを話せばいいぞ! ゲームの話をしているまひろん、楽しそうでかわいいし!」

 

 

俺はそんなあさひの言葉に救われる。

そうか、無理に女の子らしい話題を選ばなくても、この娘たちは俺を受け入れてくれるんだなっていう安堵感と優しさが本当に嬉しい。

 

だから俺は席を立ちあがってあさひの頭を撫でまわし始めた。

もみじもその流れに乗ってか、「わたしもそう思うし~」なんて言ってそれに混ざって来た。

 

そんなふうにもみじとあさひと絡んでいると、みよちゃんが「女子の好きな話題と言えば、やっぱり恋バナ!」って言ってきたけど、みよちゃんの言う恋バナってちょっと違う気がする。

この娘は女の子同士の方が間違いなく好きだろうし……。

 

 

そのみよちゃんの発言で落ち着いた俺たちは、再度自身の席に戻って食事を再開し始めた。

そんな折だ。

もみじから思ってもみなかったことを言われたのは。

 

 

「でもゲームの話ならお兄さんとか新川さんの方がいいんじゃない?」

 

 

俺はそのもみじの発言にむせた。

それはもう盛大に。

そして聞いたこともない名前にあさひとみよちゃんも反応する。

 

 

「「お兄さんと新川さん?」」

 

 

ま、まさか二人も食いつくなんて……。

 

 

「えっと……、お兄さんっていうのはわたしのおにいちゃんのことで、今は遠いところの大学に行っているの。新川さんってのはそのおにいちゃんの友達で、おにいちゃんに頼まれてよく家にわたしとかみはりお姉ちゃんの様子を確認する人っていうか……。」

 

「えっと、その人って女性? 男性?」

 

「え? えっと、新川さん、カズお兄ちゃんは男の人だけど……。」

 

 

みよちゃんの質問に対して俺はそう返答する。

するとみよちゃんはどことなく残念そうな顔をこちらに見せた。

わかりやすぅ~。

 

 

「へぇ~、まひろんにもお兄ちゃんいるんだ! 私とおそろいだ~!」

 

 

あさひはあさひでそっちなんだとは思ったけれども。

それはそうともみじの質問に答えないと。

 

 

「えっと、もちろん学校から帰ったら通話とかで話すかもだけど、二人ともそこそこ忙しいみたいだし……。まぁ、カズお兄ちゃんは時々家に来るからその時に話すのでもいいかなって。」

 

 

もちろん嘘だ。

なんならカズとはわりと頻繁に通話しながらゲームしている。

 

とはいえ、今そんなことを正直に言ってもな~と思い、咄嗟に嘘を言ってしまったけども。

 

 

もみじは俺のそんな回答を一瞬訝しんでいたけれど、ある程度は納得できたのかそれ以上追及してくることはなかった。

なんでそんな反応するんだよ~!

 

 

そんな他愛のない会話をしながらお昼ご飯を食べ終わる。

まぁ、ちょっとしたトラブルもあったけれども、みんな心が広いお陰でゲームの話も出来たし、また聞いてもらいたいな。

欲を言えば語り合いたいけれど……。

 

そんな風に考えていると、男の子たちがロスクエの話をしているのが耳に入って来た。

ゲームについて語り合いたかった俺は、気付けば光に集う虫のようにその少年たちの元へと近づいて声を掛けてしまっていた。

 

 

「そ、それってロスクエの話……?」

 

 

俺の掛けた声に驚いたのか、少年たちはちょっとビックリした様子で俺に対して返答してくれた。

 

 

「え……えっと……、緒山……だっけ?」

 

「ロスクエやってんの?」

 

「やってるやってる! あ、急に割り込んでごめんね……。」

 

 

ついつい返答してくれたのが嬉しくて、俺も食い気味に答えてしまった。

だから俺は彼らに対して割り込んだことをごめんと謝ると、彼らはそれに対して気にした様子もなく、普通にゲームに関する会話をしてくれた。

ちょっと視線を合わせてはくれないけれど。

 

とはいえやっぱり語れるやつがいるってのは嬉しい!

カズと語り合うのもよかったけども、同士ってのは何人いてもいいものだしな。

……ついでにこれも聞いておこうかな。

 

 

「ちなみにシリーズだとどれが好き? やっぱりⅥだよね~。」

 

 

そう、ロスクエには名作が多くあるけれど、俺はⅥが一番好きだ。

ちなみにカズも俺と同意見、やっぱりあの重厚なストーリーが一番好きなんだよな。

 

だけどそんな過去の名作を彼らはやったことがないと言ってきた!

なんてもったいない!!

 

俺のそんな思いは、彼らの一言によってあえなく消し飛んだ。

 

 

「だって……、生まれる前のやつだしなぁ~……。」

 

 

う、生まれる前……。

俺とカズで散々遊んだゲームが彼らの生まれる前のものだなんて……。

あ、ヤバイ、涙出てきた。

これが世代間ダメージってやつか……。

 

 

「……どうしたの、まひろちゃん?」

 

 

そんな俺に対してもみじが声を掛けてきた。

あ、心配させちゃったか……。

なんでもないよってしっかりと伝えないと。

 

 

「あ……いや……なんでも……」

 

 

だけど俺の声から出てきたのはか細い声。

思った以上に彼らの言葉にダメージを受けていたみたいだ……。

 

その後少年たちは女の子たちから「サイテー」なんて声を掛けられていたけれど。

ごめんね、後でしっかりと謝りに行くから。

 

 

 

 

 

 

   ♂ ♀ ♂ ♀ ♂ ♀

 

 

 

 

「……てことが昼にあってさ~。」

 

 

学校から帰って夕飯を食べた後、俺はカズと通話しながらロスクエをしていた。

 

話題の中心は今日学校で少年たちとした話。

ロスクエⅥが発売された時には彼らがまだ生まれていなかったという事実が俺に痛烈なダメージを与えたというもの。

 

実際、俺とカズが今年二十歳で(俺は翌年の三月で二十歳になるけれども)もみじやあさひ、みよちゃんたちが十三歳で七歳も歳の差があるから、納得自体は出来るんだけれども……。

やっぱり直接生まれる前のゲームって言われると、心に来るものがあるよね……。

 

ちなみにゲームの進捗度に関しては結構違っていたから、ゲームのストーリーに関することはあまり話していない。

あいつ、徹夜でゲームしてそのまま学校行って、今もまたゲームをやっているらしいから進捗度は当然向こうが上だ。

俺も2徹してクリアするつもりだったから人のこと言えないけれど、あいつも大概だ。

 

そして俺がカズと話していると、あいつは急に笑いを嚙み殺したような感じで話し始めた。

 

 

「ククク そればっかりは仕方ねーよな。俺たちは二十歳で相手は中学一年生なんだから年齢差のギャップってのはあるもんさ。苦しかろうと受け入れろよ。」

 

 

あいつ、俺が世代間ギャップでダメージ受けているのを楽しんでいないか?

くそ~~~。

 

 

「お前はなんとも思わねーのかよ?」

 

「事実だしな~……。その男の子たちに言われたらまだダメージ受けるかもだけど、真尋から聞いただけじゃあなんともだぜ。」

 

 

俺はそのカズの返答に少しイラっとした。

 

いや、カズの気持ちもわかるよ。

同い年のやつから「少年たちがこんなこと言ってたんだ~」なんて言われたところで、「ふーん、そうなんだ」としか思えないことくらい……。

 

でも今の俺の外見は女子中学生じゃん!

ちょっとはその外見に応じた扱いってやつをしてくれてもいいのにな!

 

 

俺がそんなことを考えていると、カズが言葉を続けてきた。

 

 

「そういえばよ、真尋は学校でも俺と遊んでいる時みたいにスキンシップとってんのか?」

 

「え? いや、さすがにお前と遊んでいる時みたいなことはしないぞ。相手蹴ったりとかのしかかったりとか。相手女の子なんだし。」

 

「へぇ~、ちなみにさっき話をしていた男の子達にはどうだ?」

 

「え~? なにを気にしているのか知らないが、そんな激しいスキンシップなんてしないって! せいぜいが肩を叩いたりするくらいか?」

 

 

しかしこいつはいったいなんで急にこんなことを聞いてきたんだ?

別に誰に対してスキンシップをとろうが、あいつには関係のない話だろうに……。

 

……それともあれか? 俺がもみじたちに対して変なことをすると思ったんじゃないだろうな!?

 

 

「おい、カズ。もしかして俺がもみじたちに変なことをしていないか勘ぐっているわけじゃないよな?」

 

「へ? いやいや、そんなことを確認したいんじゃないんだって!」

 

 

カズは俺の言葉に対して全力で否定した。

じゃあいったい、なんでそんなことを聞いてくるんだ?

 

そんな疑問を持っていた俺に対して、カズは自身の考えを俺に伝えてくれた。

 

 

「いや、男に気軽にスキンシップとってると後々苦労しないかなって思ってよ、ちょっとした忠告のつもりだったんだ。」

 

「は~? なんで男子にスキンシップとってると後々苦労するんだよ!?」

 

「お前、忘れたのか? 中学生男子なんて、もっとも勘違いしやすい時期だってことを。」

 

 

……ハッ! 確かに!

俺はそのカズの言葉に衝撃を受けた。

思えば俺やカズが中学生の時、ちょっとした女の子の優しい態度に対して「もしかして……。」なんて思った恥ずかしい経験がある。

 

 

ちょっと待てよ?

つまり俺のスキンシップってそれに該当するってこと?!

 

 

「え? ヤバいことした、俺?」

 

「いや、まだ大丈夫じゃないか? ただ真尋の今後次第じゃ分かんないけども。」

 

 

俺はカズの言葉にちょっと青ざめた。

さすがに男に告白されるのなんて嫌なんだけど!?

 

そんな俺を気遣ってか、カズは心を荒立てないような落ち着いた声で俺に静かに話しかけてきた。

 

 

「まぁ、なんだ真尋。お前がいくら気をつけようとしても、お前のスキンシップの多さは結構習慣化しているものだからな。多分減らないぞ? それよりも相手に誤解されないように言葉に気を付けた方が得策だと思うぜ。」

 

「おい、それで勘違いはされなくなるのか?」

 

「いや~、無理じゃないか? 伝えたところで相手がお前に好意を抱くのは、相手次第なところあるし。あくまでも可能性を減らすってだけで。」

 

 

カズの言葉には一理ある。

要は俺が迂闊なことさえしなければ勘違いされることもなくなって、精神的な平穏を手にすることが出来るわけだ!

 

 

「サンキューカズ! 早速明日から気を付けることにするよ。」

 

「おう、がんばれよ!」

 

 

 

 

――――余談ではあるが、後日真尋はこの日の会話の内容を完全に忘れ、相も変わらず男の子たちにスキンシップをとったり、真尋本人は無自覚ながらも男子を誘惑してしまっていたりして大変なことになるのだが、それはまた別の話。




ロスクエのモデルは間違いなくドラクエですが、wikiで発売日を見ていたら
ドラクエⅥ=1995年
ドラクエⅨ=2009年
らしいですね

だから真尋が少年たちの生まれる前発言でダメージを受けるのはわりと妥当だったりします

とはいえ当作品はスマホとか出てくるんでモデルの年よりも後なんですけどね


余談ですが真尋の姫レベルは当作品でもかなりのレベルで上昇中
男子たちも「緒山って……いいよな……」「いい……」状態に陥っています
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