現実は時に性別さえも覆すようだ   作:忘れ者

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やっと……、やっと忙しさの6割を消費できた……。
暫くゆっくりのペースで投稿します……。

「あ」でも「ん」でもいいので感想くれたら嬉しい限りです。

今回も落ちなしのゆったりした話。


来訪者たちは突然に

あ〜……、頭が痛い。

喉もイガイガするし、ケホケホと咳き込んでしまう。

それに眩暈がするし、鼻水も止まらないし、体の節々も痛い。

 

一般的な風邪の症状だ。

 

なんなら下腹部にも違和感があるけれども……。

これはきっと気のせいだろう……、たぶん。

 

なんで急に風邪の症状の話なんかしだしたのかって言えば、それはとても簡単な理由からだ。

ひとえに……

 

「38.9分。風邪ね、お兄ちゃん。」

 

そう、緒山真尋が風邪をひいたからだ。

 

なんで俺が風邪をひいたのかと言えば、それは俺のアイデンティティを回復するために行ったある出来事が原因だった。

 

 

―――それは冬休み明けの出来事だった。

俺はクリスマスにみはりからもらったマフラーを身につけて、いつも通りもみじやかえでちゃんと登校していた。

 

冬休み明けということもあって、最近は本当に寒さが肌に刺さるような毎日、そんな中でもかえでちゃんは生足で登校していた。

かえでちゃんいわく、「オシャレは我慢」ということらしいけど、本当女の子ってオシャレのために逞しいよな……。

まぁ、その姿は本当にありがたいと思うけれども。

 

そんな会話を繰り広げたかえでちゃんとは別れて俺ともみじは学校に着いた後に、あさひやみよちゃんたちと寒いよね〜なんて話をしていたんだけれど、あさひがスカートをまくり上げる姿に釣られて俺もついつい自分のスカートをまくり上げてしまった。

その際にクラスの男子についうっかりとその姿を見られてしまって……。

 

そして気づけば俺の口から「きゃん!」なんていう、いかにも女の子らしい変な声をこぼれ出てしまった。

本当に自分でも信じられないんだけれども、気付かない間に女子としての羞恥心が芽生えていたんだと思う。

なによりヤバいのは、『カズ相手にだって見せないように気をつけているのに!』なんてふと考えてしまった自分がいるのに気がついた時だ。

 

それを自覚した時、俺は全身に電流が走ったような気持ちになった。

 

さすがに染まりすぎだ!!

いくら最近は女の子らしい言動や仕草も意図せずに増えてきていたとはいえ、もともとの俺の性別は男なんだ!

男の心を思い出せ〜〜〜!

 

そんなことを考えた俺は、ついつい登校中に見たかえでちゃんの生足姿を思い出して「生足ッ!」って叫んでいた。

もうなんだっていい、とにかく男の心を思い出すためならばという気持ちが先行しすぎていたんだと思うけども。

 

だけど俺のそんな発言は続くみよちゃんの「生足はよくない」という発言によって見事に打ち砕かれ、俺自身も萎れることとなった。

 

まぁ、そうだよね……。

身体によくないんだったら仕方ないよね……。

 

そんな時にあさひはみよちゃんに対して「普段からおっぱい丸出し」なんて発言するもんだからみんなでみよちゃんを慰めることになった。

いくらみよちゃんが「低温になると身体が脂肪を蓄えて足が太くなる」という話をしてくれたからといって、いくらみよちゃんのおっぱいが大きいからといって、みよちゃん気にしているからあんまり言っちゃあダメだぞ、あさひ〜。

 

 

 

 

とはいえおっぱいである。

 

一人の男としてやっぱりおっぱいはいいモノだと俺はエロ本を久々に読んで確信した。

故に俺はおっぱいでアイデンティティを取り戻す!

 

ところでおっぱいと言えば巨乳派や貧乳派など、好きなサイズ感ってのが男ならあると思う。

 

だからこそ俺もどうせなら自分のおっぱいをみよちゃんレベルに増やしたいなぁ〜なんて思った次第である。

自分のものだったらもみ放題だし、あとカズ……、は! いかんいかん!!

 

だから朝にみよちゃんから聞いた低温ならば身体は体脂肪を蓄えるという話を実践してみようかと俺は考えてしまった訳だ。

 

 

―――その結果として、俺は冬にも係わらず窓を開けて寝てしまい、ものの見事に風邪をひいてしまったといったのである。

自分で言うのも恥ずかしい話だけれども、まさしくアホなことをしてしまった。

 

今日はもうこのまま大人しくしていよう。

 

「……仮病ではないようね。他に症状は?」

 

寝込んでいる俺の横に座って看病してくれているみはりが体温計を見ながら俺に問いかける。

症状とはいえば鼻水が止まらなかったり、喉もちょっと痛いけれど……。

 

「さっきから下腹部に違和感が……。」

 

そう、下腹部に違和感があるのだ。

風邪の症状で下腹部に違和感を生じるなんて話は聞いたことがないけれども、そんな違和感が俺の心中を占めているのだから仕方ない。

 

だから俺はみはりに違和感のことを伝えると、それを受けたみはりは触診と称して俺の下腹部に手を伸ばした。

 

その時俺は、みはりに触られたからだろうか、愛しの我が相棒が戻ってきていることを理解したのである!

 

これは……、今こそ存分に戦友を労う時に違いない!

なんてことを考えたのだけれども、さすがに風邪をひいている状態だと気持ちが悪くて、とてもではないがそんなことをする気力でさえ湧いてこなかった。

 

みはりは薬の効果が抜けるには早いし、不測の事態で身体がどうなるか分からないからしっかりと風邪を治そうと言っているし、大人しく今回はみはりの言葉に従っておくことにしよう。

そもそも風邪をひいた理由も理由だし、身体も心配だからここは真面目に養生しよう。

 

だから俺はそのまま目を閉じて意識を沈めていった。

 

 

 

 

 

   ♂ ♀ ♂ ♀ ♂ ♀

 

 

 

 

 

はてさて、今日の晩御飯は何にしようか。

昨日までは作り置きしていたカレーがあったけれども、さすがにもう尽きてしまったし……。

 

大学での講義を終えた新川和史は、その帰り道にいつものスーパーに寄っていた。

理由はもちろん自炊をするための材料を購入するためである。

 

とはいえ、俺自身はそこまで料理が得意というわけではない。

得意ではないが、俗に言う男飯ってやつならば俺は頻繁に作る。

要は下手の横好き程度の料理レベルなわけだ。

 

だから量を食べれて、安く、早く、そこそこ美味いものを作り置きしておくようなことばかりしているんだけれど、生憎昨日作り置きしていたカレーを全て食べきってしまったのである。

そして冷蔵庫の中は米を残して空っぽ、だから諸々補充しようと思ってスーパーに来た次第なのだ。

 

さーて、何を買おうかな……。

 

そんなことを考えながら俺はスーパーの中をゆっくりと歩き回っていた時に、見覚えのある後ろ姿を見かけた。

さすがに余所行きとあってか白衣を脱いでいるけれど、いつものツインテールのお陰かわりとすぐに見分けがつく娘だな。

 

ちょうどいいや、彼女に今日の献立の相談をしよう。

 

そう思った俺はみはりちゃんに声を掛けた。

 

「やぁ、みはりちゃん! 晩御飯の買い出し?」

 

俺がみはりちゃんに対してそう声を掛けると、彼女は振り返ってから俺に気付いたのか、ちょっとホッとしたような顔をしてから返答してくれた。

 

「あ、カズ君。そうよ、夕飯の買い出し。カズ君も?」

 

「そうなんだよ。今日の晩飯をどうしようかと悩んでいて……。なにか簡単で保存の効く料理ってないかな?」

 

「うーん、そうねぇ……。鉄板なところで言えばカレーとかシチューとかだけど。カズ君のことだからもう作ってそうだし。」

 

「まさしく、だなぁ。昨日まで作り置きをしていたカレーを食べていたし。俺は作れるものがそう多くないから、ある程度レパートリー循環すると困るんだよねぇ。」

 

俺がそう答えるとみはりちゃんはちょっとした悪いことを思いついたような顔をしながら返答してくる。

 

「なるほどぉ、だからよく家に食べに来るのね?」

 

「いやいやいや、そんな意図はないから! もちろんいつも助かっているけれども!」

 

「ふふ、冗談よ♪」

 

俺を揶揄って満足したのか、みはりちゃんはちょっと満足そうな笑みを浮かべていた。

 

まぁ、俺としてもいつもお邪魔している身だから反論なんてする気も起きないが、だからといっていつも飯を目当てで緒山家にお邪魔しているわけではないことだけは念押ししておかねば。

 

だから俺は念押ししようと口を開くも、みはりちゃんが先に「カズ君に料理を教えるのはやぶさかではないんだけれども……。」と言葉を発してちょっと困ったような顔を浮かべていたのを見て、念押しはやっぱりいいかと俺は思いとどまった。

 

まぁ、うん。そんなに言わなくても分かってくれるだろう。

 

なんてことを思いつつ、俺はみはりちゃんと一緒にスーパーの中を歩きながら、テキトーに食材をかごに突っ込んでいき、それを持ってレジへと向かう。

そして会計を終えてから俺は両手に俺自身の買い物袋とみはりちゃんの買い物袋を持ち、スーパーを後にしてみはりちゃんと一緒に緒山家に向かっていた。

 

みはりちゃんの買い物袋を持っている理由?

そりゃあ日頃からお世話になっているし、女の子に持たせるのもなんかなぁって思ったからだ。

緒山家に買い物袋を持って行ったら家に帰ればいいだけだし、精々家までの距離がちょっと伸びるくらいだから構いやしない。

それにスーパーでみはりちゃんに会うと、だいたいいつも荷物持っているし、俺の中ではある程度習慣化しているのもある。

 

みはりちゃんは相変わらず俺が荷物を持つと言った時には遠慮をしていたけれども、日頃からお世話になっているしこれくらいはやらせて欲しいと俺が強く頼んだところ、それならと素直に買い物袋を渡してくれた。

 

そんなこともあって、俺もみはりちゃんと一緒に緒山家へと向かって歩いている途中のことだった。

いつも通り学校はどうかとか、真尋の様子はどうだなんて会話をしていると、みはりちゃんから真尋が今朝から風邪をひいているという話を聞いた。

しかも理由が理由だった。

 

「じゃあ真尋はこの冬の中、部屋の窓を開けて寝ていたのか? そりゃ風邪ひくよ……。」

 

俺がそう答えるとみはりちゃんはちょっと困ったような顔を浮かべながら返答してくる。

 

「そうなのよ。まったく、そんなに学校行きたくないのかしら? お友達も増えて前より生き生きしているように見えたのに……。」

 

「確かに引きこもっていた時期と比べるとかなり明るくなったよな、真尋。いや、昔に戻ったっていうのが正確なのか? それなのに学校行きたくないってのは不自然だし、この時期に窓を開けるってことは珍しいから、きっとくだらない理由で窓を閉めてなかったんじゃないか?」

 

「そうかしら……?」

 

みはりちゃんは少し怪訝な表情を浮かべながらも、俺の推測に対して一定の理解を示してくれた。

 

まぁ、真尋のことだからわりとくだらない理由説ってのはあり得そうなんだよな。

それを実行した具体的な理由はまったく思い浮かばないけれども。

 

そんなやりとりをみはりちゃんとしていると、あっという間に緒山家に着いていた。

さすがに今日は真尋も風邪をひいているということで俺はみはりちゃんに買い物袋を預けてからさっさと帰ろうとしていたんだけれども、みはりちゃんが玄関の扉を開けて「あれ?」と声を挙げたために、俺は一旦帰るのを止めてからみはりちゃんに尋ねた。

 

「みはりちゃん、どうかした?」

 

「あ、ごめんね。靴が三足玄関に並んでいるから、ちょっと驚いて。中学生のローファーだろうし、お兄ちゃんのお友達が来ているのと思うけど……。カズ君、念のためにちょっとリビングで待っててね。」

 

「え? ちょっと……。」

 

俺は買い物袋を吊り下げていない片手をみはりちゃんに向けるも、そんな俺の姿は眼中にないのか、みはりちゃんは室内へと自身の買い物袋をぶら下げて入っていった。

 

え、マジでリビングで待つの? なんの理由で?

 

そう考えるも、もはやそれを教えてくれる相手は室内なので、だったらと仕方なしに俺も靴を脱いで緒山家にお邪魔することにした。

こうなったら真尋のお見舞いくらいはしてから帰ろうかなと思いながら。

 

そしてみはりちゃんに言われた通りにリビングのソファに座ってしばらく待っていると、二階からもみじちゃんと、元旦にかえでちゃんから送られてきた写真に写っていた女の子二人と、それに真尋とみはりちゃんが降りてきた。

 

みはりちゃん以外は俺がリビングに座っているのを見て最初は少し驚きながら「いつの間に!」とか「……だれ?」みたいな反応をしていたけれども、俺だってまさかもみじちゃん以外の中学生と顔会わせることなんて想像していない。

とはいえ、そのままたじろいでいても仕方がないのでとりあえず挨拶をすることにした。

 

「あー……。はじめましてのもいるから自己紹介するね。俺は新川和史あらかわかずふみっていうんだ。真尋ちゃんが風邪をひいたってみはりちゃんから聞いてね、お見舞いのためにさっき家にお邪魔させてもらったんだよ。」

 

本当は緒山家にお邪魔するつもりはなかったけれども、こう言っておいた方が変に警戒しなくて済むだろうと思って発言する。

嘘も方便というやつだ。

 

すると初対面の女の子二人は俺の回答に納得してくれたのか、もしくは興味を持ってくれたのか。

俺に対して興味津々と言った感じで見てきているのがなんとなく視線からわかった。

 

なんでそんなに興味津々そうなんだ? なんて思っていると、元気そうな娘と大人しそうな娘が俺の疑問を解決するかのように順番で自己紹介をしてくれた。

 

「おおー! にいちゃんがカズにいちゃんなのか! わたしはあさひだぞ! まひろんともみじから話は聞いているぞ!」

 

「えと……、室崎みよです。お兄さん、よろしくお願いします。」

 

「あさひちゃんと室崎さんだね、よろしく。それにもみじちゃんも、今日は三人で真尋ちゃんのお見舞いに来てくれたのかな?」

 

俺が三人にそう尋ねると、もみじちゃんが率先して「はい、そうです!」と元気よく返答してくれた。

わざわざ学校帰りにありがたいことだ。

 

「なるほど、わざわざ真尋ちゃんのためにありがとうな。ところで、真尋ちゃんは学校では楽しそうにしているかな?」

 

俺のその質問に対して、三者三葉ではあったもののみんな元気に肯定を返してくれた。

 

おお、それは重畳だ。

真尋本人からはオンラインゲーム中とかに学校の話を聞いたりしていたから、学園生活にある程度満足していそうなことは知っていたけれども、やっぱり友達の口からそう言ってもらえるとなんだか安心する。

真尋が中学校へと行く一連の流れを知っていたから、前々からなんだかんだと言いつつも気にはなっていたんだよな。

もちろん、もみじちゃんみたいな子と一緒のクラスと聞いていたからある程度は安心していたけれども。

 

とはいえ、真尋にとっては俺のそんな考えなんてどうでもいいよな。

さっきからずーっとジト目で俺を見ているのは無言の抵抗かね。

後で真尋にはテキトーに良い訳でもしておくとするか。

 

「そかそか、それは良かった。これからも真尋ちゃんをよろしくね。」

 

三人に対して俺はそう言うと、再度ハツラツと肯定してくれた。

まったく、元気で良いねぇ。

 

 

―――その後も俺はもみじちゃんやあさひちゃん(名字知らない)、室崎さんと二、三言葉を交わした後に、三人娘は真尋に「また学校で」と挨拶をしてから帰っていった。

 

帰る間際にあさひちゃんが真尋に対して謝っていたけれど、いったい何があったんだろうか。

そこは気になるけれども、当の真尋はあまり気にした様子もないので部外者の俺がとやかく言うのもおかしな話だ。

とりあえず当人たちで決着ついている話なら、蒸し返すことなんてしなくていい。

 

そんなことを俺は考えながら、俺や真尋、みはりちゃんは緒山家の玄関からリビングへと戻ってきた。

 

「しっかし真尋、お前身体の調子はもういいのか?」

 

俺が真尋に対して質問する。

おそらく今日一日寝ていただろうからある程度体調は良くなっているとは思うのだが、それでも万が一があるかもしれない。

体調が優れない時は、ちょっと大袈裟にするくらいでもいいだろう。

そんな考えが俺にあるからだ。

 

だが真尋は俺のそんな質問に対して、「あぁ、大丈夫大丈夫。ナニもなくなったからな……。」と物憂げな表情で返答した。

 

そんな顔をされるとあからさまに何かありましたと言ってるようなものなんだがな。

 

いったいなにがあった。

俺がそう真尋に聞こうとした時、みはりちゃんが言葉を発した。

 

「それにしても不思議ねぇ……。薬の効果が一時的に弱まるなんて。」

 

その後も「検証が必要ね」や「お兄ちゃん、もう一回風邪ひいてくれる?」と真尋に対して言うみはりちゃん。

さすがにおいおいと思った俺はみはりちゃんを止める。

 

「みはりちゃん、それはマズいって!」

 

俺の言葉に対して「冗談よ。」なんてみはりちゃんは言うけれど、さっきの目はマジだったな……。

 

「というか薬の効果が弱まったっていったい何があったんだ?」

 

「ああ、俺のナニが蘇ったんだよ。まぁ、風邪が治ったのと同時にいなくなったけども……。」

 

そう言った真尋の顔には哀愁が漂っていた。

それなら気持ちはわか……わかると言えればいいが、そんな経験したことないからなんも言えねぇ……。

……ああ、だからみはりちゃんはもう一回検証したいから風邪をひけって言ったのか。

容赦ないなぁ……。

 

「きっとあれだ。身体が生命の危機を感じて、男の生殖本能が蘇ったんだ。疲れたら逆に硬くなったりするしな~、カズ。」

 

「……確かにその可能性は高いかもしれないな。」

 

俺と真尋の会話でも要領を得ないのか、みはりちゃんはきょとんとしたような顔をして「固くなるって何が?」と聞いてくる。

とはいえ俺としては完全にセクハラになりそうで言いたくはないから渋っていると、真尋がみはりちゃんに耳打ちをして、最終的に顔にクッションを押し付けられていたけれども。

 

まぁ、そうなるわな。

 

「なんにせよ、風邪が治ったようで良かったよ。ところでみはりちゃんはなんであの時俺を引き留めたんだ?」

 

「あ~……。靴からあの子たちが来ているのは分かったんだけれど、念のため男の人がいた方が万が一の時はいいかなって思ったの。」

 

「なんだ? いったい何の話なんだ?」

 

兄は風邪で寝込んでいて、そんな兄を一人残して外出している時に家に帰ってきたら靴があるとしたら、確かに俺も警戒するかもしれないな。

なるほどな、と俺は納得する。

 

「内緒だ。それより真尋、お見舞いの品なんて今日は用意できなかったからな。悪いが今日はこれで勘弁してくれ。」

 

そう言ってから俺は真尋に対してとある紙を3枚渡す。

 

「うん? なんだこれ?」

 

「商店街のくじ引きのチケット。さっき買い物行ったらもらえた。」

 

「お前、これはないわー。」

 

「仕方ないだろー、お前の体調を知ったのはここに着く少し前のことなんだから。さすがにお見舞いの品を買ってる余裕はなかったよ。」

 

俺がそう言えば真尋はむぅと少し不満そうにしながらチケットを受け取る。

 

「ちなみにこのくじ引き、商品はなんだよ?」

 

「なんだったかな? みはりちゃん覚えている?」

 

「そうね~……。確か一等が海外旅行で、二等が電化製品、三等が最近できた水族館の招待券だったかしら。」

 

みはりちゃんの説明を受けた真尋は興味なさそうに、ふーんと言いながらそのチケットを眺めていた。

 

仕方ない、そこまで気にくわないのなら、また今度お邪魔する時には真尋の好物のお菓子でも買ってきてやるとするか。

 

とかなんとか思っている内にもういい時間だ。

さすがに今日はこれ以上お邪魔させてもらうのも悪いと思い、俺は二人に対して「それじゃあ、俺はそろそろこの辺りでお暇させてもらうとするよ。」と伝える。

 

すると二人はわざわざ玄関まで来て見送ってくれたので、俺はそれを背に受けながら家路に着くことにした。

 

さて、それはそうと今日の晩飯はなににしようかな……。




拙者TSもの好き好き侍。
ファ美肉おじさん9巻の展開に胸が熱くなる。

関係ない話はここまでにして、カズがあさひを「あさひちゃん」と呼ぶのは名字を知らないからです。
知ってたら「桜花さん」って呼んでます。

今後オリジナル展開とかもどんどん出てくると思うのですが、皆様の広い心でお許し下さると幸いです。

小説の書き方をちょっと変えてみました。皆様にとって見やすいのか知りたいので、是非ともご協力ください。

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