現実は時に性別さえも覆すようだ   作:忘れ者

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天の声「いいですか作者よ、あなたの小説には『まひかわじょばじょば』が足りません。『まひかわじょばじょば』を尊み、『まひかわじょばじょば』を書き続けなさい。そうすれば『まひかわじょばじょば』の恩恵を得られることが出来ます。いいですか、『まひかわじょばじょば』ですよ!」

作者「ええ… 誰ぇ… 怖いぃ…」


良いこともあれば悪いこともある

「あ~、完全に失敗した~。なんで連絡来ていたのを見逃したんだろ…。」

 

 

10月に入り大学の講義が始まったある日、俺は自身が通っている大学へとやって来て、人通りの少ないベンチに腰かけていた。理由はもちろん、今日の講義に出席する予定だったからだ。

予定だった・・・と過去形になった理由は、その講義が今日は中止となったからに他ならない。しかも複数、俺が受講している講義もそれに該当してしまった。

 

 

ある教授はぎっくり腰でとか、ある教授は熱が出てとかで中止なんだとか。どうぞお身体大事にしてください。

大学からも講義中止の連絡が来ていたのだけれど、俺が起きた時間は大学の講義に間に合うか間に合わないかのギリギリの時間だったのでその連絡を見過ごしていた。その結果、ものの見事に無駄足を踏んでしまったといった次第だ。

 

 

しかも今日はバイトを入れていないし、サークルも活動がないと来ている。要は講義がなくなってしまったお陰で一気に手持ち無沙汰になってしまったわけだ。

 

 

そういやこの前、同じゼミ生の栗原が友達めっちゃ誘ってボウリング大会をしないかって誘ってくれていたな。講義をサボってって前提だったけど。俺はさすがに親の金で一人暮らしや大学に通わせてもらっている以上、講義を優先させてくれって断ったんだよな~。

あれの開催日時が確か今日だっけか? 俺も今からでも参加させてもらえないだろうか。

 

 

そう思ってスマホのロインで栗原にダメもとで連絡しようとした時のことだった。

突如俺のスマホが震えた。要は通話が来たのだ。相手は緒山真尋、俺はそれを確認してすぐに電話に出た。

 

 

「もしもし。」

 

 

『もしもしカズ、今暇か?』

 

 

「暇と言えば暇だが、どうした?」

 

 

『今駅前のゲーセン近くにいるんだけど来ないか?』

 

 

駅前のゲーセン……、たしか中学生の頃真尋とよく遊びに行ったゲームセンターか。 こっちに戻ってきて前を通ることはしばしばあるけれど、寄ることはめっきりなくなったな。

 

 

ん? いや、待て。あいつ今なんて言った?

 

 

「え、お前外出してるの? みはりちゃんと一緒か?」

 

 

『子ども扱いすんな! みはりもいないし!』

 

 

「ぉ、おお……! ついに一人で外出できるようになったんだな!!」

 

 

『バカにするな~! 来るのか来ないのか、どっちだ!?』

 

 

「行く行く! すぐ行くよ!」

 

 

『早く来いよ~。先に入って遊んでいるからな~。』

 

 

そう言って真尋は通話を切った。

 

 

大学の講義がなくなって一日暇になって、これからの予定をどうしようかと悩んでいたところにわざわざ真尋からこんな誘いがあるとはな。まさに渡りに船というやつだ。

 

 

しかもあいつが一人で外出しているなんて……!

真尋が高校生の時は知らないけれど、少なくとも俺がこっちに来てからは一度も外出するなんてことはなかったはずだ。それを思えば少しずつでも成長しているんだな、真尋あいつも!

 

 

いや待て、成長か……?

 

 

まぁなんでもいい、とりあえずさっさと駅前のゲームセンターに行ってやらなければな。真尋のことだから、人がたむろしていたら例えやりたいゲームがあったとしても避けるだろうし。

 

 

そうと決まれば早速行動しなければ!

 

 

 

 

 

   ♂ ♀ ♂ ♀ ♂ ♀

 

 

 

 

駅近くのゲームセンターには案外あっさりと着いた。大学からも比較的近い位置にあるお陰で移動は結構楽だったというのが大きい。とはいえ、それでも30分程度は時間が掛かっているけれども。

 

 

なにはともあれ、真尋を探さないとな。

 

 

あいつの頭髪の色は結構目立つから、ゲーセン内をぶらぶら歩いていたら見つかりそうな気もする。ロインで着いたことだけ連絡して、あとはぶらっとゲームの機種を眺めながら真尋を探すとするか~。

 

 

そう思って俺はゲーセン内を歩き始める。しっかし本当、ゲームセンターって大きい所はとんでもなく大きいよな~。俺が引っ越した田舎のゲームセンターなんて、スーパーの中にポツンとある小さなやつか、格闘ゲームや麻雀ゲームの筐体がズラッと並んで、少しだけUFOキャッチャーの筐体があるような所ばっかりだったのに。

 

 

まぁ、田舎だとなかなか人も来ないんだろうなぁ。

 

 

そんなことを思いながらぶらっと歩いていると、音ゲーコーナーで年配の男性に話かけられている真尋を見つけた。いや、なんで? 真尋も真尋ですごいあたふたしているし。

とにかくさっさと近づいて事情を聞かないと。

 

 

俺はすぐに真尋と男性の元まで近づいて行き、男性に声を掛けた。

 

 

「あの、すみません。その娘がなにかしましたか?」

 

 

「うん? 君はこの娘のお兄さんかい?」

 

 

「え? えぇと、一応友人と言いますか……。」

 

 

「友人? 随分と歳が離れているんだね~。どういう関係? というか平日の朝からゲームセンターにこんな娘さんを連れて来たらダメでしょ! この娘の学校はどうしたの!」

 

 

「あ、えと、はい。すみません。」

 

 

それから俺と真尋は補導員の男性に捕まってしばらく説教を受けたあと、真尋がこんな見た目でも実は同い年で、よく中学生と間違われるんですよと補導員の方を説得してなんとかその場を収めることに成功した。とはいえだ、今の真尋の外見だと中学生にも間違われるよな。そもそも平日のこの時間にゲームセンター行くと、補導員の方の目を引くよな~と痛感した。うっかり抜けていたなぁ。

 

 

ていうかこれ、俺は完全に貰い事故じゃね? まぁいいけどさ。

 

 

 

 

――――さすがにそんなこともあると、そのままゲームセンターで遊ぶわけにもいかず、俺と真尋は緒山家への道を渋々といった形で歩いていた。

 

 

とりあえず帰り道にまた補導員に捕まるとあれなんで、ひとまず真尋を家まで送ろうと思ったからだ。

真尋は真尋で目に涙を浮かべているし。

 

 

「その、元気出せよ真尋。たまにはこんなこともあるって。」

 

 

「やっぱり外は恐ろしいよぉ……。いくら物欲が勝っても家でゆっくりしておけばよかったんだぁ……。」

 

 

「そう気を落とすなって。その物欲で何を買いに行ったのかは知らないけどさ、欲しかった物買えたんならよかったじゃん。」

 

 

「その代償がこれなんてあんまりだぁ……。」

 

 

「まぁまぁ。あ、じゃあ道中のコンビニでアイス買ってやるよ。それで機嫌治せって。」

 

 

「子どもか!! ……俺はチョコアイスな。」

 

 

「あいよ。」

 

 

そうやって真尋を慰めながら道中のコンビニによってアイスを買う。これで期限が治るのなら安いものだ。とはいえ真尋め、よりによって高いアイスをここぞとばかりに強請るねだるとはな…。

 

 

「しかし不完全燃焼だな~。もっとゲーセンで遊びたかったのに。そうだ! カズ、このまま家で遊ばないか?」

 

 

「それは嬉しい申し出だな。お邪魔させてもらうとするよ。そうと決まればさっきのコンビニに戻るぞ。みはりちゃんにもお土産買っていかないと。」

 

 

「わざわざ戻るのかよ! いいじゃん、お土産なんかなくたって。」

 

 

「いやいや、お前の家とはいえ人様の家にお邪魔するんだ。こういうのはやりたいからやるんだよ。」

 

 

真尋はその後、ぶつくさ言いながら俺について来た。そしてまぁ、今度は高級そうなチョコを上目使いで「お兄ちゃん、お願い」なんて言って強請ってくるんだから大したやつだよ、お前は。

さすがに今回は頭に軽いチョップをして断ってやったが。

 

 

 

 

   ♂ ♀ ♂ ♀ ♂ ♀

 

 

 

 

「みはり~、ただいま~。」

 

 

「お邪魔しまーす。」

 

 

真尋は緒山家の玄関をくぐって室内へと入っていき、俺も真尋に次いでお邪魔する。するとリビングにはソファに座って雑誌を読んでいるみはりちゃんがいた。

 

 

「おにいちゃんおかえりなさい。思っていたよりも遅かったじゃない? それにカズ君も一緒に来るなんて…。なにかあったの?」

 

 

「ゲームセンターで補導されている真尋を見つけてね、そのまま放っておくことも出来ないから一緒に家まで来たってわけ。あ、これお土産ね。」

 

 

そう言ってから俺は先程のコンビニで買ったお菓子やジュースをみはりちゃんに渡す。

 

 

「え、おにいちゃん補導されていたの!?」

 

 

「うるさいな! カズも余計なこと言うなって!」

 

 

「いやいや、みはりちゃんに教えておかないとお前がまた出かけて補導された時に困るかもしれないだろ。」

 

 

「うぐぅ……。俺はもう一人で出歩かないぞ!」

 

 

それはどうなんだよと心中でツッコむ。

とはいえこんなことで真尋が一人で外出することを控えるようになるのは大変惜しい。なんとかしないといけないな。あとでみはりちゃんに相談してみよう。みはりちゃんもみはりちゃんでなにか考え事しているっぽいけども。

 

 

「そういえばおにいちゃん、朝話してくれた推しアニメのグッズは買えたの?」

 

 

みはりちゃんが真尋に対して質問する。どうやら真尋が外出した理由というのは、ハマっていた推しアニメとコンビニのコラボグッズを購入するためみたいだ。

 

 

それでわざわざ家から遠い駅近くのコンビニまで行っていたのかこいつ。

 

 

「おう、買ってきたぞ!」

 

 

そう言っていそいそとクリアファイルを鞄から出す真尋。そのクリアファイルの束がそこそこ分厚いこともあって、色々なコンビニ回って確保したんだろうなということがよく分かる。

 

 

その時クリアファイルとは別に何か小さな紙もカバンから出てきたけれど、俺はそちらには然程興味は湧かなかった。

なぜならクリアファイルは前期に人気を博した魔法艦隊ラブ☆マスターというアニメのコンビニコラボのものだったからだ。

 

 

「今日からコラボ開始だったラブマスの限定グッズ買いに行っていたのか。道理で駅前まで探しに行くわ「ぎゃわいい!!」……え?」

 

 

突然奇声をあげたみはりちゃん。いったいどうしたんだとみはりちゃんの方を見ると、彼女は先程クリアファイルと一緒に出てきた紙を手に持ってそれを眺めていた。

 

 

「うわー! 見るなー!!」

 

 

そして真尋は何かに気づいたのか、涙目になりながらもみはりちゃんからその紙を取り返そうともがいている。

 

 

「なになに、みはりちゃん何持ってるの?」

 

 

「カズ君見てよこれ! おにいちゃんカワイイよ!」

 

 

そう言ってみはりちゃんは持っていた紙を俺に渡してくれた。

ていうかこれ、プリクラの厚紙か。ていうことは、まさか!?

 

 

案の定みはりちゃんから受け取った厚紙には真尋がプリクラで撮ってきた可愛らしい写真が載っていた。猫のポーズに猫耳、猫の髭とか狙い過ぎだろ。

 

 

「真尋、このプリクラ一枚もらってもいい?」

 

 

「あ、カズ君ズルい! おにいちゃん私も欲しい!」

 

 

あ、つい本音が。

 

 

「お前たち、ふざけるな~!!」

 

 

真尋の声が緒山家に木霊した。




天の声「『まひかわじょばじょば』はどうした?」

クチュクチュ

作者「書ききれる自信が あっ ありませ あっ あっ あっ」
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