現実は時に性別さえも覆すようだ   作:忘れ者

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今回は真尋の話。
ちなみに美容院の話を入れるとおそらく真尋が和史に髪の感想を聞く話で完結してしまいそうだったのであえてのスルー。
ワ、ワスレテイタワケジャナイヨ


こたつの中で

徐々に秋の涼しさも去り始め、徐々に冬の寒さも目立ち始めた頃、俺はみはりと一緒にリビング今日から設置されたこたつで温まっていた。

 

もちろんこたつと言えばみかんだ!

俺はみはりから皮を剝いたみかんを貰いながら、それを食べていた。

どうしてこたつに入って食べるみかんはこうも美味しいのだろうか。

 

ちなみにこたつの周囲には俺が買った少女マンガが塔のように積んである。これは以前、俺が(正確にはもみじが)エロマンガを片付けた結果空いてしまった本棚のスペーズに代わりに入れることとなったためだ。

わざわざ塔のようにして置いてあるのは、さっきまで読んでいたんだけど、その少女マンガの内容が結構過激で……。

 

……さすがに気まずくなった俺とみはりは少女漫画を脇に置いて、その後こたつに入りながらテレビを見たり、みかんを食べたりしてダラダラと過ごしていた。

 

いや~、やっぱりこうやってダラダラと過ごすのはいいものだな~。

こたつは正に人類の叡智が生み出した最高の暖房器具に違いない。

 

そうやって俺たちはダラダラとこたつで温まっていた時、みはりのスマホから突如電子音が鳴りだし始めた。

 

この音はおそらく電話かな?

もしそうならば、相手はきっとかえでちゃんからかな。もしくは大学の誰かかもしれないけど。

カズからというのは考えにくい。まずは俺に電話を掛けてくるだろうし。

 

スマホの画面を確認したみはりはこたつから身体を出して、「ちょっと電話に出てくるね」と俺に一言伝えてから二階にある自室へと上がっていき、俺はそれに対して軽く返答した後にこたつでダラダラと過ごすことに決めた。

 

しかし時間も昼間ということもあってか、どこのテレビもニュースだったりショッピング番組だったりで面白いのをやっていないな。

マンガを部屋に持って上がって、ゲームを持って降りてきた方がいいかな。

そうやって思考を巡らせていると、テレビで温泉について特集した番組が始まった。

 

温泉か……。

そういえばこの前のハロウィンパーティでかえでちゃんの家にお邪魔した時にそんな話が出たな。

あの日のかえでちゃんはわりと前向きだったけど、実際のところはどうなんだろう?

本当に温泉に行くことになるのかな?

 

もし本当に行くことになるんなら電車は嫌だな~。

人がいっぱいいると立たないといけなくなるし、満員電車ってのにも遭遇したくないし、なにより大きな荷物を持って歩いたり乗り降りしたりしないといけないのは辛い……。

出来ることなら電車よりも車がいいな~~~。

 

それはともかくとして、ハロウィンパーティは最高だった!

みはりに騙されて仮装させられたけど、それが功を奏したのかかえでちゃんに抱きつかれて堪能できたし……。

いや~~~、本当ハロウィン最高……♡

 

とはいえ同時に焦ったこともいくつかあった。

以前もみじが家に来た時に誤魔化すために伝えた『遠くのいい大学で一人暮らしをしているなかなか帰って来ないお兄ちゃん』という架空の人間がかえでちゃんにまで伝わっていたなんて……!

みはりの咄嗟の機転がなければ答えに窮していたよ。

 

まぁ、その結果が温泉話につながるんだけれど……。

 

それに意外にもカズのことも話題になったな~。

どこでカズのことを知ったんだとも俺は思ったけど、なんでも以前みはりが俺と遊んでいるカズのことをうっかりとかえでちゃんとの会話中に漏らしてしまったんだとか。

お陰でカズのことも話さなくちゃいけなくなって、なかなか大変だった。

 

しかしどうして女の子って恋愛に関してあんなに興味深々なのかな~?

俺とカズが遊んでいるからってそんな……。

 

あいつが今の俺の姿に対してどう思っているのかは知らないけれど、少なくとも俺はあいつにそんな感情はない!

あくまで俺とカズは幼馴染で、信頼のおける男友達で、それでもって……。

俺がひきこもった時に親身になってくれたやつなんだ。みはりには当たり散らせないからと、ついついカズ相手に当たってしまったことだってあるのに、それでもいまだに親友をやってくれているんだ。助けてもらったことだって数度どころじゃない。頼りになるくせに、どこか抜けていて……。

 

それに俺もあいつも男なんだから、そんな感情をお互いに持つわけがないんだ。

今は女の子の身体だけども、それは変えちゃいけないことなんだ。

 

まぁでも、みはりがカズと付き合うってことになったら考えなくもない。

もしそうなったら、これまで以上にカズは家に来るだろうし、遊ぶ機会ももっと増えるかもしれない!

 

……なんて来るかどうかもわからない未来を想像してどうする。

ダメだダメだ、思考が変な方向にばっかり走ってしまっている! さっさと軌道修正しないと!

 

俺はすーっと息を吐いて一度思考をリフレッシュしたのち、今度は架空の『お兄ちゃん』のことについて思考を巡らせることにした。

 

もしかしたら今後もかえでちゃんやもみじに例の『遠くのいい大学で一人暮らしをしているなかなか帰って来ないお兄ちゃん』のことについて尋ねられてしまう可能性だってあり得る。

それを誤魔化すためには設定をしっかりとみはりと共有しておかないと、どこかで間違いなくボロが出てしまうに違いない。だからさっさとみはりと相談して設定を固めていかないと。

 

はぁ、早くみはり戻ってこないかな~。

 

その後も鬱々とした思考にちょっとずつ侵されながらもボーっとしていると、電話を終えたみはりが二階から降りてきた。

 

「誰からの電話だったんだ~?」

 

俺がみはりに問いかけると、みはりからはすぐに返答がきた。

 

「かえでから。例の温泉旅行の日時が決まったよ!」

 

へぇ~、ハロウィンパーティの時限りの話かと思っていたけど、本当に行くことになるなんてな~。

詳しい話を聞こうと、俺は話の続きを促す。

 

「日時は再来週の週末らしいのよ。それと交通手段はもともとかえでのお父さんに車を出してもらえないか話をしていたみたいなんだけど、お仕事が入っちゃったみたい。だから電車で向かうことになったわ。」

 

「電車!? そんな移動が大変そうなのムリムリムリ!」

 

「えぇ~……。でも電車じゃなかったら交通手段ないよ、おにいちゃん。」

 

みはりの言葉に俺は声を詰まらせる。確かに車を誰も運転できない以上、電車しか方法がないのだから。

ん? だったら運転できる人間に声を掛ければいいのでは?

 

「みはり、今からでも交通手段って変更できるのか?」

 

「え? それは出来るだろうけど……。車なんてどうするの?」

 

「ちょっと待ってろ~。」

 

俺はみはりにそう言ってから自身のスマホから電話をかけ始める。相手はカズだ。

数度のコール音の後に、あいつは通話に出た。

 

『もしもし、真尋か~? 俺このあとバイトあるから今日は遊ぶの無理だぞ~。』

 

「もしもし、今日は遊びの誘いじゃないんだ。 再来週の週末って空いているか?!」

 

『再来週? ちょっと待ってろ。予定確認してみる。』

 

カズがそう言うと、少しの間を置いてから紙をめくる音が聞こえ始めた。おそらくはメモ帳か予定帳でもめくっているんだろう。

 

『あ~……。予定確認してみたんだけど、土曜日は半日バイト入っているな。とはいえ、これなら誰かに連絡して代わりに入ってもらうこともできるけど。それで、再来週の週末にいったいなにがあるんだ?』

 

そうか、バイトも誰かに代わってもらえるのか。だったらお願いをしてみてもいいかも。

ちょっと最近カズに甘えすぎているような気もするけれど、ダメでもともとだ!

 

「実は再来週の週末、俺はみはりやみはりの友達のかえでちゃん、あとかえでちゃんの妹のもみじって子たちと温泉に行くことになったんだよ。ただ交通手段についてもともとかえでちゃんのお父さんの車を期待していたんだけど、どうしても無理になったみたいでさ。そこで代わりに運転できる人探しているっていうか……。」

 

『それで俺を頼ったと?』

 

「いや、無理ならいいんだぞ! ダメでもともとのつもりで電話しているし……。」

 

俺がそういうとカズは深いため息をついた。

やっぱり無理を言ってしまったかな~。電車が嫌で反射的に電話を掛けてしまったけど、カズにとって良いことなんてないだろうし。やっちゃったかな~……。

 

思考が段々とネガティブになっていくのがわかる。こんな気持ちになるくらいなら電話しなければいいのに。それでもなにかあればついついカズを頼ってしまう俺が嫌になる。

ただそんなマイナス思考も、次のカズの言葉で霧散した。

 

『ま、いいだろ。』

 

「え?」

 

俺の聞き間違いだろうか? カズから了承の言葉が出てきたように聞こえた。

 

『だからいいって言ってんの。とはいえ、みはりちゃんの友達の娘とかが俺の運転でもOKって言った場合に限るけどな。それとバイト、誰も代わってくれなかったらムリだぞ。その二点踏まえたうえでなら構わんぞ。』

 

「ふぇ!? いいのか!? 言っちゃなんだが足になってくれってことなんだぞ!?」

 

『良いもなにも、この前約束しただろ? 俺がお前たち兄妹乗っけてドライブするってやつ。そこにみはりちゃんの友達の娘が追加されただけだろ。あ、前も言った通り、レンタカー代はこっちで持つから、ガソリン代とかそっち持ちな。』

 

「え!? あ、うん。ありがと……。」

 

『どういたしまして。それじゃバイトだから切るな。詳細はまた後日聞く。』

 

そんな言葉を最後に、カズは通話を切った。

 

あいつ、律義か!

ったく、また今度なにかお礼をしないとな。

 

そう考えていた時、みはりから声を掛けられた。

 

「おにいちゃん、なんかすごく顔がニヤニヤしているわよ?」

 

「ふぇっ!?」

 

まったく、急になにを言い出すんだ!

しかも当のみはりもニヤニヤとした顔でこっちを見てきているし!

ああ、頬が熱い……。恥ずかしいな~もう!

 

「ところでカズ君は運転してくれるって?」

 

「ぁ、ああ! 運転してくれるってさ。ただもともとバイトが入っていたみたいで、代わってもらう相手が見つかれば大丈夫なんだって。あとはかえでちゃんたちから許可ももらわないとダメなんだってさ。」

 

「ふーん。カズ君、バイトをわざわざ代わってまでこっちで運転してくれるんだ。他になにか言ってた?」

 

「えっと、ガソリン代を負担してくれって話とか。あとは詳細をまた教えてくれとも言ってたような。」

 

みはりはそれだけ聞くと、「それじゃあまたカズ君呼んで、色々と作戦会議しなくちゃね。」と言ってから二階にある自室へと上がっていった。たぶんかえでちゃんに電話するのかな?

それはそれとして、作戦会議? なんの?

 

 

それからしばらくしてみはりは再度リビングへと降りてきた。かえでちゃんからのOKの言葉を携えて。

……やっぱりカズには今度なにかしらのお礼をしよう。

 

ちなみに再度こたつに入りなおしたみはりはしばらくダラダラと過ごした後、急に立ち上がってこたつを撤去するとか言い出して、本当にこたつを片付けてしまった。

なんとご無体な……!!




こっからどんどんオリジナル展開に発展していきそう……
その上あさひやみよちゃんの影すら踏めぬ……

ヒ~ン(´;ω;`)

前書きでボケたいけどネタが切れだしたのと、あまりにも長いので以降からは控えます。
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