HIGH SCHOOL DETECTIVE サクラの彼ら   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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投稿遅れて申し訳ありません。


第3話 因縁

 2047年5月3日 午前9時15分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 桜見町6-9-30 浜崎市立桜見高校 別棟1階 生徒会室。

 

 ゴールデンウィークに差し掛かり、桜見高校は部活の練習をする生徒達の声で賑わっていた。

 その一方で、生徒会室は静かだった。生徒会のメンバーは休み、IPSSの調査員達は依頼で外出し、生活委員や風紀委員達はパトロールに出ている。

 風紀委員会ブースで、新山はタバコ型駄菓子「抹茶ーク」を咥え、ノートパソコンで報告書を書いている。

 そこへ、ピンク髪ショートヘアの少女ーー桜見高校 2年風紀委員の絵島 瑛美執行員ーーと青髪の青年ーー桜見高校 2年風紀委員の滝本 涼一執行員ーーが帰ってきた。

「あかりさん、301号車、朝イチのパトロール完了しました」

 絵島の報告に、風紀委員会顧問の新条は頷く。

「ご苦労様。日誌書いて、後は内勤しててちょうだい」

 それを聞き、2人は敬礼してそれぞれ席に着く。すると、そこへ生活委員会顧問の道島がやって来た。

「あかりちゃん、ちょっと手の空いてる人をお借りできませんか?」

「何よ、ゆうな? 新山なら貸せるけど?」

 それを聞き、新山は左手でキーボードを叩きながら右手をヒラヒラと振る。

「あかりさん、今アタシ、昨日の報告書書いてるんスよ? 暇じゃないっス」

「それは後でもいいでしょう。道島先生の話を聞きなさい」

「へぇい」

 新山はため息をつき、ノートパソコンを閉じる。そして席から立った。

「で、何スか?」

「そこの女子トイレが昨日から故障しているので、直して欲しいんですよ」

 そう言う道島に、新山は思わずズッコケた。

「何で浜崎市一のスーパー風紀委員のアタシがトイレ修理させられるんスか!? アタシ、銃を撃つのは得意でも水周りの修理は苦手っスよ!?」

「まぁまぁ、お願いしますよ、新山ちゃん?」

 そうお願いされた新山は、肩を竦めた。

「分かりましたよ、やりますよ」

 そう言って、新山は雑誌を読んでいたタルボットの首根っこを掴んでトイレへ向かった。

「何で私が巻き込まれるんですの!?」

 生徒会室に、タルボットの叫びが残響する。

 

「相変わらず、風紀委員の人達って騒がしいですね」

 IPSSブースで、ベルギー製ブルパップ型5.56×45mm口径自動小銃・SFエルスタル SF-2000の手入れをしていた棚里が呟く。それを聞いた羽崎は、ノートパソコンの画面から顔を上げて答える。

「いつもの事だ。あいつら、肉声も銃声も多いからな」

 すると、校内放送が流れた。

《道島先生、職員室へお願いします。道島先生、職員室へお願いします》

 それを聞いた道島は、首を傾ける。

「何か呼ばれるような事はしていませんが……」

「ほんでも行かはった方がいいどすえ?」

 生活委員会ブースで書類を整理していた緑髪ロングヘアの少女ーー桜見高校 2年生活委員の愛江 史華ーーがそう言い、道島は渋々ながら職員室へ向かう階段へ歩き出した。

 

 職員室へ上がった道島を、道志が手招きする。

「道島先生、こっちです」

 呼ばれるまま、道島はカウンターへ向かうと、そこには小さな男の子がいた。

「どうしたんですか?」

「この子がね、真岳に渡したい物があるって言うんですよ」

 道島の問い掛けに、道志が男の子を示しながら答えた。道島は屈み、男の子と向き合う。

「どうしたのかな、ボク?」

 すると、男の子は口を開いた。

「香おねーちゃんに渡してほしいものがあるの」

「私が代わりに渡しておくわ。今ちょっと、香ちゃんは出掛けててね。大丈夫、私、香ちゃんの先生だから」

 すると、男の子は手にしていた白くて小さな物を差し出した。

「USBメモリ?」

 それを見ていた道志が呟く。受け取った道島が詳しく見てみると、それは確かにUSBメモリースティックだった。

「わざわざこれを?」

 道島が訊ねると、男の子は頷いた。

「知らないおねーさんに、これを香おねーちゃんに渡してって頼まれたの」

 そこで、道島は疑問を感じた。

「ねぇ? そのお姉さんはどんな格好をしてた?」

 

 

 

 2047年5月3日 午前10時06分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 桜見町6-9-30 浜崎市立桜見高校 別棟1階 会議室。

 

 生徒会室から廊下を隔てた会議室に、風紀委員と生活委員達が集まっていた。

 大きな電子黒板にノートパソコンを接続した道島は、USBメモリースティックを皆に見せた。

「小さな男の子が、うちの香ちゃんに渡したかったのがこのUSBメモリーです。香ちゃんに悪いけど、私が一足先に中身を閲覧させて頂きました。すると、このような映像だけが入っていました」

 道島はUSBメモリースティックをノートパソコンに刺し、ファイルを開く。電子黒板に映像が映し出され、部屋にいる全員がそれを注視する。

 

 映像の中、1人の女性がテニスラケットを振るう。そして、白い文字が浮かび上がった。

【5/3 PM 0:00 この女を殺す】

 それを見ていた新山が口を開く。

「殺人予告って訳? タチ悪ぅ」

 その隣に座っていた古河は腕時計を見る。

「正午丁度、あと2時間切っているわね」

 しかし、倉田は首を振った。

「だけどな、何処の誰かも分からないのにどうやって探す? 何の手掛かりも無いんだぞ」

「そうだよなぁ。これだけじゃ、浜崎署に協力要請も出来ないしなぁ」

 両手を頭の上に載せた櫻樹が呟く。

「それで、誰に依頼されて、その男の子はここに持ってきたんですか?」

 真岳の質問に、道島は答える。

「10代かそこらの若い女性で、黒髪ロングヘアだったそうです。服装は白地に青のストライプのスカジャンに紺色のスカート、それ以外は特には」

「黒髪ロングヘアのスカジャンなんて、この浜崎市にゴマンといるっスよ。探しっこ無いっスよ」

 文句を言う新山の頭を、倉田が叩く。

「文句言うな。それであかりさん、風紀委員会としてどうします?」

 訊ねられた新条は椅子から立ち上がる。

「決まってるでしょ。風紀委員会は生活委員会と協力して捜査してちょうだい。ゆうな、それでいい?」

「ええ、勿論です」

 それを聞き、高校生達は一斉に椅子から立ち上がる。

「私達風紀委員は、既にパトロールに出てる304号車と合流して市内のテニスクラブを回ってくるわ。そっちはどうする?」

 倉田の問い掛けに、真岳が答える。

「決まってるでしょ。一緒に行きますよ」

 

 

 

 2047年5月3日 午前10時48分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 港西町5-1-8 港西テニスクラブ。

 

 テニスクラブの駐車場に、桜見301号車の黒い4ドアハードトップセダン・丹生館 フランシス250LV-4(ENY34前期型)と桜見412号車のシルバー色の4ドアセダン・富木 ラウンデル3.5ファイター+アーキテクトスーパーチャージャー(改GRS204前期型)がやって来る。

 それぞれの車から、倉田、櫻樹、タルボット、真岳、鈴川が降り、受付に向かう。

 

「その方は、確かにうちの常連ですよ」

 受付にいた、メガネを掛けたジャージ姿の男性が写真を見て答えた。

「本当ですか?」

 USBメモリースティックに入っていた映像をスクリーンショットした写真を返してもらった櫻樹が畳み掛けると、男性は素直に言葉を続けた。

「ええ。休日が変則的なので、次いつ来られるか分かりませんが」

「その方の名前と住所、あと勤め先は分かりませんか?」

 倉田の問い掛けに、男性は書庫のファイルを取り出して開く。

「ちょっと待ってくださいね、あぁ、これです」

 そう言って、男性はファイルの中から1枚の紙を取り出し、それを倉田に見せた。

「緑川 恭子さん、住所は城先町3-5-1-202ですね。確か、公務員って言ってたな」

 その男性の言葉を聞いた櫻樹は、何かを思い出した。

「なぁ、美樹、この住所って確かーー」

「それに、勤務シフトが変則的な公務員、これはあれだな」

 2人は顔を見合わせ、声を出す。

「警察官だな」

「警察官だ」

 

 

 

 2047年5月3日 午前10時59分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 岸名町9。

 

 新港通りの「岸名小学校前」交差点で信号待ちをしていた、桜見303号車のゴールドツートン色の2ドアノッチバッククーペ・丹生館 パンテーラ3.0ブレンネロ(UF31AZ2後期型)の車内に無線の声が響く。

《桜見301から各移動、標的は浜崎署 交通課の緑川巡査だ! 現在、桜見駅前で警邏中との事! 至急急行してくれ!》

「桜見303、了解!」

 無線機のマイクを戻した古河は、足元に転がっていた赤色灯を持ち上げる。

「メグル、桜見駅へ急行して!」

「オーライ!」

 新山はシフトレバーをドライブレンジからリバースレンジへ倒し、パンテーラを後退させる。そしてバックスピンターンして古河が赤色灯を屋根に載せる。3.0L VG30DET V6水冷過給器付内燃機関が唸り、サイレン音が鳴り響く。

 

 

 

 2047年5月3日 午前11時01分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 桜見町1 桜見通り。

 

《浜崎署から浜崎23、応答願います。どうぞ》

 桜見駅前を通る桜見通りで、路上駐車を取り締まっていた白黒ミニパトの5ドアハッチバックハイブリッドコンパクトカー・富木 マイムL(NHP10前期型)の無線機が鳴り、傍にいた男性警官がマイクを持ち上げる。

「こちら浜崎23、水原です、どうぞ」

《強行犯係の八洲です、緑川巡査は何処にいますか? どうぞ》

「緑川なら、今駐禁キップを切っている所です。どうぞ」

 そう語る男性警官ーー浜崎警察署 交通課の水原 武人巡査部長ーーの視線の先では、銀色のステーションワゴンの傍で駐禁キップに記入する黒髪ショートヘアの女性警官ーー浜崎警察署 交通課の緑川 恭子巡査ーーがいた。

《ただちに署へ戻ってください、どうぞ》

「何かあったんですか? どうぞ」

 そう訊ねる水原の耳に、サイレン音が届く。振り返ると、赤色灯を点滅させるパンテーラ3.0ブレンネロが猛スピードで迫り来る所だった。

「あれは、桜見風紀の303号車……?」

 水原が呟くと、銃声が鳴り響いた。

 

 そして、緑川巡査はアスファルトの地面へと倒れ込む。

 

「緑川ぁ!」

 水原巡査部長は叫び、彼女の元へ駆け寄る。パンテーラ3.0ブレンネロは急停車し、古河と新山が直ぐに降りた。

「桜見303から浜崎署、桜見駅前で銃撃事件発生! 緑川巡査が撃たれました! 大至急、救急車を!」

《浜崎署、了解! 浜崎署から全移動へ、桜見駅前で銃撃事件発生! 近い局は急行してください!》

 古河が無線で連絡し、フランシス250LV-4とラウンデル3.5ファイター+アーキテクトスーパーチャージャーがサイレンを鳴らして近付く。水原が緑川の胸を抑えて出血を止めようとするが、血は止まらず、アスファルトを赤く濡らす。

「緑川! しっかりしろ!」

 水原が叫ぶが、緑川の顔はどんどん白くなる。

「せん……ぱい……」

「緑川! すぐ救急車が来るからな!」

 一方の風紀委員と生活委員達は周囲を見渡す。すると、新山が何かを見つけた。

「皆、あのビルだ!」

 新山が指差した先にあるベージュ色の6階建てのビルの屋上で、人影が動く。新山はベルティーニ 90-4を片手に駆け出した。

「あ、おい! 新山!」

 倉田が呼び止めるが、構わず新山は片側3車線の大通りを渡って走り去る。古河もブレナン B2023を片手に倉田に声を掛ける。

「姐さん、任せましたよ!」

 そして、古河も新山の後を追って大通りを渡っていく。

 

 ビルのエントランスに入った新山はエレベーターのボタンを押す。しかし、エレベーターは中々降りてこない。

「何やってるんだよ、早く早く」

 焦る新山の傍に、古河が追い付いた。

「メグル、あなたは階段から上がってちょうだい」

「何言ってるのさ、ルカが上がればいいでしょ!」

「あなたの方が足速いでしょ。ほら、早く」

 突然の古河からの無茶振りに、新山は渋々従った。

「わーったよ、ったくもう!」

 新山は隣の非常階段を駆け上がる。

 

 

 

 2047年5月3日 午前11時08分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 桜見町1-3-8 オーロラ桜見ビル 屋上。

 

 木製銃床と狙撃眼鏡が装着された小銃をナイロン製バッグに仕舞った人物は、素早くロープを欄干に結び、外壁に足を掛ける。

 屋上のドアを蹴破った新山はベルティーニ 90-4の銃口を左右に振って屋上を見渡すと、人物がロープで屋上から降りようとしている所だった。

「待て!」

 新山はベルティーニ 90-4の銃口を向けるが、その人物はロープでビルの外壁を伝って下へと向かった。

「野郎、ジョン=マクレーンのつもりか!?」

 新山が駆け寄って下を見ると、人物は隣の4階建てのビルの屋上へと移っていた。新山はベルティーニ 90-4を構え直し、容赦無く発砲する。

 

 その人物の足元に.40A&R フルメタルジャケット弾が着弾するが、怯む事無く逃げ、非常階段から階下へ降りる。

 

「これで逃げられたと思うなよぉ。……うわっ、高っ」

 ベルティーニ 90-4をホルスターに仕舞った新山は、欄干を飛び越えてロープを掴む。そして、外壁に足を掛けて降りた。

 

 隣のビルの屋上へと飛び移った新山は、ロープを掴んで擦過傷になり掛けた両手の掌を交互に舐めながら、非常階段へ駆ける。

 そして、桜見通りと交差する新港通りへと出たが、既にその人物の姿は無かった。

「メグル!」

 歩道で立ち尽くす新山へ、古河が駆け寄る。が、新山は首を横に振った。

「見失っちゃった」

「仕方ないわよ。あんなのを追い掛けられるのはトム=クルーズかロバート=パトリックくらいよ」

 そう慰める古河に、新山は冗談を言った。

「『柴田 恭兵の生まれ変わり』と呼ばれたアタシじゃ無理だったか」

「誰よ、そう呼んだのは?」

「アタシ」

「それじゃ、ただの自称じゃないの」

 

 

 

 2047年5月3日 午後0時32分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 城先町5-2-5 浜崎警察署3階 刑事課室。

 

「今回の被害者は、交通課の緑川 恭子巡査、23歳。凶器は.30カービンのフルメタルジャケット弾です」

「現場の薬莢から、三島精鋼製の弾丸と判明しています。また、ライフルマークから所有者は割れました」

 夢川と鹿取が報告し、鹿取がホワイトボードに1枚の写真を貼る。それは、黒髪ロングヘアの少女だった。

「亀本 佳花、16歳。昨年12月まで桜見高校に通っていました」

 その報告に、どよめきが走る。しかし、生活委員達と風紀委員達は静かに写真を見つめていた。

「去年まで、桜見高校の生徒『だった』って事ですか?」

 棚里の質問に、竹沢が頷いた。

「えぇ。私達がちょうど風紀委員会を辞めた直後の事件だから、詳しくは知らないけど」

 その言葉に、棚里は首を傾げる。そして、鈴川が口を開いた。

「2046年12月15日、関中町のコンビニに強盗が押し入るというタレコミが入ってな、しかもそのタレコミは桜見高校の生徒からだった。だから、私達生活委員会と風紀委員会がコンビニの周りに張り込み、強盗を逮捕した」

「その強盗犯は、当時桜見高校 2年生やった内田 力(つとむ)というチャラい奴やったわぁ。タレコんだのはその内田とかいうクズ野郎の2人目の恋人で、遊ぶ金欲しさに強盗働いたと。その恋人はんは怖くなり、うちにタレコミ入れたんどすぅ」

 愛江が補足すると、タルボットが質問した。

「それでは、この亀本さんはそのタレコミ元なのでしょうか?」

「違う。亀本は1人目の恋人だよ」

 その質問に、真岳は静かに答えた。

「二股掛けてた最低な野郎でね、2人目の恋人には暴力が尽きなかった。それで、あたしに相談くれたの。この1件の後、亀本は非行が目立つようになり、退学処分となったの」

 そう言う真岳に、田基が訊ねる。

「じゃあまさか、内田のお礼参りに緑川巡査を射殺したって言うの?」

「それは考え辛いな」

 腕を組んでいた羽崎が口を開いた。

「内田の復讐が目的なら、真っ先に生活委員や風紀委員、そしてタレコミを入れた女子生徒を狙うはずだ。にも関わらず、この件とは無関係な新人女性警官を狙った。それも、すぐに足が割れるライフルでな」

 そう言い切る羽崎に、古河や真岳は頷く。

「確かに、復讐目的にしてはお粗末な犯行ね」

「あたしが狙われてないんだもの。12月の事件はたぶん関係無いね」

 そこへ、鎌谷がやってきた。

「失礼します。荘北刑務所で話を聞いてきました」

 全員が鎌谷の方を振り返る。

「現在、荘北市の荘北刑務所 青少年保護院で服役中の内田ですが、ピンピンしていました」

 その報告に倉田は思わず突っ込んだ。

「かっちゃん、そんな『遠くの親戚に挨拶してきた』みたいに言うな」

「本題はここからですよ、姐さん」

 突っ込まれた鎌谷は、オホンと咳払いする。

「面会記録を確認した所、1週間前にこの人物が訪れていました」

 そう言って、鎌谷はブレザーの外ポケットから1枚の写真を取り出した。

「三木 洋子、桜見高校 3年E組の生徒です」

 それを聞いた生活委員達は驚嘆の表情を浮かべた。

「三木……!?」

「嘘でしょ……?」

「間違い無いんどすか?」

 IPSSの調査員達は首を傾げると、鈴川が口を開いた。

「三木 洋子、例のタレコミを入れた内田の2人目の恋人だ」

 

 

 

 2047年5月3日 午後1時26分、日本皇国 新江戸府 荘北市 黒金町4-3-1 大森製作所。

 

 小さな町工場の前に、桜見302号車の白い4ドアハードトップセダン・丹生館 キリエ2.0ブロアムJ(Y33後期型)が停車し、新山と鎌谷が降りた。

「まさかもう1回、荘北市に来るとはね」

 そうボヤく鎌谷に、新山は口を開く。

「まぁまぁ、かっちゃん。ここでしょ、亀本の勤務先」

 そう言って、新山は町工場へと入っていく。中では、金属を削る音が響いていた。

「ごめんくださーい、桜見高校 風紀委員会ですぅ」

 新山がそう言うと、灰色のツナギを着た男性が出てきた。

「桜見高校? どちらの学校でしょうか?」

「すみません、浜崎市の風紀委員会です」

 訊ねた男性に、鎌谷は警察手帳を見せる。

「浜崎市ね。うちに、何か用ですか?」

「こちらで働いている、亀本 佳花さんについてなんですが」

 そう切り出した鎌谷に、男性は驚いた。

「亀本ちゃんですか!? 何かやらかしたんですか?」

「それを今から聞く所っスよ。何か問題を起こすような人物っスか?」

 新山の質問に、男性は右手を振った。

「いえ、全然。確かに、高校を中退していますが、真面目でいい社員ですよ?」

「ちょっと呼んでいただけますか?」

 鎌谷がそう言うと、男性は「分かりました」と言って工房の奥へ呼び掛けた。

「亀本ちゃん、風紀委員会の方達がお話聞きたいって」

 すると、奥で作業していた、灰色のツナギを纏った女性が新山達2人へ振り返った。

「どぉもぉ、桜見風紀でぇす」

 新山が警察手帳を見せると、女性は慌てて裏口へと走り出した。

「あ! おいコラ!」

 新山と鎌谷はそれを追う。

 

 

 

 2047年5月3日 午後1時28分、日本皇国 新江戸府 荘北市 黒金町6。

 

 片側1車線の道路を、桜見301号車の4ドアハードトップセダン・丹生館 フランシス250LV-4(ENY34前期型)が走る。ハンドルを握るのは、桜見高校 風紀委員会 副委員長の倉田 美樹、助手席には古河 來が座っていた。

「三木の車が最後にNシステムに掛かったのはこの辺りなんだが」

 そう言いながら周囲を見渡す倉田に、古河は口を開いた。

「この辺って、亀本の勤め先に近いですよね?」

「偶然にしては、出来すぎだな」

 

 すると、銃声が響いた。

 

 フランシス250LV-4は停車し、倉田と古河は辺りを見渡す。

「姐さん、この辺に射撃場ってありましたっけ?」

「ある訳無いだろ、この辺は工場地帯だぞ」

 

 大森製作所から逃げ出した女性を、新山と鎌谷は走って追い掛ける。

「こら待て! 公務執行妨害で逮捕するゾ!」

 そう叫ぶ新山に向かって、女性は自動拳銃を向けて引き金を引いた。

 銃声が鳴り響き、新山と鎌谷は地面に屈む。そして、女性は再び走り出した。

「クソぉ、銃刀法違反も上乗せだコラぁ!」

 新山と鎌谷も走り出す。

 

 女性は交差点を左に曲がり、新山も追い掛ける。が、すぐに後ろへと下がり、後から続いてきた鎌谷と抱き合って後退する。直後、2人がいた所を黒いステーションワゴンが走っていった。

「危ない危ない、あと少しで轢かれる所だった」

 ふぅっと一息入れる新山に、鎌谷が鉄扇で突っ込む。

「そうじゃないでしょ、新山ちゃん! 亀本逃げちゃったよ!」

 2人は慌てて走り出す。

 

 灰色のツナギを着た女性は、路上に停車した黒いセダンの後席に駆け込んだ。

「誰ですかあなたは!?」

 運転席の倉田が訊ねると、女性は手にしたドイツ製.32口径小型自動拳銃・アイクラー SPK/Sを倉田に突き付ける。

「早く出せ! 早く!」

 それを聞いた古河は、倉田に指示を出す。

「倉田君、早く出発させて」

「は、はい!」

 倉田はアクセルペダルを踏み、フランシス250LV-4を発車させた。

「待て! 亀本!」

 一歩遅く、新山と鎌谷が辿り着いた時には、助手席でピースサインを出す古河を乗せたフランシス250LV-4は走り去っていた。

 

 

 

 2047年5月3日 午後1時30分、日本皇国 新江戸府 荘北市 黒金町3。

 

 町工場が沿線に立ち並ぶ道路を、フランシス250LV-4は走る。

 後席のツナギを着た女性に拳銃を向けられた倉田がハンドルを握り、古河はセンターコンソールに載っていた赤色灯の上に右腕を置く。そして、後席の女性へと振り返った。

「あなた、亀本さん?」

「だから何よ? もっとスピード出しなさい!」

 女性はグリグリと拳銃の銃口を倉田の首に押し付ける。

「倉田君、逆らわないように。もっと速度上げて」

 古河の言葉に、倉田は頷く。

「はい、係長」

「ん?」

 倉田の言葉に、古河は首を傾げた。

 

 そんなフランシス250LV-4を、赤色灯を載せたキリエ2.0ブロアムJが追い掛ける。

「何やってるんだよぉ、ルカの奴。さっさとパクればいいじゃん」

 助手席の新山が呟くと、ハンドルを握る鎌谷が同意する。

「全く、トロいよね。古河ちゃんも姐さんも」

 そして、新山は無線機のマイクを持ち上げた。

 

 フランシス250LV-4の無線機が鳴るが、古河がすぐに電源を落とす。

 それを、後席の女性は見逃さなかった。

「今のは何?」

 すると、古河がとぼけたように答えた。

「これですか? 私達、警備会社の営業でして、会社との連絡用に積んでいるんです」

 しかし、納得の行かない女性は、古河が右腕で隠していた赤色灯を見つけた。

「これも営業で使うっていうの!?」

 観念した古河は、後ろを走るキリエ2.0ブロアムJを指差しながら答えた。

「えぇ、あんな風に」

 女性は吊られてキリエ2.0ブロアムJを振り返るが、納得がいかない表情を浮かべる。そこへ、古河が質問した。

「あの、何処まで行けばいいんでしょうか?」

「真っ直ぐよ、真っ直ぐ! とにかくあのパトカーを振り切って!」

 その指示に、古河は倉田へ声を掛ける。

「倉田君、後ろのパトカーを振り切って。逆らっちゃ駄目だからね」

 倉田は頷いた。

「はい、課長」

「ん?」

「あ、いえ、係長」

 言い直した倉田に、女性は困惑の表情を浮かべた。

 

 

 

 2047年5月3日 午後1時46分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 桜見町6-9-30 浜崎市立桜見高校 職員用駐車場。

 

 駐車場へと、フランシス250LV-4が滑り込む。その後を、赤色灯を載せたキリエ2.0ブロアムJが追い掛ける。

 職員用通用口の傍で停車したフランシス250LV-4の車内を、桜見304号車の黒い4ドアハードトップセダン・丹生館 キリエグランツーリスモ250SV(MY34中期型)に乗ろうとしていたタルボットと滝本が覗き込む。

「先輩、どうしたのでしょうか?」

 タルボットがそう訊ねると、後席の女性は事態を把握した。

「騙したな!」

 そう言って、女性はアイクラー SPK/Sを古河に向けようとするが、倉田が素早く女性の右手首を掴み、銃口を天井に向ける。一方の古河はブレナン B2023を女性を向けた。

「母校へのドライブは楽しかったかしら? 亀本 佳花さん」

 

 

 

 2047年5月3日 午後1時53分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 桜見町6-9-30 浜崎市立桜見高校 別棟1階 生徒会室 第3面談室。

 

 3畳も無いほどの狭い部屋に置かれた机と椅子に、黒髪ロングヘアのツナギを着た女性ーー桜見高校 元生徒で大森製作所社員の亀本 佳花ーーと鎌谷が座り、古河と新山は腕を組んで傍に立っていた。

「桜見駅前で、警察官が射殺されました。それも、あなたのライフルでね」

 そう言って、鎌谷は1枚の紙を机に置いた。そこには、亀本の銃器登録許可証のコピーが印刷されていた。

「あぁそうだよ、あたしが殺った。文句ねぇだろ」

 亀本はそう言うが、古河は否定する。

「そんな訳ないでしょう。さっき、大森製作所に電話で問い合せたら、犯行時刻、あなたは確かに荘北市の工場にいた。トイレに行くと言って10分ほど席を絶ったらしいけど、荘北市から桜見駅までは車で8分掛かる。その10分で往復は無理な話ね」

「あたしが殺ったって言ってんだろ!? さっさとパクれ!」

 亀本は立ち上がって激昂するが、新山が席に座らせる。

「まぁまぁ。実行犯は別にいるんでしょ? わざわざ犯行声明のビデオまで作ってさ」

「ビデオ? あたしは知らない」

 亀本の言葉に、3人は顔を見合わせた。

「えっ、知らないの?」

 鎌谷が訊くと、亀本は慌てて否定した。

「いや、確か作ったな。記憶違いだ」

「じゃあ、それを何処にどうやって届けたか、言えるかしら? 言えるわよね、あなたが作ったんだから」

 古河が問い詰めるが、亀本は叫ぶ。

「んなのどーでもいいだろ! さっさとあたしを逮捕しな!」

 

 第3面談室から、古河と新山は出る。

「あれは犯人じゃないわ」

 ハンカチで自身の顔を拭う古河が言うと、新山は頷く。

「同感。ライフルは別の誰かに貸しただけだね。あれは必死に真犯人を隠している、そんな感じだよ」

 そこへ、羽崎と鈴端がやって来た。

「古河、所在不明の三木だが、彼女の車が浜崎市内のNシステムに掛かったぞ」

 羽崎の言葉に、古河は目を見開く。

「本当?」

「ああ。黒のステーションワゴン、ナンバーは[新江戸310 や 68-12]で間違いない」

 それを聞いた新山は、何かを思い出し、第3面談室へと戻った。

「かっちゃん!」

 扉を開け放ち、開口一番鎌谷を呼ぶ。

「どうしたのさ?」

 キョトンとした鎌谷に、新山は訊ねる。

「あの時、アタシらが轢かれかけた車のナンバー、覚えてる?」

「そりゃ覚えてるさ。ちょっと待ってね」

 鎌谷はブレザーの内ポケットからメモ帳を取り出し、ページを捲る。

「新江戸310 や 68-12で間違いないよ。黒のステーションワゴンだよね?」

 それを聞き、新山は合点がいった顔を浮かべた。

「あんがと、かっちゃん」

 礼を言い、新山は第3面談室の扉を閉める。そして、古河の方へ向き直った。そして、口を開く。

「三木と亀本はグルだね」

 

 

 

 2047年5月3日 午後2時10分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 桜見町8。

 

 新港通りを、2台の覆面パトカーがサイレンを鳴らしながら疾走する。先頭は古河と新山が乗った桜見303号車のゴールドツートン色の2ドアノッチバッククーペ・丹生館 パンテーラ3.0ブレンネロ(UF31AZ2後期型)、2台目は羽崎と鈴端が乗った桜見606号車の白色の4ドアセダン・富木 ラウンデルファイターSi-Four(GRS211前期型)だ。

「メグル、分かるように説明しなさいよ」

 助手席の古河が訊ねると、ハンドルを握る新山が答える。

「亀本を追い掛けていた時、1台の車に妨害されたんだよ。それが、三木の車だった」

「それで、2人がグルってなるの?」

「考えてみてよ、アタシらは今まで三木を『元カレに暴力を振るわれ、そしてコンビニ強盗を働こうとした元カレに怯えてタレコミを入れた女の子』と思っていたけど、それにしては内田を訪ねたり、亀本の勤務先を彷徨いたり、不自然でしょ?」

 新山の言葉に、古河は左手を顎に当てて考え込むが、すぐ口を開く。

「確かに妙だけど、それだけじゃ何の決定的な推理にはならないわ」

「そうだけど、だからと言ってこのまま放っておける? もし三木の目的が内田のお礼参りなら、香達が危ないよ」

「1件目の婦警射殺と、それを予告する映像は?」

 古河が訊ねると、新山はサイドブレーキを引いてハンドルを回し、車を左急旋回させて答えた。

「恐らく、真の目的が香達と気付かせない為の妨害工作。でも、アタシらはそれに引っ掛からずに亀本へと辿り着いた。いや、亀本に視線を向くように仕向けたんだよ」

「まさか、私達が亀本を取り調べている間に香達を殺そうとしていると?」

 古河の言葉に、新山は頷いた。

「ライフルの所有者である亀本を逮捕すれば、当然風紀委員達は高校あるいは警察署へと集まる。その間、生活委員は誰も見ていない。しかも、犯人を逮捕したと聞けば、気が緩むでしょ? 殺すには絶好の機会だよ」

 新山の説明に、古河は納得する。

「それもそうね。メグル、あなた珍しく勘が冴えてるじゃない」

「アタシゃ、いつでも冴えてるよ!」

 古河は無線機のマイクを持ち上げる。

「桜見303から桜見412、犯人の狙いはあなた達よ! すぐに何処かへ隠れて!」

 

 

 

 2047年5月3日 午後2時15分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 岸名町9。

 

「ちょっと待ってよ、亀本を逮捕したんじゃないの!?」

 走行中の桜見412号車、シルバーの4ドアセダン・富木 ラウンデル3.5ファイター+アーキテクトスーパーチャージャー(改GRS204前期型)の車内で、無線機のマイクを手にした助手席の真岳が驚愕する。

《真犯人は別にいて、そいつの狙いは最初から香達だったんだよ!》

「真犯人?」

 無線機から流れる新山の声に、鈴川は首を傾げる。

《とにかく、今何処!? そっちに向かうから!》

「えぇ? 今、岸名町6丁目付近だけど?」

 真岳がそう言った直後、ラウンデル3.5ファイターの右前輪がパンクした。

「うわっ!」

 ハンドルが効かなくなり、鈴川は慌てて車体を立て直そうするが、それも虚しく車は対向車線へ飛び出し、ガードレールに衝突した。

 エアバッグが作動し、2人の視界は白く遮られる。

「まさか、本当に狙われてる?」

 事態を飲み込めない真岳が辺りを見渡した直後、助手席側の窓ガラスにヒビが入る。そして、銃声が響いた。

「嘘でしょ……秀子ちゃん、逃げるよ!」

 真岳が叫び、鈴川を押し出して運転席側から車外へと出る。

 

 車外へと出て、2人はエンジンブロックに隠れてそれぞれ拳銃を取り出す。

「くそっ、私の車をこんなにして!」

 ドイツ製9×19mm口径ポリマーフレーム自動拳銃・ドナウアー&クルト UAP-9を手にした鈴川が悪態をつく。その隣で、オーストリア製9×19mm口径ポリマーフレーム自動拳銃・ライカン 14を握る真岳は、そっと右Aピラーの影から車の向こうを伺うと、そこには車道でライフルを構える人物が立っていた。

 そして、再び銃声が鳴り、ラウンデル3.5ファイターの右Aピラーを.30カービン フルメタルジャケット弾が抉る。咄嗟に真岳は首を竦め、事なきを得るが、事態は最悪そのものだった。

「香、私が奴を引き付けるから、その隙に逃げろ」

 ドナウアー&クルト UAP-9のスライドを少し引いて薬室を確認する鈴川がそう言うと、真岳は彼女の肩を掴んだ。

「何言ってるの秀子ちゃん!?」

「射撃は私の方が得意だろ? ここで足止めするから、逃げるんだ! 香!」

 そして、鈴川は真岳を歩道へと押し出し、エンジンブロックから顔を出して拳銃を構えた。

 制退器(コンペンセイター)が装着されたドナウアー&クルト UAP-9の銃口が、ライフルを構えた人物を向く。そして、鈴川は引き金を引いた。

 

 何発もの銃声が鳴り響き、薬莢が地面を跳ねる。ラウンデル3.5ファイターの左フェンダーやボンネットに弾痕が着き、そして鈴川の右肩から血飛沫が上がった。

「くっ!?」

 鈴川は倒れ、悶絶の表情を浮かべる。

「秀子ちゃん!」

 街路樹に隠れた真岳が叫ぶと、地面に倒れた鈴川が怒鳴り返す。

「香! 私に構うな!」

 倒れたままの鈴川は拳銃を左手に持ち替え、右肩をアスファルトに押し付けたまま拳銃を右前輪に添えて構え直す。車体の下の隙間から人物を再び狙い、引き金を引く。

 再度、銃声が鳴り響く。鈴川が放つ9×19mm フルメタルジャケット弾は全く当たらず、一方の人物が放つ.30カービン フルメタルジャケット弾はラウンデル3.5ファイターを穴だらけにする。

 そこへ、サイレン音が近付いて来た。

 

 赤色灯を載せたパンテーラ3.0ブレンネロは、「岸名小学校前」交差点でドリフトし、ガードレールに頭から突っ込んだラウンデル3.5ファイターに近付く。その後からラウンデルファイターSi-Fourも続く。

 振り返って2台の覆面パトカーが近付くのを目視した人物は、ガードレールを跨いで歩道へ移動し、浜崎市立岸名小学校の正門を乗り越えて逃走する。

 急停止したパンテーラ3.0ブレンネロから古河と新山が飛び出し、古河は素早くブレナン B2023を岸名小学校の敷地に向けて発砲する。しかし、人物は怯む事無く校舎へと走り去る。

「秀子!」

 新山はラウンデル3.5ファイターの陰へ走り寄り、倒れた鈴川を抱きかかえる。

「秀子! しっかりしなよ!」

「大丈夫だ、新山……」

 そう言って鈴川ははにかむが、彼女の声はか細い。

「秀子ちゃん! 秀子ちゃん!?」

 駆け寄った真岳に鈴川を預ける。新山の背後から近付いた羽崎は、無線機で連絡を入れる。

「桜見606から浜崎署! 岸名小学校前で銃撃事件発生! 鈴川が撃たれた! 大至急、救急車を要請します! それと、犯人は岸名小学校の敷地内へ逃走、包囲願います、どうぞ!」

《こちら浜崎署、了解! 浜崎署から全移動、岸名小学校にて銃撃事件発生! 岸名町に緊急配備発令!》

 連絡を終えた羽崎は、ラウンデルファイターSi-Fourへと戻り、トランクからブルバップ型自動小銃・プレストン CDRを取り出し、槓杆を勢いよく引いた。

「古河、さっさと奴をとっちめるぞ」

「言われなくても分かってるわ」

 羽崎と古河は正門を飛び越え、鈴端と新山もそれに続いた。

 

 

 

 2047年5月3日 午後2時26分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 岸名町9-3-1 浜崎市立岸名小学校 本校舎1階。

 

 静寂が包む校舎内へ、4人は押し入る。遠くからは、大勢のパトカーや救急車のサイレン音が聞こえてくる。

 プレストン CDRを構えた羽崎と、ニコルソン NR-15E3を構える鈴端は東側へ、それぞれ拳銃を手にした古河と新山は西側へと別れ、物静かな廊下を突き進む。

 階段へ到達した2人は階上へと銃口を向けながら階段を登る。

「メグル、私は2階を探すわ」

「分かった。アタシは3階へ上がる」

 2人は別れ、新山は1人3階へと向かう。階段を駆け上がり、3階の廊下へベルティーニ 90-4を向けるが、誰もいない。ただ、静かで不気味な廊下が視界に広がる。

 ガタンという物音が聞こえ、新山は咄嗟に振り返って銃口を向ける。音がしたのは階段の上、屋上からだった。

「こちら新山、屋上へ向かうよ」

 新山は無線機で連絡し、階段を駆け上がった。

 

 屋上へ上がり、新山は拳銃を構え直す。そこには、緑色の塗装が施された屋上が広がり、大量の太陽光発電パネルが並んでいた。新山は太陽光パネルの列の間を進み、辺りを見渡す。しかし、誰もいなかった。

「ふぅ」

 新山は呼吸を整える。直後、背中に細く硬い何かを押し付けられた。

「動くな」

 背後から女性の声が聞こえ、新山は右手のベルティーニ 90-4を投げ捨てて両手を挙げた。

「やっぱりあんただったんだね、三木 洋子さん?」

 両手を挙げた新山がそう訊ねると、彼女にライフルを突き付ける女性が答える。

「えぇそうよ、あぶない風紀委員さん」

 その声の正体は、日本製.30口径自動小銃・富正 FR-1を手にした黒髪ロングヘアの少女ーー桜見高校 3年E組の三木 洋子ーーだった。

「言っとくけど、既に警察がこの辺りを封鎖しているから、逃げても無駄だよ」

 新山がそう言うと、三木は笑った。

「逃げる? わたしは逃げるつもりなんて無い」

「わざわざ小学校の中に逃げ込んだのに?」

 すると、三木は右手でライフルを持ちながら左手で、新山の左肩付近にある無線機のマイクを持ち上げた。

「これで真岳を呼びなさい。そうしたら、あなたを解放してあげる」

 そう言われ、新山はため息をついた。

「はいはい、分かりましたよ。こちら新山、ルカ、聞こえる?」

 

 屋上へと向かう階段に隠れていた古河が、無線機越しに聞こえる新山の声に答えた。

「えぇ、聞こえるわ、メグル。人質にされて災難ね」

《そうなんだよぉルカぁ。助けてぇ》

《余計な事を言わないの!》

 無線に三木の声が混じる。

《はいはい。要求は、香をここへ連れてくる事だってさ》

 それを聞いていた古河、羽崎、鈴端は互いの顔を見る。

「真岳ちゃんが目的だったのか……」

 鈴端が呟くと、羽崎は鈴端の肩を叩いた。

「一旦車に戻るぞ」

「了解」

 そして2人は階段を降りる。一方の古河はマイクを握り締めていた。

「分かった。連れてくるから、メグルに手を出さないで。破ったら、裁判待たずに刑を執行するわよ?」

《約束する。必ず連れてこい》

 無線機越しの三木の声に、古河の目は険しくなった。

 

 

 

 2047年5月3日 午後2時42分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 岸名町8-1-7 ラメゾン岸名 屋上。

 

 8階建てのマンションの屋上に、櫻樹と滝本がやって来る。2人は伏せ、櫻樹はイタリア製7.62×51mm口径自動小銃・ベルティーニ CRx-200のハンドガード下面に取り付けた二脚を広げて構える。その隣に伏せた滝本は双眼鏡を覗き、岸名小学校の屋上を見つめる。そこには、ライフルを背中に突き付けられた新山と突き付ける三木が太陽光パネルの群れの中に立っていた。

「こちら滝本と櫻樹、狙撃準備良し」

 滝本が無線機で連絡し、双眼鏡のボタンを押す。内蔵されたレーザー測距儀が2人までの距離を計測し、それを表示する。

 そこへ、古河がやって来た。彼女の手には、日本製5.56×45mm口径自動小銃・富正 FR-16が握られている。

「櫻樹先輩、私に任せてもらってもいいですか?」

 彼女の言葉に、ライフルを構えていた櫻樹が聞き返す。

「お前、小銃選抜射手資格は取り立てだろう? そこまで距離は無いとはいえ、実際の現場での狙撃は初めてなんだから、大人しくしてろ」

「いえ、バディを人質に取られて黙っていられません」

 古河の念を押すような声に、櫻樹は理解を示した。

「分かった、お前に任せるよ」

 櫻樹の声を聞き、古河は微笑む。そして、ブレザーを脱いで屋上の欄干に掛ける。その上に富正 FR-16のハンドガード下面に取り付けられたアングルドフォアグリップを載せ、右手でセーフティレバーをセーフポジションからセミオートポジションへと大きく回し、槓杆を引いて手を離す。槓杆が前進し、薬室内へと5.56×45mm 62グレインフルメタルジャケット弾が送り込まれた。その後槓杆を少し引いて薬室を確認、槓杆を奥へ押し込む。取り付けたアメリカ製狙撃眼鏡・クィントン EBS-02四倍率固定ハイブリッドスコープの下側のレンズを覗き込む。

「距離112m、俯角6°、南南西から1m/sの風、気温は要りますか?」

 双眼鏡を覗いていた滝本の報告に、櫻樹は言葉を返す。

「この距離だ。気温もコリオリも考慮する必要は無い。風もそこまででは無いだろう。だが、古河、お前の5.56mmはどうか分からない。やれるか?」

「大丈夫です」

 櫻樹の問い掛けに、古河は返す。彼女の右目は、スコープ内のレクティルを見つめている。中央の赤い三角形を三木に合わせ、呼吸を整える。

 

 

 

 2047年5月3日 午後2時43分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 岸名町9-3-1 浜崎市立岸名小学校 校庭。

 

 人工芝が整った広い校庭に、多くのパトカーが並んでいる。その中の1台、浜崎42号車のシルバーの4ドア小型セダン・富木 パナケアA20(AZT240後期型)の傍で双眼鏡を使って屋上を見上げていた八洲の元へ夢川と琉田がやって来る。

「係長、機動隊の到着まであと10分掛かるそうです」

 夢川の報告に、八洲は頷く。

「10分か、それまで新山が無事だといいんだが」

「八洲係長、既に風紀委員とIPSSが狙撃体制に着いたそうです」

 琉田も報告し、八洲は苦虫を潰したような顔をする。

「こんな事になっているのに、高校生に任せるしかないとはな」

 

 一方、校舎内では4人が階段を昇っていた。先頭は防弾盾を手にした絵島、その後ろから真岳、長倉、田基が続く。

「いいのか、真岳? 本当に出向いて?」

 ベルギー製5.7×28mm口径ブルバップ型短機関銃・SFエルスタル PDG-91を手にした長倉が訊ねると、真岳は頷いた。

「いいんだよ。あたしを指名しているんだから」

「ヤバそうなら、あたし達援護するからね」

 アメリカ製5.7×28mm口径短機関銃・ソラーズ SCR-224を提げる田基の言葉に、真岳は微笑んだ。

「大丈夫だって。ちょっとお話するだけだから」

 そう言うものの、彼女の足元は武者震いしていた。

 

 

 

 2047年5月3日 午後2時45分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 岸名町9-3-1 浜崎市立岸名小学校 屋上。

 

 背中に富正 FR-1を突き付けられた新山は、空を見上げる。所々に雲が浮かぶ青空が、彼女の瞳を照らす。

「いやぁ、良い天気だなぁ」

 呑気に言う新山に対し、三木は周囲をチラチラと見渡す。

「真岳はまだなの!?」

「まぁまぁ待ちなよ。そう短気だと、人生損するよ?」

 イライラが溜まりつつある三木の声に、新山は落ち着いた声で話し掛ける。が、一蹴された。

「うるさい。わたしの人生はこれでお終いなの! いや、もう12月で終わってしまっているの!」

 その言葉に疑問を抱いた新山だったが、そこへ足音が近付いてくる。

「誰!?」

 新山を羽交い締めにした三木が、足音のした方へライフルを向ける。そこには、防弾盾を構えた絵島、その後ろで短機関銃を構える長倉と田基、そして手ぶらの真岳が立っていた。

「言われた通りに届けたぞ、三木さんよぉ」

 絵島がそう言い、右手だけ盾から出して構えるアメリカ製10×25mm口径自動拳銃・ケネット デルタエレクトレールを三木に向ける。が、真岳は絵島の拳銃を下げさせて盾の前に出る。

「来てやったよ、三木さん。さぁ、還を離して」

 そう言って、真岳はゆっくりと三木の所へと近付いていく。

「待て、真岳!」

「香ちゃん、待って!」

 長倉と田基が制止するが、真岳は止まらない。

「香、来ちゃ駄目だって! 殺されるよ!?」

 新山が叫ぶが、真岳は呆れたように言った。

「そう言っても、本心は『ラッキー、助かった』とか思っているんでしょ?」

「ギクッ」

 新山は右手で自身の胸を抑える。

 そんな新山を見て、真岳はため息をつく。そして、三木に向かって口を開いた。

「さぁ、殺したいのなら殺しなさい。でも、その前に教えて。どうして、あたしや緑川巡査を狙ったの? 内田の件なら、あなたは被害者の筈よ」

「彼を気安く呼ばないで!」

 三木は激昂する。

「それは、彼にぶたれる事もあった! けど、わたし達、力(つとむ)や佳花と一緒に仲良くしてたの! それを、あなた達生活委員は踏みにじった! 『暴力を奮われているのなら相談して』? 『そんなクズとは付き合う義理は無い』? 綺麗事を並べて、あなた達はわたし達の仲を引き裂いただけじゃない!」

 そう泣き叫ぶ三木に、真岳は訊ねる。

「なら、何でコンビニ強盗の件をタレコんだの? 一貫性が無いじゃない?」

「それは、彼が犯罪をすると聞いて、怖かった! だから、考えを改めて欲しくて、あなた達に話を持ち掛けたの! でも、あなた達は引き止めるどころか、現行犯逮捕したじゃない! 『犯罪を未然に防ぐ』? そんなの欺瞞よ! あなた達は、力(つとむ)を無理やり犯罪者に仕立てあげただけじゃない!」

 その言葉に、真岳は反論する。

「あぁ、そうだよ。あなたからのタレコミがあった後、内田に個人面談したさ! それでも、彼は止まらなかった! だから逮捕した! そこの何が悪い訳!?」

 真岳の怒鳴り声に、新山は思わず顔を青白くする。

「か、香、何でネゴシエーションで犯人を興奮させちゃうのさぁ!?」

「うっさいよ、還! こいつは何言っても聞かないよ!」

 怒り心頭な真岳に対し、三木は思わず新山を突き飛ばし、富正 FR-1を構えてスコープを覗く。

「殺してやる!」

 三木の叫びと行動に、新山、絵島、長倉、田基は言葉を失う。そして、真岳は瞼を閉じた。

 

 銃声が鳴り響いた。

 

 三木が手にしていた富正 FR-1が宙を舞う。それを見た新山は、素早く右手で後ろ腰に装着していたバックサイドホルスターからイタリア製.40口径小型自動拳銃・ベルティーニ 95Dケントゥリオを引き抜き、三木に銃口を向けた。

 富正 FR-1が屋上に転がり、三木は右手を抑えてペタンと座り込んだ。そんな彼女に、新山はベルティーニ 95Dケントゥリオを向けるが、そこへ真岳が近付く。彼女の右手には、ライカン 14が握り締められていた。

 そして、座り込んだ三木の頭頂部へ銃口を向ける。

「真岳! 何考えてる!?」

 長倉が叫ぶが、真岳の目は据わっていた。しかし、その右腕は震えていた。そんな彼女の右手を、新山は握り込む。そして、震えていたライカン 14の銃口は正確に三木の頭部へ向けられる。

「さぁ香、緑川巡査と秀子の分、晴らしちゃいな」

 新山はそう囁く。真岳の右人差し指は引き金に触れ、ライカン 14唯一の安全装置であるトリガーセーフティが解除された。

 しかし、真岳は右人差し指を伸ばし、ライカン 14を降ろす。そして、彼女は口を開いた。

「生きて、罪を償いな」

 それを見ていた絵島達は駆け寄り、三木に手錠を掛けた。

 

 それを、スコープ越しに見ていた古河は、硝煙立ち上る銃口を上げ、右手でセーフティレバーをセーフポジションへと戻す。

 

 

 

 2047年5月5日 午後1時13分、日本皇国 新江戸府 浜崎市 桜見町6-9-30 浜崎市立桜見高校 別棟1階 生徒会室。

 

「おはようございます」

 生徒会室に、鈴川の声が響く。

「おはようって、もうお昼過ぎてるよ……って、秀子、もういいの?」

 新山達風紀委員の視線の先には、右肩にギプスを巻いた鈴川が立っていた。

「あぁ、幸い弾は掠めただけだったからな。傷口はまだ塞がっていないから、動かすと痛いが」

 そう言う鈴川の右肩を、愛江を叩いた。

「痩せ我慢してるんとちゃうんか?」

「痛ったーい! 愛江、まだ塞がってないと言っただろう!?」

 そこへ、道島が近付く。

「鈴川ちゃん、大事無くて良かったです。でも、まだゴールデンウィークですので、ゆっくり病院で休まれたらどうですか?」

「心配要りませんよ、ゆうな先生。今、私が休んだら誰が生活委員の仕事をするんですか?」

 心配をする道島に、鈴川は笑顔を見せる。すると、永合と田基が近付いた。

「心配すんなよ。愛江がいるし、何よりあたいらも手伝ってるんだからな」

「そうだよ、秀ちゃん。安静にしてなって」

 2人の言葉に、鈴川ははにかんだ。

「そこまで言ってくれるなら、頼もしいな。香と私の分を頼むぞ」

 鈴川の言葉に、永合と田基は笑顔を浮かべた。

「ドンと来い」

「任されたよ」

 しかし、一方で倉田は心配そうな顔を浮かべた。

「しかし、真岳は大丈夫だろうか。昨日から休んでいるが」

「大丈夫じゃないですか。真岳ちゃん、うちの古河ちゃんや新山ちゃんと同じくらい能天気ですし」

 そう軽く言う鎌谷に、櫻樹、古河、新山は突っ込んだ。

「流石にあれだけの事件を経験して、無事で済まないだろ」

「誰が能天気ですって? メグルと一緒にしないでちょうだい」

「そうだよ、かっちゃん。アタシならともかく、『桜見高校のビューティ古河』と呼ばれるルカが能天気な訳無いじゃん」

「それ、誰が呼んでるのよ?」

「アタシ」

 新山の言葉に、古河はため息を吐く。

「それは愛称とは言わないわよ。……でも、ビューティって言われると悪い気はしないわね?」

「じゃあ、アタシは『キューティ新山』って名乗ろうかな」

「一体いつの魔法少女よ? あなたの趣味、だいぶ古臭くない?」

「そう言うルカだって、80年代の筋肉アクション映画が好きな癖にさ」

「トム=クルーズは筋肉俳優じゃないわよ……そりゃあ、シュワルツェネッガーやスタローンの映画も好きだけど」

「ま、アタシも筋肉アクション映画は好きだけどさ」

 そう冗談を言い合う2人は、共に熱々のコーヒーを啜る。そのやり取りを聞いていた鎌谷は、日の丸が描かれた鉄扇で扇ぎながらヤレヤレと首を振る。

「男の裸なんて好き好んで見るものじゃないでしょ……ボクとしては、絹のような女の子の肌を撫でたいけど」

 それを聞いた倉田と櫻樹は、ため息をついた。

「ホントかっちゃんは変わんないね」

「お前のナンパ癖は何とかならんのか?」

 

 そんなやり取りを傍目に見ていたIPSS調査員達は、呆れた顔をして各々の席へと戻る。

「あいつら、本当下らないな」

 そう独りごちる羽崎の元へ、鈴端がキャニスター付椅子で滑ってきた。

「はさみん、僕らも何か愛称決めない? 『ハードボイルド鈴端』とかさ」

「くだらん。さっさと資料まとめろ」

 羽崎が一蹴するが、鈴端は食い下がる。

「そう言うなよ、はさみん。ハードボイルドの称号譲るからさ」

「要らん」

 そこへ、田基が分厚いファイルで鈴端の頭を叩いた。

「下らない事言ってないで、仕事しなさい」

「何だよ、田基ちゃんまで冷たくしちゃってさ」

 そんな中、1人の人物がIPSSブースの前を通り過ぎる。その姿を見た調査員達は、空いた口が塞がらなかった。

 

 各々の席につき、仕事をする風紀委員達の元へ、明るい声が響いた。

「おはようございます!」

 その声を聞き、古河と新山は思わずコーヒーを吹き出した。

「ぶへらっ!? か、香!?」

 新山は口元を左手で拭いながら訊ねた人物は、紛れもない真岳 香だった。

「ちょっとぉ還、汚いんだけど。來ちゃんもさぁ」

 呆れたように言う真岳に、古河と新山が詰め寄る。

「休んでたんじゃないの?」

「てっきり、塞ぎ込んでるものかと」

 そんな2人の肩を、真岳は叩く。

「塞ぎ込む? あたしがそんなか弱いメンタルだと思ってるの? ただ昨日は秀子ちゃんの見舞いに付き添っていただけだよ?」

 それを聞き、風紀委員達と調査員達は鈴川の方を見る。その視線に気付いた鈴川は、とぼけるように言った。

「誰も香が今日休むとは言ってないが?」

 その言葉を聞き、風紀委員達と調査員達は立ち上がり、鈴川の元へと近寄る。

「何だ、皆怖い顔して? ほら、香が来たし、それに私は病み上がりだぞ? え、何で無言なんだ? なぁ、ちょっと怖いぞ? あ、おい待ってくれーー」

 

 

 

 その日、生徒会室に鈴川の痛みに苦しむ悲鳴が鳴り響いたという。

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