「夏だ!」
「海だ!」
「「「遊ぶぞぉぉぉ!」」」
「おー」
「あ、ちょっと!」
目の前に広がる海を前に3人は海に飛び込む。
それを浜辺から無表情で眺める私と、頭を抱える綾香氏さんがいた。
「って水無月ィィィ!」
「溺れてるじゃないの!」
はしゃぐ(?)3人を尻目に、私と綾香氏さんは眼を合わせて溜息を吐いた。
そもそもどうして海に来たのか。それは遊斗君の幼馴染の発言が発端だ。
水無月さんという子らしい。
私と遊斗君、そしてそれを綾香氏さんが見ていた時に、
「遊斗君!海行こ!ってああ!」
ズドンと音を立てて転びながら突っ込んできた。
遊斗君は慌てて彼女を立たせる。
さて、海に行く話になっていたが、
「綾香氏先輩と星界先輩も一緒に行きましょ!」
「「えっ」」
水無月さんは私達を話に巻き込んできた。
私は少し考えた。
暇だし、いいかなぁ。
「「いいよ」」
私と綾香氏さんの声が被る。
そうして私達は海に行く計画を立て始めた。
「よし、アイツに運転させよう。」
「「アイツ?」」
そうしてラヴィを巻き込んで海にやってきた。
ラヴィは始め聞いた時驚いていたが、快く(珍しく)受け入れてくれた。
「ラヴィ、ありがと。」
「はいはい、楽しんできなさいな。」
と、言いつつ、ラヴィはいつのまにか立てたパラソルの下で、優雅にかき氷を食べている。
ラヴィは日光苦手だし〜と呟くラヴィを無視して、海の方に移動する。
「………」
「………」
「………………」
遊斗君が綾香氏さんの胸を揉んでいた。
固まる4人に、いつのまにか現れたラヴィは告げる。
「ラッキースケベね。ラヴィもこの目で見るのは初めてよ。」
冷静に分析するラヴィに尋ねる。
「スイカ割り用の棒って何処だっけ?」
「ちょっと待って星界先輩!?」
「大丈夫、遊斗君。ラヴィも割るから。」
「えっ?」
私は砂に埋めて、首だけ出している状態の遊斗君とラヴィを見る。
棒を目の前まで振って、戻す。
それを数回繰り返し、棒を2人に向けた。
ニコッと笑い、棒を振り上げる。
「ちょっと待ちなさい!ラヴィはいくらでも殴───」
「星界先輩!?それは不味いですよ!いくら丈───」
鈍い音を響かせながら2人は青い空に打ち上がる。
2人が何か叫んでいた気がするが、気のせいだろう。
ヨシ、と指先確認し、汗を拭う。
まぁ、2人なら大丈夫だろう。
「………遊斗君、大丈夫かなぁ。」
「………なんで砂深くに埋めたのに吹っ飛んでいるの……?」
「いてて、精霊纏いしなかったら死んでた……ん?」
「あっ、お前はッ!?」
飛ばされた先、そこにはクロノスが居た。
彼は海に竿を垂らしており、突如現れた僕に驚いていた。
クロノスは持っていた釣竿を放り投げようとして……震えた。
それは……まるで人の……なんだ?彼は後ろの人のような何かに恐怖している。
ただただ、恐怖という概念だった。
彼女は生きたままのイカを貪っている。そう、生きたままの。
「なにやってるのクロノス?」
「あっ、あっ、ワ、ワム様……?」
普段、調子に乗っている子供のような彼が、今はただ嵐を過ぎ去るのを待つ子供のように震えている。
僕は瞬時に判断して、精霊纏いを解放する。
「ケントレギナッ!」
彼女に向けて先制攻撃を仕掛けた。
その一撃は確実に……今まで以上の一撃だった。
実際、クロノスは一切反応できていなかった。それを………
「ルベリオン、ふせいで?」
周囲に大きな打撃音が響く。
そして、僕の拳を“ルベリオン”と呼ばれたドラゴンは軽々と掴んでいた。
2、3歩引き、僕は逃げることを選んだ。
『オイオイ!遊斗!お前、本気で逃げるぞ!アイツはヤベェ!』
「わかってる!」
「おにごっこ?ワムとくいだよ?」
突如消えた彼女は、いつのまにか僕の目の前にいた。
瞬間的に蹴り上げようとし……
気がつけば身体を地に叩きつけられていた。
『遊斗!』
何が起こったかわからない。
痛みすら遅れて伝わる。圧倒的な格上。
そして、彼女は踵を振り落とそうと……
「間に合ったぁ……遊斗君無事?」
目の前にもう1つ脚が見えた。
その脚は、彼女の踵を目の前で防いでいた。
「ッ、ラヴィさん?」
「無事じゃないようね!ったく、美香ったら……次々と面倒ごとを呼び寄せるんだから!」
すると、ラヴィさんはデッキを取り出した。
それに反応し、彼女は脚を上げ、同じくデッキを取り出した。
「ラヴィさん!?逃げましょうよ!?」
「………それもそうね。セラ!」
ラヴィさんは1枚のカードを取り出して、それを掲げた。
すると、緑色の髪をした小さな女の子が現れた。
ラヴィさんもまた、精霊に選ばれていたのか……
『呼んだ〜』
「落としなさい」
「えっ?」
「はっ?」
「……………」
僕とクロノスの驚愕の声が漏れる。
彼女とクロノスは突如現れた地面の穴に呑まれていった。
「ラヴィにかかればこんなの余裕よ!」
腕を組み、高らかにそう宣言したラヴィさんは一瞬、穴の下を眺め、僕の方を見た。
「さて、帰るわよ。美香を叱らなくちゃ。」
「あ、ありがとうございます。」
夜、全員が寝静まったであろう頃、
星界先輩が用意してくれた旅館(ここ、結構ヤバいなオイ)のラヴィさんの部屋を訪ねた。
ラヴィさんはカードを弄りながら誰かと連絡をとっていたようで、相手に謝って電話を切った。
「ラヴィさん、ちょっといいですか?」
「こんな夜中にラヴィの部屋に来て……なにがしたいの?いいよ。ラヴィできることなら。」
ラヴィさんは大量のカードとにらめっこしながら、話を聞いてくれた。
僕は今日のことで力不足を実感した。
大切な人を……皆を守るため。
「ラヴィさん、僕を鍛えてください。」
「……………わかったわ。美香も巻き込んで盛大に行くわよ。」
次回 修行回