現代に異能力をもって転生したから動画を配信するぜ   作:銀髪こそ至高である

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第1話

宝の持ち腐れという言葉がある。この言葉が最もふさわしい者とは誰だろうか?天才的な才能を持ちながらそれを使わない者だろうか。権力を持って生まれた癖に何もしないで惰眠をむさぼるものだろうか。

 

否、断じて否。

 

宝の持ち腐れという言葉が最もふさわしいのは、平和な現代に生まれておきながら異能の力を授かってしまった転生者だ。

 

「そう思って始めた動画投稿だったが………マジで時間を戻したいな」

 

とある島のとある神社の境内で空を仰いでいる転生者が3名。

 

一人は巫女服に身を包み、死んだ目で携帯を触る美少女だ。肩まである黒髪は、常に濡れそぼっているかの様に艶やかだ。蒼眼は妖艶に輝いており色香を感じさせる。身体は細く、四肢の先までスラリと伸びていた。道を歩けば間違いなく、百人が百人振り返る美少女だ。しかし、その瞳に生気はなく人形と言われても納得できなくはないほどだ。この3人の中では最も年下な彼女こそ、ただ一人のTS転生者である。

 

もう一人はスーツに日本刀を携えた青年。年齢は20歳。それなりにイケメンなのだが、彼も彼で瞳に生気がなく腰を上げるまでに時間がかかる愚か者である。ちなみに刀はファッションであり、彼が所持している異能は『空間移動』と『電子機器操作』である運動音痴だ。

 

最後の一人はアロハシャツにサングラス、そして数世代前のゲーム機を装備している不審者男性。年齢は25才でありファンション日本刀とは真逆の身体強化系の異能を持っている。

 

そう彼らは全員が転生者だ。そもそもの始まりはこの島で巫女をしている凛と高校生の夏と言えば田舎の島で出会いを求めべきという思春期真っただ中の思考を携えた燈火が出会ったこと。

 

まあ色々と合ってお互いが転生者であると認識した翌年、アロハシャツにサングラスをかけた変人がこの島の駐在として派遣された。

 

少女は死んだ目で昨日投稿した動画を眺めている。

 

「誰だっけ?使いどころがない異能を使って動画取ろうとか言い始めた奴」

 

「君だな」

 

凛の問いかけに青年が答える。

 

「誰だっけ?誰もいない無人島なら証拠も残らないし派手にやろうとか言ったやつ」

 

「凛だな」

 

凛の問いかけに不審者が答える。

 

「誰だっけ?どうせCGとか合成扱いで相手にされないって言ったの」

 

「君だよ」

 

「うわああああああああああああああああああああああああああ!!!!!どーしよ!反響えぐいんだけど?」

 

「「泣きてえのはこっちだボケ」」

 

発狂した少女に男二人はブチ切れた。

 

少女が見る画面には30秒ほどの動画が2本乗っている。初回の動画は、狐の仮面を被ったバカな転生者が怪物と戦っている動画………それは少女が立案し酒に酔っていた二人が実行した余興だった。2つ目は少女が一人で撮影したもの。自らの能力で作り出した怪物と戦っている動画。巫女服をまとった少女が一言「散れ」と囁く。瞬間、光で形成された触手が薙いだ。四方八方に、怪物たちは吹き飛ばされ、空中でその五体を散らせる。血の雨が少女に降り注ぐ。

 

異世界太郎

@isekaitarou?

異能力者戦闘中w

                

こ40 り3000 い60000

 

掲示板やツイットーでトレンド入りを果たしていたのだ。

 

「この際、有名になったのはいいさ。僕たちは仮面をしていたから顔バレすることもない。でも問題はそこじゃない」

 

「本物の異能力者が連絡を取ってきたことが問題なんだよな」

 

「というか政府の特殊機関が撮影場所に使った島を調査していたのがやばい」

 

異能力者を名乗る人物からのDMを受け、怖くなった3人は燈火の異能で国の機密情報を引っこ抜き、検索を掛けた。そこには異能力者と異世界からの侵略者に関する報告書があり燈火を青ざめさせた。

 

曰く、人類が異能の存在を認め、秘密裏に研究しだしてから200年。日本や各国は適性のある人間を異能力者として兵器として利用するようになった。異能力者は貴重であり同時に他国への牽制や侵略者を退ける強力な武器であると規定されている。

 

それは異世界からの侵略者から身を守るためであり、仕方のない選択だったとつらつらと懺悔が書かれている。

 

3人は思った。

 

『やっちまった』と。

 

「目下の問題はこのDMの相手をどうするかだよ。僕の異能で位置情報を追えないようにとか、端末の情報は改竄したけど向こうの異能次第ではわからないよ」

 

「燈火の異能で逃げるしか方法がねえな、バレたら」

 

「私が返り討ちにすればいいのでは」

 

「「馬鹿か!異能力があるだけの一般人にできるわけないだろ」」

 

「ですよねー」

 

少女の悲鳴が木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京の某所。

一般的な執務室より少し広い執務室。その部屋には二人の人間が向かい合って座っていた。一人はスーツを着こなす老人。一人は青い髪を結い上げ、首には白と青を基調としたヘッドホンを掛けてている少年である。

 

「これが例の異能力者ですか」

 

端末に添付されていた写真と動画を見ながら、少年は淡々と返す。

 

「おうとも、ビックリするほど美少女やろ?東京におったらナンパしてる」

 

「元気だな。あんたがやるとパパ活になるぞ」

 

少年の欠伸と老人の笑い声が執務室に響いた。

 

「さて、話というのはこの少女がいるとされる神呪島への調査だ」

 

「そんなことだろうと思ってましたよ。竜胆さんが調査へ行ったはずでは?」

 

「竜胆ではどうにもできない場合の保険や」

 

「………確かにこの女は強いが何故そこまで慎重なんだ?」

 

「勘や」

 

「………おーけー。ボスが言うんだ。この少女を捕まえてくればいいんだろ」

 

お辞儀をして踵を返そうとした少年に対して、老人は思い出したように声をかけた。

 

「あくまで生け捕りや、忘れたらあかんで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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