竜使い《ドラゴントレーナー》は静かに暮らしたい。   作:ニャル太郎

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覚醒、解放、終幕

 

ルシルさんを抱き止め、岩場で寝かす。

 

「っと、ごめんね心配かけて」

 

それはそうと、なんか生き返ったなアタシ。

 

心臓を貫かれて死んだはずなのになぜか復活、前にも似たようなことがあった。

あの時は死因がなんなのかわからなかったけど普通に生き返っちゃったし、起きたらなんて説明しようかな。

 

まあそんなことは後で考えるとして。

 

『ナチュラルに生き返らないでくれます? 私結構びっくりしてるんですけど』

「オメーこそスキル封印くらってて偉そうに口答えすんな」

『うるさいですね〜〜〜判定に引っかかっちゃったんですから仕方ないでしょ〜〜〜』

「デブなの?」

違いますが???

 

割とマジのトーンで返されたのでこの話はここでやめるとして。

 

「ほら、さっさと起きて本気を出せよ」

 

向き直って吹っ飛ばされてるリジットを見てしたり顔をする。

挑発に乗るような相手には思えないが、噛み付くくらいなら問題はないだろ。

 

「いつまで寝てんだ? それともマジで死ん────」

 

リジットが()()()()()()()()()

気づくのに遅れたアタシはガードが間に合わず、そのまま吹き飛び壁にめり込んだ。

 

「────ってえな、もう少し手加減しろや」

 

埋まった身体に力を込めて抜け出す。

幸い傷は軽く対してダメージにはなっていなかった。

 

「手加減? 今の貴方を見てそんな事をするとでも?」

 

先程とは打って変わって殺意に満ちた声。

落ち着いていた表情はそこにはなく怒りの表情でこちらを睨む。

 

「第一、今の攻撃で死なないのがおかしいんですよ貴方」

「死なねえなんだから仕方ねえだろ、アタシが一番驚いてんだし」

 

望んだ回答が返ってこなかったのに対してリジットは歪んだ笑みを浮かべてすぐにいつもの澄まし顔に戻って歩き出す。

 

「まあいいでしょう、どうせ貴方をまた殺せば結果は同じこと」

 

虚空を切り裂く音だけが耳に入った。

疾すぎて姿が見えない、だがこちらに迫ってきている気配だけはわかる。

 

一歩下がって踏み込んで極限まで耳を澄まして、左手を添えるように突き出すと何かが当たる感触がした。

 

「ガッ!?」

 

リジットの顔面にアタシの拳がめり込んできたので、勢いを殺さずにそのまま殴り飛ばす。

隙を与えずに腹部に2発、顔面に1発。トドメに踵落としをぶち込み地面にめり込ませる。

 

「オ・カ・エ・シ」

 

さっき壁に吹き飛ばされたお返しに頭を踏みつけ地面と濃厚なキスをさせた。

 

徐々にこいつの動きについて行けるようになってる自分の成長に喜びが隠せず思わず口角が上がる。

 

『完全に悪役のソレですね』

「あ? っるせえな、別にいいだろ」

 

小言を挟むアヴェルアを睨みつつ、スキルを発動。

 

 

 スキル:竜の爪(ドラゴン・クロウ) 

 

 

白銀の鱗に包まれた腕は鋭い爪を生やし、リジットの喉仏を切り刻んだ。何も起きない。

 

「……ん?」

 

地面に伏せていたリジットの姿がない、いつ抜け出したんだ?

 

直後、土手っ腹に鋭い衝撃が走った。

理解する間もなく空中に吹っ飛ばされ、地面に強く衝突。

 

何が起きたか理解ができなかった。

 

また見えないほど(すばや)く攻撃をしたのかとリジットの方を見ると、()()()()()でそこに立ち尽くしている。

 

「………………ァア?」

 

()()()()()

何かしているのにその正体が全く掴めない、確実に手の内は見せてるのにそれを巧妙に隠していた。

 

何かが引っかかる。

確かな手応えがあったのにそれが消されているような、()()()

 

アタシが与えた傷が完全に回復してるのも、何も認識できずに攻撃をくらうのも。

必ず理由はある、その答えは確かに視認しているはずだ。

 

「理解したところで、貴方は私に勝てませんよ」

 

また目の前に立っていた。

今度はガードが間に合ってカウンターを顔面に撃ち込んだ。何もできないまま、首を掴まれ持ち上げられる。

 

「う、ぐっ!?」

「正直貴方には驚かされてばかりですね、ここまで私を追い詰めてきた人間は貴方が初めてなんですよ」

 

力で振り解こうとしても力の差は歴然、アタシの抵抗をモノともせずに徐々に首を絞めてくる。

脳に酸素が届かなくなり意識が朦朧とし出す。

身体が動かなくなっていき、微かに骨が軋む音がして視界が歪む。

 

──まずい、このままだとまた死ぬ。

 

それだけは避けなければならない。

死にたくないのはそうだが、何よりルシルさんを置いて死ぬことなんて二度とごめんだ。

 

「私の攻撃を耐えて生き返るなんて本当に人間ですか? それともそういったスキルか魔法ですか?」

 

首を傾げて聞いてきた、手は緩めることなくガッチリと絞められ、首から嫌な音が立ち始める。

 

「こうしているのに貴方は死なずに耐えている、おかしいですよね? 人間ならこの時点で死んでいるはずなのに」

 

地面に叩きつけて、うつ伏せになったアタシの身体に乗り出してきた。

 

「貴方は普通の人間とは明らかに違う、少しずつ私の動きに追いついていき一度ならず5回も私に攻撃を与えているんです」

 

片方の手で首を抑え、もう片方の手で心臓部分を撫でた。

 

「心臓もちゃんとあって傷も塞がり、そこに当たり前のように存在している」

 

顔を近づけ、何かを期待するように聞いてきた。

 

()()()()()()()()()()()()?」

 

…………そんなのアタシが一番知りたい。

目覚めてみれば知らない世界にいて記憶を無くして途方に暮れていた。

ただ静かに暮らしたいという願いだけを持って、普通に生きていたいだけの転生者。

前世のアタシがどんなやつだろうとどうでもいい、聖人君子だったのか極悪非道だったのかさえ。

どれほど思考を巡らせても答えには辿りつかない、()()()()()()()────

 

「答えてください、()()()────」

 

 

 スキル:竜の咆哮(ドラゴン・ボイス) 

 

 

ガタガタうるっせえなッ!!! いちいち他人の心を踏み荒らさねえと気が済まねえのかこのボケカス竜がッ!!! ()()()()()()()()()()退()()()()()()

 

洞窟、いやこのダンジョン全体に轟音が響き渡る。

鼓膜を破り脳を破裂させ、聞いたモノ全てをぶっ飛ばす爆音がアタシの口から流れ出す。

当然間近で聞いていたリジットは身体の半分が消し飛び、口や耳から血を流した。

 

「ハァ゛、スッキリした」

 

言いたいこと言える世の中って素晴らしいね。

 

汚れを払って身体を起こして立ち上がる。

リジットの死体はそこに転がって、動く様子はない。

 

「うし、なんか倒せたっぽいしさっさとこんなダンジョンから出てギルドに────」

 

 

「 “神にてその現実を書き換えろ、貴方の攻撃・回避は全て書き換えられる” 」

 

リジットが何かを口走る。黙らせようと頭を蹴ったがすでに手遅れだった

 

「 “理想改稿(イデアル・リライト)” 」

 

 

離れようとして後ろに下がった。顔面に激痛が走り、そのまま後ろによろめいた。

 

「いってぇ……何がどうなって、は?」

 

白く濁るツノ、剛腕な腕に鋭い爪、自分と同じくらいの長い尻尾を携えて口から牙を生やし、人の姿でありながら竜のように美しく佇む存在がいた。

 

「やはり貴方は普通の人間ではない、だからこそ惹かれてしまうのでしょうか、それとも恐れているのか、どちらにせよ」

 

完全に覚醒したリジットは物欲しそうな声で話し舐め回すような視線でこちらを視認し、ゆっくりと向かってくる。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「出し惜しみはもうしません、本気で行きますね」

 

反応が遅れたが飛んできた攻撃をいなして脇腹に拳を撃ち込む。、鋭い爪で肩から腹にかけて切り裂かれる。

よろめいたのを生かして、そのまま懐に入りアッパーを繰り出す。切り裂かれた腹から血を流して一瞬だけ意識が途切れた。

 

なんとか意識を保つが、いかんせん気味が悪い感じだ。

攻撃をしたはずなのに取り消された感覚、回避の行動がキャンセルされた感覚。

バックステップで距離を置く。

 

落ち着け、どんな意味不明な攻撃も必ず突破口があるはずだ。

 

深呼吸をしてスキルを発動した。しかし何も起きない。

 

「来ないのですか?」

 

こっちの返答を待つことなくにリジットは突っ込んできた。

避けようとして身体を逸らした。右肩が切り裂かれる。

体制が崩れたのを利用してカウンターを入れる。両腕の爪を振り下ろしアタシの身体を引き裂いた。

身体を低くして流れるように拳を腹部に入れる。腕を掴まれそのまま腹部に3回打撃をもらい、掴まれた腕を引っ張りそのまま地面に倒してその脳天に踵を落とす。脇腹に蹴りを入れられ思わず吐いた。

 

「まだ耐えてるなんてすごいですね」

 

ボロボロになったアタシを面白がるように見て、もう一度腹部に蹴りを叩き込まれ吹っ飛ばされた。

 

「ですがそろそろお開きにしましょう、私だって暇じゃないんですよ。あの方に仕事頼まれていてさっさと片付けてたいんです」

 

起き上がる力がもう残っていない。

動くたびに口から血を吐き出して、肺が痛む。

 

足音が近づいてくる、もう逃げられない、友達一人守れないまま、また死ぬんだと意識を──────まだだ。

 

無理やり身体を起こし立ち上がった。

動く度に傷口から血が吹き出して地面に落ちる。

 

勝ち目がないはずなのになんで立ち上がれるのか、どうして一人で逃げようとしないのかはわからない。

 

元々そういう性格だったのか記憶喪失のせいでおかしくなっているのか知らないが、とりあえずこのクソ野郎をぶち殺さないと気が済まないことだけは確かだ。

 

「まだ立ち上がる力をお持ちで、私そろそろ飽きてきたのですが」

 

勝手に飽きてろ、と吐き捨て足を動かす。不思議と身体は軽かった。

 

「まあ往生際が悪い人間は好きですけどね」

 

一気に駆け出して急所目掛けて拳を懐に蹴りを入れられ後方へと飛ぶ。

 

「無駄ですよ、どんなに戦ったところで貴方の攻撃が当たることはありませんし貴方が私の攻撃を避けることはできませんから」

 

不敵に笑い、リジットは勝ちを確信した。

 

 

 

 

「…………()()()()()()()()()

 

欠けていたピースがハマって、笑いが溢れた。

 

「何を、笑って……」

「なぜスキルが発動しなかったのか、なぜ当てたはずの攻撃がさも最初から当たっていなかったのか、なぜ避けたはずの攻撃が当たったのか」

 

口元の血を拭いって、顔を上げる。

 

「最初から答えは見えていたけど隠されていた、あの時の違和感がようやくわかったぜ」

 

一歩、また一歩と近づいていく。

 

「どうして、それを……!?」

「今認めたな? ()()()()()()()()()()()()?」

 

地面を蹴り上げ一気に距離を詰める、奴の顔が目の前まで来たところで拳を撃ち放視覚外から長い尻尾が飛んできたのを掴み引き寄せ蹴りを放った拳を顔面に打ち込んでそのまま地面に叩きつけた。

 

「馬鹿な!? こんなことは絶対にあり得ない! この力は創造竜に匹敵するほどの力のはず、なのになぜ!?」

 

焦りと怒りの表情を露わにするリジットの前に立ち塞がり、しゃがんで目線を合わせる。

 

「テメェの能力は攻撃を、いやもっと詳しくいうなら()()()()()()()()()()()()()っていうのが正解だろう? 現実改変って言った方がわかりやすいか」

 

現実改変、目の前で起きている全ての出来事を都合よく改変する力。

正しく真竜らしいスキルだなとつくづく思う。

 

「なぜそれが、いやだとしても攻撃や回避をすれば貴方の行動は全て書き換えられるはず! だったら」

「あぁ? んなもんアタシの攻撃を全て()()として認識すればいい話だろうが」

「な、は?」

 

混乱するリジットの額に手を構えてデコピンをした。何も起きない。

 

「今のは攻撃、そんでこれがッッッ!!!」

 

天高く踵を振り上げ一点に集中。

身体が白銀の炎に包まれ、血流のように流れて左足に集まり削ぎ落とす勢いで踵を撃墜。

 

衝撃のあまり地面が歪み洞窟全体が揺れ、鮮血が咲き乱れる。

 

「防御ってワケ」

 

動かなくなったリジットを横目にルシルさんの方へと歩き出す。

 

「テメェはあの時、攻撃と回避だけを書き換えるって言っただろ? だったらアタシの認識を変えちゃえばいい話だしよく言うだろ? 攻撃は最大の防御だっ…………ん?」

 

いやちょっと待て、おかしいだろ。

なんで()()()()だと見抜けた? なんで()()()()()()()()できるんだ?

 

途端、自分が人間じゃなくなってる気がして恐ろしくなってきた。

 

『現実改変耐性も上がっててウケるんですけど』

「うわ!? おまっ、どこ行ってた!」

『また判定くらってました 一生の不覚ですね』

「デブがよォ」

ア°??? 違いますが私元々スリムの体型ですし大体叡智の結晶の塊であるはずの私が太ってることは絶対にあり得ないと言いますかこう見えて理想体型なんですよちょっと聞いてます?』

 

早口で自分は太くないことを主張するアヴェルアを雑にあしらいながら、ルシルさんの元に近づく。

 

「ところでルシルさんって大丈夫なの? 命に別状ない?」

『魔眼に詳しいワケじゃありませんけど大丈夫なんじゃないですかね?』

「軽っ、もっと心配しろよ」

『仕方ないでしょ管轄外なんですから そもそも私は貴方の導き手(サポーター)であって』

 

 

「夜は全てを(くら)う、月をも飲み込み闇に溶かす」

カン、と釘を刺すような音が耳に刺す。

 

 

背後からただならぬ殺気と悪寒を感じ振り返ってみると、頭は完全に潰れ血を流し生きているのかさえ怪しい状態でリジットが立ち尽くしている。

 

「まだくたばってねえのかよ、ったくしつけえな」

『いや まって アレは』

 

ボコリ、とリジットの体が膨らみ始めて全身が黒く染まり、頭の部分に()()()が湧き出た。

 

『あンの野郎!!! ()()()()()()()()()()()()()()()!!!』

 

アヴェルアが叫び出して、魔法陣を展開した。

 

『クソこれじゃ間に合わないじゃないですか! トウコもぼさっとしてないでルシルさんを抱えて逃げてください! あいつ全部取り込もうとしてますよ!』

 

言われた通りルシルさんを抱いて駆け抜けた。

同時に膿が弾け、中から無数の触手が飛び交いこちらに迫ってきた。

 

『転送魔法を作るには あっダメだ魔力がないから作れない! だったらこのスキルで……しまったあのスキルの権限今の私じゃないんだった!』

「ちょ、何!? どうっと、何が起きてんの!?」

混沌竜(クソ野郎)ですよ! 竜に呪いをかけられるなんてあのクソ野郎くらいしかいません! あの真竜(ボケ)が死んだ瞬間に発動するように仕向けてたんでしょうけどそれにしたってタチが悪すぎますよクソったれ!』

 

悪態をつきながらアヴェルアは何かの魔法を展開するが、全て呪いによってかき消された。

 

『つーか仲間も平気で呪うとかあいつマジで性格終わってる!!! 本当にあいつ大っ嫌い!!! ()()()()()()()()()()()()()()()()!!!』

「えっちょっとアヴェルア!? お前それどうい────うぇえ!?」

 

石につまづき、派手に転びルシルさんは乱雑に放り投げられた。

その隙に足を掴まれ、(ジュウ)と音を立てて皮膚が焼ける。

 

前回の呪いとは違って触れてる間だけ呪われる感じだが、痛い、とにかく痛い、さらに引きずられてもっと痛い。

振り解こうと手を伸ばすと上から触手が伸びてきて抑えられる。

 

「アヴェルア! スキルを────」

 

ノイズ音が走って音声が途切れた。

舌打ちをして触手を何度も蹴る。

 

「クソ! はなせ大人しく死んどけ! それとも殺された腹いせで食おうとかしてんじゃねえだろうな!?」

 

突然空中に吊り下げられ、その全貌を見た。

 

全長20メートルの白い鱗を身に纏った竜、だが黒い呪いにほぼ侵され美しさの欠片なんて微塵もなく、禍々しいという印象。

 

表情は苦悶に満ちているのに、目があうとニタリと笑った。

 

大きな口がアタシを真下にきて、そして、

 

 

 『竜機回路:接続完了』 

 『起動しますか?』 

 

 

訳もわからず目に入ったウィンドウを叩いて発動した。

 

 

 『承認』 

 『対竜礼装:擬似展開』 

 『識別名:創造竜アヴェルア』 

 

 

全身が白銀の炎に包まれ、炎が消えた頃にはアタシの姿は変わっていた。

月光のように輝くの角と翼、両腕に白銀の鱗を身に纏い、大きな尻尾を生やして落下していた。

 

翼を使って滑空、地面に降り立つと同時に黒い触手を伸ばしてきたがそれを一振りで薙ぎ払う。

真竜に向かって疾風の如く駆け抜け拳を突き刺し、腹の肉を削ぎ落とし真紅の滝を流し出した。

 

「────────!!!」

 

痛みでよろめいた隙に頭上まで飛んでいきムーンサルトキックを撃ち込み、口から白銀の(ブレス)を放つ。だがあまり効果はないらしく叩き潰そうと腕を振り下ろしてきたのを両腕で受け流して距離を開けた。

 

唸り声をあげてこちらを睨み、口を開いて黒い炎を放つ。

 

 

 スキル:竜殺しの剣(ドラゴン・ブレイカー) 

 

 

身体に染み付いてたかのようにスキルを発動し、透き通るような巨大な剣を作り出して静かに構えた。

 

炎が目の前まできた瞬間、流星の如く駆け巡りる。

 

炎も、竜も、音も、空間も斬り伏せて、剣をしまう。

 

────殺す命はただ一つ、竜のみ。

 

炎が揺らめき、悲鳴はなく、空間が元に戻り、ただ白銀の炎に包まれ崩れゆく竜の遺体だけがその場に残る。

 

 

 

 

 

 

 

再び全身が炎に包まれ消えた頃には、元の人間の姿に戻っていた。

 

「…………アヴェルア」

『はい』

「お前創造竜だったの???」

え? はい

 

流れるように質問して流れるように返答が返ってきた。

 

「ばッッッッッかお前!? なんで言わないの!?」

『聞かれなかったというか 厳密には違うというかなんというか』

「じゃあなんなのお前」

『うーん 分身?』

「それでも怖いだろ! アタシ何!? 創造竜のスキル使えるの!?」

『擬似的にですよ 使いすぎたら精神持ってかれるんで』

「怖!!! んなもん使わせんなよ!!!」

『いやだって想像以上にベストマッチしちゃって 創造竜だけに』

「面白くもねー……よ」

 

全ての力を使い果たしたのか、そのまま倒れた。

 

『あちゃー やっぱ反動ありますよねそれ 修正しとこ』

「え……? これどうなんの……」

『普通の人間だったらそのままグッバイですけど トウコは半日くらいは寝るだけですよ』

「そう……あ、でも戻らないと……魔物とかに……」

『ここ一応私のダンジョンなんで 権限はまだあっちの私が持ってますけどなんとかしてくれるやろ…… まあ安全だと思いますよ』

「ほんと……か……よ」

 

意識が保てない、もう無理。

 

『危なくなったら叩き起こせますから 今はゆっくりと寝てくださいトウコ』

「そ…………っか」

 

アヴェルアの言葉を信じて、アタシは意識を暗闇に落とした。

 

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