鉱脈怪獣 アーナガルゲ登場!
ウルトラマンマックス登場!
街のど真ん中に突如として怪獣、アーナガルゲが出現したことで、当然のことながら街は大パニックに陥っていた。
「嘘だろ!?予兆はなかったはずだぞ!」
「事前調査でも、大型の生命反応は検知されていませんでした。本当にいきなり出現したとしか……」
街へと来ていた指揮官達も、突然の襲撃に動揺を隠せない。
「とりあえず、エンタープライズ達と合流して怪獣へ攻撃を」
「指揮官!あれ見てください!」
Z23が指を指した先に視線を向けると、アーナガルゲの体に一台のバスが取り込まれている光景が目に入ってきた。
「まさか、まだ乗客が乗っているのか!?」
「ここからでは確認できませんが、怪獣が出現してからの時間を考えると、その可能性が高いかと」
「クソっ!これでは増援を呼んでも意味がない……」
指揮官の言う通り、下手に攻撃を加えようものなら、流れ弾がバスにあたり、乗客に被害が出てしまうかもしれない。
「取り敢えず、みんなは民間人の救助と避難誘導を頼む。俺は逃げ遅れた人を探しながらエンタープライズ達にも連絡をいれておく」
「分かりました。どうかお気をつけて」
「ああ」
この場をベルファスト達に任せて、指揮官は怪獣の襲撃に混乱しているビル街へと駆け出そうとしたそのとき、ラフィーが指揮官の服の裾を掴んだ。
「指揮官、戻って来る……?」
「っ!……ああ、もちろんだ」
おそらく、母港襲撃時のことが頭をよぎり、不安になったのだろう。
それを察して、不安を拭うようにラフィーの頭をなでながら語りかける。
「約束する。必ず無事に戻ってくるから、それまで頼んだぞ」
「……うん」
そう頷くとラフィーは指揮官の服から手を離し、ジャベリン達の下へと戻っていった。
それを見届けると指揮官はベルファストとアイコンタクトを交わしてから市街へと駆け出した。走りながら、通信機を操作してエンタープライズへと通信を繋ぐ。
「エンタープライズ、聞こえるか?」
『指揮官か。済まないが取込み中だ』
「取込み中だと?何があった」
指揮官がそう問いかけると、ほんの少しだけ間をおいてからエンタープライズの返答が通信機から聞こえてきた。
『哨戒中に敵性宇宙人と遭遇。こいつがあの怪獣を呼んだ張本人だ』
「何だと!?」
まさかの情報に驚く指揮官。だが、そんな暇はない。すぐに頭を振って気を戻すとエンタープライズへと現在の状況を伝える。
「まさか既に潜り込んでいたとは……分かった、そのまま聞いてくれ。出現した怪獣は、民間の車両を取り込んでいる。いわば人質を取られている状態だ」
『何っ!?まさかそんな状況だとは……』
「怪獣はこっちで何とか抑える。お前達はその宇宙人をなるべく早く無力化、拘束しろ。難しいなら倒しても構わん!そうすれば怪獣も動きを止めるかもしれん」
『了解した。指揮官、気をつけてくれ』
通信を切り、指揮官はビルの影から今も暴れているアーナガルゲへと視線を向ける。
人質を捉えたままのアーナガルゲは、こちらが攻撃できないのをいいことに好き放題暴れている。
「これ以上、好き勝手させるか!」
指揮官が立てた右腕に光が集まり、ジェイドブレスが装着される。
「力を貸してくれ――ジェイドオォォオーッ!!」
彼の名を叫びながら右腕を掲げると、ジェイドブレスから眩い光が溢れ、指揮官を包み込む。
そして、広がる光の中からウルトラマンジェイドが飛び立ち、アーナガルゲ前へと立ちふさがった。
「ジェアッ!」
現れたジェイドに対し、アーナガルゲは破壊活動を止めてジェイドへと相対する。
ジェイドは威嚇するアーナガルゲの肩部に取り込まれているバスへと注視すると、車両内に助けを求める大勢の乗客達の姿が確認できた。
「グギャア!」
「ジェアッ!」
襲いかかるアーナガルゲの攻撃をいなし、ジェイドはバスへと手を伸ばす。
しかし、アーナガルゲも人質の優位性をわかっているのか、そう安安と奪還させない。鋭利な腕部を振るいジェイドを妨害する。
「ギャアオ!」
「ジュアッ!?」
弾き飛ばされ、たたらを踏むジェイド。危うくビルに突っ込みそうになるが、既のところで踏みとどまりアーナガルゲへと向けて構える。
◇
「ジェイド様……!」
民間人の避難誘導を行いなっていたベルファストだが、ジェイドがアーナガルゲに攻められる光景に息を呑む。
本当なら今すぐ援護に行きたいが、未だ避難は完了していなく、更にはバスもアーナガルゲの体に取り込まれたままの状況では、下手に手出しはできない。
この状況に歯痒さを感じていた時、同じく避難誘導にあたっていたZ23がベルファストへと声をかけてきた。
「ベルファストさん、もうすぐこの辺りの避難が終わりそうです」
「え、ええ。分かりました。私はご主人様を探してきますので、引き続き避難誘導をお願いします」
「分かりました」
この場を彼女達に任せてベルファストは市街地へと駆け出しながら指揮官へと通信を繋ぐ。しかし、指揮官からの応答はなく、ベルファストの表情に若干の焦りが浮かぶ。
「ご主人様、一体どちらに……?」
そして、ある街道へと差し掛かったとき、路地から何かが飛び出してきた。
「くっ!?」
「エンタープライズ様!?それにクリーブランド様までっ!?」
「っ!?ベルファストか、ちょうどいいところに来てくれた!手を貸してくれ!」
突然クリーブランドにそう言われ、理解が追いつかなかったが、彼女達のあとに路地から出てきた存在を視認した時、その理由を察した。
「おや?お仲間ですか。まあ一人増えたところで、結果は変わりませんが」
「っ!?まさか、宇宙人!?」
姿を表したスラン星人に、ベルファストは驚いたのも一瞬に艤装を展開して構える。
エンタープライズ達を改めて見れば、致命傷こそないものの、艤装に多数の傷があるのが確認できた。
「気をつけて、あいつかなりすばしっこいぞ」
「私でも、目で追うのがやっとだ」
「……当然ですが、油断していい相手ではなさそうですね」
艤装を構える三人に、ゆっくりとスラン星人が近づく。その様子からは、ある種余裕のようなものが感じられた。
「面倒になってきましたし……そろそろ終わりにしましょう!」
ベルファスト達へとスラン星人が飛びかかる。まるで時間がゆっくりと流れるように感じ、その短剣状の腕部が怪しく輝くのさえ視認できたほど。
「そこまでだっ!」
「何っ!?――グワァッ!?」
しかし、突如飛び込んできたその叫び声とともに飛来した光弾がスラン星人へと直撃し、その衝撃でスラン星人の体が地面を転がっていった。
「何者ですかっ!?」
ベルファスト達が咄嗟に声がした方向を見ると、そこには一人の青年が銃のようなものを構えた体勢で立っていた。
「だ、誰?」
「警察の制服ではない……民間人、なのか?」
「貴様の企みは阻止させてもらうぞ、スラン星人!」
驚愕する彼女達をよそに、青年は銃をしまいながらスラン星人へ向けて言い放つ。
「き、貴様はっ!?やはり現れたか、トウマ・カイト……いや、ウルトラマンマックス!!」
まるで青年を睨みつけるようにしながら、ゆっくりと立ち上がるスラン星人が発したその言葉は、ベルファスト達を更に混乱させるには十分だった。
「は、え?う、ウルトラマン?」
「あの男がか……?」
「ククッ、だが貴様が現れても無駄だ。人質がいる限り、私の優位は揺るがん!」
狼狽える彼女達をおいて状況は進む。スラン星人が指した先、その方向に全員が視線を向けると、アーナガルゲにジェイドが甚振られる光景が目に入ってきた。
「奴を仕留めた後でマックス、貴様も始末してやる。やれアーナガルゲ!そのウルトラマンにとどめを刺せ!」
スラン星人の指令を受け、アーナガルゲは一際大きな雄叫びを上げ、ジェイドへと向かう。
人質がいる限り、ジェイドは愚か、ベルファスト達も手を出せない。
万事休すか。そう思われた時、先程の青年が動き出した。
「な、早っ!?」
エンタープライズが驚くほどの目にも止まらぬ動きで駆け出した青年はアーナガルゲとジェイドへ向かいながら、何かを取り出すと空へと掲げてから左腕へと装着する。
そのアイテム―『マックススパーク』から光が放たれると青年の体を包み込み、巨大な光の球体となってアーナガルゲへと飛んでいく。
光の球体はそのままアーナガルゲへと衝突して弾き飛ばすと、その先の大通りに着地した。
そして光が収縮し、その本体の姿が露わになる。そこには先程の青年の姿はなく、遥かに巨大な巨人の姿があった。
「あれは……」
「まさか、もう一人の……」
その巨人の手にはいつの間にかアーナガルゲに捕らえられていたはずのバスが握られており、そっと地面に下ろしてから巨人は立ち上がった。
深紅の身体に、プロテクターを想起させるような装飾。頭部には前方に尖った鶏冠のようなものがあり、その胸には青く輝く『パワータイマー』が光を放っている。
「……赤い、ウルトラマン」
その巨人、『ウルトラマンマックス』はその視線をアーナガルゲへと向けると戦闘態勢の構えを取る。
「デュワッ!」
その姿から、彼が只者でもない実力者であるということが、遠目でもベルファスト達にも理解できた。
「マックスが現れた以上、お前達に構っている暇などない!」
「ああっ!?待てっ!」
クリーブランドが静止するのも間に合わず、スラン星人は大きく跳躍すると巨大化してからマックス達の近くへと着地。
今まさに、決戦が始まろうとしていた。
◇
「ジェ、ジェアァ……」
先程まで甚振られていたダメージのせいか、膝をついた状態で苦しそうにうめき声を上げるジェイド。そこにマックスが駆け寄り、ジェイドを助け起こす。
「ジェア」
「デュワ」
互いにアイコンタクトを交わし、頷きあうとスラン星人とアーナガルゲへと向けて構える。
「人質は失ったが問題はない。マックス、覚悟っ!」
「グギャアアーッ!」
向かってくるスラン星人達を、ジェイドとマックスが迎え撃つ。
初撃を躱し、ジェイドがアーナガルゲに、マックスがスラン星人へとカウンターの正拳突きを叩き込む。
「ジェアッ!」
「デュワッ!」
そのままジェイドはアーナガルゲに組み付いて膝蹴りを突き刺してからヘッドロックで締め付け、マックスはスラン星人に回し蹴りで追撃する。
「くっ!?このぉっ!」
スラン星人も両腕を振って反撃するが、マックスは難なくそれを防ぎ、そのまま腕を掴んで放り投げる。
「ジェェアッ!」
それに合わせてジェイドはヘッドロックを外してアーナガルゲをスラン星人へ向けて放る。
スラン星人とアーナガルゲは衝突し、ダメージにより動きを止める。その隙を逃さず、ジェイドとマックスは二体を挟み込むようにショルダータックルを食らわし、ジェイドは右足の、マックスは左足のニールキックで更に追撃をする。
「グワァッ!?くっ、このぉっ!!」
蹴り飛ばされたスラン星人は両腕から光線を放って反撃する。しかし、ジェイドが一歩前に出て右腕のジェイドブレスを構え、『ジェイドリフレクター』を展開。光線を受け止め、そのエネルギーを吸収する。
「デヤッ!」
その隙にマックスは頭部の鶏冠に手を添えると、スラン星人へ向けて『マクシウムソード』を投擲。スラン星人を斬りつける。
「デュワッ!」
『マクシウムソード』を格納したマックスは左腕を天に掲げてエネルギーをマックススパークにチャージする。
「ジャァッ!」
ジェイドもまた、アーナガルゲへと接近し右の拳を胴体へと突き刺し、『ジェイドリフレクター』で吸収したエネルギーを解放。『ガーネットブロウ』でアーナガルゲの体内へとエネルギーを流し込む。
「ダァッ!」
エネルギーをチャージし終えたマックスは、左腕を縦にし両腕をL字に組んで必殺光線『マクシウムカノン』をスラン星人へと発射。
「グワァァァアッ!?お、おのれええええ!!?」
光線を受けたスラン星人は断末魔の叫び声を上げながら倒れ、爆散した。
「ギャアアアオッ!?」
そして、ジェイドの『ガーネットブロウ』を受けたアーナガルゲも、体内に流し込まれたエネルギーによって体組織が破壊され、爆散。
それにより戦いが終わりを告げ、逃げ惑っていた街の住人達は歓喜の声を上げ、二人のウルトラマンは互いに頷きあい、共闘を称え合った。
◇
戦いを終え、夕日が照らすビル街の一角で、二人の男性が向かい合っていた。
「……あなたは」
「私の名前はウルトラマンマックス。この姿は、かつてとある惑星でともに戦い、未来をその手に掴んだ青年の姿を借りている」
指揮官の問いかけにその男性、ウルトラマンマックスは自身の名前と姿について話す。
「君達にはこれから、とてつもない脅威が襲いかかるだろう。それこそ、スラン星人とは比べ物にならない」
「とてつもない、脅威……」
マックスの口から告げられたその言葉に、指揮官は息を呑む。
今まで襲ってきた怪獣も、決して簡単な相手ではなかった。それなのに、それ以上のものが襲い来るというのだから、当然だろう。
「しかし、決して屈してはいけない。どんなときでも自分の道を信じ、前だけを見て歩き続ける……その意志があれば、君達ならばどんな困難も乗り越えられるだろう」
「っ!……ああ。絶対、乗り越えてみせる」
マックスの激励に指揮官は決意とともに頷き、右手を差し出す。マックスもそれに応え、右手を強く握り返す。
「君達が彼らのように、希望と未来を掴み取ることを、私も祈っているよ」
「ありがとう、ウルトラマンマックス」
その会話を最後に、マックスは光の球体となり宇宙へと飛んでいった。
それを見送った指揮官は、遠くから自身を呼ぶ声とともに、近づいてくる人影に気がついた。
「指揮かーん!!」
「よう、みん―ぐぶぅっ!?」
駆け寄ってきたKAN-SEN達に声をかけようとした瞬間、ラフィーが指揮官の胴体にタックルするように抱きついてきた。
あまりの衝撃に肺の空気が押し出されるものの、何とか倒れずに抱きとめる。
「だ、大丈夫ですか指揮官?」
「へ、平気だ……」
心配するジャベリンに何とか笑顔で返す。
当のラフィーはというと、指揮官の腹にグリグリと頭を押し付けている。
「……心配かけたな」
「……ん」
そっとラフィーの頭を撫でる。それで少し落ち着いたのか、抱きつく力が少し優しくなったように感じた。
「ところで、指揮官はなんでこんな所まで来ていたんだ?」
「っ!い、いやソレはその〜」
「通信も繋がらず、本当に心配したんですよ、ご主人様」
「す、すみません……」
笑顔ながらも圧を感じる表情のベルファストに、言い訳することができず謝ることしか出来ない。
「今度から首輪でもつけたらいいんじゃないか?」
「ちょっ流石にそれは」
「あら、いい案ですね」
「ベルさん?!」
エンタープライズのまさかの提案に乗っかるベルファスト。
戦いのあとの、他愛もないやり取り。指揮官はその光景を必ず守り抜くと、改めて決意したのであった。