ウルトラマンジェイド   作:D-ケンタ

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溶岩怪獣グランゴン 登場!


第三話 火山島の戦い-B-

Z26からの救援要請からそんなに時間を経てずに、指揮官達は怪獣が現れた島へと上陸を果たした。

 

「空母連中は艦載機を飛ばしてブルックリン達の捜索と怪獣への警戒!前衛艦隊は偵察の報告あるまで待機!ビスマルクとグナイゼナウは海上で支援要請を待て!」

 

指揮官の指示に従い、艦隊全員が行動を開始する。彼女達に指示を出した指揮官は、島を見渡してから共に来たベルファストへと向き直った。

 

「しかし、こうして見ただけでは普通の島だな。怪獣がいるなんて信じられん」

「ニームさんも直接見たわけではないそうですが、明らかに怪獣のものと思われる鳴き声を耳にしたそうです」

「油断は禁物、だな」

 

そう呟いた指揮官の心配とは裏腹に、彼らが上陸してから島は静かで、鳥の鳴き声一つ聞こえない。

しかし警戒は解かずに待機していると、艦載機を飛ばし偵察していたホーネットから報告が上がった。

 

「指揮官!フォックスハウンドを見つけたわ!」

 

その報告内容に全員がホーネットの方を向き、指揮官が彼女へと問いかける。

 

「場所はどこだ!?」

「ここから北に進んだところにある洞窟に隠れているみたい。もしかしたら誰か怪我しているのかも」

「近くに怪獣はいるか?」

「今のところは見当たらないわ」

 

ホーネットの報告を聞き、指揮官は暫し思案する。

ブルックリン達の居場所がわかったのならすぐに救助に向かうべきだ。しかも怪我人がいる可能性もあるというのならなおさら。

だが怪獣が見えないというのが指揮官には気掛かりだった。救助艦隊に編成した空母の数は四。その全員が艦載機を飛ばしているというのに、影も形も見つかっていない。

もちろん小さい島ではないため、見逃している可能性もあるにはあるのだが。

 

「……悩んでも仕方ない、か」

 

意を決し、指揮官は救助艦隊全員へと指示を出す。

 

「怪獣がいないなら絶好のチャンスだ!前衛艦隊は俺と共に救助に向かう。ホーネット達は引き続き偵察を頼む。もし怪獣が出てきた場合、ビスマルク達と協力し最大火力で怪獣を攻撃しろ」

「「「「了解っ!」」」」

「作戦開始だ!全員で生きて帰るぞ!」

 

その言葉を皮切りに、艦隊の全員が行動を開始した。

ブルックリン達の救助へと向かった指揮官とベルファスト、前衛艦隊の六人は起伏の大きい地形を進み、順調に彼女達がいるという北の洞窟へと近づいていった。

そしてその洞窟が視認できる距離まで来たとき、進行方向から近づいてくる人影に気づき、一行は足を止めた。

 

「あれは……フォックスハウンドか?」

 

近づいてくるに連れて明らかになったその人影は、ブルックリン率いる調査艦隊の一員のフォックスハウンドだった。

慌てた様子で走ってきた彼女は、その勢いのまま指揮官へと飛びついてきた。

 

「しきかーーーんっ!!」

「うわっと!」

 

なんとか受け止めた指揮官だったが、安心したのかフォックスハウンドは泣きながら話し始めた。

 

「あ、あの!調査してたら、怪獣が洞窟からどーんっ!って出てきて、ブルックリンが―――」

「分かったから、大丈夫だから落ち着け。ブルックリン達はどこに?」

 

指揮官があやすように頭を撫でながら尋ねると、落ち着いたのかフォックスハウンドは自分の北方向を指しながら答えた。

 

「あっちの洞窟に隠れてる。怪獣が来る前に早く来て!」

「ああ。皆、警戒を続けながら移動するぞ」

 

そして、フォックスハウンドの案内で洞窟に辿り着くと、そこにはやはり調査艦隊のブルックリン達が隠れており、指揮官達を見て安心したのか泣き出す者もいた。

 

「全員無事……ではないか」

 

そう。調査艦隊を率いていたブルックリンは壁に持たれるように座り込んでいる。

指揮官が彼女の側に行くと、ブルックリンは苦しそうにしながらも顔を指揮官へと向けた。

 

「指揮、官……」

「大丈夫か?」

「はい……うぅっ」

 

呻き声を上げるブルックリンを心配する指揮官に、比較的軽症だったケルンが何が起こったか報告した。

 

「―――なるほど。怪獣が気になるが、一先ず避難しよう。ベル、悪いが主力艦隊へ報告を頼む」

 

そう言うと指揮官は、動けないブルックリンを背負うと、龍鳳に向けて指示を出す。

 

「龍鳳、お前は先に主力艦隊に合流し、怪獣の警戒に当たれ」

「了解しました!」

 

返事をすると龍鳳は洞窟の外に出て艦載機を呼び出すと、それに乗って主力艦隊へ合流しに行った。

指揮官達も続いて外に出る。辺りを見渡すが、どうやら怪獣はいないようで、少し安心した。

だがその直後、指揮官達を地揺れが襲った。

 

「こ、これは……皆さん、気を付けてください!」

 

フォルバンがそう叫んだ直後、島の大地を突き破り、グランゴンがその姿を現した。

ブルックリン達に逃げられたあと、地中に潜っていたのだ。

 

「ギュエェーンッ!!」

 

まるで空気が震えるような雄叫び。しかし怯んでいる暇はない。

 

「ベル!主力艦隊に支援要請を―――!」

 

しかし、指示を出す暇もなくグランゴンが彼らに向かって火炎弾を発射してきた。

全員咄嗟に回避行動を取ったが、ブルックリンを背負っていることもあり指揮官は少しもたついてしまった。

 

「ご主人様っ!?」

 

そんな指揮官を助けるように、ベルファストが指揮官達を抱き抱えながら飛び退いた。

直後彼らがいた場所に火炎弾が着弾し、爆発を起こした。その衝撃で指揮官とベルファスト、ブルックリンは吹き飛ばされるが、ベルファストのお陰で指揮官に大したダメージはなかった。

 

「いっつつ……すまん、助かった」

 

指揮官がベルファストに礼を言うが、彼女からの返事はない。

 

「ベル!?……気絶しているだけか」

 

大きな怪我をしたわけではない様子に胸を撫で下ろすと、指揮官は一度ブルックリンへ視線を向けてから立ち上がると、通信機を取り出した。

 

「クリーブランド、悪いけどベルとブルックリンを頼む!」

『指揮官?一体どうし』

 

返事を聞かずに通信機を切ると、指揮官はクリーブランドが来る前に未だに立ち込める土煙の中へ入っていった。

そして、土煙で自身が完全に隠れているのを確認すると立ち止まって右腕を掲げる。

すると、指揮官の右腕に翡翠色の宝玉が埋め込まれたブレスレットが現れ装備された。

指揮官は一度体を左に捻り、その後右に体を開きながら左腕を前に伸ばし、右腕を右腰に据えた。

 

(君から借りたこの力、今こそ使わせてもらう!)

 

そして、右腕を天に向けて勢いよく突き上げながら、その名前を叫ぶ。

 

「ジェイドオォーーッ!!」

 

その直後、指揮官の体は眩い光に包み込まれた。

 

 

「指揮官?!……どうしたんだ、一体?」

 

指揮官の通信を受け取ったクリーブランドは、頭に疑問符を浮かべながらも、指揮官に頼まれた通りベルファスト達の所へ向かおうとした。

 

「うわっとっ!?」

 

しかし、グランゴンの妨害にあい、思うように進めずにいる。

周囲を確認すれば、艦隊のメンバーは全員無事のようでグランゴンへと砲撃を加えているが、グランゴンは気にせず彼女達へ攻撃を続けている。

 

「まずいな……どうにかして隙を見つけないと」

 

焦るクリーブランドの頬を汗が伝う。その時だった。

 

「うわっ何だ!?この光は……」

 

突如眩い光が発生したかと思うと、その光の中から巨人が出現し、グランゴンへと相対した。

 

「あ、あれは!」

「この間の巨人!」

「確か名前は……」

 

巨人の出現に艦隊全員が浮足立つ。そして最初の出現後に、指揮官によって決定された巨人の名前を、クリーブランドは呟いた。

 

「ウルトラマン、ジェイド……」

 

クリーブランド達がジェイドを見ていると、不意にジェイドがその視線をクリーブランドへと向けた。

 

「な、何っ!?」

 

驚くクリーブランドだが、何故かジェイドの双眸からなんとなく伝わったような気がした。

 

「……行けって言いたいのか?」

 

ジェイドはクリーブランドの問いかけに答えるように頷く。

 

「分かった。悪いけど怪獣の相手を頼む!ウルトラマン!」

 

クリーブランドに返答する代わりに、ジェイドは視線をグランゴンへと戻すとファイティングポーズを構える。

 

「ジェアッ!」

「ギャアァーンッ!」

 

構えるジェイドに向かい、グランゴンは吠えて威嚇するとジェイドに向かって突進してきた。

ジェイドはグランゴンの牙を掴み突進を食い止めると、アッパーでグランゴンの顎を打ち抜く。

 

「ジェェアッ!」

 

更に空いた土手っ腹に強力なサイドキックを叩き込み、蹴られたグランゴンは大きく蹴り飛ばされた。

 

「凄いパワーだ……おっと、見物は後々」

 

ジェイドがグランゴンを食い止めている間に、クリーブランドはベルファスト達の元に駆け寄ると、まずブルックリンを抱え起こす。

 

「ブルックリン!しっかりしろ!!」

「……そんなに大きな声を出さなくても、聞こえている」

 

怪我をしているせいかいつもより弱々しい声だったが、返事が返ってきたことでクリーブランドは胸を撫で下ろす。

 

「私よりも、ベルファストが……」

「っ!?」

 

急ぎ倒れているベルファストを抱え起こし、揺さぶりながら声を掛ける。

 

「おい!大丈夫かベルファスト!?」

「―――うっ……クリーブランド、様?」

「よかった、気がついたんだな」

 

気を失っていた以外にベルファストには特に目立った怪我はないらしい。彼女は自分の足で立ち上がると、辺りを見渡してからクリーブランドに尋ねた。

 

「……ご主人様?ご主人様を見かけませんでしたか!?」

「い、いや。私も指揮官に頼まれて来たんだけど、私が来たときにはもういなかったよ?」

「そんな……」

 

次の瞬間、ベルファストが何処かへと行こうとしたが、クリーブランドが咄嗟に引き止めた。

 

「離してください!ご主人様を探さないと!!」

「今は危険だって!それに指揮官ならきっと大丈夫に決まってる!何故なら―――」

 

そう言ったクリーブランドが指した方向を見ると、ウルトラマンジェイドがグランゴンを抑えている光景がベルファストの目に入ってきた。

 

「ウルトラマンが来てくれたんだからな!」

「……ウルトラマン」

「指揮官もきっと無事だよ。だから今はブルックリンを避難させないと!」

「……そう、ですね。ブルックリン様は、私が責任を持って安全な場所まで運びます。クリーブランド様は任務に戻られてください」

「分かった!後ろは任せろ!」

 

そうしてベルファストはブルックリンを抱え、戦闘圏内から離脱していった。

彼女達がそんなやり取りをしていたとは知らず、ジェイドはグランゴンの首を抱えながら、手刀を首根っこへと叩き込んでいった。

 

「ギュエェーンッ!」

「ジュオッ!?」

 

しかしグランゴンもやられっぱなしではなく、首を抱えているジェイドを立ち上がりながら後方へと投げ飛ばした。

地面に強かに叩きつけられ悶えるジェイドにグランゴンが振り返ると、その口内に火炎を溜め始めた。

そして火炎弾が発射される。その直前グランゴンの横っ面に砲弾が直撃した。

 

「ッ!?」

 

膝をついて立ち上がったジェイドが砲弾が飛んできた方向を見ると、クリーブランド達がグランゴンから距離を取りつつ主砲を構えているのが目に入った。

 

「どうだ怪獣!私達を忘れてもらっちゃ困るぞ!」

「全軍、撃ちまくれ!ウルトラマンにいいところを持っていかれるな!」

 

クリーブランドと共に前衛艦隊を率いるユニオン重巡洋艦『ウィチタ』の号令に合わせ、全員が一斉にグランゴンへと砲撃する。

砲弾の雨あられに流石に怯んだらしく、グランゴンはその場から後退した。

 

『私達もいるよ!ってウルトラマン!?』

『怪獣だろうと、敵にふさわしい場所は墓以外にあらぬ。光の戦士よ、手を貸そう』

 

更に幸運なことに、主力艦隊の空母勢が戦線へと合流してきたのだ。

合流したホーネット達は艦載機を発艦させ、グランゴンへと爆撃を加えていき、それによりグランゴンは大きく怯んだ。

そして足を止めたところに、上空から飛来した砲弾がグランゴンの胴体に直撃し、先程までとは比べ物にならない衝撃に悶える。

 

『命中。引き続き第二射の準備に入ります』

『これより支援砲撃を開始するわ。砲撃地点を知らせて頂戴』

 

海上にて待機していた鉄血戦艦『ビスマルク』らの砲撃が、グランゴンへと降り注ぐ。

予想だにしないKAN-SEN達の攻撃にグランゴンの動きが完全に止まった。

 

「ジェアッ!」

 

それを好機と見たか。ジェイドは立ち上がると同時に走り出すとグランゴンの脳天に強力な手刀、ウルトラチョップを叩き込んだ。

 

「ギュォン!?」

 

更に、呻くグランゴンの後ろに周り尻尾を捉えると、ジャイアントスウィングで投げ飛ばす。

大きく地響きを上げて地面を転がるグランゴン。しかしそこは流石の生命力で、まだ立ち上がろうとする。

 

「ジャッ!ジェアァァ……」

 

ジェイドは両腕をクロスさせて右腕のジェイドブレスに力を溜め、右腕を下方向から後ろに回し、体を開いて両腕を一直線に伸ばした後、両腕を十字に組み、必殺光線『オルガニウム光線』をグランゴン目掛けて放った。

 

「ギュエェーンッ!?」

 

光線を受けたグランゴンが断末魔の叫び声を上げた直後、その体は木っ端微塵に爆散した。

 

「やったー!怪獣を倒したー!」

 

艦隊全体が勝利の喜びに湧く。その中でクリーブランドはジェイドを見上げる。

 

「また助けられたな。ありがとう、ウルトラマン」

 

そう言って右手の親指を立ててジェイドに向ける。

伝わっているかどうかはわからない。だがそれでも彼女はせずにはいられなかった。

そして、少し遅れてジェイドも自身の右手の親指を立て、クリーブランドへと返した。

 

「っ!」

「―――ジェアッ!」

 

まさかの返しに驚く彼女から視線を空へと移したジェイドは、そのまま両手を広げて上空へと飛び去っていった。

 

「行ってしまったか」

「ああ。……って、そういえば指揮官は!?」

 

危機が去ったことで、今になって指揮官がどこに行ったか慌てて探すクリーブランド達。

しかしそこに、遠くから手を振りながら駆け寄ってくる人影が。

 

「おーい!みんな無事かー!」

「し、指揮官!?」

 

クリーブランド達も急いで指揮官へと駆け寄る。

 

「指揮官!!今までどこに行ってたんだ!?」

「あの怪獣の火炎弾に巻き込まれかけたところを、ジェイドに助けられてさ。いやー危なかった」

 

呑気にそう言った指揮官の様子に、心配していたのが馬鹿らしいといった感じで全員がため息を吐く。

 

「まあ、無事で良かったけどさ。ちゃんとベルファストに謝っておきなよ。手遅れだろうけど」

「うっ!?ク、クリーブランド、何とか出来ないか?」

「無理。諦めて怒られてきな」

「そんなー!?」

 

指揮官の叫び声が島に響く。そしてこの後、指揮官は想像通りベルファストにこってりと絞られたのだとか。

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