今回は短編のリハビリ連載になります。良ければ感想や評価をよろしくお願いします。
それでは早速、本編へどうぞ。
「──なんだ……ここは……」
目の前に広がるこの景色は、夜空か? 黒い空間に星のような光る物体が散りばめられている。
そして僕はその空間に浮いていた。
「まるで夢の中みたいだろう?」
声の主はアリスだ。僕の横で同じようにこの夜空に浮いている。
「アリス、ここは一体どこなんだ?」
「どこだっていいじゃないか。ここはただの通過点にすぎないんだから」
「通過点?」
「そう。私達が向かうべき場所はあそこさ」
アリスが指を指した先には一際輝く星があった。
とても明るく、なぜかとても懐かしい。
「あれは……一体どこに繋がってるの?」
「ここじゃないどこか。あそこで待ってるから」
「待ってる? 誰が?」
「……さぁ、誰だろう」
それはいつもの誤魔化しじゃない、アリスの本音のような気がした。
「とにかく、うん、とにかくだ。行けば分かるような気がする」
アリスの声に導かれ、僕と彼女は夜空を泳ぐ。まるで夢の中にいるようだ。
どんどん星に近づいていく。
眩しいのに、もっと近づきたい。
この世界から、この不自由な世界から、やっと僕は抜け出せる気がした。
先に行ったアリスに、やっと会える。
…………アリス?
「あ、思い出した」
「向こうに誰がいるのかを?」
「うん。早く行こう」
どこか焦っているようにも見えるアリスが、僕の前をスイスイ泳いでいく。
僕も何となく、あの光の向こうにいるのが誰なのかを察していた。
まだ、また、僕は何かを忘れている?
「待って、待ってよアリス!」
僕の身体はまるで夢の中で溺れているように、前へ進めなくなっていた。
どれだけ懸命に泳いでも、アリスには追いつけない。
気づけば僕の身体はまったく動かなくなっていた。
「ピーター!」
アリスが僕に手を伸ばす。
頭痛がする。あの頭痛だ。
それも今までより酷い。視界が赤くなるくらいに。
「……な、んだ……これ……」
幻覚が見える。
「ピーター!!」
意識までも暗闇へ落ちていきそうだ。
あと少しで、光へ手が届くのに……
『アリス! 先に行け!!』
『ピーター!!』
『僕の事はいい! 君だけでも、この世界の真実を見るんだ!!』
『必ず……助けに来るから……!!』
「…………あ、りす?」
あぁ、そういうことか。
光の先にいるのは──
なら、僕じゃダメだな。
どうやら僕は、そこには行けないみたいだ。
「ピーター!!!」
アリスは自由だ。
この世界の誰よりも。
アリスは自由だ。
この世界を超えた誰よりも。
アリスは自由だ。
僕と違って。
アリスは──
「──あれ?」
アリスって……誰だっけ?
というよりまず、僕はこんな所で何をしてるんだっけ?