セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続き出来ました〜。


第104話

それは、セセリアが探し物のついでに机の整理をしていた時のこと。

セセリアは指先に何やら小さな箱のようなものがコツンと当たったことに気がつく。

 

「ん〜?コレなんだろ?」

 

彼女が引き出しを覗き込み、取り出してみると、それはいつかドゥラメンテから渡されたイヤリングだった。

 

「あっコレ…」

 

それは小粒のルビーがひとつはめられているシンプルな作りで、かつ気品を感じさせる造形だ。思い返せば(今となってはセセリアからの思い出補正や贔屓目もあるのだろうが…)ドゥラメンテにとてもよく似合っていた。

 

確かコレを仕舞うようになったのは、ドゥラメンテと付き合うようになるより前。

 

彼のことが気になって来た頃に、何となく手放しがたくなってそっとこの引き出しに仕舞い込んだのだ。

 

…まぁ、今となってはその本人が基本的に一番近くにいるためか、こうして後生大事に仕舞われていたわけだが。

 

それで忘れていたのはそれだけ普段浮かれているのか、或いは…彼との繋がりであるコレを手放したくなくなってしまい、記憶の彼方へと無意識に追いやってしまったのか。

 

「どうしよっかなぁ〜…コレ…」

 

そこまで言って、はたと気がつく。

他ならぬドゥラメンテ本人から渡されたモノである以上、コレはほぼ間違い無く貰い物…のはずだ。

 

当のドゥラメンテからも特に返すように言われてはいないし、何より今思い返せばコレは彼からの一番最初の贈り物だ。

 

セセリアからすれば、正直言って手放すにはかなり惜しい。

一度もらったものだから返さないなどというケチくさい理由では無く、ひとえにその事実があるが故に。

 

乙女心と良心の呵責に悩むセセリア。

 

そんな時だった。

 

コンコン……。

 

「はぅっ!!」

 

唐突なノックに、セセリアは思わずヘンな声を出してしまう。

 

「セセリア〜!!実は相談したいことがあるのだが…む?」

「あ…ドゥラメンテ、その…コレは…」

 

 

何かやましい気持ちがあるでも無いのに、唐突な当人の登場に動揺するセセリア。

ドゥラメンテは、不思議そうな顔でセセリアが手にしたそれを見遣る。

 

「おお!!セセリア!!それを大事にしてくれているのかッ!!オレはとても嬉しいぞ〜!!」

「ひぅっ!?ちょ…ちょっと!?」

 

思わず抱きすくめられたセセリアは、何が何やらと言った表情だ。

そんなセセリアに、ドゥラメンテは微笑むと説明を始める。

 

「実はな…火星には仲良くなりたい相手に装飾品を贈る風習があってだな…同性でも異性でも、なんと言うかこう…ビビッときた相手に渡すのだ。以前はそのために身につけていたのだがな。オレ個人としては贈り物で相手の気を引く行為はあまり好きではなくてだなぁ…」

 

単にそう言う文化と言うだけのことだが、それはそれとしてモノで釣るような行為は好まない。

マルシャンらしさと、ドゥラメンテらしさの双方が入り混じる発言に、セセリアは納得した様子だ。

 

「へぇ〜…それって、アタシ以外の女子とかにも渡したりしてたりとか〜…?」

 

そんな恋人からの発言に、露骨に不機嫌になるセセリア。

 

しかし…。

 

「いや、誰彼構わず渡していいと言うわけでも無いな。むしろ異性に渡す場合はある種の願掛けというかなんと言うか…」

「なぁ〜んだ。そうだったんだぁ〜」

 

ドゥラメンテからの弁明を聞いたセセリアは、目に見えて機嫌が良くなる。

 

しかし…そうと分かったセセリアは、ふと手にしたイヤリングに目を落とすと不意に罪悪感からか白状する。

 

「その…実は付き合う前、コレ返そうと思ったんだけど〜…でもコレを返しちゃったら、ドゥラメンテとそれまでになっちゃいそうで…あ、もちろん今はそんなことは全然無いんだけどね〜?」

「ふむ…そうだったのか…」

「でもドゥラメンテからの最初のプレゼントだし〜…悩んでるうちにドゥラメンテから告白されて付き合うことになって〜…そのせいってわけじゃないけどついさっきまで忘れ…」

「せ…セセリア〜!!嬉しいぞ〜!!」

 

ドゥラメンテは感極まったのか、格好をつけるのも忘れてぎゅっとセセリアを抱きしめる力が強くなる。

 

「ん…も〜、そんなに強く抱きしめなくってもアタシは逃げないってば〜」

 

そう言うセセリアは困ったような表情をするが、満更でも無さそうだ。

 

三十分ほどそうした後、解放されたセセリアはベッドに腰掛けながら思い出したようにドゥラメンテに問いかける。

 

「それで〜?アタシに相談したいことって〜?」

 

ドゥラメンテもそうだったと言わんばかりに咳払いをひとつすると、いつもの調子で話し始める。

 

「フッ…実を言うとだな…」

「うんうん」

「その…深い意味はないのだが…」

「なによ〜?今更遠慮するようなことなんて無いんじゃないの〜?」

 

セセリアはそう言いながら脚をバタつかせる。

 

「む?そうか。では…指輪のサイズを教えて欲しい」

「……へ?」

 

瞬間。部屋は沈黙が支配した。

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