セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
ここはアスティカシア学園、その中でも特に人が寄りつく用事も無い場所。
なお、セセリアは所用でいない。
ドゥラメンテはミオリネ・レンブランの温室前の階段に腰掛け、ふと思いついたように質問を投げかける。
「ところでミオリネ嬢。コンパニオンプランツというものを知っているかな?」
ミオリネはその言葉に土をいじる手を止め、少しばかり考える素振りを見せる。
「あ〜……確か、違う種類の作物なんかを一緒に育てると虫除けになったり、生育の助けになるとかいうやつ?でもアスティカシアではそこまで意味ないんじゃない?」
トマトのコンパニオンプランツで有名なのは、バジルやにら、しそだったり……虫除け目的なら、にんにくやネギ類を使用する場合もあるとか。
とは言え、ミオリネも言ったようにアスティカシアは虫も野生動物も出ることはないので、獣害や虫除けといった対策も必要なく、土壌による病害も肥料である程度調節できる。
雑草の処理も地球での自然栽培と比べれば、まぁ楽な方だろう。
それならば、ミオリネのように一種類の作物を育てる方が却って効率的なのかもしれない。
尤も、ミオリネ以外に植物を育てたり、作物を作るなどと言うことをする生徒はほとんどいない。
そもそもミオリネがトマトを育てる理由は、趣味もそうだが、もっと個人的な感情が強い。
「フッ…確かに。だが、面白いことに花にもコンパニオンプランツが存在していてな。薔薇でいうならボリジにチャイブ、それからルウあたりが有名どころだろうな」
特にルウなどは虫除けにもなるし、乾燥させれば香りも良くなるのでドライフラワーに合わせても綺麗だろう。
服と共に吊るしておけば、防虫剤にもなる。
ドゥラメンテとしても勉強になったものだ。
「そう言う割には…アンタの薔薇園にはそのコンパニオンプランツが無いじゃない」
ひととおり作業を終えたミオリネは、音質の外で座っていたドゥラメンテの隣に少し間を開けて腰掛ける。
「フッ…確かにな。かく言うオレも、コンパニオンプランツというのはここに来て、知識として知った程度の話だが」
「何よそれ……話題に困ってるんなら、わざわざ来なくてもいいんだけど?」
トゲトゲしたような言葉だが、それがミオリネなりの気遣いなのは同好の士であるドゥラメンテにも短い付き合いながらわかる。
そういう不器用な所もまた、ミオリネらしさだろう。
ドゥラメンテは友人に声をかける。
「しかしそういうことは植物に限った話では無いだろう?」
「はあ?何よ突然」
タオルを受け取りつつ、質問をするミオリネ。
「この学園にもいろいろな生徒がいる。オレ達含め十人十色。同じ人間は一人としていない。その中に……或いはこれからやってくるだろう後輩たちの中にきっと、君にとってのコンパニオンプランツとも言える人が現れるだろうさ」
「ふぅ〜ん…何を言い出すかと思えば……アタシ、そんなに友達いないように見えるってわけ?」
ミオリネからジト目で見られ、ドゥラメンテは苦笑する。
「いや、別に無理をして視野を広げろ……などと言うつもりはない。オレも無理強いや押し付けは正直するのもされるのも好きではないし、説教くさいのが嫌なのもそうさ。ただ……」
その続きを言おうとしたドゥラメンテに、ミオリネが待ったをかける。
「ハァ…分かってる。アンタがアタシのこと気にかけてくれてるのは」
手にしたタオルを見つめつつ、そうこぼす。
「ここで話す時、グエルのことを極力話題に出してないのもそうなんでしょ?アンタの大事な恋人をここにあまり連れて来ないのも、ヤキモチ妬いたセセリアがアイツのことを引き合いに出しかねないから……違う?」
「フッ…本当に聡いな。ミオリネ嬢は」
参ったと言わんばかりに髪をかきあげるドゥラメンテ。
「ったく…アタシを誤魔化そうなんて百年早いってのよ。そうじゃなくてもアンタわかりやすいんだから」
「む?そうか?」
「無自覚…ま、そりゃそうか」
「だが…後者に関しては訂正して頂きたい」
そう言うなり、ドゥラメンテはミオリネを見据える。
「オレの恋人であるセセリア・ドートは、貴女に引けを取らないくらいには聡いし、利口な女性だ。ミオリネ嬢の懸念するようなことを吹聴するような事はまずないだろう」
「決めつけはよくないんじゃなかった?」
揚げ足を取るような物言いに、しかしドゥラメンテは真っ直ぐに答える。
「いや、これは決めつけではなく他ならぬオレ自身の経験からくる確信だからな。何よりオレがセセリアを裏切り、悲しませるようなことは万に一つも、命をかけてでもありはしないとも」
かつての恋人の涙を思い出す。
あの時は相手が身内で誤解だったとは言え、悪いことをした。
それ故にミオリネの所へ行く際は、セセリアに前もって許しを得ている。
そして大抵むくれたフリをした彼女に振り回されるのだ。
「帰ってきたら最低でも一時間はハグだからね〜?」
などと、冗談めかして言えるようになったのも、ドゥラメンテへの信頼故だろう。
「ハァ…コレだからバカップルは…」
「ハッハッハ!!いや、惚気に付き合わせてしまってすまないッ!!」
「ホントよ…ったく…でも、ありがと」
そっぽを向いて数少ない友人に悪態をつくミオリネだったが、その表情はどこか穏やかなものだった。
最近ミオリネ嬢出して無かったなぁ〜と思い、書いてみた次第。
コン(ry)については、某丸猫漫画でそんなん見たなぁくらいの感覚なので、間違ってたら申し訳ないですはい。