セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
「フッ…と言うわけでだな、先日セセリアに服を見立ててもらったのだ」
「ほぉ〜ん…そりゃー良かったなー」
食堂でドゥラメンテからいつもの惚気を聞かされるエドモンドはもはや慣れ切った様子で食事をしている。
さして興味なさげな返事を返す割に話はきちんと聞いているあたり、彼の根の真面目さがわかろうというもの。
「というわけでこの服は記念に我が家の家宝として厳重に……」
「いや、それは着ろよ流石に。勿体ねーだろ」
あまりにテンションが鰻登りのドゥラメンテに、エドモンドは冷静かつ的確なツッコミを入れる。
「っつーかよ。デートで服くれー買ってただろ?そん時に意見とか聞かなかったのかよ?」
エドモンドはフォークでドゥラメンテを指し示しながら、呆れ気味に至極当然の質問を投げかける。
「うむ。それだが、買っていたのは主にセセリアのドレスやらネイル…それから香水などでな。オレは衣服は最近、マルシャン向けの通販で済ませていたのだが…いや、流石はセセリア。この服は正にオレの美しさを100%…いや!!1000%引き出してくれるに違いないだろうッ!!ああっ…自分の可能性が怖いッ…」
そう言うや、おもむろに立ち上がり、生き生きと演技がかった所作で前髪をかき上げるドゥラメンテ。
「ほーん…オメーはむしろ私服でオーダーメイドばっか着てそうだったから、その辺はちっと意外だな」
エドモンドはラーヌードルをすすりつつ、そんなことを言う。
まぁ、マーズマネーで潤っているマルシャンの跡取り息子である以上、そのイメージも間違ってはいないのだろうが。
「フッ…どんなモノでも値段が高ければ高いほどばいいと言う訳でも無いからな。オーダーメイドにはオーダーメイドの…そうでないものにはそうでないものの良さと言うものがある。それは例えるなら薔薇の花とコスモスの花、どちらにも違う美しさがあるのと同じことだ」
「ほーん。そういうもんかねぇ…オレはその辺テキトーだからよく分からんが」
「うむ。そう言うものだとも」
とは言え、別に通販が悪いというわけでは無い。
実物を手に取れないというデメリットこそあるが、それを差し引いてもいつでもどこでも注文できるという利便性が魅力なのは確かだし、一度商品を取り寄せてみて、それを気に入ったのなら、その通販を利用し続けるのも賢い手だろう。
現に、ドゥラメンテはそれで若干食傷気味になる程度には満足していた。
また、装飾品は自社製品を身につけられるし、それに合わせた服装ともなれば自ずと視野が限られてしまうのも仕方ない。
とは言え、最近は彼の祖父の活躍もあってか、マルシャン向けの衣服を置いている店はちらほら出てきてはいるものの、それでも基本はスペーシアン側の流行りやら伝統を取り入れている方が圧倒的に多いのも理由の一つだろうか。
「セセリアと色々な所へ行くようになって視野が広がったからだろうな。まったく…改めて恋…そして愛というものは摩訶不思議で魅力的なモノだ」
その後、セセリアとあったドゥラメンテだが…。
「ほらほらドゥラメンテ〜、もっと近づいて〜〜♪可愛い彼女をちゃあんとかまいなさいよ〜♪」
「む、セセリア?今日はやけに上機嫌だな…」
ブリオン寮の談話室で、当たり前のように同じソファで隣同士に座り隣で鼻歌まじりに腕を組むセセリアに、ドゥラメンテは嬉しそうな恋人の様子に思わず笑顔を浮かべる。
「セセリア、今日も決闘委員会の仕事お疲れ様だな」
労いの言葉をかけられると、セセリアはドゥラメンテの腕にしていた
「ん〜…べっつに〜?むしろこのくらいできないと、今後色々と大変そうだし〜?」
色々…やけに含みのある言い方であるが、ドゥラメンテはそれに気づいてか、或いは気づいていないのか、セセリアへと質問を投げかける。
「む…そういうものか?」
「そういうものなの〜」
現在談話室はドゥラメンテとセセリアの二人っきり。
いつかのように、セセリアの友人たちが気を回してそうなれるようにしてくれているためか、セセリアは恋人であるドゥラメンテに、いつも以上に遠慮無く甘える。
「これからも服とか〜…その他もろもろ、見てあげるからね〜?」
「フッそれならば…改めて末永くよろしく頼むッ!!」
そんなことを言いつつ格好をつけるドゥラメンテに、セセリアはクスリといたずらに笑う。
「は〜いはい。言われなくたって離れてやんないんだからね〜?」
そう言うバカップルの同じ手、同じ指には揃いの指輪が光っていたのだった。
いっつもいちゃついてんなこの二人。