セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続き出来ましたです〜。


第113話

その日、ドゥラメンテ・シックールはとある用事から地球寮へと向かっていた。

 

大型のコンテナを再利用した地球寮の入り口が見えると、たまたまそこにいた一人の顔見知りである黒髪で褐色肌の女子生徒に話しかけられる。

 

「おぉ、ドゥラメンテじゃないか」

 

彼女の名はアリヤ・マフヴァーシュ。

メカニック科三年生の生徒であり、地球寮にいることからアーシアンであると分かる。

また、彼女はよく当たると評判の占い師でもある。

 

彼女は地球寮にいる家畜達の世話をしていたのか、色々と入ったバケツを手にしている。

 

「アリヤ嬢。久方ぶりだな」

「ああ、噂は聞いてるよ。相変わらず恋人とは順調か?」

「フッ…ああ、お陰様でな」

 

二人の間に穏やかな空気が流れる。

ニカ伝いに知り合い、時たま話すくらいにはドゥラメンテと地球寮生との仲は良好だ。

 

「しかし意外だな。自慢の彼女は連れて来てないとは。予定が合わなかったのか?」

「いや、チュアチュリー嬢がだな…」

 

言いにくそうにそう言うドゥラメンテに、アリヤは申し訳なさそうに柳眉を垂れる。

 

「ああ…確かに、チュチュのスペーシアン嫌いには困ったものだなぁ」

 

アリヤは眉間に皺を寄せて「はぁ〜…」とため息をひとつつく。

 

チュアチュリー・パンランチ。

 

彼女はドゥラメンテの友人であるニカ・ナナウラに懐いていて、ポンポン頭がチャームポイントのパイロット科の一年生であり、小柄な体躯とは裏腹にスペーシアンへの敵愾心の塊と言っていいくらいに頑固で攻撃的な女子生徒だ。

 

まぁそれも、スペーシアンからアーシアンへの長年の差別意識への反骨心と思えばむしろ当然。

 

強い仲間意識の裏返しと思えば、マルシャンであるドゥラメンテからすればむしろ好感さえ持てる。

 

逆にニカやアリヤが歳の割にできた人物過ぎると言うのも大きいだろう。

まぁそんなアーシアンとは言え、アスティカシアに通うエリートである以上、成績面や人格面で上澄みなのは間違い無いのだが。

 

「先日ちょうど良い手土産が出来上がってな。使用感などの感想も聞きたく思い来たのだが…ニカ嬢はおられるか?」

 

そう言うなり、手にした袋を見せる。

 

「ああ。ニカならたぶんチュチュのデミトレーナーの整備してる頃じゃないか?なんなら一緒に来るか?」

「む…そうか。では案内を頼めるかな?」

 

ドゥラメンテとニカ・ナナウラとは、依然変わらずそれなりの友人付き合いがある。

 

セセリアと付き合うようになってからも特段やましいことも無いので、セセリア同行のうえで会ったことも少なくない。

 

…尤も、その度にセセリアがドゥラメンテに絡みつくのはもはや恒例となっているが。

 

「しかし…今更ながら申し訳ない。忙しかったかな?」

「いや、そんなことはないが…」

「あ〜っ!!」

 

アリヤがバケツを片付け終えてドゥラメンテと地球寮内を歩いていると、可愛らしい声が前方から聞こえてくる。

 

「ドゥラメンテ先輩っ!!お久しぶりです〜!!」

「む…リリッケ嬢、久しいなッ!!」

 

ニコニコと笑顔で駆け寄ってくる彼女は、経営戦略科一年生のリリッケ・カドカ・リパティ。

 

愛嬌のある笑顔と、おおらかで人あたりも良く裏表の無い性格から男子生徒からかなりモテるという。

 

「さぁさぁ!!セセリア先輩との恋バナの続きを是非是非…」

 

興味津々と言った様子でキラキラと目を輝かせるリリッケに、アリヤは困ったような笑顔を浮かべる。

 

「リリッケ…ドゥラメンテは今回ニカに用があるらしいから、話をするなら後にしてくれ」

「あっ…す、すみません。わたしったら〜…」

 

シュンとした様子で、素直に頭を下げるリリッケをドゥラメンテは手で制する。

 

「いや、それだけオレとセセリアの仲を祝福してくれているということだ。それを嬉しく思うことこそあれ、不快に思うなどそれこそ無いさ」

 

そんなこんな、雑談を挟みつつハンガーにたどり着いた三名はニカを探す。

 

「んお?ドゥラメンテじゃん」

「おお、オジェロ殿」

 

デミトレーナーの陰から出て来たのはオジェロ・ギャベル。メカニック科二年であり、ギャンブル好きで知られる。

どうやらニカと同様、チュチュの機体の整備中だったようだ。

 

「オメーこないだま〜た決闘勝ったろ〜!!儲けさせてもらったぜ〜?」

 

オジェロはドゥラメンテに歩み寄ると、上機嫌な様子でバンバンと肩を叩く。

 

「フッ…よく分からんが、オレが役に立てたのなら何より。ところでニカ嬢は…」

「あ〜…なんか、昨日作業に熱中しすぎて入りそびれたから一旦シャワー浴びて来るってよ。しばらくすれば戻ってくると思うぜ?」

「む…それはタイミングが悪かったな…すまない」

「いや、アリヤ嬢は悪くないだろう」

 

そんなことを話していると……。

 

「あれ?ドゥラメンテ来てたの?」

「おお、ニカ嬢。お邪魔している」

 

シャワー上がりなのだろう、シャツとズボンというかなりラフな姿のニカが入り口に立っていた。

 

「それで、ドゥラメンテは何か用でもあった?」

「うむ。実を言うとだな、薔薇を用いた石鹸を作ってみたのだが…」

 

ドゥラメンテはそう言うなり、袋から小洒落た正方形の木箱を取り出すと、それをパカリと開ける。

 

「名付けて魅惑の泡立ち、レッドローズ!!我ながらなかなかの自信作でな。我が友エドモンドからは『どこ目指してんだよオメー』と言われるほどの傑作だ!!」

「わぁ。すっごくいい香り…それじゃあ今度使わせてもらうね?」

「あ。わたしも使っていいですか〜?」

 

リリッケも挙手しつつ、そんなことを訊ねる。

 

「フッ…案ずるな。きちんと地球寮生の人数分は入っている」

「流石だな。後でヌーノやティルにも渡してこよう」

「ああ。ぜひ感想を聞かせて欲しい」

 

そうして、用件を済ませたドゥラメンテに、そう言えばと声をかけるリリッケ。

 

「あっ、それじゃあ恋バナしてもらえますよね?もちろん時間があればですけど…」

「フッ…それは無論構わないが…」

 

そんなこんなで一同がワイワイと話しているところに、先ほど起きたのか一人の女子生徒があくびをしながらドックに入ってくる。

 

「客来てんのか〜って…ンだ。火星ヤローかよ」

 

チュチュは胡散臭いものを見るように目を細める。

 

「チュチュ〜、ドゥラメンテはお土産持って来てくれたんだよ〜?」

「別にニカねぇに文句はねぇし。こいつのノロケがはじまると日が暮れんだよ」

「ハッハッハ!!案ずるなチュアチュリー嬢。きちんとかいつまんで要点を伝えるさ」

「ほぉ〜ん?で、どんくらいかかるんだよ?」

 

そう言うなり、チュチュはドゥラメンテを睨む。

 

「フッ…ざっと五時間と言ったところ…」

「わぁ楽しみです〜♪」

 

リリッケが呑気にそんなことを言うが…。

 

「長ぇ、帰れ」

 

チュチュの返答は…とてもすげないものなのだった。

 




いつか書きたかった地球寮との絡み。

ニカ嬢も再登場です〜。
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