セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続き出来ましたです〜。


第117話

とある休日。

リゾートプラントにある喫茶店にて、ドゥラメンテとセセリアは談笑していた。

 

「フフッ…楽しみね〜」

 

少々小洒落た格好をしたセセリアは、腕を絡めた隣のドゥラメンテを見てニコニコと笑う。

 

「ああ。しかしいいのか?セセリアが親御さんがもらったものなのだろう?」

「いいっていいって〜…ど〜せアイツは忙しい忙しいって言ってど〜せ腐らせちゃうだけだろうし〜?」

 

今日は二人のデートの日。

ブリオン社がスポンサーになった映画がこの度公開されることと相成り、セセリアの父が監督からそのペアチケットをもらったらしいのだが、生憎と仕事で忙しく、しばらくの間は行ける機会もないために代わりにと娘のセセリアの生徒手帳に送られて来たのだと言う。

 

自身と恋人とのことに首を突っ込まれている気がして最初は少しばかりシャクな顔をしていたセセリアだったが、無邪気に笑うドゥラメンテを思い浮かべるや、映画デートと洒落込もうかと、わざわざプラントまで出向き、ポップコーンを買い、映画館の個室部屋を借りてまで一緒に見たわけだが…。

 

「ふむぅ…まさかあのような展開になるとは…」

 

映画を見終えてカフェに立ち寄った二人は感想会と洒落込んでいた。

ドゥラメンテが気を回して周囲へのネタバレ防止のため個室になっている店である。

 

「ヒロインのトモエが愛するヨシナカを守るため血塗られた憎しみの過去を語った後モビルスーツに乗り込み、敵部隊を壊滅させたうえ、エース級パイロットである黒幕と一騎打ちを演じた末に愛の力で相打ちになるとは…このドゥラメンテ・シックールの目を持ってしても想像もつかなかった…」

 

頼んだアイスコーヒーやケーキに口もつけず、なにやら映画の内容を噛み締めているような様子のドゥラメンテ。

そんな彼をニコニコと正面の席で見つめているセセリア。

 

「ま〜、確かに途中までは完全にコメディのノリだったのが最後二十分の辺りで急にぶっ込んで来たよね〜…」

 

今作は新世代のSFロマンスという触れ込みで公表されている予算も決して安くは無かったものの、複雑にすれば面白いだろうと言わんばかりの行き当たりばったりでカオス過ぎる脚本といい、やけに出番があった割に特に作中で最後まで過去に触れられなかった謎の仮面をつけた敵が味方かイマイチ判然としなかった人物といい、明らかに続きモノ感のあるエンディングといい…。

 

なまじ俳優達の演技が上手かっただけに途中で寝る事もなく最後まで見られてしまうなど、色々と評価の難しい怪作と言える。

 

よく言えば考察の余地や次回作への期待度を高める要素のある作品。

 

悪く言えばとっ散らかったシナリオを有名俳優のネームバリューと演技力で誤魔化しているだけの凡作とも言えるだろう。

 

また、今作は一部でカルト的人気を誇るらしい監督の制作である当作は話題性から少なからず期待してもいたわけだが…。

 

少なくともセセリアには刺さらなかったようだ。

 

「むぅ…しかし、ああ言った形の愛もあるのか…やはりなんであれ、恐れず触れてみるのは大切だな。勉強になる」

 

何からでも学ぼうとする柔軟な姿勢は良いが…それはそれとして構ってもらえなくなるのは気に入らない。

 

そんな一方で、真剣な表情でそんな事を言うドゥラメンテに、セセリアは思わずニヤけてしまいそうになる。

 

「いや〜…でもどうなんだろうね〜?ドゥラメンテはああいうヒロインみたいな子が好き〜?」

「いや?オレはセセリア以上の女性は見たこともないが…」

 

からかうようなセセリアに、ドゥラメンテは即答する。

 

「も〜…別にそこまで言えとは言ってないでしょ〜…」

「だが、大事なことだろう?何度でも言うが…オレが愛するのは後にも先にもセセリアだけだ」

「〜〜ッッ!!」

 

というか…これ以上攻撃力を上げられたら、セセリアの身が持たないのではなかろうか。

 

とは言え…今回のデートは自分から誘った手前、その映画の話題を途切れさせるのも忍びない。

 

これがどうでも良いような相手の話であるならば、爪や生徒手帳でもいじりつつ適当に聞き流せば良いが、相手が恋人であるならば話は別だ。

 

それならば…せめて好きな姿勢で聞かせて欲しいと思うのはセセリアにとって最大の譲歩だ。

 

セセリアはそれとなく立ち上がると、ドゥラメンテの隣に移動し腰掛ける。

 

「ん〜…やっぱりここが落ち着く〜」

「む…セセリア、疲れたのか?もしそうならば申し訳ないッ…」

 

ワタワタと、慌てふためく様子のドゥラメンテに、こう言うところは変わらないなと、セセリアはクスリと笑う。

 

「ん〜ん?アタシがこうしたかったってだけ〜…イヤだった?」

「フッ…そんな訳はないさ。それでセセリアはどんな場面が印象的だったかな?」

 

分かりきった返答であったが、セセリアは満足げに頷く。

 

それに…。

 

「アタシは〜…」

 

ドゥラメンテの優しい声色を独占できる喜びはいつにも増してひとしおなのだった。

 

一方…ブリオン社では…。

 

「娘が反抗期で辛い…映画のチケット喜んでもらえただろうか?あの監督、大ファンだから…いやしかし…」

「くすくす…もう、あなたったら…相変わらず不器用なんですから…」

 

頭を抱えるセセリアの父と、それをたしなめる母の姿が見受けられたとか。




最近デート回多い希ガス…。

まぁいいか!!
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