セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
久々のif本編ですはい。
その日…第3戦術試験区画にて、生徒同士による決闘が行われていた。
まぁそれ自体は別に珍しいことではない。
ことアスティカシアに於いてはあらゆる理由、あらゆる条件で決闘は行われるものだ。
珍しいのは…決闘を行っている人間と、その人数差だ。
方や決闘委員会のひとりでペイル寮所属、通称『氷の君』ことエラン・ケレス。
方やダイゴウ寮生三名。
砂漠地帯という比較的開けたフィールドで、それも三対一という不利な条件でも、エランは顔色ひとつ変えずに操縦桿を動かし、ダイゴウ寮生たちの攻撃を華麗にいなし、かわし、そして痺れを切らした生徒から摘み取るように淡々と丁寧に、無駄を省いたような洗練された動きで一機また一機と落としていく。
もはやこうなっては勝敗は決まったも同然。
この後注目されることは残された一機がどのくらい保つかくらいだろう。
シャディクがエランが決闘を受けるなんて珍しいと言う程度に、彼は普段は決闘に乗り気では無いようだが…何か彼の心情に変化があったのか、それとも単に気まぐれか…今回の決闘を引き受けたのだ。
その様子を決闘委員会のラウンジのモニターから見ている複数の人物がいた。
「ふむ…オレは彼の決闘はあまり見る機会がないが…過去の決闘記録を見ても、やはりエラン殿は素晴らしいパイロットだな」
ドゥラメンテは興味津々に、そして純粋な賞賛も込めてそう言う。
「まあアイツも決闘委員会の一員だしね?なんなら今度はドゥラメンテが挑んでみるかい?」
立った状態で生徒手帳でエランの過去の決闘結果を見ていたドゥラメンテに歩み寄ると、シャディクは冗談めかしてそんなことを尋ねてみる。
今現在見せつけられているエランの強さは決闘委員会の名は伊達ではないと言うことの証左だろう。
ましてや御三家のパイロットともなれば相応の腕前があって当然なのだろうが…。
「フッ…いや、オレはやめておこう。オレは決闘そのものが目的ではないし、何よりセセリアとの時間が減ってしまうのでな」
そう言うなりドゥラメンテは指し示されたセセリアの隣に腰掛け、そのまま食い入るように今度は現在行われている決闘の映像を見続けている。
少しでも学び取ろうとしているのか、単純に物珍しさからなのか、それは彼本人にしかわからない。
「あはは。まぁ、そうだろうな…」
そんなドゥラメンテを目で追って、見下ろす形になったところで分かりきった答えを聞き、シャディクは相変わらずと言いたげに苦笑を浮かべている。
「も〜…ドゥラメンテったら…」
セセリアもまた隣に座るドゥラメンテに、ちらと視線を向ける。
そこに込められているのは情愛か嫉妬か…あるいはその両方か。
ともあれ、今は決闘委員会の仕事の最中。
甘えるのも文句を言うのも後でいい。
そう判断したセセリアは、ドゥラメンテに寄り添って決闘の終わりを見届けていた。
そして、時は流れ次の休日。
待ち合わせ場所へ向かう途中、ドゥラメンテは何やら愉快そうにしているシャディクと鉢合わせる。
「おや?シャディク殿、何かいいことでも?」
「ああドゥラメンテ。実はね…」
ドゥラメンテに話しかけられたシャディクはイタズラっぽく笑い、片手を口に当ててこそっ…と話す。
「エラン、これから水星ちゃんとデートなんだってさ。さっき本人が言ってたよ」
「む…?それはまた…」
「へぇ〜…」
珍しい…と続けるはずだったドゥラメンテは、隣から聞こえる愛しい者の声に振り向く。
セセリアは面白いことを聞いたと言わんばかりに笑みを浮かべる。
それと言うのも、エラン・ケレスという生徒は人間嫌いなのか、単純に他人に興味が無いのか…誰かと必要以上に関わり合いになろうとしない。
そんなエランが現ホルダーであるスレッタ・マーキュリーとデート?
しかも更に聞くところでは彼女の花嫁、ミオリネとの揉め事まであったそうな。
「これも人伝に聞いたんだけど、ロミジュリったら許さないってさ…フフフ…」
クスクスと可笑しそうに笑うシャディクに、ドゥラメンテもまた笑みを浮かべる。
「よく見ているのだな。ミオリネ嬢のことを」
「うん?ああ、一応昔馴染みだからね…相変わらずだなぁってさ…良ければ食堂でもう少し話していこうか?」
「フッ…セセリアもご一緒しても?」
流れるようにセセリアの腰に手を回しつつ、そんなことを言うドゥラメンテ。
そんな唐突な行動に「もう…」とこぼすセセリアは、満更でも無さそうだ。
「もちろんいいとも」
その後、ドゥラメンテとセセリアはその日ずっとシャディクの昔話に付き合ったと言う。
そして…ドゥラメンテは埋め合わせと言う名目で、その次の休日にはセセリアに振り回されたそうな…。
今回はあまりいちゃつきませんでしたねー