セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
今現在、ドゥラメンテは自寮の談話室で友人であるエドモンドと会話していた。
「それでー?そのまま帰って来たってわけかよ?」
頬杖をつきつつ、ジト目を向けるエドモンド。
「うむ。そうなるな」
ドゥラメンテはそんなエドモンドに一つ頷く。
話題はつい先日会った謎の占い師についての相談だ。
何か知っていればと思ってのことではあったものの、やはりエドモンドもまた占いには疎いらしく、逆に色々と詳しそうな女子陣に聞いても知らないとのことだった。
「しっかし…目の前でいちゃつくバカップルの片割れになぁんでハーレムがどうこう言うかねぇ…」
エドモンドは背もたれに寄りかかり、腕組みをしつつ呆れながらこぼす。
まぁ確かに、ハーレムはある種男の夢ではあるだろうが…マルシャンであるドゥラメンテ相手にそれは悪手だろう。
とは言え、あちらもそれは知らなかったかようなので仕方ないと言えば仕方ないが。
或いは…知ったうえでやっていたのか。
そうだとしたら何か目的があってのことなのか…。
考えても詮無いことではあるが…。
「フッ…確かにオレの美しさはオレ自身自認するところではあるが…まぁ、過ぎたことを考えすぎても仕方あるまい。交換用のプレゼントも買えてオレとしては満足だったし何より…愛らしいセセリアの姿を見られた」
「ったく…お人好しが…」
ハァとひとつため息をつくと、エドモンドはいつものことかと首を横に振る。
そんな時…。
「こんばんは〜。ドゥラメンテいる〜?」
廊下の方から声が聞こえて来た。
生徒の対応が終わると、こちらに向かって来るのが分かる。
足音からして軽く走っているようだ。
「おう、オメーのお姫様が来たぜ?」
「うむ!!では出迎えるとしようか!!」
エドモンドは揶揄うような物言いにドゥラメンテは特に気にした風でも無く、むしろ嬉しそうに立ち上がると、そのままセセリアを出迎えるため扉を開ける。
「ドゥラメンテ〜♪」
「セセリア…おっと、どうしかしたのか?」
ドゥラメンテの顔を見るなり、彼の胸に飛び込むセセリア。
「え〜?別に恋人同士ならこのくらいフツーでしょ〜?」
セセリアは制服越しにドゥラメンテの体温まで感じるくらいにぎゅうと抱きしめる。
いつになく甘えたがりなセセリアの姿に、ドゥラメンテは何も言わず優しく抱き返す。
「ん…すき…」
「オレもだよ。愛するセセリア…」
「あーはいはい。いちゃつくんならヨソでやれ。な?」
「う…申し訳ない…」
「ごめんね〜?」
そのまま二人は軽く謝罪して談話室を後にして薔薇園へと赴く。
つい先日は冬を真似たプラントに行ったと言うのに、此処は相も変わらず華やかだが…二人にとってはそれがとても心地よい。
そしてドゥラメンテはいつもの東屋では無く、セセリアを案内したのはそれより少し異なる場所だった。
「へぇ〜…綺麗ね〜…」
「うむ。実は以前から改良を重ねていて…なんとか間に合って良かった」
二人の眼前には星空の映像と、雪のように純白の薔薇の園。
街のオーナメントのようなわざとらしい明るさは無く、むしろ落ち着ける空間といった趣だ。
春夏秋冬の冬をイメージして作られた円形の花壇のその中心にはこぢんまりとしたテーブルが一つと椅子が二脚。
そのテーブルの上にはちょっとしたティーセットが用意されている。
近場にハロがいるので、きっと彼(?)が運んできたのだろう。
そこに腰掛けた二人はそのまま景色を堪能しつつ、二人きりの会話を楽しみ…そして数刻が過ぎた頃…ドゥラメンテが本題を切り出す。
「ところで…クリスマスプレゼントなのだが…」
「フフッ…楽しみね〜?」
ころころと笑うセセリアが期待を込めてそう言う。
その姿を見てか、意を決したようにドゥラメンテは制服のポケットから小さな箱を取り出すとおもむろに立ち上がり、セセリアの前に跪く。
「えっ?もしかして…」
「ああ…いつまでも母の指輪ではと思い…密かに作っておいたのだ」
とっておきの悪戯が決まった時のようにドゥラメンテはキザったらしくウインクをする。
未だ驚きを隠せないセセリアが開かれた箱を見ると、そこには美しい指輪がひとつ。
「セセリア、改めて言わせてもらおう。アスティカシアを卒業したら…いつでもいい。オレと結婚してもらえるかな?」
「もちろん、いいけど〜?」
思いの外淡白な反応に、一瞬キョトンとするドゥラメンテだったが、何かを察したかのようにああ!!と声をあげる。
「もしや…照れているのか?」
「…そんなずるいこと、聞かないでもらえる〜?」
図星を突かれたからか、セセリアは拗ねたようにプイとそっぽを向く。
が、耳の赤さが隠しきれない真実を伝えて来る。
「ハッハッハ!!それは申し訳ないッ!!」
ドゥラメンテは笑うが、指輪は引っ込めない。
「本当は卒業と同時に渡したかったのだが…我慢ができなかったのだ」
そんなドゥラメンテにセセリアはクスクスと笑う。
しかしそれは嘲笑では無く…。
「も〜…そんなにアタシと一緒になりたかったの〜?」
「ああ!!無論だともッ!!」
からかい気味なセセリアの手を握り、ドゥラメンテは答える。
「即答とか〜…フフッありがとね〜?」
セセリアは穏やかに笑う。
「実はアタシもプレゼント用意してて〜…」
二人の神秘的で静かなクリスマスの夜は、まだことはなかった。
思いついたので書いてみました…。
蛇足かもですが、前回のおまけ程度に思っていただければ…。