セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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あけましておめでとうございます。
今回はドゥラメンテの実家に向かうお話の前編です。




第127話

それはある日のこと。

 

「え?ドゥラメンテの実家に?」

「ああ、祖父がセセリアに是非直接会ってみたいと言っていてな…勿論無理にとは言わないが…」

 

ドゥラメンテは長期休暇の度に実家に帰っていたものの、未だにセセリアを連れて帰ったことはなかった。

そんな彼からの誘いにセセリアは…。

 

「もちろん行くに決まってるでしょ〜?」

 

やはりと言うべき二つ返事かつ食い気味な即答に、ドゥラメンテは一瞬驚くが…次の瞬間には嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

「そうか。それは嬉しいなッ!!オレとしても恋人を家族に直接紹介するのは楽しみだったッ!!」

 

そうして留守の間のことをエドモンドやブリオン寮生達に任せて身支度を済ませて数日後、用意された船に二人が乗ってやって来たのは火星プラント。

 

「さあセセリア。手を…」

「フフッ、ありがとね〜?」

 

かつて砂や岩、荒野ばかりであった火星は今、一大産業のマーズメタルビジネスの成功により、ベネリットグループ内でも有数の巨大プラントと言っても差し支えない程に発展していた。

 

ドゥラメンテとセセリアを乗せた船がドックに着くや、シックール財閥の関係者と思しきスーツの人物が数名歩み寄り、セセリアと共に出て来たドゥラメンテに傅く。

 

「おかえりなさいませ。ドゥラメンテ坊ちゃん」

「ああ爺やただいま。皆も楽にしてくれて構わないぞ?」

 

集団の中心人物らしき初老の男にそう声をかけるドゥラメンテ。

 

「いえいえ、流石にお客人の前でそう言うわけには…」

「先日お孫さんを抱き上げて腰をやったと聞くが…大丈夫か?」

「なぁに、このくらいなんてこと無いですわい」

 

ほっほっほと笑うこの爺やはドゥラメンテとかなり気安い関係のようで、セセリアは少し不機嫌になりそうになったが…。

 

「もしや、そちらが坊ちゃんの…」

 

爺やがセセリアに目を向けるとドゥラメンテは嬉しそうにセセリアの肩をそっと抱き寄せる。

すると、セセリアは自身が先ほどまで不機嫌になりかけていたとは思えないほど機嫌が回復していたことに気がつく。

 

「ああ!!実は先日のクリスマスに本格的に婚約したッ!!」

「も〜…そんなに嬉しそうに…」

「実際嬉しいからなッ!!」

「も〜…フフッ…」

 

いちゃつく二人を前に、爺や他の側付き達は何やらざわつき出す。

 

「それはそれは…」

「おめでとう御座います」

「式には我々一同参列いたしますので…」

 

そう口々に言う彼らは本心から嬉しそうだ。

 

「ハッハッハ!!それはまだ気が早いだろう!?」

 

談笑しつつ、セセリア達はプラントの中を移動して、シックール財閥の代表たるドゥラメンテの祖父…シックール卿の執務室に挨拶に向かう。

 

その道中…。

 

「ねぇ…」

「うん?どうかしたかなセセリア?」

 

セセリアは気になったことを口にすると、ドゥラメンテは無重力空間で手すりに捕まりながら振り返り、セセリアを受け止めながらたずねる。

 

セセリアはそんなドゥラメンテに寄りかかりながら、周囲を見回しながら質問を投げかける。

 

「なんか〜…いちゃついてる人多くない?」

 

ドゥラメンテも彼女に倣って周囲を見ると、確かに様々な男女が仲睦まじく寄り添って次の休みに連れ立ってどこに行くだの、何泊するだの、愛しているなどといった話がちらほら聞こえてくる。

 

「ハッハッハ!!まぁ皆マルシャンだからなッ!!とは言え…皆流石に時と場所は弁えているさ。今はちょうど休憩時間で、皆思い思いに愛する人と過ごしているだけのこと」

 

ドゥラメンテは生徒手帳で時計を確認しつつそう言う。

 

「へぇ〜…アタシ達も結婚したらああなるのかしらね〜」

「セセリア!!」

「きゃっ!?も〜…びっくりしたじゃないの〜…」

 

それとなく呟くセセリアを、ドゥラメンテはたまらなく嬉しそうに抱きしめる。

 

「それはすまない。ただ…そうなれればオレにとってもこの上なく嬉しいことだ」

「も〜…そんなこと言っても何にも出ないからね〜?」

 

拗ねたように顔を背けるセセリア。

結局周囲と同じくいちゃつき、本来の用事を思い出したのはそれから少ししてからだった。

 

…二人とも時間に余裕があって助かったと思ったのは余談だろう。

 

無重力空間を抜けて、辿り着いたのはシックール卿の執務室。

ドゥラメンテのパスを読み込んだスライド式の扉が開く。

 

「お爺様、ただいま戻り…」

「ドゥラくぅ〜ん!!ひっさしぶりだねぇ〜!!」

 

孫の顔を見るなり、秘書の静止も聞かず嬉しそうに駆け寄る彼の祖父、シックール卿。

普段の政治家として画面の向こうに映る姿とは異なり、今の彼は完全に孫煩悩の祖父そのものだ。

 

「みんなありがとうね〜」

 

シックール卿がそう言うと、執事は各々の仕事場へと戻る。

 

「あれ?そちらは…」

「うむ!!我が愛するセセリア・ドート嬢だッ!!」

「…だ、だから〜…そんな恥ずかしいこと…」

「む?オレはセセリアを愛していると言うことを恥とは思っていないが?」

「っ〜〜〜!!」

 

セセリアは彼に屈託のない笑顔でそう言われ、恥ずかしそうに顔を赤らめる。

 

「うんうん若いねぇ〜いいことだと思うよ〜?」

「父上にも是非紹介したいのですが…」

「うんうん。きっと喜ぶと思うなぁ〜…あ、たぶん今はモビルスーツを見てるんじゃないかな?ブリオン社さんのさ」

「え?ウチの?」

 

セセリアは驚いた声を上げる。

とは言え、モビルスーツの注文が入ること自体は珍しくないが…しかし、自社の商品が恋人の実家の安全を守っていると思うと不思議な感覚もあるのだろう。

 

「うんうん。今後ともご贔屓にってね」

 

その後、二人はハンガーに向かうのだった。




これからも更新は不定期になるかもですが、読んでもらえると嬉しいです。
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