セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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つづきできましたです


第129話

さて…ドゥラメンテの故郷の火星プラントにセセリアがやって来た翌日のこと。

 

昨晩セセリアはドゥラメンテの実家の屋敷の一室に宿泊し、メイドに手伝ってもらいつつ備え付けのバスルームで朝のシャワーを浴びて、服も寝巻きから裾長のマルシャンの衣服に着替えて朝食を食べるためについ昨日案内された食堂へと向かう。

 

「おはよう愛するセセリア。部屋に何か不備は無かったかな?」

 

セセリアが長机の置かれた食堂に入るちょうどその時、中庭の方の扉から作業服姿のドゥラメンテが入って来る。

彼の服はところどころ汚れていて、セセリアにはそれがどうにも目についた。

 

「どうしたの?」

「うん?ああ、中庭の手入れをな…そうだ、着いて来てくれるか?」

 

何かを思いついた表情で、ドゥラメンテはセセリアを手招きすると、汚れないように気を遣ってか、少し間を開けつつ先導する。

そして、ヤシの木やらベンチ、それから噴水のある中庭の片隅に幾らかの薔薇が咲いていた。

 

「アスティカシアのオレ達の寮に薔薇園があったろう?アレをここで再現できないかと試行錯誤していてな…まだ適応できた品種は少ないが…」

「へぇ〜…綺麗ね〜…」

 

学園の豪華な薔薇園とはまた違った質素で小ぢんまりとしたものではあるが、セセリアとしてはこちらもこちらで嫌いでは無いようだ。

なお、彼の両親は英気を養うと言って私室でいちゃついているらしい。

 

昨晩は彼らに二人の馴れ初めやら今の仲に至るまでについて随分と聞かれたものだ。

とは言え、セセリアとしても照れくさくはあったものの同時に満更でも無かったようだが。

 

「アタシもドゥラメンテと同じ部屋に泊まれればよかったんだけどね〜?」

 

ドゥラメンテに促されるように食卓について、彼を揶揄うセセリア。

給仕さんの仕事により、会話している内にも卓上には次々と朝食が置かれていく。

 

「う…すまない。しかし寝る前はずっと話していただろう?」

「話したって言っても〜…通話だけでしょ〜?」

 

プイと顔を背けて不機嫌なフリをするセセリアを前に、あわあわと慌てふためくドゥラメンテ。

結婚するその時まで同衾しないなど…相変わらずヘンなところでウブで真面目だ。

結局朝食の最中は、ずっとドゥラメンテはセセリアに揶揄われっぱなしだった。

 

「しかしセセリア、今日は待ちに待った『愛の祭典』の最終日…愛の二人三脚の日だ」

 

やがて朝食も食べ終わり、ドゥラメンテは立ち上がるとそのまま椅子に座るセセリアのそばでコホンと咳払いをして生徒手帳を取り出し…去年の愛の二人三脚のビデオデータを開く。

 

「ルールは簡単。決められたルートを二人三脚で通るのみだ。各関門にはそれぞれお題があってだな…例えばここは…」

 

もちろんルートはキチンと整理された道であり、怪我人や急病者が出てもすぐに対処が出来るよう医療班も出ている。

 

とは言え、ここは火星プラント。

ただ走るだけでは芸が無い…。

 

「まずはこの二輪駆動部門だが…」

「ちょっと待って?二人三脚よね?」

「ハッハッハ!!愛する二人が過酷な運命に立ち向かう、その姿勢はまさに二人三脚だろう?」

 

思わずツッコミを入れてしまうセセリアであったが…まあこれはマルシャンならではのものなのだろうと納得。

 

愛の二人三脚は徒歩部門、二輪駆動部門、そして自由形と三つに分けられ、後になるほど距離も伸びるというもの。

ちなみにドゥラメンテ達が参加するのが徒歩部門、彼の両親が参加するのは前年と同じく自由形である。

 

なお、前年度の自由形の優勝ペアは他ならぬドゥラメンテの両親だ。

 

それに元々スペーシアン出身者もいることを考えれば公平を期す意味でもそういうのはアリなのかもしれない。

 

そもそもこの『愛の祭典』の目的は勝ち負けを競うものでは無く、どちらかと言えば今年一年の幸先を占う儀式的な意図の方が強い。

 

もちろん勝利者には景品やら縁起がいい者として今年一年の栄誉は与えられるが、それはマルシャン達にとってさほど重要というわけでは無い。

彼らにとって大切なのは愛する人と大切な時を共有することだ。

 

故に…

 

「アナタ頑張りましょ?」

「ああ…負けないとも!!」

「意気込むアナタも素敵…」

「あの…私運動は苦手で…」

「なに…僕らは僕らのペースでやろうか」

「はいっ…」

 

などなど…映像の中の参加者は皆、スタート地点でいちゃつきはじめている。

 

「まずは開始前の三十分間は、このように各組が互いへの愛情を確かめ合う時間が用意されていてな…」

「へ〜…」

 

それからしばらく後、ドゥラメンテは一時停止して画面を拡大し、ステージに上がった男性陣を指し示す。

 

「え?歌ってるの?」

「ああ、ここでは自作の愛の歌を三曲披露するのだッ!!」

「三曲ね〜…それは…」

「うむ…オレとしても少ないとは思うが…時間をかけすぎても日が暮れてしまうからなッ!!」

「え?少な…」

 

それから次は…

 

「ここでは互い照れずに十分間目を逸らさずに見つめ合うことが条件で…」

「十分か〜…五分くらいなら…いやでも、多分…ギリギリ…大丈夫かな〜…」

 

何やら考え込んでいるセセリア。

何か思うところがあるのか、それともドゥラメンテの故郷の風習としてそう言うものと受け入れたのか…その後のドゥラメンテによる解説は、どれもこれも遠慮無し忖度無し、そして人情ありの二人三脚の光景が映し出される。

 

そして、時刻は本番となり…。

 

「愛のために!!」

「妻のため…!!」

「御曹司でも遠慮しませんよ!?」

 

やる気に満ち満ちる面子の中…。

 

「さあッ!!行こうかセセリアッ!!」

「えっちょっ…まだ心の準備がっ…」

 

しかも背中と膝下に腕を回し、しっかりと支えるタイプの…いわゆるお姫様抱っこである。

 

顔も近く、いい匂いがして、落とさないようしっかりと密着しているからか筋肉の硬さまで伝わる感触…。

視覚と嗅覚、それから触覚に訴えかける刺激にそこからのセセリアの記憶は途絶え…次に我に帰ったのは表彰台の一番高いところで、笑顔のドゥラメンテと共に記念撮影をされるところであった。




レース描写は大胆カット!!
上手く書けなかったよ…orz
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