セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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できました〜。


第13話

ジェターク社製の鮮やかで、華美な装飾の施されたマゼンタの機体…グエルのディランザが約束時間に約束の戦術試験区域に到着する。

 

廃墟を模して再現したそこは、逃げ隠れにピッタリで、そこを指定したのはグエルなりの優しさだった。

 

ホルダーの特権である白いパイロットスーツに身を包み、余裕綽々で周囲を見回す。

 

一見油断しているように見えて、その実どこから来ても対処できるようにビームライフルかパルチザン、どちらでも選択できるよう意識しているのだから油断ならない。

 

「さぁて、三戦三勝のスーパールーキー…腕前のほどを見せてもらおうかぁ…?」

 

今回はあくまでも決闘では無いため、観客はごく少ない人数しかいない。

 

それこそジェターク寮のグエルの取り巻き達と、決闘委員会一同。そしてドゥラメンテの友人であるエドモンドくらいなものだ。

 

「アイツ…まぁたヘンなスイッチ入ったな?」

 

決闘委員会のラウンジにて、なぜか呼ばれたエドモンドは呆れがちにそう言うが、ラウダはそれを脇目に今回の手合わせを見守っている。

 

「さて、ドゥラメンテ・シックール…キミが今後兄さんの障害になり得るか否か…見せてもらおうか」

「やっちまって下さいよ〜グエルセンパ〜イ!!」

「デミトレーナーなんて一瞬でけちょんけちょんにしちゃえ〜!!」

 

シチュエーションは雨の降りしきる廃墟。

視界はやや悪く、周囲には廃墟群。

故に、常に死角を気にしながら動かなくてはならない。

機体に搭載されたセンサー類とにらめっこしながらグエルはディランザの歩を進める。

 

あちらは小柄で操作も簡単なうえ、さらに武装も自在。

距離を開けてライフルで狙撃されるのは厄介だ。

 

…と、次の瞬間。

 

「フッ…隙アリだッ!!」

 

ダダダダダ…。

 

背後からドゥラメンテの駆る鮮やかな赤色のデミトレーナーがビームガトリングを撃つ。

 

「オイオイ…隙だらけなのはそっちだぜ!!」

 

獲物から近づいてきていたことに自慢のホバークラフトで振り返り、弾をかわしつつ急接近するグエル。

 

しかし…。

 

「やはりそう来たなッ!!グエル殿!!」

 

ドゥラメンテはコクピット内で不敵に笑い、瞬時に距離をとる。

 

「なにぃ?」

 

動きを先読みしていたのか、グエル自慢のビームパルチザンをギリギリでかわすと、そのまま縫うように狭い道を通って再び何処かに姿を隠す。

いわゆるゲリラ戦法というやつだろう。

 

「ちょこまかと…」

「フッ…モビルスーツにはその性能に見合った戦い方がある。それと思ったのだが…」

「あん?何だ」

「場違いと叱責されるだろうが、オレは今…猛烈に感動しているッ!!」

「…はぁ?」

「やはり、ディランザ…そしてグエル殿…その動きを生で、しかも目の前で見られるなど素晴らしいッ!!そして、願わくばその素晴らしさ…もっと見せてほしいッ!!」

 

追ってきたグエルに廃墟の影に隠した装填済みのロケットランチャーを持ち上げ、狙いもそこそこに発射する。

 

「っち…いやらしい戦法を…」

「今のをかわすかッ!!やはり貴殿は最高だッ!!」

「褒めるか戦うかどっちかにしろっ!!」

「ハッハッハ!!それは申し訳ないッ!!」

 

その時のラウンジでは…。

 

「……彼はいつもああなのか?」

「うん、まぁその…入れ上げた相手はとにかくベタ褒めするからなぁアイツ…今回も多分、滅多にない機会だからってウッキウキで時間稼ぎしつつ観察してるのと…」

「のと?」

「たぶん、セセリア嬢に知的な一面を見せたいんじゃねーかなって」

 

そうして、舞台は再び戦術試験区域へ。

逃げ、隠れ続けるデミトレーナー。

そして、それを追いかけるディランザ。

両者は徐々に一方向へ向かい進んでいく…。

 

「ったく…この短時間でどんだけ仕込んでんだよ…」

 

半ば辟易した様子のグエルが、そう呟く。

 

「フッ…あとざっと二十程…かな?」

 

通信でそう告げるドゥラメンテに、何やら楽しそうに返す。

 

「それを相手のオレに教えていいのかよ?」

「それを、鵜呑みにする貴殿ではありますまい?」

 

その後もドゥラメンテは様々に銃火器を撃つものの、グエルの反応の良さ故か脚元を掠めるのみ。

かと言ってグエル側が近接戦を仕掛けようとしても、やはり紙一重でかわされる。

 

過去の決闘から操縦時のクセやら性格やらある程度わかっているのかもしれない。

性能差も踏まえてそう動いているとすれば、ドゥラメンテはかなりの曲者だろう。

 

グエルは良くも悪くも若さに逸るタチの人間だ。

そんな彼がこうもチマチマした動きにイラつかない訳は無く、かと言ってあからさまな挑発に、彼のパイロットとしての本能が待ったをかける。

 

グエルの心の秤がなんとかバランスを保とうとしていると、それをさせじとデミトレーナーが飛び出す。

 

「コレはどうかな?」

 

今度はミサイルポッドを取り出し、撃ち終わるとやはり使い捨てる。

それらを打ち落とし、或いはかわして突っ込むグエル。

デミトレーナーはその体当たりでたまらずバランスを崩し、グエルがトドメとばかりに武器を突き出そうとしたその瞬間…。

 

「残念…本命はこちらだッ!!」

 

目の前に倒れる形となったデミトレーナーが、いつの間にかワイヤーを手にしていた。

大方、木々や廃墟の陰になって見えなくなっていたのだろうが…その先には装填済みのバズーカがある。

 

「クソっ!!後退…」

「フッ…その背後で?」

 

その言葉に思わず背後を振り返るディランザ。

今回の戦術試験区域にはいくつかの大きな段差がある。

それを認めた瞬間、何とか直撃を避けようと操縦桿を動かすグエルだが…デミトレーナーはそんなディランザに身一つで掴みかかる。

 

「お前…最初っからコレが目的だったのか?」

 

ディランザの両腕を押さえる形でデミトレーナーがしがみつく形となる。

 

「フッ…このくらいしなければ、モビルスーツの性能差は覆せないのでね」

 

そう言いつつ、ドゥラメンテはバズーカの引き金に繋がるワイヤーを引く。

それは確かにディランザを捉え、直撃したが…。

 

「そうか…だが、詰めが甘めェな」

 

なんとかギリギリでブレードアンテナには当たっていない。

咄嗟に的をズラしたのだろう。

 

「むっ?」

「出力の差を埋めるためにこっちの推進剤やら何やら消費させてたのはまぁ褒めてやるよ。だが…」

 

今にも倒れそうなディランザに、ガシィッとデミトレーナーは腕を掴まれ、地面にたたきつけられる。

 

「そんなんで、オレのディランザはやられやしねェよ」

 

グエルは地に伏すデミトレーナーにビームパルチザンを突きつきながらそう言う。

 

「…参ったな。降参だ」

 

その言葉を聞くなり、グエルはコクピットでニッと笑うのだった。

 




冗長になっちゃった感…。

申し訳ないですはい。
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