セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
決闘委員会のラウンジにて、ドゥラメンテはソファでそわそわと待ち侘びている様子だ。
「ふふっ…そんなに今回の決闘が待ち遠しいの〜?可愛い…」
当然のように隣に座るセセリアからのからかいとも取れる言葉に、ドゥラメンテは付き合って答える。
「そうだな。宇宙空間での決闘を見るのは珍しい。それに…」
「確かに…今回の決闘は例の水星ちゃんと『氷の君』の決闘だもんね〜?」
御三家の一角であるペイル寮寮長、エラン・ケレスの決闘は滅多に見られない。
先の決闘では、セセリアの言う例の黒いファラクトのような機体のビット兵装を用いた戦術を使い、弟のラウダ用にチューンされていたとは言え、グエルの駆るディランザをなぶるかのように翻弄した上で勝利した。
紛れもなくハマれば強い機体と、それを上手く使ったエランの作戦勝ちと言えるだろう。
その時の観戦者は皆一様に驚きを隠せなかったほどで、嘘か本当か…禁じられていた決闘を勝手に行ったとしてグエルが退寮の憂き目に遭っているとの噂まで立っていた。
とは言え、ドゥラメンテがグエルの敗北後に彼を心配してジェターク寮へ赴いても「他企業の人間に詳しくは話せない」の一点張りだった。
しかしそれでも、噂のグエルが今現在ラウンジに居ないことからも、ジェタークCEOである彼の父から何かしらのペナルティを課されたのだろうことは想像に難くない。
…とは言え、それも言ってしまえばよその企業のこと。
口出しするなと言われればドゥラメンテとしても素直に引き下がるしかない。
表立って無用に動いてベネリットグループ内の企業間で軋轢が生まれれば、ドゥラメンテ個人のみならず、最悪マルシャン全体への信用を損なってしまいかねない。
故にこそ、情に脆い面のあるドゥラメンテは内心歯噛みする。
「グエル殿が無事ならば良いのだが…」
ソファに腰掛けるドゥラメンテが、少し無理をしているのでは無いかとセセリアは察すると、安心させるためか、無言で彼の顔を自身の胸元へとむぎゅうと押し当てる。
「も〜…大丈夫でしょ〜?」
「セセリア…」
「今はここに居ない人の心配よりも目の前の決闘でしょ〜?」
そのセセリアの言に、うんうん頷くのは今回の決闘の立会人、シャディク・ゼネリだ。
「そうだね。それに…そんなに心配ならオレからも確認がてら言っておくさ。ドゥラメンテが心配そうにしてたってね」
漂って来る香水の香りと耳元から聞こえて来るセセリアの心音を聞いたからか、いくらか気持ちが落ち着くドゥラメンテ。
「やはり、セセリアには敵わないな…」
「フフッ…もっと頼りにしてくれてもいいんだからね〜?」
やがて時間となるといちゃつく二人を横目にシャディクは立ち上がり、決闘開始の宣言をするのだった。