セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
「ふっふっふ…」
とある寮の一室にて、ドゥラメンテは手にあるものを持って笑みを浮かべていた。
「注文通りには出来たけど…何に使うの?セセリアさんにも内緒で…」
不敵に笑うドゥラメンテにニカ・ナナウラはたずねる。
「フッ…ニカ嬢、それは当日になってからのお楽しみだともッ!!」
「そう言えば来週だよね?何かするって言ってたの…」
「ああ、吉報を待っていて欲しいッ!!これが成功すれば、決闘委員会にも具申する予定だからなッ!!」
「あはは…うん。そうだね」
そして時は流れてエックスデー…。
つまりは当日を迎えたわけだが。
「さあッ!!我が寮によるセツブン大会といこうかッ!!」
「オイ。またオメーの思いつきかよ」
寮のロビーに集まった生徒たちの前で堂々と宣言するのは誰あろうドゥラメンテ・シックール。
その隣にはセセリア・ドートが当たり前の顔をして椅子に腰掛けていた。
「フッ…地球の慣習を調べていたら面白そうなものがあったゆえッ!!今日この日まで、皆にも協力してもらった、本当に感謝に絶えないッ!!」
ガバリと頭を下げるドゥラメンテ。
「も〜…ドゥラメンテったら…そんな楽しそうなこと、アタシに隠してたとか〜…」
セセリアはマニキュアを塗りつつ、ドゥラメンテの方をジトっとわざとらしく睨む。
しかし、その口元は笑みを浮かべている上、距離も近いため、本気で怒っている訳ではないこともまた伺える。
「う…すまないセセリア。どうしても驚かせたくて…」
「ふ〜ん…」
ドゥラメンテがそっとセセリアの肩に手を乗せ、タジタジになるのももはや恒例と化している。
しかし、それにいちいちツッコミを入れるほど周囲は野暮ではない。
何故ならこれはカップルの喧嘩ではなくバカップルのじゃれあい、惚気の類と皆認識しているからだ。
「し、しかしッ!!この大会を聞けばセセリアの機嫌もきっと治ると言うものッ!!」
生徒手帳を手にして、ロビーの大画面に『大セツブン大会』とポップな文体でデカデカと表示される。
「『セツブン』…それは古来より東洋のオンミョウジ達により、連綿と紡がれてきた人の心に潜む魔物を倒す神聖なる儀式と聞く…故に諸君らには…」
言葉を一度言葉を溜めて、バサッと制服を脱ぎ捨てるドゥラメンテ。
いつの間にかその纏う衣装は変わっており、その手にはアサルトライフルと思しきものが握られていた。
「このッ!!
「ビーンズガンだぁ?」
「そうともッ!!この銃は一見リアルに見えるが実は豆を撃ち出すというモノ…当たってもさほど痛くはないし、カプセル弾なので衛生的!!撃った後でも歳の数だけ豆を食べられるぞッ!!」
それがドゥラメンテの言うセツブンのしきたりなのだと言う。
「そもそも気になったんだが…なんで豆なんだよ?どうせぶちこむんなら鉛玉の方が効くだろ」
エドモンドが質問を投げかける。
「フッ…流石は我が友エドモンドッ!!良い質問だ!!豆…即ち魔を滅する魔滅とかけているらしいなッ!!」
格好をつけつつ、ビシッとエドモンドにサムズアップを向け、イキイキと説明しているドゥラメンテ。
このテンションの高さからして相当に楽しみだったのだろう。
「どっから仕入れてくんだよその知識…つーかダジャレかよ」
「フッ…マルシャンは元より寄り合い所帯ゆえ、色々と文化には皆それなりに詳しいのでな…ちなみに改めて確認するが、このスーツは伸縮性に優れ、丈夫な上普段使いにも適している」
ドゥラメンテはスーツの表面を撫でつつ、自信たっぷりに続ける。
「しかも今回のイベント用に、当たった瞬間を逐一知らせてくれるというありがたい機能付きだ。故に不正は不可能ッ!!制限時間内に立っていた者の優勝だ。要はサバイバルゲームだな。舞台はエリアはこの寮付近の森林地帯だ。なに、使用の許可ならすでに先生方に頂いていて、関係者以外の者は皆、一時的に立ち入り禁止状態となっている」
「マジで用意周到だな…」
そうこぼすエドモンドをよそに、ドゥラメンテはハロが持ってきた大きめのケースを開ける。
中にはドゥラメンテが今現在着ているものと同じものに加え、ゴーグルやグローブなどが入っていた。
「さあッ!!皆この専用スーツに着替えて欲しい。きちんと寮のメンバー全員分は用意してあるぞ、無論セセリアの分もな」
ドゥラメンテが視線でチラリと確認すると、セセリアは…。
「まあそうね〜…たまには参加するのもいいかもね〜?」
「フッ…では楽しみにしていて欲しい」
「フフッ…期待してるからね〜?」
その後、順調に勝ち進んだドゥラメンテであったが…。
「愛するセセリアに銃口を向けるなどッ…」
「ハイスキあり〜♪」
最終局面で迷っている間にセセリアにやられたのはご愛嬌というやつだろうか。
その後…。
「フッ…流石はセセリア。その賢さに改めて惚れ直した」
「も〜…褒めても何にも出ないんだからね〜?」
サバゲーも終わり、シャワー浴びてソファに腰掛けいちゃつく二人に、頬杖をつきつつエドモンドが声をかける。
「つーか、何でわざわざそんな凝ったデザインのおもちゃを作ってもらったんだよ」
「む?かっこいいからだが?」
キョトン顔でそう言うドゥラメンテに、エドモンドは呆れ顔をする。
「だと思ったぜ…」
「ハッハッハ!!このデザインに辿り着くまで三ヶ月は掛かったのだ…」
「フフッ…カワイイ♪」
アスティカシア高等専門学校は、今日も平和なのだった。
拙作を読んでくださる方々、お待たせして申し訳ないです…。