セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
それはとある休日のこと。
「おや?このアプリは…」
ドゥラメンテが寮の自室でなんとなしに生徒手帳を開いて授業の復習をしていると、一つの広告が目についた。
その名も…ペットといっしょシリーズ最新版〜子猫version〜
なんの変哲もない、いわゆるアプリ広告の類であるが…。
「ほう…これは気になるな…」
なんの気まぐれか、試しに入れてみることに。
そうして、試しにダウンロードしたのがつい三日ほど前。
「で、ハマりにハマってるってわけか」
「ハッハッハ!!流石にずっとやっている訳ではないさ。薔薇園の手入れやトレーニングの空き時間にちらほらと…」
「で、猫の好感度は…もうすぐMAXかよ。しかも複数匹飼ってるってオメー…ハマり過ぎだろ」
「ハッハッハ!!いやぁ、ついついかまいすぎてしまってなぁ…」
流石に自覚があるのか、エドモンドに突っ込まれたドゥラメンテは苦笑している。
とはいえ、これもある意味で仕方のないこと。
何せドゥラメンテは猫好きでありながら猫アレルギー持ちという難儀な体質持ちだ。
ペットの広告やら何やらを目にすることはあっても、直接自分で触れられないのは何かと辛いものがあったのだろう。
そもそもペットに近い存在としてハロもある訳だが…それはアスティカシアでの扱い的に感覚としてはどちらかといえばお手伝いさんに近いか。
ともあれ、このアプリはドゥラメンテにとって魅力的なものだったようだ。
無論このアプリにハマりつつあるのも、セセリアを差し置いて…と言う訳ではもちろんない。
いついかなる時もドゥラメンテが最愛のセセリアを軽んじる事は断じてないが…。
しかし、どういう訳か、そのセセリアとドゥラメンテはここ最近放課後になると別行動をとることが多くなっていた。
それだけで無く毎日のようにしていたデートも目に見えて減っているのだ。
セセリアは勉学も決闘委員会の仕事も以前以上にキチンとこなしているものの…それ以外はまるで人が変わったように打ち込んでいることがあるようだ。
とはいえ、やりたいことが見つかったのならむしろ応援するのが愛に生きるマルシャンというもの。
ドゥラメンテもまた、困惑しつつもセセリアのやりたいことを応援していた。
…が、しばらくして見れば、セセリアは指に負傷をしてくることが多く、つい心配になって事情を知っている風なエドモンドに聞いてみても…
「あん?そりゃオメー…乙女心ってやつなんじゃねーの?そもそも市販品で済ませりゃ…ってのは無粋なんだろうがなぁ…」
と誤魔化され、本人に直接聞いてみようとブリオン寮へ向かうことも何度かあったのだが…
「あ、彼くんじゃん。セセリア?え〜っと…今はバレ…じゃなくて、ちょ〜っと用事で居なくて〜…」
「いやでも別に彼くんが嫌になったとかそう言う訳では無いと思うよ〜?ウチらもそれは保証するし〜…」
「…まあ、そのうち分かると思います。ご心配なさらずとも大丈夫かと」
と、セセリアの同級生達やらロウジに慰められたりはぐらかされてばかりで、セセリア本人にはなかなか会えない日が続いた。
とはいえ、送ったメールには必ず返信が来るし、その内容にも特に変わった様子は無いので必要以上に心配するのも彼女を信頼していないようで踏み込んだ質問も出来ず…。
気がつけばドゥラメンテは頭を空っぽにして、セセリアと付き合う前のルーティンをここ最近繰り返していた。
朝起きて鏡の前でポージングをとって薔薇園の世話をし、シャワーを浴びて授業に出て、課題をこなして…と、そんな最中に見つけたのがこのアプリの広告な訳だ。
「フッ…さて、することも終えたことだし…」
今日の薔薇園の世話を終えたドゥラメンテは件のアプリを開こうと生徒手帳を手に取る。
すると…ちょうどそのタイミングでメールが一件送られて来た。
送り主は…
「む?セセリアから…これは…チケット?」
久方ぶり(と言っても一週間弱ぶりなのだが…)に恋人からの、数日後のディナーのお誘いが来ていたのだった。
バレンタインの前日譚的なお話が書きたかったので…。