セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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バレンタイン回出来ましたです〜。


第135話

とあるスペーシアン向けプラントにある高級レストランの個室にて、ドゥラメンテとセセリアの二人は円形のテーブルを挟んで、久しぶりに顔を合わせていた。

 

「フッ…」

「も〜…どうしたの〜?」

 

以前セセリアに見立ててもらったスーツを着たドゥラメンテが意味ありげに笑う。

そんな彼を見て、セセリアもまたクスリとひとつ笑った。

 

ドゥラメンテはふと窓に目をやる。

窓の外には一面の星空。

 

それ自体は別段珍しいものでも無い。

プラントとプラントを繋ぐ船旅に慣れれば、こんなものは慣れた日常のひとつだ。

 

しかし今この瞬間のそれは、ドゥラメンテにとって、以前のプラネタリウムと同じく特別なもののように思えた。

 

セセリアも同じ気持ちなら嬉しい。

そう考えてか、ドゥラメンテはセセリアに向き直る。

 

「いや、こうして顔を合わせるのも久しいなと思ってな…。セセリアのドレス姿も本当に久方ぶりで…あまりに美しくてどんな宝石よりも眩しく思うほどだ」

 

嬉しさを隠せない様子でそんなことを言うドゥラメンテ。

犬のしっぽがあったら、きっとブンブンと元気よく振り回していたところだろう。

 

「も〜、相変わらず大袈裟なんだから〜…」

 

セセリアは口元に手を当て、くすくすと柳眉を垂れて微笑む。

 

「フッ…他の誰でもない愛するセセリアからのお誘いだからなッ!!言葉に力も入ろうと言うものッ!!」

 

運ばれてくる料理に舌鼓を打ちつつ、いつもの様子で談笑するカップル二人。

前菜にスープ、魚に肉に…厳選された食材による料理達はいずれも大変美味なものであり、二人の会話もその度に弾んでいた。

 

その時間が二人にとって、何にも変えられないかけがえの無いものなのは言うまでも無いだろう。

気がつけばデザートも食べ終え、二人は優雅な食後のひと時を過ごしていた。

 

「セセリア、それでその…最近会えていなかったのは、その手の怪我に何か関わりがあってのことなのかな?」

 

できる限り穏やかに、しかし不安そうに少し震える声でドゥラメンテは問いかける。

 

確かに談笑の最中、時折ドゥラメンテの心配そうな視線が手元に向かっているのに、セセリアは気が付いていた。

 

「あ〜…うん。いやまあ?関係はあるって言えばあるけど〜…別にドゥラメンテが心配してるような事じゃなくって〜…」

 

「まあ気がつくよね〜…」と自省の言葉をこぼしつつも、よく見てくれていたことに嬉しさを覚えるセセリアは何やら恥ずかしげに、同時に意を決したようにセセリアはバッグから一つの袋を取り出す。

 

「うん?それは…」

「その…いつものお茶請けより、美味しくないかも…だけど〜…」

 

セセリアはどうにか視線を逸らさずに、ススッと差し出す。

 

「アタシなりに、色々調べたり…たまに試食してもらったりして、頑張った…から、もちろん無理に食べてとは言わないけどさ〜…」

 

ドゥラメンテはそれを受け取って、中身を見てみる。

その中身は…。

 

「これは…カップケーキ?」

「うん…バレンタインデーのね〜?あ、ちゃんと帰ってから食べてね〜?アタシがいうのもアレだけど、流石に持ち込んだモノを食べるのはお店にも…ね?」

「せ…セセリア…!!」

 

ドゥラメンテは感極まったのかプルプルと震える。

 

「セセリア〜!!愛してるぞ〜!!」

「ちょっ、声大きい…一応この部屋防音だけどさ〜…」

 

そう言うセセリアの表情はやや呆れ顔ながらも、とても満足そうなものだった。

 

その後、帰りの船内にて…。

 

「ところで〜…マルシャンってバレンタインデーのこと、知らないの〜?」

 

セセリアはある種、当然の質問を投げかける。

愛がどうのと謳っている割に、バレンタインデーを知らないというのはどうにもおかしい。

 

「うむ…父も祖父も、それはその日になればわかるとしか…」

「あ〜そう。ったく…人が悪いったら…」

 

セセリアは一度あった二人の顔を思い浮かべる。

どうやらサプライズのつもりだったようだが…。

 

「うん?どうかしたか?」

「別にぃ〜?」

 

セセリアは誤魔化すように隣に座るドゥラメンテに自身の手を重ね…

 

「せ、セセリア!?顔が近…」

「ん…」

 

二人きりの室内で、もうひとつの贈り物をしたのだった。

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