セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続きができましたー。
たまには新婚編でも。


第136話

とある火星プラント、そこにある建物のひとつの生活感に溢れた一室にて、二人の男女がベッドに横になっていた。

 

カーテンの隙間から徐々に光が漏れ出し、今日もまた朝を迎えたのがわかる。

 

「ハロハロ〜!!アサダゾ!!アサダゾ!!」

 

やがてベッド脇のナイトテーブルに置かれたハロがぴょんぴょんと跳ねながらに朝を告げる。

ハロが好き放題に飛び跳ねている割に、その隣の額縁に飾られた写真は固定されているのか動かない。

 

やがてそれに反応して、まず目を覚ましたのが女性…セセリアである。

 

「ん〜…」

 

むくりと上半身だけ起き上がった寝巻き姿の彼女は、まず伸びをひとつして着崩れた服を整えつつ、寝ぼけまぶたを軽くこすると、同じベッドで横たわる人物のモノであろう隣の膨らみに目をやる。

 

「ほ〜ら、ア・ナ・タ〜♪朝ですよ〜?」

 

セセリアは布団の上からモゾモゾと動く彼を優しくポンポンと叩く。

昨夜も若干物足りないながらも“愛して”もらったからか、その声色は明るく、そして満足げだ。

 

「んっ…セセリアぁ…」

 

愛する女性の声に反応したのか、不意に甘えるように抱きつかれるとセセリアは一瞬驚くも、くすりと優しい笑みを浮かべる。

 

「あらら〜…朝っぱらから抱きついてくるとかホント甘えんぼなんだから〜……ま、アタシの旦那様はず〜〜っとアタシにぞっこんで夢中だもんね〜♪」

 

布団から顔を出した夫の頭を撫でると、セセリアは寝癖を気にする素振りも無く彼の頬をつんつんしてみたり、少し乱れた寝巻きから覗く鎖骨にキスをしたりと、抵抗出来ない夫をイタズラしつつ好きに堪能していたが…やがて名残惜しそうに唇を離す。

 

その様子はさながら…目の前の好物の料理を食べつつも、あと少しで食べ終えてしまう子供のような、複雑な、切なげな…しかしいたいけな表情を浮かべる。

 

正直ずっとこの愛しい寝顔を見ていたい気持ちはあるが…それは我慢。

なぜなら今日は二人の久々のデートの日だからだ。

 

そのためにわざわざ昨夜は珍しくさほど“愛して”もらうこともせず、大人しく床についたのだ。

 

ここで起こさなければ我慢した甲斐もない。

大袈裟に決心をした表情を浮かべると、セセリアは布団越しにドゥラメンテの体に手を伸ばす。

 

「ほ〜らドゥラメンテ、せっかくのお休みなんだから…かまってくれないと〜…ア・ナ・タ♪の大事な大事な奥さんが拗ねちゃうわよ〜?」

 

いい加減起きて欲しいのだろうセセリアは、ドゥラメンテの体をユサユサと軽くゆする。

 

ドゥラメンテのセセリアへの愛情を分かっているからこその軽口。

しかしその言葉を聞くや、ドゥラメンテは起き上がっていた。

 

「セセリアおはようッ!!いい朝だなッ!!」

 

別に寝たふりをしていた訳でもないのに、セセリアからのひと声でがばりと起きるのだから、本当に単純と言うかなんと言うか…。

ともあれ、そんな夫にセセリアは満足そうに頷く。

 

そのまま抱擁をされそうになるも、汗臭い匂いを嗅がれたくない女心からか、或いは一度抱きしめられたらまた時間を取られると思ったのかさっさとベッドから立ち上がる。

 

「は〜いおはよ〜♪先にシャワー浴びて来るから〜、支度ヨロシク〜♪」

「フッ…了解したッ!!」

 

とは言え、セセリアもまたマルシャンの愛への素直さに感化されているのかもしれない。

 

彼の両親や祖父母に出会い、そして彼と暮らしてみて思ったことは…。

ドゥラメンテが彼の祖父や父に負けず劣らずの愛妻家であるということだ。

 

愛情深く、他のスペーシアン出身者の伴侶と同様、セセリアもまた大事にされている自覚がある。

だからこそ安心して夫を揶揄ったり、思い切り甘えられるわけだ。

 

「愛してる〜♪とか、人前でも当たり前のように口にするのはまだちょっと抵抗があるけど〜…」

 

ともあれ…愛する夫と二人きりなら素直になれるし、当初よりもかなり馴染んでいた。

何より…セセリアにとって、この感覚は非常に心地のよいものだ。

シャワーを浴びつつ、セセリアは今日のデートプランを考える。

 

「まずはあそこのお店に寄って〜…それから〜…」

 

シャワールームに自然と美しい鼻歌が響く。

ドゥラメンテはそれを聞きつつも、デートの準備を整えていた。

 

今日は二人の結婚式から、ちょうど一年。

つまりは…所謂結婚記念日なのだ。




次回は普通に日常回かなぁとは思ってます。
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