セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続き出来ました。
三月三日ということで雛祭り回です。
セセリアさんには和装も似合いそうだなぁなんて思いつつ書いた次第。


第137話

それは、アスティカシア高等専門学校の一室でのこと。

 

「如何でしょうか、お二人とも?」

 

そう言うのは仕立てのいい和服に身を包んだ妙齢の女性だ。

彼女の名はミセス・ユウコ。

色白い肌に、艶々とした黒髪、口元の黒子は色気を出しながらも、品の良いエキゾチックな美女と言って差し支えないだろう。

 

「うむッ!!オレとしてはとても満足だッ!!セセリアはどうかな?息苦しかったりはしないか?」

 

ドゥラメンテは心配そうに、カーテン越しに尋ねる。

カーテンの向こう側では、他の従業員が着付けの手伝いをしている。

 

「う〜ん…ちょ〜っと胸が窮屈だけど〜…まあこういう服装もたまには良いかもね〜…腰に布を当てるのはちょっと気になるけど…」

 

ドゥラメンテとセセリアは今、この呉服屋が持って来た和装に袖を通していた。

それというのも、火星の人気雑誌の表紙の撮影のためである。

 

「しかし、お綺麗ですねぇセセリア様…本当に何を着てもお似合いになって…」

「うむ!!そこは全くユウコ殿に同意だッ!!」

 

意気投合したかのように、セセリアを褒めちぎる二人。

 

「も〜…褒めすぎでしょ〜…」

 

そう言いながらも満更でもなさそうなセセリア。

頭には桃の花を模した造花の髪飾りをつけ、服装は薄手かつ丈夫な布で拵えたものが色違いに何枚か重ね着されており、その美しさはさながらひな壇のお雛様の如し。

 

そしてドゥラメンテはと言えば、東洋の貴族衣装を模した服を着て、頭にはセセリアのそれと似たような被り物をつけている。

これは火星で行われる一大イベントであり、女の子の健やかな成長と、厄除けなどを願うヒナ祭りの衣装である。

また、ヒナ祭りには他にもサンニンカンジョだの、ゴニンバヤシなどが出てくるそうなので、撮影スタッフも割といる。

故にこそドゥラメンテの提案でエドモンド達も呼ぼうとしたそうだが…彼らにも予定があるのと、マルシャン向けの雑誌の表紙の撮影ということで今回はいない。

 

「フッ…これで雑誌の表紙は決まりだなッ!!」

「ええ…先日もお伝えしました通り、今年の月刊火星三月号の表紙は是非ドゥラメンテ様とその未来の奥様にしたく…」

「ああ、きっと良いものになるだろうッ!!」

 

その後、撮影スタジオとなったすぐ隣の別室に移動すると、ドゥラメンテとセセリアの二人は背景のスクリーンを前に柔らかな微笑みを浮かべる。

 

どちらも場慣れしているのか、もしくは緊張はしているものの、お互い相手を信頼しつつ格好をつけているのか、或いはその両方なのか…。

 

「しかし、かのシックール卿のお孫様も…ご立派に伴侶をお見つけになられましたね」

「えっ?いやその…」

 

突然自身の話題に触れられ、アワアワとなるセセリア。

しかし、そんな彼女を安心させるように、ドゥラメンテは彼女の肩にそっと手を置く。

ハッとしたセセリアが振り向くとドゥラメンテはセセリアを見つめて一つ頷く。

 

「フッ…当然ですとも。そう言う貴殿もまた、父の代からお世話になっているとか…まったく、頭の下がる思いですよ」

「あらあらまあまあ…」

 

頬に手を当て困ったように柔和な笑顔を浮かべる女性店員。

セセリアは一瞬彼女の年齢が気になったが…睨まれるような気がしてすぐにその思考を放棄した。

世の中、深入りしてはいけないこともあるものだ。

 

その後二人は様々なショットを撮られ、最後に二人で特別な写真を撮って終了となったのだが…その頃にはすでに夜になってしまっていたのだった。

 

「まったくも〜…意地悪な店員だったわね〜…」

「フッ…いやすまないッ!!彼女もまた、火星を支える評議員のひとりでな…祖父の盟友でもある御仁なのだッ!!」

「ふ〜ん…いや、ホントに幾つなのよあの人!?」

「ハッハッハ!!そこはオレも本当によく分からんのだッ!!」

 

その後、二人はヒナ祭りの話やら世間話やらで夜更けまで語り明かしたのだという。




次回は久々にあのキャラが登場予定です。
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