セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
「まったく、あんな無茶して…」
「ハッハッハ!!いやぁ申し訳ない。だが、無茶をしてでも決闘委員会筆頭の力量の程をみてみたかったのでな」
セセリアに軽く睨まれつつ、顔を濡れたタオルで拭かれながらそう言われるも、おどけた様子のドゥラメンテ。
「反省しなさいっての。そもそもデミトレーナーでグエル先輩と手合わせだなんて無謀も良いとこでしょ…」
「フッ…心配をおかけしたなら申し訳ないッ」
「ハァ!?べっ…別に…心配なんてコレっぽっちしてませんけど〜?って言うか、ブリオン寮生としてはもうちょいなんとかして欲しかったんですけど〜?」
「ハッハッハ!!いやぁ、面目ないッ!!」
決闘委員会のラウンジでソファに腰掛け、疲れからか隣で豪快に寝そべるドゥラメンテに叱責するセセリア。
まぁ実際、かなり無茶な動きを繰り返したり、最後の方などは思い切り叩きつけられたのだから心配するものまぁ頷ける。
「しかし、ホバー機故の足回りの悪さや、あの重量を動かすバーニアの出力からして、推進剤は割とカツカツだったハズなんだがなぁ…」
そのままセセリアから渡されたタオルを軽くたたんで脇に置き、考える素振りを見せつつソファに横たわるドゥラメンテの頭上から彼に話しかける声が響く。
「おう。だが、それを悟らせねぇのも腕ってヤツさ」
ドゥラメンテが顔を上げると、そこにはいつもの三人を引き連れたグエル・ジェタークがいた。
「おや、グエル殿」
「ドゥラメンテ…だったな。お前の腕前のほど、確かに見せてもらった。ありゃあ確かに並のパイロットじゃあ勝てねぇな」
意外な称賛の言葉に、周囲は珍しいモノを見る目を向ける。
「フッ…オレのような未熟者にそのような過分な評価…痛み入る」
「だが…」
「むっ?だがなんだ?」
疑問の答えを問うように、ドゥラメンテは視線をグエルに向ける。
「ハッキリ言うが、最早デミトレーナーの性能じゃあ、オメェの腕は生かせねぇ。豚に真珠の逆だな。そこで…だ」
グエルは手を差し伸べる。
「ジェターク寮に来いよ。そうすりゃあディランザだって使えんだろ。買うにしたって安かねぇし…まぁ面白れぇモン見させてもらった礼だ。一機ぐれぇなら回してやれる」
その言葉に、セセリアは驚いた様子だ。
何せ決闘委員会の主席直々の引き抜きだ。
滅多にあるものでも無い。
だが、その言葉にドゥラメンテは申し訳無さそうに、ゆっくりと首を横に振る。
「…ありがたいご提案ではあるが…申し訳ない。そればかりは出来ない」
「あん?何でだよ?別に今と同じ寮の連中とだってずっと会えなくなるって訳じゃあねぇだろ?」
断られると思わなかったのか、ムッとした表情を浮かべるグエル。
しかし、そんなグエルをドゥラメンテはあいも変わらず真っ直ぐ見つめる。
「それでも…ここではあそこがオレの帰る場所でなぁ…」
「そうか…」
しんみりとした空気がその場を支配しそうになった瞬間、ドゥラメンテはそうだと提案をする。
「そこで、モノは相談なのだが…」
「相談?」
「あの素晴らしいディランザを二機…いや、三機ほど売っていただけないだろうかッ!?」
「ハァ!?いやさっき安かねぇって言ったばっかだぞ!?」
「いや、実際に手合わせしてみて分かったが、やはりディランザは素晴らしいッ!!」
「それに他のモビルスーツとの性能の違いとかも見なくて良いのか?」
「問題ないッ!!」
「…ちなみにご予算は?」
商談がはじまりそうな匂いを感じ取ったたからか、傍からラウダが端末を手にズイと歩み寄る。
「ふむ…そうだなとりあえずはこのくらいか…」
ドゥラメンテはラウダに自身の予算の程を見せる。
ラウダはそれに満足したのかなるほど、と頷く。
「……そうか。それならこのオプションも付けて、さらに半年間の整備保証もつければ…」
「おぉ!!素晴らしいッ!!人員も回してもらえるとはアフターサービスもバッチリか!!だが…こちらのコレはもう少しまかるだろう?」
「意外と目敏い…」
「それと、塗装なのだが…」
「ああ。それは希望のカラーリングでサービスするよ」
「ハッハッハ!!それは助かるッ!!ハンガーは確か開きがあったはずだからこの番号のところに…それとどうしてもつけて欲しい武装が…」
「了解。それじゃあ納入の期間はこのくらいの見通しで…」
「うむッ、異論ないッ!!」
目の前で始まった商談を傍目で見る一同は、スイスイと話が進む様子を見守る。
「何だか手合わせ終わりの勧誘はずが、完全に企業と顧客になってるっすね〜」
「まぁ、ジェターク社としてはありがてぇ限りだが…」
その後、二人のおよそ二時間に及ぶすり合わせ交渉の末、無事ディランザがドゥラメンテの寮に納入される運びとなったのだった。
次からは普通にセセリア嬢との日常に戻る予定です〜。