セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続きです〜。


第142話

「フッ…ここがセセリアの生まれ育ったプラントかッ…!!」

「も〜、大袈裟なんだから〜」

 

ドゥラメンテとセセリアは今、アスティカシア高等専門学校の長期休暇を利用して、ブリオン社の保有するプラント…正確にはそこにあるセセリアの実家にやって来ていた。

 

ことの発端は数週間前、ドゥラメンテ宛てにセセリアの父親からメールがやって来たことだ。

曰く「せっかくの長期休暇なので、セセリアと一緒に楽しんで欲しい」とのこと。 

更に続けて、ディナーのお誘いまでされている。

 

つまりは招待状のようなものだ。

それに対するドゥラメンテは…。

 

「フッ…未来の義父たるお方からの提案を断るわけにはいかないなッ!!」

 

当然、ノリノリであった。

 

そして当日、ブリオン社の保有するプラント行きの船の中で、ドゥラメンテとセセリアは隣同士に座り、しばしの旅を歓談や携帯端末で出来るちょっとしたゲームなどで時間を潰しつつ楽しんでいた。

 

しばらくして、セセリアは思い出したように眉間に皺を寄せて、そこを摘むように指を置いて「はあ…」とため息をつく。

 

「ったく〜…なぁんでわざわざ実家に帰省なんて〜…別にドゥラメンテに来てほしくないって訳じゃないけど〜…」

「フッ…だが、セセリアの生まれ育った場所というのは興味があるなッ!!」

 

ぶつくさと面倒くさそうに愚痴をこぼすセセリアに、ドゥラメンテは穏やかな笑顔で言う。

 

「も〜…またそんなこと言って〜…まあ、でも?頼まれれば案内くらいならするけど〜?」

 

そう返すセセリアもまた、満更でも無さそうだ。

以前のセセリアの母の話からして、別に今更二人の仲にケチをつけたりはしないだろう。

 

であれば、本当にドゥラメンテのことを娘共々労おうというのが本心か。

無論、狙いは他にもありそうではあるが…。

 

ともあれ、そうしてやって来たのがこのプラント。

出迎えの社員に促されるまま船を降り、通りがかりにいくつかの部署やらの紹介を軽くされつつ、その前を通り過ぎる。

 

居住区への案内を終えた社員達と別れて、ドゥラメンテはセセリアに、ある一室の前に案内される。

 

なお、別れ際に「お疲れ〜♪」と、笑顔で手をひらひらと振るセセリアに、社員達は少し驚いていた。

 

二人きりになった途端、セセリアがドゥラメンテの腕に自身の腕を絡めつつ暗証番号を記入すると、ピピピ…と言う開錠音と共に部屋の扉が開く。

 

「ちょっと恥ずかしいけど〜…」

「フッ…それは、オレもだ」

 

そう言ってやって来たのはセセリアの私室だ。

綺麗に整えられた部屋には見るからに上質と分かるソファやらベッド、カーペット机と言ったものから、ちょっとした小物類に、更にはぬいぐるみまで置かれているなど、見回す限り年相応の学生らしさのある部屋だ。

 

愛する彼女の私室という初の空間に、若干の緊張を滲ませるドゥラメンテであったが、しばらくするとこのカップルは盛大にいちゃつきはじめた。

 

とは言え、したことと言えば映画を鑑賞したり、セセリアが今ハマっている音楽を聴いてみたり、今日日珍しい紙の本を読んでみたりと、普段アスティカシア高等専門学校でしていたことと変わらないことをしていたのだが…。

 

「んふふ〜…」

「どうかしたかな?セセリア?」

 

セセリアは上機嫌に、そして無防備なまでにドゥラメンテに体を預けてくる。

最初こそ、自身のプライベート空間に入られる恥じらいが強かったように思えたが、慣れたのかそれとも開き直りなのか、或いは初めて自身の部屋に恋人を引き入れた事でテンションが上がっているのか…。

 

そんなセセリアの行動はと言えば、例えばドゥラメンテに自身のベッドに腰掛けるよう促したり、例えばいつも以上に膝枕をしたがったり、逆に思い切り甘えたりと、本当に信頼しているのが側から見ても分かろうと言う行動ばかり。

 

今現在のセセリアは、さながらご機嫌な時の猫のような様相であり、何かを企んでいるのが丸わかりなくらいにイタズラっぽい笑顔を向ける。

 

「フッ…今日のセセリアはいつになく積極的だな」

「そう〜?もしかして…イヤだった〜?」

 

やや強引にされた膝枕をされているドゥラメンテを覗くセセリアの表情は、しかし不安そうな言葉とは裏腹に、返事が分かっているかのように勝ち気なものだ。

しかし、ドゥラメンテは久方ぶりに、そんなセセリアの押しの強さを垣間見た気がしたのと同時に…。

 

「フッ…いや、そんなセセリアもまた素敵だと思っていただけさ…」

 

彼女に惚れ直してもいたのだ。

であれば、なおのこと彼女に恥をかかせる訳にもいくまいと改めて心に決める。

 

やがて会食の刻限が近づいてきて、用意していた正装に身を包むドゥラメンテ。

 

そして、セセリアの父との会食では

 

「あれだけ複雑なマナーや作法を完璧に…」

 

相手がたったひとりのマルシャンの学生とたかを括り、内心侮っていた社員達が舌を巻くほど、見事かつ流麗な所作を見せつけたドゥラメンテなのだった。

 




夏に絡めたお話とかも書きたいですね。
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