セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続き出来ましたです〜。


第144話

 

「まったく、あの頑固親父は…」

 

ブリオン社からアスティカシアへ帰る船の席に着くなり、不機嫌そうに足を組んでぶつくさとそうこぼすセセリアとは対照的に、彼女の正面に座るドゥラメンテはどこか嬉しそうだ。

 

「ハッハッハ!!だが、それだけお義父さんがセセリアを大事に思っていると言うことだろう?そう考えれば、むしろオレは安堵したな」

「どこがよ?いきなりお茶にダンスに音楽に絵画に馬術まで作法を確かめようとする?挙げ句パイロットとしての腕を見たいだとか言って、ウチの警備部のエースと模擬戦までやらせるとか、ほとんど粗探しと嫌がらせじゃないのよ!?」

 

普段語尾を伸ばして余裕しゃくしゃくを気取るセセリアが、このように語気を荒げるのはとても珍しいことだ。

 

もしかしたら、ブリオン社の気遣いから座席がドゥラメンテとセセリアの分以外に無い、俗に言うファーストクラスの、ほぼプライベート空間だからこそのことなのかもしれない。

 

ドゥラメンテは少し驚いた様子を見せたものの、焦ることなく目の前のセセリアを宥める。

 

「フッ…だが、その全てをオレは問題無くクリアしたぞ?愛を知るマルシャンに出来ぬことは無いのでなッ!!」

 

自信満々な物言い。

しかしそれは傲慢さではなく、純然たる事実から語っているのは言うまでも無い。

 

「も、も〜…また、そんなこと言って〜…」

「愛するセセリアのためならば、オレはどんな試練でも乗り越えられるぞッ!!」

「わ…わかった、分かったから〜…」

 

そっとセセリアの手を握り、見つめるドゥラメンテの表情は真剣そのものだ。

 

熱の籠った真っ直ぐすぎるほど真っ直ぐな視線に、セセリアはしばし見つめ合うと、照れたように顔を逸らす。

 

「も〜…こんな時に限ってカッコよくなるなんて〜…ちょっとズルくない〜?」

 

ポツリとこぼした後、これでは不公平だと言わんばかりにセセリアは少しばかり頬を膨らませる。

 

「む?す、すまない。お、オレは何か、無意識に不正な行為をしてしまったのだろうか!?」

「も〜、焦りすぎでしょ〜♪」

 

キリッとした表情を崩して見当違いにわたわたし出すドゥラメンテに、セセリアは先ほどまでの怒りが嘘のようにくすくすと笑う。

 

実質、改めて両親公認になったようなものだ。

 

「でも、まさかウチのエースを打ち負かすとはね〜?」

「いや、彼も手加減してくれてはいたさ。学生相手ゆえだろうな」

 

準備されていたデミトレーナーには何の仕掛けも施されてはいなかったし、それはあちらも同様だ。

 

セセリアも一緒に確認したので、その点は間違いない。

 

それがセセリアの父の部下への信頼故か、所詮は学生と油断したためかは分からないが…。

 

その上でデミトレーナー同士の競り合いは終始拮抗していたのを思い出す。

 

しかし最後はセセリアからの声援で、ドゥラメンテの動きが明らかに良くなり、それが勝負の明暗を決した。

 

それを見たからか、セセリアの父も事実上二人の交際を改めて認める旨を伝えて来たのだ。

 

「フッ…しかし、こうも早くプロの動きを見られたのは僥倖だったなッ!!」

「まあ、それはそうかもね〜?参考になるところもあったんじゃない?」

「フッ…それもあるが、一番は…」

 

ドゥラメンテは意味ありげに顔を近づける。

次の言葉が何となく分かるが…セセリアは先ほどの仕返しも兼ねて、少し意地悪く質問を投げかけてみる。

 

「ん〜?一番はなぁに〜?」

「愛するセセリアを側で守れる基準が分かるからだなッ!!」

 

期待通りの回答に、セセリアはいつもの勝気なニヤニヤ顔を更に綻ばせ、アスティカシアへ到着するまでの旅路をドゥラメンテと過ごす。

あの勝負の振り返りや、次のデートにどこへ行くか。

アスティカシアに着いてからやりたいことや、決闘委員会の仕事に関しても話し合う。

そして…

 

「フッ…素晴らしい映画だな…」

「そ〜ぉ?割とありがちでしょ〜?」

 

息抜きにとモニターで何度も擦られたような恋愛映画を見て、そのクライマックス…映像の中の鐘の音に祝福されつつゴールインする二人に自分たちを重ねるのだった。




次回から日常回に戻ります。
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