セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続き出来ました。


第145話

とある休日、ドゥラメンテとセセリアのバカップル二人はブリオン寮にあるセセリアの自室のソファに腰掛け、寛いでいた。

いや、正確には寛ぐと言うよりは…

 

「フッ…敵に倒されるオレもまた美しい…」

 

携帯端末を手に持ち、顔には専用のゴーグルを付けてそう語るドゥラメンテ。

 

しかし、心なしかその言葉に若干の悔しさのようなものが滲んでいるのをセセリアはいつも近くにいるからか見抜いていた。

 

「あはは、ドゥラメンテったら意外と下手っぴね〜?」

 

そんな珍しく、ゴーグルの下で眉根を寄せていそうなドゥラメンテに寄りかかりつつ、セセリアは愉快そうにくすくすと笑う。

 

それは、セセリアの何気ない一言から始まった。

 

「ね〜、ドゥラメンテってゲームやったことある〜?」

 

ドゥラメンテと向かい合い、彼の首に手を回しながらセセリアは問いかける。

 

「うん?無いが…」

「ふ〜ん…それじゃあやってみない〜?」

 

その言葉と共にセセリアの用意した機器を用いてゲームをやってみたのだが…これが意外と難しい。

 

「フッ…だが、愛するセセリアの用意してくれたこれらがあれば、クリア出来ない道理はないッ!!」

 

無駄に優雅な所作で外されたVRゴーグルの画面に映し出されているのは、現在アスティカシアでそれなりに流行っている一人称視点のゲームだ。

 

タイトルは『マイルドクラフト』

主人公はゲームの世界で家を建てたり、住民達と取引をしたりドラゴンと戦ったりする。

 

そして、さまざまな素材で武器や防具を作ってモンスターと戦うこともできると言う文字通り割と何でもできるゲームだ。

 

セセリアは基本操作を教えた後、ドゥラメンテのしたいようにさせて、自身は壁面の大画面で彼のプレイ映像をそのまま見ていた。

 

マルチプレイもできるには出来るが、現状のオフラインワールド内でのプレイヤーは現時点ではドゥラメンテだけだ。

 

「でも、まさかゲームをやったことがなかったなんてね〜?ちょっと意外っていうか〜?」

「フッ…だが、新鮮な面白さはあるなッ!!」

「ふ〜ん…それじゃ、はいあ〜ん♪」

 

セセリアはそう言いつつ、ソファの前に置かれた机の上の菓子盆から棒付きのキャンディーを取り出して、目を休めるためにゴーグルを外したドゥラメンテの口に含む。

相当頭を使ったのか、体が糖分を欲しているのだろうことを察したのだろう。

 

プレイヤーキャラクターの動きと同時に体を傾けるのはそれだけゲーム慣れしていないことの証左か。

 

とは言え…ゲーム初心者であることは聞いていたものの、まさかここまで下手だとは…。

決闘委員会でも皮肉屋で知られる流石のセセリアも、彼氏の悩ましげな姿に少しばかり罪悪感を覚える。

 

「その…ごめんね〜?男子って結構こういうの好きかなぁって思って買ってみたんだけど〜…もしかして、余計なお世話だった〜?」

「フッ…なに、愛するセセリアからの気遣いが、余計なわけが無いだろう?」

 

セセリアに振り向くドゥラメンテのいつものように温和な台詞に、彼女は安堵する。

現に先ほどもドゥラメンテ自身、エネミーに囲まれながらもゲームを楽しんではいた。

操作も徐々に上達しているのは対応でわかる。

 

「それなら〜…次のプレイでいいセンいったら、ご褒美あげちゃおっかなぁ〜?いらない?」

「愛するセセリアからのご褒美だ。欲しくないわけがないッ!!」

「も〜正直なんだから〜♪」

 

画面の向こうのゾンビやらガイコツを必死になって倒す彼に、セセリアはくすくすと笑いつつ、自身の携帯端末を手に取り、やや上目遣いで小首を傾げつつ訊ねる。

 

「協力プレイ…する〜?」

「む?協力プレイ…つまり二人の愛の共同作業?」

「ドゥラメンテ?」

「ケーキ入刀?」

「気が早すぎ!?」

「子どもは二人は欲しいなッ!!」

「飛躍しすぎでしょ〜!?」

 

しかし、それだけ愛するセセリアとの協力プレイが嬉しいのか、謎の暴走をするドゥラメンテ。

協力すること自体は珍しくないはずだが…初のゲームということでテンションが上がっているのもあるのかも知れない。

 

画面内での動きは先ほどまでとは打って変わってまるでベテランプレイヤーの様な精彩な動きで敵を沈める。

先ほどまでの初心者丸出しの動きはどこへやらと、セセリアも若干呆れ気味だ。

 

「そうと決まれば、こんなところで立ち止まる訳にもいかんなッ!!子供の名前も考えておくぞッ!!」

「も〜〜!!暴走しすぎでしょ〜!!」

「ハッハッハ!!我らの愛に乗り越えられぬ苦難なしッ!!」

 

その後、ドゥラメンテとセセリアは長期休暇の内のほぼひと月、セセリアも協力する形でドゥラメンテの薔薇園の世話やら恋愛相談が終わった後にマルチプレイをするのが日課になった。

時にはゲーム内の拠点を一緒に作ったり…

 

「むッ!!また爆発が…」

「あちゃ〜…ま〜たやり直し〜?」

「フッ…だが、二人の愛の巣はまた立て直せば良いッ!!」

「あ…愛の巣って…も〜、大袈裟でしょ〜?」

 

時には山や海の探索をしたり…

 

「ほう!!宝石を使ったツルハシ!?斬新だなッ!!」

「なぁんか勿体ない気がするけど〜…まあ、やってみよ?」

 

時には誤って溶岩に落ちて貴重なアイテムをロストしては落ち込んだり…

 

「ふ…フランチェスコ〜!!」

「クワに名前なんてつけてたの〜?」

 

そして…

 

「おおッ!!ついにドラゴンを倒したぞッ!!」

「やあ〜っとゴールね〜…」

 

遂にストーリーに於けるラスボスの撃破まで達成した時、二人は思わず抱き合って喜んだ。

 

「しかし、セセリアはゲームは得意なのか?随分と丁寧に教えてくれていたが…」

「あ〜…それは、その〜…一緒にやりたくて練習してたっていうか〜…」

「せ…セセリア〜!!ありがとうッ!!愛してるぞ〜〜!!」

「あ〜も〜…アタシもだっての〜!!」

 

その後、ドゥラメンテから散々惚気話を聞いた彼の友人達が祝いと称して色々と聞きに来るのだが…それはまた別の話だろう。




いやぁ、すっかり暑さでダウンしてました…。
水分補給って大事ですね…。
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