セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続き出来ましたです。


第147話

アスティカシアの戦術試験区域。

木々の生い茂る森をイメージして作られたそこには一機のモビルスーツが時としてターゲットを撃ち抜いたり、また時として複数のデミトレーナーを相手取っていた。

 

「ほう…やはりと言うべきか、クセが無くて良い機体だなッ!!」

 

ドゥラメンテが現在乗っている機体はデミバーディング。

デミトレーナーの高い操作性や整備性をそのままに、エース用に採算度外視レベルでブラッシュアップした機体だ。

ちなみに売り値の方もそれ相応に跳ね上がっているそうだ。

 

「でしょ〜?父さんがドゥラメンテに、是非テストパイロットにって送って来てね〜?」

 

通信先のセセリアは「ふふん」とどこか誇らしげだ。

 

「本当はセセリアがドゥラメンテに任せろって…」

「ちょっと〜、ロウジ〜?」

「ハッハッハ!!仲が良いようで何よりだッ!!」

 

通信先で起きた微笑ましいじゃれあいをドゥラメンテはコクピットで笑いながら聞いている。

 

だが、その間にもデミトレーナーが一機、また一機と迫ってきているのだから集中力を切らせる訳にも行かない。

彼としても、愛するセセリアに格好悪いところを見せる訳にはいかないのだ。

ドゥラメンテはフィストバルカンで近接戦を仕掛けようとして来た機体を牽制しつつ、他二機にも対応する。

 

「そこだッ!!」

 

一番距離のある一機が、より安全を確保するため距離を取った隙を見逃すことなくバオリパックのキャノンで一機狙い撃ち、驚いて動きが鈍った二機に急接近すると、脚部のフレキシブルブースターからビームサーベルを抜き放ち、そのまま戦闘不能にした。

 

「うおっ、マジかよ…」

「今の間抜かれるか…」

 

やられたパイロット科の生達はその反応の良さに驚いているが、セセリアは当然と言わんばかりに頷きながら小さく鼻を鳴らす。

やがて、ドゥラメンテにより大半のデミトレーナーが行動不能になった頃、しばしの小休止となった。

 

「しかし、今更ながらだが…本当にオレがテストパイロットで良かったのか?」

 

セセリアに迎えられつつコクピットから降りたパイロットスーツ姿のドゥラメンテが、端末と向き合うロウジに問う。

その言葉にロウジは顔を上げ、ドゥラメンテの方を向くと…

 

「まあ、ドゥラメンテ先輩のご実家にデミトレーナーを纏めて買って頂けたお陰でデミバーディングの開発費用が予定より早く工面できた面もありますし、何ならブリオン寮のパイロットよりドゥラメンテ先輩の方がこれの性能を引き出してくれそうなのは確かですしね。それにドゥラメンテ先輩は既に半分身内みたいなものですし…」

 

そう淡々と答えた。

 

とは言え…その言葉はブリオン生としてどうなのだろうか。

その疑問に答えるかのようにブリオン寮のデミトレーナー乗り達からの異論は無かった。

 

それどころか…

 

「あのグエル・ジェタークが認めたパイロットと手合わせ出来るなんて僥倖だな」

「休憩が済んだら、今度は自分が胸を借りるつもりで行かせていただきます!!」

「セセリアちゃんとどこまでいったの?」

 

などと、どちらかと言うと肯定的だったりフレンドリーな対応が大半を占めている。

 

まあ、彼がセセリアと恋人同士なのは学園中の知るところであるし、そんな二人がいちゃついているのは寮内でもよく見かけるので、彼らとしても今更なのだろう。

 

「フッ…そこまで信頼されているのなら、オレとしても応えぬ訳にもいくまいッ!!」

「でも〜…あんまり無茶しちゃダメだからね〜?」

「ハッハッハ!!無論ッ!!セセリアに心配はかけないつもりだッ!!」

 

と、バカップルがいつものように多少いちゃつきつつ、ドゥラメンテがセセリアからデミバーディングの新たな試作武装の説明を受け、休憩時間は流れた。

 

それから数時間、ドゥラメンテは時に場所を変え、時に武装を変え、また時には状況を変えて実戦形式でのデミバーディングのデータ取りに協力したのだった。

 

「お疲れ様〜。大変じゃなかった〜?」

「フッ…セセリアが見てくれていたお陰で苦ではなかったなッ!!」

「も〜…まぁたそんなこと言って〜…」

 

ドゥラメンテはクスクスと上機嫌に笑うセセリアから気遣いの言葉と共にタオルとドリンクを受け取る。

 

「やはり予想以上にデータは取れましたね。先輩に頼んで正解でした。それで、実際に操縦してみて何か気になるところはありましたか?」

「ふむ。そうだな…まず、もう少し腕部の関節の駆動が滑らかになるといいなッ!!それから、ブースト時の加速に関してだが…」

「ふむふむ、なるほど…」

「それと、これはオレの個人的な好みの問題だが、もう少し近接武装のリーチが…」

「なるほど、参考になります」

 

満足げに端末と向き合うロウジに、ドゥラメンテはつらつらと忌憚のない意見や感想を述べる。

それをセセリアは「へぇ〜…」と楽しそうに見ていた。

 

「ありがとうございました。では、また次回もお願いします」

 

やがて聞きたいことは聞き終えたのか、ロウジは恭しく頭を下げると二人に気を使ったのか、ドゥラメンテとセセリアをドックに残して、他のブリオン寮のメンバー共々先に自室へ帰って行った。

 

「それじゃ、この後どうする〜?」

 

既に夕方の時間帯に差し掛かった頃、セセリアは更衣室から出て来たドゥラメンテに腕を絡めながらたずねる。

その様子は甘えるというよりも、心なしか彼を支えようとしている風にも見える。

 

「フッ…そうだな…セセリアさえ良ければ、お茶にでもしようか?」

「え〜?でも疲れてない〜?」

「なに、セセリアがいれてくれれば、オレはいつでも元気百万倍だともッ!!」

「…で、ホントは〜?」

 

そう問いかけてくるセセリアは表情こそニコニコと笑っているものの、目は笑っていない。

 

「うん?いや、本当に大丈夫…」

「……………」

 

じっ…と無言で見つめられるドゥラメンテはまるで心の奥底まで見抜かれている心地がした。

やがて観念したドゥラメンテは、一呼吸置くように目を閉じると…

 

「む…確かに些か…疲れているが…」

 

と、セセリアの指摘に肯定する。

 

「も〜…無茶しちゃダメだからね〜?」

「フッ…セセリアには敵わないな…」

「アタシだってドゥラメンテことはよ〜く見てるんだからね〜?」

 

やがてセセリアの自室にたどり着くと、彼女はベッドに腰掛けぽんぽんと自身の膝を叩く。

 

「ほらほら〜、膝貸したげるから、ちゃんと休んでね〜?」

「フッ…では、お言葉に甘えるとしようかッ!!」

 

もはやこうなったセセリアはきっとテコでも動かないだろう…そう悟ったドゥラメンテは素直に横になる。

すると不思議なことに眠気はすぐにやって来た。

きっと一日中テストに付き合ったために、ドゥラメンテ自身が思っていた以上に疲労が溜まっていたのだろう。

 

「こうしてちゃんと弱みも見せて、寄りかかってくれなきゃ…アタシだってたまには頼られたいんだからね〜?」

 

彼の頭を撫でつつ、そう言うセセリアの声はとても穏やかなものだった。

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