セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
ドゥラメンテとセセリアの両者は一度目のデートから、二回目以降のハードルがガクッと下がったらしく、時たま噂される程度にはちょくちょく連れ立って歩く姿が目撃されるようになった。
面持ちも、最初の頃と比べれば双方だいぶ柔らかくなったようだ。
とは言え……。
「セセリア嬢、今回はこちらに…」
「あの…」
「うん?どうかされたか?」
「その…そろそろ…て…」
「む?手?」
「だからっ…その、そろそろ手をっ…」
「フッ…ああそうか!!合点がいった!!」
すると、ドゥラメンテはセセリアの方を向いて、廊下の向こう側を指差す。
「お手洗いならあちらだ!!ごゆるりと…む?違うのか?」
……などという場面もよく見られるようで、周囲はもはや見守りに徹している様子だ。
そして、初デートから幾らかの時が過ぎた頃のこと…。
「失礼するッ!!セセリア嬢はいらっしゃるかッ!?」
いつものように決闘委員会のラウンジに現れるドゥラメンテ。
そんな彼の様子に、ちょうど部屋にいたシャディクは微笑みかける。
「ああキミか。残念ながらセセリアは今いないよ。でも…そうだな。もし時間があるようならソファにでもかけて待つかい?よければお茶もだそうか」
「よろしいので?」
シャディクからの提案に、ドゥラメンテはキョトンとした表情を浮かべる。
まぁ、決闘委員会の所属でもない自分が目的もなく居座るのは流石に良心が咎めるのだろう。
「構わないよ。キミはこの学校が誇る現ホルダーのグエルに認められた人物だからね」
ドゥラメンテはその言葉に甘えてソファに腰掛け、しばらくして出された茶と、お茶請けに出されたクッキーに舌鼓を打つ。
「でも、羨ましいな」
対面に座ったシャディクからおもむろにそんなことを言われたドゥラメンテは得意げに言う。
「フッ…確かに正直オレは皆の羨望の的となるような美しさの持ち主ではあるが、それはシャディク殿とて決して引けをとっているという訳では…」
額に手を当て、決めポーズを取ろうとするドゥラメンテをシャディクが制す。
「いや、そっちじゃあなく」
「ふむ。では…セセリア嬢とのことで?」
その言葉に、シャディクは頷く。
というか、学年も所属寮も性格も異なる二人の接点で言えばそのくらいか。
「いやなに。そうやって真っ直ぐに、決して折れたり曲げたりせず好意を伝えられることがさ。時たま羨ましく思えるんだ」
「…では、シャディク殿にも思い人が?」
その言葉に、シャディクは小さく頷く。
「まぁね。だが、どうにもなぁ…怖いのさ」
「怖い?」
「そう。今のままの関係じゃあずっといられない。だけど、踏み出す勇気も出せなくてずっと遠回しなことばかりしては余計に関係が悪化してしまったり…まぁ、こんな話をキミにしたところでなんだけど…ちょっとでも参考にしようって下心だよ」
顔を上げたシャディクは、いつものような笑顔を浮かべる。
「で、セセリアとはもう手くらい繋いだ?それともお互いのことをあだ名で呼び合ったり?それとももっと先までいっちゃったり…」
「む?そう言うことをするのはお付き合いしてからでは…」
「…うん?」
今度はシャディクが首を傾げる番となり…。
「シャディクセンパイ。言われてたモノ持って来て…って?」
その後、シャディクが聞き出そうとしていたことをセセリアが知る運びとなり、その日シャディクはずっと、セセリアからの皮肉を浴びることとなったと言う。