セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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お久しぶりです。
今回はチュチュとドゥラメンテのファーストコンタクト?的なやつです。



第150話

アスティカシア高等専門学校、地球寮所属のパイロット科の一年生チュアチュリー・パンランチにとって、ドゥラメンテ・シックールという他寮の先輩生徒はどうにも胡散臭いという印象が拭えない存在だった。

 

パイロット科として操縦の実力が折り紙つきであることは、数度彼の決闘を見たことで分かっているのだが、それと同じくらいにキザったらしいナルシストとも聞いていたからだ。

 

ドゥラメンテ自身いつも微笑みを絶やさず、隙あらば恋人であるセセリアとバカップルの片割れとしていちゃつく様子はアスティカシアの生徒ならば誰もが知るところ。

そんな彼が何故わざわざ地球寮の生徒を気にかけるのか?と思うのはある種当然の疑問だった。

 

何よりチュアチュリーが『ニカねえ』と呼び慕うニカ・ナナウラには少なからずお人好しのきらいがある。

 

食堂などでスペーシアンからの嫌がらせじみたことをされても、それこそ自分なら間違いなく手が出ていたであろう、明らかにこちらが舐められているような相手にも抗議のひとつもせず、それどころか笑顔で譲ってしまうところを彼女は何度も見て来た。

 

ましてや相手はそんなスペーシアンに媚びへつらうマルシャンだ。

絶対に裏に目的があるはず…。

それがもし、尊敬するニカや自分含む地球量の皆を面倒ごとに巻き込むような内容ならば…。

 

そんな物騒な決意を胸に、意を決してチュアチュリーは彼が通された客間をこっそりと覗き見る。

 

万が一にでも騙されていたなら殴ってでも追い返す腹づもりで、睨むような目つきをしていたのだが…

 

「ニカ嬢ッ!!」

 

意を決したように件の男子生徒…ドゥラメンテ・シックールは真剣な表情で話し始めていた。

一体どんな内容なのか…変な緊張に身をこわばらせつつ、身構えるチュアチュリーであったが…。

 

「地球には相合傘なるものがあると聞いたのだがッ!!」

「………は?」

 

突然のその言葉に、耳をそばだてていたチュアチュリーはキョトンとする。

そんな彼女を尻目に、問いかけられたニカ・ナナウラは「う〜ん…」と少し考える素振りを見せる。

 

「わたしも知識としてしか知らないけどね?こう…男女が雨の日に二人で一つの傘で肩を寄せ合って…」

 

わざわざ生徒手帳を使い、図まで用いたニカからの説明を、ドゥラメンテは「ふむふむ」と興味深そうにメモを取っている。

 

「ではスプリンクラーで…いや、それは大袈裟か?いやしかし…」

「同じ寮のお友達には聞かないの?」

「ふむ…」

 

ある種当然の疑問を投げかけられて、ドゥラメンテは考え込んでいた。

 

「実を言うとだな…エドモンドには『オメーの惚気話はなげーんだよ』と、聞く耳を持ってもらえず…」

「あはは…」

「ほんの二、三時間セセリアへの愛を語っただけだと言うのにッ!!」

「うん。それは普通に長いんじゃないかな…」

「なのでこうして、他寮の友人であるニカ嬢をたずねた次第ッ!!」

 

そんなドゥラメンテの惚気話にツッコミを入れつつ、談笑している。

 

「なんだそりゃ…」

 

コイツさてはアホだな。

そう思ってすっかり毒気を抜かれて警戒心も大半が雲散霧消し、半ば呆れ返っていたところ…

 

「ちょ…チュチュ?今お客さん来てるんだよ?」

 

通りがかった気弱そうな地球寮寮長、マルタン・アップモントに小声で見咎められ、チュアチュリーはもはや警戒するのも馬鹿馬鹿しくなりその場を後にしたのだった。

 

ちなみに後から小耳に挟んだ話によると、ドゥラメンテ考案の相合傘作戦は上手く行ったらしい。

 




書きたくなったので書いてみました。

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