セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
本日はバレンタインデー。
世間一般では思い人に告白したり、愛する相手にチョコを贈ったりする日である。
そして、ドゥラメンテとセセリアにとって何より大切なのは、彼らが結婚して初のバレンタインデーでもあるということだ。
新婚カップルの例に漏れずこの二人もバカップル丸出しであり、結婚式を挙げてからのみならず新婚旅行から帰ってからもネオジム磁石のようにこの夫婦が離れることはめったになかった。
それで仕事に支障があるのなら問題だが、むしろこの二人は仕事上でもかなり相性が良かったようで、セセリアはドゥラメンテを彼のとても優秀な秘書として支えた。
そんな二人の仲睦まじさは彼の祖父をして「ドゥラ君達は今年結婚したカップルでも一番だねぇ」と言わしめたほどであるが、それはそれとしてひと月もすれば夫であるドゥラメンテはしっかり者の妻であるセセリアにいい具合に尻を叩かれていたし、彼自身それを嫌がるどころかむしろ喜んですらいた。
そんな二人のバレンタインデーとなれば…。
「は〜い、アナタあ〜ん♪」
「フッ…ありがとうセセリアッ!!」
バレンタイン休暇(マルシャン特有の休暇のひとつ)をとった二人は、新婚記念にとドゥラメンテの祖父にプレゼントされた屋敷の庭にあるベンチでいちゃついている。
正確にはドゥラメンテがセセリアに膝枕されながら箱に入ったチョコレートをひとつずつ食べさせられていた。
その姿に学生時代の少々わざとらしいカッコつけな雰囲気は無く、思い切り最愛の妻を心から信頼し、甘えているのが見て取れる。
その様は学生時代を知る人物からしたら多少意外に思われることだろうが、当のセセリア自身はこうしてドゥラメンテに甘えられることに関しては満足感や喜びの方が大きい。
近くにいても肩肘張らずにいられるほど信頼されている証左でもあるからだ。
特に卒業後結婚式を済ませてから心待ちに余裕が出てきたのもあるだろう。
彼女は夫の顔を覗き込んで苦笑する。
「も〜…チョコくらいでそんなに幸せそうな顔しちゃって〜」
「フッ…現に幸せだからなッ!!」
くすくすと自身を見下ろして愉快そうに笑うセセリアを見て、ドゥラメンテはそう応じる。
ドゥラメンテがそっと手を伸ばしセセリアの頬に触れると彼女はベンチの前にある庭の噴水を眺めつつ悪戯っぽく、くすぐったそうに笑う。
そしてセセリアは覗き込むように顔を近づけ、口付けをひとつ交わす。
普段はまだ少し恥ずかしがるセセリアもこうして私有地で二人きりの時くらいは恥じらいつつ大胆にいちゃつけるのかも知れない。
「ん…ふふっ♪チョコの味がするわね〜?」
そう言うとセセリアは付き合いたての頃のように表情を綻ばせる。
するとドゥラメンテは一瞬ハッとしたような表情になり…
「本当にセセリアは、何度もオレを惚れ直させてくれるなッ!!」
そう言いつつ起き上がると彼はセセリアを優しく抱きしめ、セセリアもまた愛する夫を抱き返した。
その時かすかに、シトラスの香水が香っていた。
今回は番外編というか、新婚編でした。
何で急にって?
……書きたかったんだもの。