セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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お久しぶりです…。
ナイト○インが予想以上に面白過ぎて気がつけばここまで間が開くことに…。



第154話

その日、ドゥラメンテとセセリアのカップルは火星プラントで行われている祭りに参加すべく、シックール家の屋敷へとやって来ていた。

ことのきっかけはドゥラメンテの祖父、シックール卿から招待されたことだ。

 

何でも彼らの奉るマルス神を讃える祭…というのはほぼほぼ建前で、マルシャンの未来を担うカップル達のために新イベントを企画したとのこと。

 

「フッ…浴衣姿オレもまた美しい…」

 

実家にて黒地に真っ赤な薔薇の描かれた浴衣を着て手鏡を持ち、キメ顔をするドゥラメンテ。

 

「ドゥラメンテ様。セセリア様のお召し替えが終わりましたよ」

 

メイドからそう伝えられたドゥラメンテは感謝を告げる。

 

「フッ…ありがとうございますッ!!」

 

そしてその後からやって来たのは使用人に着付けをしてもらった浴衣姿のセセリアだ。

彼女は彼の前で「似合ってる〜?」と、くるくる回りながらそう訊ねる。

 

水色に白い牡丹の花模様をあしらったそれは見るからに涼しげで、足元の草履も合わせてセセリアという女性に凛と映えていた。

 

「フッ…もちろんだともッ!!いつ見てもセセリアの美貌は正しく天女と見紛うばかりだなッ!!」

「も〜…褒めたって何にも出ないからね〜?」

 

セセリアは照れながらそう言いつつも、上機嫌になりながらドゥラメンテの腕に抱きつく。

 

「浴衣と色を合わせたマニキュアも似合っているなッ!!」

 

と、目ざとくこだわったポイントに気づいてもらえたのもあってか、更に彼女の機嫌が良くなるのが分かった。

 

二人はそのままドゥラメンテの実家から会場へと向かい、ゆっくりと歩き出した。

 

付き合いたての頃こそ人前でイチャつきながら歩くのを恥ずかしがっていたセセリアも、今となっては非常に慣れた様子だ。

 

或いは火星プラントの至る所に老若男女様々な年代のカップル…いや、この二人並みのバカップルでごった返しているのでさほど目立たないからか大胆な行動ができたのだろう。

 

移動に敢えて車を使わなかったのは会場への距離が近かったのと人通りが多かったのもあるが…。

 

「セセリアとこうして歩くのはとても心地よいなッ!!」

 

と言われて気をよくしたのもあるかも知れない。

 

いざ祭りの会場にやって来てみると、屋台はかき氷や焼きそばといったポピュラーなものから、アップルボビング飴、有名アミューズメントパークのペアチケットが並ぶ射的、ペアカップやペアリングが景品のくじ引き屋など、カップル向けの屋台も含めてずらりと並ぶ。

 

「ホントに如何にもカップル向けって感じね〜?」

 

そう言いながら屋台そのものを物珍しそうに眺めるセセリアに、ドゥラメンテは胸を張って答える。

 

「実を言うと噂に聞く地球のお祭りをアレンジして開催できないものかと祖父に相談してみたのだッ!!乗り気で了承してもらえて助かったなッ!!」

「あぁ〜なるほどねぇ…」

 

そう言えば最近ドゥラメンテがいやに地球に詳しい生徒…シャディク達のグラスレー寮に行っていたのを思い出す。

 

ドゥラメンテとしては他意無く友人付き合いをしているつもりだろうが、あちらはどう思っているのかわかったものではない。

 

まして、ああいう外面のいい人間には大抵裏があるものだ。

 

とはいえ…それはそれとして、セセリアとしても今回のデートのキッカケを作ってくれたことには内心で感謝していた。

それにドゥラメンテの交友関係にまで口出しするつもりは無い。

 

「おおッ!!これはすごいぞセセリア!!」

 

さっそくドゥラメンテは居並ぶ屋台やその商品に目を輝かせていた。

そんな彼の普段とのギャップにセセリアは幻滅どころか「フフッ、可愛い…♪」と小さくこぼす。

 

二人は人混みの中、しばらく屋台を堪能したのちに休憩所となっている広場に移動していた。

 

「先ほどの屋台の店主のおすすめドリンクだそうだッ!!そこの噴水脇のベンチで一緒に飲もうッ!!」

 

おもむろに差し出されたのは透明なプラスチックの大きめなカップとそれにさされた真っ赤なハート型の飲み口が二つあるストロー。

分かりやすくカップル用ドリンクだろうことが伺える。

 

そんな彼を見てセセリアはやや呆れ気味ではあったが、手にした景品や二人分の食べ物の数々を見てなんだかんだ楽しんでいたのを実感する。

 

それにちょうど歩き疲れた頃合いだったのもあって彼の言葉に甘え、開いたベンチに座ることとする。

 

「も〜…はしゃぎすぎでしょ〜…」

「昔はここまで立派な祭りも出来なかったからな。それもひとえにお爺様や先達のマルシャンの方々の努力のおかげだ」

 

ドゥラメンテは祭囃子の聞こえる会場を見てしみじみと言う。

 

「ドゥラメンテ?」

 

その横顔はいつになく、遠い眼差しをしていた気がした。

ドゥラメンテはセセリアにも自身の過去についてあまり語らない。

セセリアがそれに不満を覚えたことは無いが、知りたいと思う気持ちが無いわけでも無い。

乙女心というのはセセリア自身が思う以上に複雑なのかも知れない。

 

「何より愛するセセリアとの思い出がまた一つ増えて嬉しいからなッ!!」

「も〜…大袈裟すぎでしょ〜」

 

振り向きざま、屈託の無い笑顔を向けられるとつい照れてしまう。

いつか自分に彼自身の過去を話してくれることを期待して、セセリアはストローに口をつけた。

 

しばらく二人で買ったものを食べたり雑談をしたりで休憩していると、“ピンポンパンポン”と小気味良いアナウンス音が流れる。

然るのち、ドゥラメンテの祖父たるシックール卿の声がスピーカー越しに聞こえてきた。

 

「え〜…みんなお祭りは楽しんでくれてるかな?そうだったら儂は嬉しいな!!それに今日は可愛い孫が…って、脱線しちゃうねごめんごめん。…っと、ここからが本題だよ。これより、サプライズ企画として来場者の中からベストカップル選手権を開くよ!!参加者はどしどし応募してるから希望者は今から一時間以内に会場入り口の受付まで来てね〜!!」

 

もう一度先ほどと同じ“ピンポンパンポン”というアナウンス音が聞こえると、同じく休憩に立ち寄っていたのだろう周囲のカップル達はざわつき出す。

ベストカップル…それはマルシャンならば是非とも手にしたい称号だからだ。

そしてそれはドゥラメンテも同じだったようで…。

 

「むっ?ベストカップル!?これは参加せざるを得ないなッ!!」

「も〜…しょうがないんだから〜♪」

 

そう答えるくらいには乗り気なセセリアなのだった。




セセリアさんの浴衣姿は絶対に可愛いと思います(断言)。
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