セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
ドゥラメンテはアスティカシアにあるトレーニングジムを利用していた。
予約制であり、時間制限もあるそこは普段から利用者の生徒でいっぱいであり、そんな中でもドゥラメンテは目立っていた。
「で、なぁんでオレまで来ることになってんだよ…」
座り込んでブツクサと文句を言うエドモンド。
「フッ…なぁに、実は先日グエル殿に勧められてな…」
「へー、あのホルダーサマが?」
「うむ。それと言うのも…」
時を遡ること一週間前………。
「おいドゥラメンテ」
「むっ?おぉ、グエル殿」
授業が終わり、寮に戻ろうとするドゥラメンテにグエルが話しかける。
その後ろには当然、取り巻きの三人もいる。
「お前、最近筋トレとかやってるか?」
急な質問だが、ドゥラメンテは胸を張って答える。
「無論、セセリア嬢の前に出るのに、そして隣に立つのに恥ずかしく無いよう、またこの美しさを保つためにも、影に日向に努力を重ねていますとも」
いつものように格好をつけつつそんなことを言うドゥラメンテ。
しかし、それを華麗にスルーするかのようにグエルは答える。
「そうか。それならちょうどいい」
グエルは生徒手帳を取り出すと、ドゥラメンテにも同じことをするよう促す。
「今度ジムに幾つか新しく設備を用意することになってな。お前さえ良ければ使ってみた感想をきかせてほしい」
送信されたデータを見遣るドゥラメンテ。
確かに新しくトレーニング設備を設けるとのことが載っていた。
「そうか。感謝するぞグエル殿」
そうして、ドゥラメンテはジムでのいつものトレーニングメニューに加え、新設備の使用も含めた運動を行うようになった。
………………
そんなある日のこと…。
「おや?セセリア嬢」
「ん?って、アンタもここ使ってんの?」
ドゥラメンテはセセリアとジムの入り口でたまたま居合わせる。
どうやら彼女もまたグエルに勧められてせっかくだからと利用することにしたらしい。
「流石にだらしないお腹は見せたくないし…」
とのことだが、それが誰に対してなのかは謎だ。
双方動きやすい格好になり、ベンチプレスやらランニングマシンを利用する。
たまにドゥラメンテがアドバイスをしたり、手伝ったりと、仲睦まじい様子が他生徒から目撃されたり、トレーニング終わりには生徒手帳に表示された軽いアンケートに答えてそのまま演習場なり寮に戻る日々が続く。
また休憩中にはタオルで汗を拭きつつ、時折水分を渡そうと近づいたドゥラメンテに「ちょっと!!今汗臭いから近寄んな!!」
と、セセリアが語勢を強めて拒絶したりと色々あったが、終始険悪さは無く時は流れた。
そんなある時のことだった。
「う〜ん…」
指先で髪の毛をいじりつつ、唸るセセリア。
「セセリア嬢?何かお悩みが?」
「あ〜、最近ちょっとシャンプーが合わなくてさぁ〜…」
「ふむ…髪は女性の命とも聞く。で…あれば」
「なに?おすすめのヤツでも教えてくれるの?」
期待するような視線を向けるセセリアに、ドゥラメンテも嬉しそうに答える。
「フッ…この美しさを保つため、使用するシャンプーも吟味を続けるオレにお任せあれ」
その後、セセリアとドゥラメンテから同じシャンプーの匂いがするとか何とかで、一悶着あったとかなかったとか。
「エドモンドよ…オレは何か間違えたのだろうか?」
食堂で質問を投げかけるドゥラメンテに、エドモンドは答える。
「いや、流石に今回ばかりは女子がすげーわ。女のカンってヤツなのかねぇ…」
ともあれ、しばらくこの噂は続くことになるのだった。