セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
ジェターク寮にあるグエルの自室。
そこではグエル・ジェタークとその腹違いの弟ラウダ・ニールが何やら話し込んでいた。
「でも兄さん、良かったの?御三家の兄さんが所属寮も異なるあんな一個人を贔屓するような真似をして…」
「なに、問題はないさ。何せ今回の件は、他でもない父さんからの指示なんだからな」
つい先日のことだ。
グエルはジェターク社CEOである父親に定期的に連絡を行っていた。
その直近の連絡をした際のこと。
「なに?今シックールの子息と言ったかグエル」
「えっ…ええ父さん」
思いもよらない報告を受けたからか、いつに無い食いつきを見せる父、ヴィム・ジェタークの反応に驚きを隠せない様子のグエル。
「よくやった!!」
珍しく褒められ、グエルは一瞬ポカンとする。
「
特に火星の筆頭格、シックール財閥の代表はそれが更に顕著でな」
マルシャン…それは宇宙進出に比較的消極的だった連中が何とか自分たちの居場所を作ろうと遅れて宇宙に出た者達。
だからか、その当時は最早新たに故郷として根を下ろすことができる環境は荒涼とした火星くらいしか無く、長年の搾取に耐え抜いて来た者達でもある。
そんな背景も手伝って、アーシアンからはスペーシアン側と忌避され、スペーシアン側からはアーシアンと変わらぬ搾取対象としてしか見られず…。
そんな忍従を長らく余儀なくされてきた人々だ。
「だが火星に埋まっている地下資源は今現在わかっているだけでも我がジェターク社が三年は経営継続できるほどだ。
だから我々の側としても連中を軽んじるわけにもいかなくてな」
まったく腹立たしい。と鼻息荒くそう言うヴィム。
しかし、画面越しの息子に向き直るといつになく優しい声をかける。
「だからなグエル。お前は奴の息子に取り入り、資金援助の話をしたくなるようにはからえ。ククク…しかもその色恋を応援するだけでブリオン社にも恩を売れる…一石二鳥とはこのことだな。あいつの息子の懐に入り込め、わかったかグエル!?」
珍しくニヤリと上機嫌に笑う父親に、グエルは何が言えたわけでもなく…。
「…はい、父さん」
と、ただいつものように答えるしかできなかった。
「アイツは良いヤツだが、それでも…」
「兄さん?」
心配そうな声をかけるラウダに、グエルはハッとする。
どうやら気づかないうちに握り拳を作っていたようだ。
「オレは…アイツを…アイツらをどうしたいんだ?」
ベッドに腰掛けるグエルはしばしの間慣れない悩みに頭を抱えるのだった。
ひと波乱起きるかなぁ。